俺は今ビルの4階に当たる場所に到着した。
1階を突破した後、2、3階も同様に突破した。にいた雑魚達を全員気絶させつつこの階まで上がってきた。なのだが……
「あー、誰?お前」
そこには大柄の男が一人いた。全身鍛え上げられており筋骨隆々、身長は2メートルを超えているであろう。筋肉を擬人化したような男だ。気配から察するにここまでの道中で出会った奴らよりは格段に強いな。
俺はいつ襲いかかられても対応できるように能力の出力を強めた。また、男から目を離さないようにした。
「俺か?俺はなあここでボスから警備を任されてんだ。………お前こそ誰だ?」
「俺か?俺は侵入者、まあ敵だな。依頼があってここに来た。」
「そうかそうか。俺はなあ『侵入者は全員殺せ』と言われてるんだ!」
少しの問答の後、男は殴りかかってきた。速いな、およそ生身の人間にできる動きじゃない。恐らく身体強化系の能力だろう。
だが、反応できないという程の物ではない。さらに先に警戒をしていたこともあって、俺は男の動きを読み切れていた。
「オラァ!」
俺の体に男の拳がものすごい速度で迫ってくる。
シュッ
ドゴッ
それを避けた俺は男の腹に殴打を入れた。
「ッ!へへ今のを見切るだけじゃなく咄嗟にカウンターまで入れてくるとはな。お前も俺と同じ身体強化系の能力か?」
カウンターで弱めの一撃だったとはいえ今のを食らって平気でいる。やはりこの男の能力は俺の見立て通り身体強化系だったらしい。それに並の能力者よりも格段に強いな。
「…まあそんなとこだ。」
「ハハッ!楽しくなってきた!やっぱり身体強化はいいなあ!純粋な戦闘ができる!」
男はまた真正面から突っ込んできた。さっきよりも速い。
「オッラアアッ!」
ヒュッ
俺は攻撃を避ける。
「まだまだァっ」
またしても突っ込んでくる。
ヒュッ
そして俺はまた避ける。
「チッ!避けてばっかじゃ倒せねえぞッ!」
ヒュッ
そんなことお構い無しに避ける。
「確認しておきたいことがある。お前らの組織が誘拐した奴らは本当に最上階にいるか?なにせさっきまで俺が相手をした連中は下っ端だったからな。情報の信憑性が薄い。」
「ん?なんだそんなことかよ。じゃあそれを話したら俺と本気で戦ってくれるか?」
余程の戦闘狂だな。戦闘の為に情報を簡単に漏らすか。恐らくこいつ自身に組織への忠誠心がない。
しかし裏を返せば、忠誠心が無くても雇われ、一人で警備を任される程の実力ということだろう。気をつける必要があるな。
「ああもちろんだ。ちゃんと話してくれれば楽しませてやる。」
「へへっ!そうか!では話そう。」
「ああ助かるよ。」
「確かに俺たちは最上階に誘拐した奴らを捕らえていると聞いてる。がそれが本当かどうかはわからん。」
「なるほど。」
「最上階は俺たちでさえ立ち入り禁止と言われている。本当にあそこにいるのかの確証はない。俺が話せることはこれくらいだ。」
「そうか、助かったよ。」
「よし!では本気で戦い合おうかッ!」
男はさっきよりも更に速く突撃してくる。
今までと同じようにカウンターで終わらせてもいいが…
「さすがにまたカウンターだけは失礼だよな。」
俺は男の攻撃を受け流すと、そのまま男に突撃した。そして
ドゴッ
「グウッ!?」
男を蹴り上げた。
ドゴッ、バコッ、ズドッ
蹴りの衝撃で宙に浮いた男を腕を掴んで離れないように固定し、そのまま何発か食らわせる。そして手を離すと男はそのまま倒れてしまった。
「はい、終わり。」
「ク…ソ…、ガハッ!こんなに強えとはな…」
「お前も、並の能力者と比べりゃ割と強い方なんじゃないか?今のを食らってまだ意識保ててるんなら。」
「へへ!ありがとよ…ゲホッ!」
そう言うと男は意識を失った。
…これで4階を突破、6階建てのビルだから最上階までもう少しだな。
急ごう。ここまで派手に戦闘をすればもう敵に気づかれてしまったと見ておいた方がいい。それを含めて慎重に、かつできる限り最速で、最上階を目指す。
○○○
男と戦った部屋の奥にあった階段を上り俺は5階へと行った。
…変だ。
ここは5階だ。もうこの上には誘拐されたヤツらが捕まっているであろう6階しかない。
だがこの階には人が一人もいないのだ。
…念の為確認しておくか。
能力を発動して周囲の気配を感知する力を上昇させてみる。
しかしやはりこの階から人の気配は一切しなかった。
…トラップか何かが仕掛けられている?それか気配を遮断する能力者でもいて隠れているのか?
どちらにせよ奇襲には気をつける必要がある。
能力のリソースを気配感知に割きながら、残りで身体能力を上昇させる。
一応、目の前には上の階へと続く階段が設置されている。少し変に感じるところもあるがやはり上へと進むしかないだろう。
俺は上の階へと進んで行った。