感想・誤字報告いつもありがとうございます!凄くありがたいです。
そして本日はオーバーロードの新作ゲームがSteamとSwichで発売されます!
なんか魔界村みたいで面白そう。クレマンちゃんが主人公なのもGOOD!
家に帰ったらやるぞぉ
やっぱり殺しておくべきだった、とフランドールは強い自責の念に駆られていた。
予想外にポンポンと話が進み、想定よりも遥かに簡単にワールドアイテムが手に入ったことで浮かれていた過去の自分を殺したい気分だった。
あのワールドアイテムを所持していた謎の集団から受けた依頼を達成するため、朝早くから
最初に目に入ったのは白い鎧と赤い鎧が空中で激しく戦っている光景だった。
フランはモモンガが習得している周囲のアンデッドの反応を感知し、大雑把な数と方向がわかる常時発動型の
付近にいるアンデッド全ての大雑把な位置把握を可能とする<不死の祝福>に対し、<始祖の祝福>は吸血鬼に限定するが対象の詳細な位置情報とレベル、HPやMPなどのステータス値、
故にスキルの恩恵により吸血鬼の場所を正確に把握したフランは、姿を消して警戒しながらその場へと近づいた。
レベルが100であることはここに来る前にスキルの恩恵により察していたため、ブレインには既に離れた場所で待機してもらっている。
あとは情報を集めつつ最後に吸血鬼を殺して終わりだと考えていたフランだったが……現場に到着するとターゲットは既に謎の白い鎧と戦っていた。
そしてフランはターゲットの赤い鎧の姿に見覚えがあった。
フランが手術のためユグドラシルを引退する前。友達のペロロンチーノと一緒に作成したギルド拠点であるナザリック地下大墳墓の防衛NPC────シャルティア・ブラッドフォールンに与えた装備とそっくりだったのだ。
ユグドラシルの装備はデータクリスタルを入れることで自由にカスタマイズが可能であり、その見た目はプレイヤーのアバターと同様に千差万別のものだ。
まったく瓜二つの装備を作製することもできるが、やはり用途としては罠や囮の意味合いが強く、装備をドロップしてしまうリスクを抱えてまで
だからこそフランは確かめる必要があった。
そのためには、白い鎧の方は邪魔だった。
「
謡うような声が森の一角に広がっている静かな広場へと響き渡る。
エ・ランテルの街で発覚したことだが、フランは自身のスキルが一部ここに来てから変わったことに気づいていた。
以前、
しかし漠然と“できる”ことを理解していたフランは、自身のその勘に従ったところ、実際にスキルによって敵を破壊することができたのだ。
それがユグドラシルのフレーバーテキストにあった“ありとあらゆるものを破壊する”という説明が現実に反映されたため起こった変化であるとは知りようのないフランであったが、目の前の白い鎧を
だからこその先手必勝。
対象
「
しかしそのスキルは強力である反面、使用の際のデメリットもまた存在している。
その一つがチャージ中は一切の他の行動ができなくなるというものだった。
チャージ中は移動も転移もその一切が不可能となり、チャージ以外の一切の行動ができなくなるという戦闘において致命的な欠陥を抱えていた。
しかしある程度これは抜け道がある。
事前にかけたバフは継続するため<
チャージ中に攻撃を受けた段階で失敗判定となりスキルが不発に終わってしまうので敵から集中的に狙われてしまうが、パーティの協力や事前準備によって十分にリカバリーが可能なものである。
そしてもう一つが攻撃対象に
正確に言うと“対象
ツアーが戦闘中に感じていた悪寒の正体がこれだ。
<
もしシャルティアを対象として発動していた場合、この世界で効果の変わったスキルは装備に加えて本体のHPすべてをチャージに必要な耐久値として換算し、発動までにかなりの時間がかかっていただろう。
しかしツアーの白金の鎧は操作しているだけのただの鎧であり、チャージに必要な対象の耐久値は鎧のものだけであったためそう時間をかけずにスキルが発動された。
発動したそのスキルはかつてユグドラシルで数多のギルド武器を破壊し、ギルド戦において反則とまで言われた24時間に一度しか使用できないリスクを持つフランの奥の手にして切り札。
デストロイヤー系の最上位職にあたり、ギルド武器破壊ランキングトップの者にのみ与えられる狂気の
その破壊の権能が、ツアーの操っていた白金の鎧を襲った。
「────
鈴の鳴るような声が聞こえた瞬間、今までシャルティアと激戦を繰り広げていた白金の鎧は、見るも無残な粉々のスクラップへとその姿を変えていった。
「ッ!?」
突然起きた目の前の出来事にシャルティアは驚愕で目を見開く。
<
「…………フランドール・スカーレット様」
シャルティアの、蚊の鳴くような掠れた声がフランの耳を打つ。
先ほどまで暴虐の限りを尽くしていた強者としての姿は見る影もなく、今は縋るような瞳でフランを見つめていた。
「……フ、ランドール……スカーレット様ぁ……っ!」
その声にハッとした様子で我に返ったフランの視線が、シャルティアのそれと交わった。
フランの瞳が困惑に揺れる。
ユグドラシルのNPCは拠点外には出られないはずだった。でも目の前で起きているこれは何だ?
こんなところにいるはずがないという冷静な自分と、目の前の少女を見間違えるはずがないという自分で、フランの心は揺れ動いていた。
「貴女は……」
月のような銀髪。自身と同じ紅い宝石のような瞳。自分と近い背丈の、幼さを残しつつも吸血鬼としての妖艶さを感じさせる少女の風貌。
身に着けるは自分とペペロンチーノの二人で用意した
あぁ、間違えるわけがない。忘れるわけがない。
この子は間違いなく自分がペペロンチーノと共に手掛けた……シャルティア・ブラッドフォールンそのものだと、フランは自身の疑問に結論付けた。
「────シャルティア?」
自然と口に出たフランの言葉を受け、シャルティアは目を細め涙を浮かべていた。
その反応は自分がシャルティアにとってどういう存在なのかを表していることの証明のようで、フランは銀髪の少女の涙に胸が熱くなる思いだった。
しかしその反面、別のことも考えていた。
NPCが外に出られていることや、NPCが会話できていることなど疑問はつきなかったが……そんなことがどうでも良くなるほどフランは内心で動揺していた。
フランの眼は、通常の吸血鬼と比べて少し特殊なものだった。
そのため、フランはシャルティアと目が合ったときに現在の彼女の状態を知ってしまったのだ。
そう。理解はできないが、知ってしまった。
精神作用無効を持つ
「貴女の主人は誰?」
フランの
そして魔眼を通して読み取った記憶情報は、過去の行動履歴としてマスターコンソールに似た特殊なウィンドウ画面から
膨大な
使用者はカイレという名の
さらにシャルティアの瞳を通して伝わってきた
(私が会ったときよりも人数が多いけど……カイレとセドランという男が清浄投擲槍のダメージで死亡している……。ということは、やっぱりあいつらか……)
腹の底からぐつぐつと煮えたぎるマグマのような怒りが、フランの全身を支配していく。
ワールドアイテムをあっさり手放してきたため油断していたが、これは明らかにアインズ・ウール・ゴウンに対する敵対行動だ。
特にシャルティアの創造主であるフランにとって、自身のNPCが知らぬ間に攻撃されていたことは許せるものではない。
しかも、皮肉にもその後始末を任されるというおまけ付きだ。
これほどまでに舐められたことは、かつてPKギルドとして全盛期で敵も多かったあの頃でもなかった。
(……必ず
フランは胸の内で静かに決意をするも、とりあえずは目下の問題をどうにかする必要があった。
シャルティアを追跡することで下手人の下へ行けるのならそれが最善だ。
しかしどういう命令が下されたのかまでは
そのため情報系魔法による
しかしシャルティアから返ってきた答えは、フランが予想していたものとは違うものだった。
「わた……いえ、わらわの主人は至高の四十一人であらせられる御方々であり、アインズ様とペロロンチーノ様……そして我が敬愛する我が君、フランドール・スカーレット様でありんす」
そういって答えるシャルティアの表情は誇らしげであり、嘘を言っているようには到底見えなかった。
「……そっか。そういうこと、か」
未だ思考の渦に呑まれたままのフランが呟いた一言が、森の奥に溶けて消えていく。
洗脳状態にも関わらず主従が変更されていない。
このことについて、フランはすぐに結論を出していた。
(おそらくこれは
問題はその状態にも関わらず、シャルティアの洗脳が解除されずに継続していることだった。
魔法やスキルでの洗脳の場合、術者が死亡しており継続している命令もないのなら洗脳は解除される……はずだ。
つまりこれは魔法での洗脳ではなく、何らかのアイテムによる洗脳の可能性が高いことを示していた。
(そもそも精神作用無効を持つ
フランは注意深く
それは間違いなく、フランの知り得る限りで最悪のものだった。
(ケイ・セケ・コゥク……? 正式名称まではわからないか……。流石に
それはユグドラシル内で最高等級の道具であり、それを入手するために数多のギルドが血を流したコレクターにとってのエンド・コンテンツ。
対抗するには同等級の道具を持つことでしか方法のない、世界を変える力すら持つ最強にして究極のアイテム。
────ワールドアイテム。
シャルティアを洗脳しているものは、ユグドラシルの中でも最悪のアイテムだった。
「……じゃあさ、もう一つだけ聞いてもいい?」
解除は不可能。ナザリックに帰れば方法もあるが、現状どうしようもない。このまま放置するのも危険だ。
となれば、選択肢は一つしかなかった。
フランの手に震えがはしる。それは怒りなのか、悲しみなのか自分でもわからなかった。
「ならどうして、私に槍を向けているの? シャルティア」
フランのことを主だと仰ぐその答えに反してシャルティアの手には────振り向いたそのときから
え、と。シャルティアから困惑に満ちた声が発せられる。
「近づいた者は殺さなければいけないでありんす。それが命令でありんすから。……あれ? わたしの主人はフランドール・スカーレット様? なのにどうしてわたしは槍を向けているの?」
シャルティアのその言葉に、フランは少しの嬉しさと言いようのない悲しみの感情に胸が苦しくなった。
真紅の瞳がゆらゆらと揺れ、自身が手に持つスポイトランスを見つめるシャルティア。
────やがてその瞳は困惑から敵意へと変わり、爛々とした目は敵対者に向けるときのような鋭い殺意に染まっていった。
「よくわかりませんが、わたしはフランドール・スカーレット様を殺さなければいけないようでありんす」
真紅の鎧を纏った銀色の吸血鬼が、漆黒の戦槍を携えてフランへと襲い掛かる。
戦闘用に調整されたガチ構成のビルドによる一撃だ。直撃すればフランと言えどもダメージが残る。そしてスポイトランスのドレイン効果により、先ほどまで戦っていた白金の鎧から受けたダメージを打ち消してしまうだろう。
一瞬の思考の後、フランは覚悟を決める。
眼前に黒槍の矛先を向けられた金色の少女は、固く握りしめていた炎の魔杖を我が
というわけでツアーさんにはご退場です。フランちゃんとの相性が最悪なのでレベル80〜90と言えど瞬殺です。十三英雄なのに……。
以下は本編にも説明のあったオリジナルスキルについてです。
<
ツアーさん(in 白金鎧)に使った対物破壊スキル。
アインズ様でいうところの<The goal of all life is death(あらゆる生あるものの目指すところは死である)>枠。つまり切り札。
対物破壊系職業の最高峰、“デスレパード”をLv5にした場合に習得できるスキルで、“デスレパード”の習得条件がギルド武器破壊ランキング(累計)で一位になることであるため、ユグドラシル時代でも習得している人は五人もいなかったレア職業のレアスキル。
発動には手のひらをかざすようなチャージ動作が必要。チャージ中は他の行動ができなくなる。
チャージ中は相手に警告がされ、攻撃を与えればスキルを解除できるので、<
クールタイムは24時間。アインズ様のスキルが100時間いるので割と少なめ。フォーオブアカインドのドッペルゲンガー達も個別で使える。一日一壊、感謝のGrip & Breakdown!
デスレパードという名前の元ネタはTRPGのパラノイアで、スキル名は東方ボーカルの『Grip & Breakdown!』です。是非聴いてみてネ!
<始祖の祝福>
アインズ様の<不死の祝福>の吸血鬼特化版。アンデッド全体ではなく吸血鬼のみが対象となるため、より詳細な情報を知ることができるパッシブスキル。位置はもちろん、レベルやHPやMPなどの基礎ステータス値に習得
ユグドラシルだと吸血祖神カインのイベントでは活躍したが、それ以外だと使い道があんまりなかった。斥候用に吸血鬼を突撃させるときなどにあると便利なスキルだったりする。
ちなみに原作だとカインは信仰魔法詠唱者のシャルティアが信仰している神です(尚、雑魚イベントのボス扱いだった模様)。今作だとシャルティアはフランちゃんを信仰してます。
<祖神の真眼>
特に常時<
特殊ウィンドウで確認するテキストベースの
ユグドラシルではただのログの書き換え程度でしかなかったが、この世界では<
当然フランちゃんはそんなこと知らないので普通にシャルティアと戦います(知っててもそんなことしないですが)
はい、というわけで次回ついにシャルティア戦!
16巻発売までにはなんとか……。なんとか出したいでありんす……。