ウマ娘 リトルダービー ~ウマ娘世界における、ちょっと異なる種の話~   作:zaq2

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北海道からカリフォルニアへ

 8月も中旬を過ぎ、それでも毎日、真夏日ともいえる日差しが降り注ぐカリフォルニア州の一角にある牧場地。

 夏の日ざしが強くなる前に、朝日が昇る前から従業員たちがひっきりなしに働きだし、そうしては一息つく時間帯。

 

 そんな時間帯の時、連絡し合おうというメールをもらってから時間調整をして、朝から端末を触っては通話を開始すると、そこにはフクショウグンの姿が映っていた。

 

 

「おはよう・・・じゃないよね、そっちだと何時?」

「夜の11時半だな」

「だよね。他のみんなは?」

「お盆休みという事で、実家に帰っているな。私も実家から通話してるからな」

 

 

 細かい話は聞いてはいないけれど、8月に入ってからは実戦的なレース型式となり、フクショウグンと遣り取りをしているメールで、各人がそれぞれのレースを行っていると書いてあったのを思い出した。

 

 

「まぁ、自分たちの場合は、まだ公式なレースには出ていないが、模擬としてのレースでは一勝は上げてはいるぞ」

「さすがフクショウグンだね。他のみんなはどうなの?」

 

 

 話を聞いて行けば、あの体力が無かったはずのホクト姉妹ですら、一勝しているというのには驚いたが、ブラリアンだけが"一勝もしていない"というのでさらに驚いた。

 

 

「あのブラリアンが一勝もしてないなんて、不思議な話だね」

「まぁ、ハンデ戦という一人だけ下手をすれば200m以上も余計に走るというのがあるからな」

「えっ?ハンデ戦って距離なの?斤量でもなくて?」

「ああ、こちらでは距離ハンデばかりだ。まぁ、そのおかげで、ホクト姉妹の様な体力が無くても一勝はあげられたわけなのだが」

「へぇ、確かに200m以上とかは、もう酷い差になるだろうね」

「酷い差ともいえるが、適正とも言えだした。なにしろ、ブラリアン本人がその差を着実に埋めてきてるという点だな。この前なんて一着に半バ身まで迫って来てたぞ?200mのハンデでな」

「何それ、もう地方クラスの競走ウマ娘レベルじゃないの?」

「1Fのタイムをみたら見劣りはしてないともいえるな、だが3Fではやはり厳しいぞ」

 

 200m後ろからブラリアンが迫ってくる、か。

 想像するだけで、何か恐ろしいような・・・。

 

「・・・思いつめていた顔色が、そろそろどうなっているかと思って連絡をいれてみたが、多少はマシにはなっている様子で安心した」

「えっ、そんな顔してた?」

「ああ、夏休みに入る直前は、消沈してたのを無理やりに隠そうとしていた感じだったな」

「そんなに酷かったかな・・・」

「他のみんなは気づいてはいなかったみたいだがな」

 

 

 それなら、少しホッとした。

 ただ、それでもフクショウグンにはバレてたわけだけど。

 

 

「それでサイザンス。君の方は、何勝したのかな?」

「何の……コトカナ…」

 

 

 一体何の事を・・・?

 この話は、日本ではだれにも言ってなかったはずなんだけど・・・

 

 

「いや何、自分たちみたいな小さなウマ娘が出走するレースは海外には普通に存在している。ならばと、情報を集めるのは、やぶさかではあるまい」

「・・・」

「そして、その情報を集めていたら、"君と同じ名前"が"何故か君が帰った先の近くの競バ場の出走リスト"に載っていたのを見かけた」

「・・・」

「詳しく調べてみたら勝利した記事に、勝負服を着た"どこかで見た顔"が写ってる写真もあったぞ?」

 

 

 フクショウグンは、絶対的な確信をもって喋っている。

 ここまで来たら、隠し通せるものじゃないなと腹をくくる。

 

 

「あーえーっと・・・うん、たぶん、ボクだと思うよ」

「やはりそうか。なぜ黙ってた?」

「みんなには言えないよ。ブラリアンのトレーニング見た後から、あんな表情されてたら、さ」

「たしかにな」

 

 

 ブラリアンの自主トレを見た後の各自の表情。

 ポニーオーからもたらされた話の時の表情。

 自分としては、言うに言える状況でもなかったと思う。

 自分だけ、そういう予定が組まれていたなんて。

 

 

「だが、なめるな?私たちは、私たちの信念を持っているのだからな。その事でとやかくいう仲間内じゃないことは、知ってたはずだろう?」

「うん・・・けど、不安だったんだ。さらに、そんなときにポニーオーからの誘いがあった時の、あのみんなのあからさまな表情が変わった姿をみたら、余計に…ね」

「・・・」

「・・・」

「・・・まぁ、今はこれ以上はいい。それでもと思うなら、今度会うときには謝っておけばいい」

「・・・うん、そうだね」

 

 

 フクショウグンの言う通り、謝りをいれるならば、みんなの前で言うのがスジだなと。

 なら、今度会うときとなると、日程的には8月末までには日本に帰る予定になってるけれど…

 

 

「そうだ。謝り次いでになるけれど、フクショウグンにだけは伝えておこうと思う。他のみんなにはナイショでお願い」

「ん?何だ?まぁ、秘密にしたい事だとはわかったが、そっちで活躍してる事か?」

「それも関係するけれど、ボクが日本に帰る8月末ぐらいに、日本での公式なレースが予定されてる」

「ふむ?」

「ボクたちのような"小型のウマ娘専用のオープンレース"に"海外枠として出場"する事だってさ」

「まさか・・・いや、こちらでも8月末に公式のオープンレースを行う告知は知らされてはいるが」

「たぶん、そのまさかだと思うよ?日本にも速いウマ娘がいるから、その対戦相手を探してるとも」

「あー、十中八九、ブラリアンだろうな。自分たちの中で、完全に別格な走りに昇華していっているからな」

「やっぱり・・・」

 

 

 走る事に関しては、仲間内の中では異様な情熱を持っているブラリアン。

 ハンデだろうと、その差を徐々に埋めているとなれば、その速さはとんでもないモノになっているのは予想できる。

 

 

「うーん、みんなには伝えた方が良いと思うが…」

「主催側からは、サプライズ的にって事らしいから、やめといた方が良いと思うよ」

「サプライズか、確かにな。今後の事も考えれば、主催側の意向を尊重しないといけないだろうな」

「うん、そうした方が良いと思う」

 

 

 8月末に行われる、公式レース。

 会う事になるのはその時ぐらい。

 ブラリアンの事だから、仕上がりはとてつもない事にもなっていそうだけど…。

 

 

「それでだ、聞きそびれていたが、そちらの戦績はどうなんだ?1勝しているのは知っているが」

「戦績は、クォーターマイルで2戦2勝、ハーフマイルだと2戦1勝。写真のはハーフマイルの時のだと思うよ」

「ハーフマイルというと800mか。それにしても4戦3勝とは、ブラリアン悔しがるだろうな」

「たぶんね。目に浮かぶよ」

 

 

 

 二人して、地団駄ふんでそうなブラリアンを想像しては笑っていた。

 

 




8月末の公式オープンレース?
名づけるなら、第一回リトル優駿(ダービー)(仮)


※カリフォルニア州
 西海岸における競馬の一大拠点の一つの州
 日本の競走馬がアメリカ遠征で勝利した地でもあります。
 競馬場も多々ありますし、由緒正しき古い競馬場もあります。

 また、アメリカではイギリス式とウェスタン式の二種類のレースというか調教があります。
 競走馬としては、基本イギリス式となりますが、ウェスタン式のも見ごたえあります。
 (ウェスタン式はカウボーイな奴で、機動力を活かした動きが多いです)




※1マイルは約1600m。
 ハーフは800m、クォーターは400m。
 なお、1Fのみとか、直線短距離のロケットという区分のものもあります。
 ほんと、色々ありますよね。





感想返信できるとこ
・あとでウマ娘視点:ゴフッ(クリティカルヒット)下書きのは廃棄しちゃったんですよね…
 下書き時のだと、ブラリアンは悔しがっているというより、バ場慣れしてない自分の特訓不足と不甲斐なさに自己反省して今後に生かそうとしてきます。
 例えば、たぶん、砂浜ダッシュを自主トレに加えてるかもしれない。
・メジロ家の面目は保たれました。もちろん、派閥も強くなった。
 省略してますが、サクラ会社の面目も保たれてます(元ネタがポニーオーが2着の例のアレ)
・ファッションモデルになるウマ娘:元ネタのウマ娘の方では、ゴールドシチーがモデルやってますね
 ユキノビジンとかマヤノトップガンとかが憧れてましたね。
・歌って踊る:ブラリアン曰く、とっておきがある!だそうです(本人の感想
 トレセン関係で自主トレしてるし、本人自信たっぷりだし大丈夫だろ(回りの思考
・本家の当主も:おばあ様、ほっこりです。
 主催の『ウマ娘の可能性を否定してはいけない』に共感したから、思いは大きかったかも。
・ジョッキーベイビーズ予選の時期ですが、どうなんでしょう。コロナの影響は大きすぎる。
・屋台巡り:もう金欠なので、実家に帰って催促は確定です。
 じーちゃん、ばーちゃん、ダダ甘やかし確定事項。

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