彼岸花が咲き誇る頃、僕は君を愛おしく想う。   作:佐野 想真

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いつもの日々。

いつもの朝。

いつもの通学路。

いつもの風景。

桜はもう全て散ってしまった。

 

ー僕の唯一の楽しみだったのに。ー

 

今年は、去年よりも早く梅雨入りしたせいで身体がだるい。

幸いなことに今日は雨が降っていない。

昨日までの1週間は前哨戦と言ったところか。

政府は新型のウイルス対策とか嘆いているけど、それ以前にこの異常気象どうにかしろよって言うのが本音。

 

だるい。つまらない。全てがくだらない。

 

ー今日も、つまらなくて、平穏な日々が始まるー

 

そんな当たり前なことを思いながら歩いていると後ろから

 

「よう、優凪(ゆうなぎ)。」

 

と、茶髪の青年が僕の肩を叩き、陽気な声で話しかけてきた。

 

彼は、僕の数少ない友達であり同時に幼少期から一緒に育った腐れ縁でもある。

名前は前原 神楽(まえはら かぐら)。

茶髪に色素の薄い瞳、オマケにピアスが許容範囲を容易に超えるほど開いていて、一見すると普通に近寄り難い容姿をしている。

根はいい奴だから僕は気にしてなかったが、そのパーカー、校則違反だよな…。

 

「おはよう。神楽。」

 

とりあえず、いつも通り振る舞う。

すると、神楽はいつもより大きな声で

 

「今日、転校生来るんだってよ!!しかも女!この時期にラッキーだよな!!」

 

と、満面の笑みで僕の両肩を持ち前後に激しく揺らした。

酔いそうになる。普通にやめろ。

静かに神楽の手を振りほどいて

 

「まぁ、この時期に転校生なんて珍しいわな…。進級して間もないのにどうしたんだろうな。」

 

僕らは高校2年に進級したばかり、正直言ってこの時期に転校してくる奴は前の学校でなんかやらかすとかしないと来ないだろう。

多分まともなやつじゃない。

 

「やっべ、このペースで歩いてたら普通に一限間に合わねえじゃん!急ごうぜ優凪!」

 

そう言って神楽は早々と走り去って行った。

確かにこのペースだと間に合わないどころか遅刻確定だ。

進級早々自己評価を下げることはしたくない。

面倒だが僕も神楽の後を追う様に走った。

いつもの事だがこの急な坂がキツい。

運動が大の苦手な僕からしたらただの拷問でしかない。

春は桜が咲き誇っていて本当に綺麗なんだがな。

今年は見るも無惨な姿になったな。

 

そう色々な思考を巡らせていたら、校門前についた。

 

神楽は案の定、風紀委員長に「またか神楽!!これで何度目だ!」と怒鳴られており、下級生が委員長を宥めていた。

神楽と風紀委員長って、確かイトコ関係だったよな。

詳しくは知らないが風紀委員長が僕らのクラスの隣だっていうこと。

本当にそれくらいしか知らない。

名前は…確か「望月 菜々香(もちづき ななか)」という名だったかな。

望月と言えば良家のお嬢様で容姿端麗で品行方正。

神楽とは似ても似つかない存在なんだよなぁ。

 

僕は指導を受けている神楽をよそ目に自分のクラスに急いだ。

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