フランドール・オーバーローデッド   作:凜としたBTQ

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仕事が忙しすぎて失踪したので初投稿です。

……すみません許してください感想いつもありがとうございます誤字報告も助かってます何でもしますkr

(´・ω・`)はい

※今回はアインズ様視点からです。


第十話 オーバーロード、墓地へ行く

 俺とナーベラルは冒険者としての依頼を終えてエ・ランテルに帰還した後、依頼主であるンフィーレア氏が何者かに攫われたことで祖母であるリィジー・バレアレ氏から彼の捜索依頼を受けてこの墓地に乗り込んだ。

 

 特に妨害もなく探知魔法であっさり発見できたことに拍子抜けしたが、この世界では第三位階魔法でさえ選ばれた者しか使えないほど魔法レベルが低いため仕方がないといえよう。

 

 これがユグドラシルであったなら低位の探知魔法は完全に妨害された上に攻性防壁によるカウンターを叩きこまれるのだが……今回は一度の妨害もなくまるで探してくださいといわんばかりの無防備さで見つかった。

 一瞬プレイヤーの誘いである可能性も頭によぎったが、誘導にしてもここまでこちらの探知魔法を妨害しないのはまずありえない。

 

 万が一に備え撤退時に壁役とする隠密系のシモベを複数配置しているが……手に入れた情報からしてこの世界の住人の犯行である可能性が高いだろう。

 しかし現地住民といってもプレイヤーが裏で糸を引いている捨て駒の可能性もある。危険を冒してでも一度確認する必要があった。

 

(レベル30台後半が複数に、50台前半が一人。そして50台後半が一人、か。威力偵察にしては弱すぎる気もするけど……それでもこの世界基準なら強者に分類されるはずだ。少し慎重にいった方がいい)

 

 俺達はまだこの世界にきて間もない。

 情報のアドバンテージがない現状、慎重に行動してはいるが……仕掛けられたら後手に回るのは避けられない。

 

 その場合どこまで相手の誘いに乗り、どこまでこちらの情報を渡すかの線引きが大切だ、とぷにっと萌えさんが言っていたのを思い出す。

 

(ないとは思うけどもしプレイヤーが裏にいた場合、ナーベラルの情報はある程度渡しても問題ない。問題は俺だけど、今は虚偽情報(フォールスデータ)系の魔法をかけているから傍目からは戦士職にしか見えない……はず)

 

 ナーベラルはエレメンタラー系の魔法詠唱者(マジックキャスター)だ。汎用的な構成の戦闘職のため対策も決まっており対処もしやすい。

 それにもし狙われた場合、本来の仕事である第十階層の戦闘メイドとしての職務に戻ってもらえば安全だ。

 

 俺に対しては高位の情報系魔法を仕掛けられたら流石にある程度露見してしまうだろうが、そうしたら攻性防壁の魔法が発動するようにしてある。そのときは即時撤退するだけだ。

 

(それにしてもここまで来ても何の反応もなしか。事前情報とも差異はないし、これは心配しすぎだったのかもしれないな……)

 

 しかし事前調査に時間をかけすぎて衛兵への被害が想定より多くなっている。

 彼らは自分達の名声を高めるための貴重な駒だ。これ以上の被害は今後のためにも抑えなければならない。

 

(漆黒の剣のことといい、不快な奴等だ……)

 

 プレイヤーの影がなかったことでここまで抑えていた苛立ちが沈静化とまではいかないもののジリジリと溢れていく。

 そんな苛立ちをアンデッド共へとぶつけながら進んでいくと、墓地の最奥にある霊廟のような場所に二人組がいるのが見えた。

 

「やあ、いい夜だな。つまらない儀式をするのにはもったいなくないか?」

 

 俺が皮肉を込めてそう言うと、目の前にいる二人組の一人・・・土気色の顔をした顔色の悪い老人がこちらを睨む。

 そして忌々し気に表情を歪めると、苛立ちを隠すこともなく吐き捨てるように口を開いた。

 

「ふん……儀式に適しているか否かは儂が決めるよ。それより後ろで儂のアンデッド共を倒しているのはお主の仲間か?」

 

 おそらく、俺が墓地に入るときに中位アンデッド作成で創ったジャック・ザ・リッパーとコープスコレクターのことを指しているのだろう。

 その言い方から墓地のアンデッドの召喚主の一人はこいつの可能性が高い。

 いや、わざわざ自分のアンデッドであると自白した行為がブラフである可能性もある。話半分で聞くべきか。

 

「そう思ってくれて構わない。目には目を、歯には歯をってところだ。まぁそれは、我々にも言えることだが」

 

「……? どういう意味だ」

 

「そのままの意味だよ。それより、さっさと始めないか? そこにいる下手人は私が相手をしよう。……ナーベ、上に気を付けろ」

 

 小声でナーベラルに注意を促しながら、金髪の女を挑発するように顎で指す。

 そのまま墓地の先へ歩き出すと、金髪の女は面白そうに顔を歪めながら追随する。

 

「下手人ねぇ。あの死体を調べたんだー。どうやってここがわかったのか気になってたから丁度いいや。────身体に聞いてあげる」

 

 俺は後ろで嗜虐的な笑みを浮かべる女に冷たい視線を向けながら、霊廟から離れる前に事前に開示すると決めていた情報を淡々と伝えていく。

 

「……ナーベ、いや、ナーベラル・ガンマよ。隠れるのは終わりだ。────ナザリックが威を示せ」

 

「────はっ!」

 

 ナーベラルの喜びを帯びた返事と爆発的に高まる魔力を背中に受けながら、俺は苛立ちを誤魔化すように墓地の奥へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 ナーベラル・ガンマは苛立っていた。

 

 至高の御方の邪魔をしただけではなく、あまつさえ暴言を吐いた目の前の下等生物(ゲジゲジ)に対してかつてない怒りを感じていた。

 同時にアインズ様直々にお手を煩わせてしまった自分自身の不甲斐なさを恥じ、これ以上の失態を犯さないよう怒りを静かに身に秘め冷静に動こうと努めていた。

 

 しかしそれも我慢の限界であった。

 

 アインズ様から冒険者のナーベとしてではなく、ナザリック地下大墳墓の戦闘メイド<六連星(プレアデス)>として処理するようご命令を頂いたにも拘らず、未だに下等生物(イモムシ)が抵抗を続けていることに憤りを越して憎悪すら感じていた。

 

 そしてそれは……目標を即座に倒すことのできない無様な自分自身へも向けられていた。

 

「……疾く死になさい下等生物(ダニ)。無意味な抵抗であまり私をイラつかせないで。お前に許されているのは這いつくばって自身の行いを悔いながら塵のように死ぬことだけよ」

 

「フン……っ! 強がりはやめるんじゃな! おぬしのエレメンタラーとしての実力が本物であることは理解した! じゃが、それでは儂のドラゴンゾンビを突破することはできん!」

 

 私はそういって叫ぶ老人────カジットと名乗る人間へと、一瞬の躊躇いもなく無詠唱化した<龍雷(ドラゴンライトニング)>を撃ち込むが、空から男を護るように割り込んできた二頭のドラゴンゾンビに阻まれる。

 

「無駄じゃよ。こやつらは骨竜(スケリトル・ドラゴン)から進化したドラゴンゾンビじゃ。魔法に対する絶対耐性を持っておる。おぬしのような魔法詠唱者(マジック・キャスター)では手も足も出すことができん!」

 

「……下等生物(ミジンコ)が。絶対耐性? 笑わせないで。対処法はいくらでもあるわ」

 

 吐き捨てるようにそう言うと、私は無詠唱化した<転移(テレポーテーション)>で下等生物(アブ)の後ろへと回り込む。

 そしてそのまま流れるような仕草で腰から抜いたナイフを腹部へと突き刺した。

 

 しかしそれは男の肉を突き破ることなく、青白い皮膚の薄皮一枚を貫いただけであった。

 

「……何ですって?」

 

 私は魔法職のため近接攻撃に直結する筋力(STR)は低い。

 だがレベル50を超えたともなれば後衛職でもある程度の筋力値はある。

 下等な人間種────ましてや後衛職の人間に自身の攻撃が効かなかったという事実を信じられず固まってしまった。

 

「馬鹿めッ! 隙だらけじゃ! <血継魔法(ブラッドマジック)酸の投げ槍(アシッド・ジャベリン)>!」

 

「チッ……!」

 

 至近距離で放たれた魔法を受けながら咄嗟に後方へ飛びのいて距離を取る。

 

 ドラゴンゾンビ達がここぞとばかりに追撃をしかけてくるが、<転移(テレポーテーション)>で反対側へ移動して躱し、始めの立ち位置に戻る形で仕切り直しとなった。

 

「……吸血鬼(ヴァンパイア)? なるほど、銀属性以外の武器に対する耐性か。人間ではなかったのね」

 

「ふん、今更わかったところで後悔しても遅いわ。それに儂が賜ったのは<真祖の祈祷師(トゥルー・ヴァンパイア・シャーマン)>じゃ。二度と間違えるでない小娘」

 

 吸血鬼(ヴァンパイア)であることを知っても私に動揺はない。

 確かに銀以外の武器に対する耐性は強力であるが、自身はそもそも魔法詠唱者(マジック・キャスター)だ。

 

 <転移(テレポーテーション)>で恐怖を与えながらじわじわと嬲ることができないのは残念だが、今はナザリックのメイドとして動くことの許可をいただいている。

 

 御方から事前に教えていただいた情報によると相手は純粋なレベルだと自身と同じくらいであるとのことだったが、ナザリックのメイドとして装備している様々な魔法道具(マジックアイテム)によって相手の魔法は軽減され、こちらの魔法は増幅される。

 彼我の力量差は歴然であった。

 

 

 できれば生きたまま捕らえたかったが、これ以上時間をかけて御方のお手を煩わせるような事態にさせるわけにはいかない。

 私は全力の魔法で殺すことを決めた。

 

「ガァァアアアアア!!」

 

 ドラゴンゾンビが飛び掛かり、私に再び迫る。

 攻撃を躱しながら納刀した剣で打撃を与えてよろめかせると、すかさずもう一頭のドラゴンゾンビと酸の槍が襲いかかろうとする。

 

 しかし二頭の竜と下等生物(ナメクジ)が一直線に重なったことを確認した私は、その冷淡な表情を凄惨に歪ませて魔法を唱えた。

 

「────ゴミのように死になさい。<魔法二重最強化(ツインマキシマイズマジック)連鎖する龍雷(チェインドラゴンライトニング)>!」

 

 合わせた掌より生まれた双頭の雷龍が、その顎を大きく開き前方の空間を飲み込んでいく。

 

 地面を抉るように放たれた雷龍の閃光が夜の墓地を照らし終えると、そこには塵一つない焦げ跡が残るだけ。

 そう考えていたのだったが、目の前の光景は予想とは少し外れたものであった。

 

 そこには主を守るように身を固めた二頭の竜が、半身を欠けさせボロボロになりながらも低い唸り声をあげてこちらを睨んでいる姿があった。

 

「馬鹿なッ! 儂のドラゴンゾンビは骨竜(スケリトル・ドラゴン)から引き継いだ特性で魔法に対する絶対耐性があるはず! それなのに何故────」

 

骨竜(スケリトル・ドラゴン)の特性で無効化できる魔法は第六位階まで。第七位階魔法が使用できるこのナーベラル・ガンマには無意味よ」

 

 確実に屠ったつもりであったが、どうやら骨竜(スケリトル・ドラゴン)よりもドラゴンゾンビの方が雷属性に対する耐性が強いようだ。

 

 そう考えた私は右手の人差し指を前へと突き出し、今度は第七位階の炎属性魔法を唱えた。

 

「────<魔法三重最強化(トリプレットマキシマイズマジック)獄炎(ヘルフレイム)>」

 

 私の指先から放たれた三つの小さな黒炎が二頭のドラゴンゾンビと下等生物(ミノムシ)へと向かう。

 

 特殊技術(スキル)で強化し、至高の御方から賜った装備品(マジックアイテム)で強化し、第七位階魔法の中でも特に高威力を誇る魔法での攻撃。

 高威力である反面、発射速度が遅い欠点はあるが、相手はさきほどの攻撃で麻痺状態にあるため回避は不可能。

 

 今度こそ確実に葬るという明確な殺意のもとに放たれた魔法は、ダメージを負って動けなくなった下等生物(ムシケラ)へ死を宣告するかのようにゆっくりと近づいていった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

(儂は……儂は退くわけには……いかんのだ! 死の螺旋の完成のために! 母を蘇らせるために!)

 

 それはまだ自分が人間であったときの、幼かった頃の原初の記憶。

 愛すべき母と、それを失ったときの喪失感。

 必ず蘇らせると誓った在りし日の誓い。

 

 不死の身となるためにアンデッドと化してでも叶えたいと願った想いであり、己が生涯の目標であった。

 

(……我が君)

 

 数日前に出会った、自身の人生を変えてくれた唯一無二の主────神を思い浮かべる。

 

 自身をアンデッドの身へと昇華させてくれた恩人であり、"死からの復活"という己が目標の道標を示してくれた尊敬する先達者でもある。

 

 眷属となったことで種族的本能からその存在がどれほど尊き身であるのかを理解し、その思いは尊敬を超えて崇拝へとなった。

 

『ふーん、カジっちゃんは昔亡くなったお母さんを生き返らせたいんだ。とっても素敵な願いだと思うわ』

 

 自分の願いが愚かなものであることはわかっていた。

 

 生物は死んだら生き返らない。蘇生魔法という例外もあるが、あれは戦う者に対する魔法だ。一般人が受けてもただ灰となってしまうだけだ。

 母のような一般人、ましてや死して長い時間が経った者を生き返らせるなど法国の神官長でも無理だろう。

 

 だからこそアンデッドに目を向けた。アンデッドには死して長い年月をかけて蘇ったものもいる。

 死体の損傷も骨さえあれば問題ない。

 

 アンデッド化こそ、自身に残された唯一の希望なのだ。

 

 しかし、その行いは誰にも理解されることはなかった。

 当たり前だ。いくら亡くなった者を生き返らせたいといってもアンデッドにしてまで生き返らせたいと思う者はいない。

 死者のアンデッド化は亡くなった者の魂を汚す行いであると忌避されているし、そんな考えを持っていると知られたら今後一切神殿からの治療を受けられなくなってしまう。

 

 だからこそ、初めて"素敵"と言ってくれた我が君のその言葉はたまらなく心地良く、嬉しかった。

 

『そっか。ならいつか、願いが叶うそのときまで……頑張って生きないとね』

 

 ああ、どうしてそんな優しい言葉をかけてくれるのだろう。

 どうしてそんな自分が望む言葉をかけてくれるのだろう。

 

 どうしてそんな────"生きる"という言葉を発したときに哀しそうな顔をするのだろう。

 

 我が君の暗雲を払えるのなら、儂は全てをかけてでもその障害を取り除こう。

 我が君の暗雲を払えるのなら、儂は全てをかけてでもその命令を全うしよう。

 

 生きろ、と言われた。

 そうだ。だからこそ儂は────

 

「どんなに意地汚くても、死ぬわけにはいかんのだ!! 死の宝珠よ!!」

 

 黒炎にて焼却されたドラゴンゾンビ達を越えて、最後の火球が迫ってくる。

 

 しかしその黒い火球は、新たに現れた三頭目のドラゴンゾンビへと命中し豪炎をあげていった。

 

「グゥガァァアアアアアア!!」

 

 ドラゴンゾンビが崩壊していくその身に黒炎を纏いながら最後の抵抗とばかりにナーベラルと名乗るメイドへと突進していく。

 そしてその予想外の行動に舌打ちをしながら再度魔法を放つナーベラルの意識が、戦闘が始まってからずっと向けられていた儂のもとから一瞬だけ外れたことを感じた。

 

「……<血継魔法(ブラッドマジック)上位転移(グレーターテレポーテーション)>」

 

 墓地の奥でもう一人の同胞である吸血鬼が敗れたことを感じながら、儂は我が君のもとへと転移していった。

 

 

 

 

 




というわけで原作の墓地編でした。

原作との相違点としては、
・探知魔法使ったらカジっちゃんとクレマンちゃんのレベルがアインズ様が思ったより高くて少し警戒している。
 ⇒ 原作でレベルが判明する探知魔法を使用したかは定かではないですが、本作では使っていることとします
・カジっちゃんが普通に強い。
 ⇒ ナーベラルとレベルはほぼ同じです。第七位階魔法まで使えます。アンデスあーみんを事前に使ってなかったらもっと戦えた。( ゚∀゚)o彡゚ あーみん! あーみん!
 ただ装備品はナーベラルと比べてゴミも同然なため万全でも普通に負けます。現実はツライネ。
・ナーベちゃんがカジっちゃんを捕まえようとする。
 ⇒ 褒められようと頑張る。でもやっぱむかつくから殺すことにする。

細かな違いは他にもあると思いますが、こんなところとなります。
<血継魔法~>はオリ特殊技能です。
効果としてはHPを消費して火力を上げたり、MP消費を減少させます。

次回 クレマンちゃん、死す! デュエルスタンバイ!
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