仮面ライダーディケイド アナザーディメンションヒーローズ 作:バームクーヘン753
世界の破壊者、ディケイド。幾つもの世界を巡り、その瞳は何を見る?
世界を巡る旅を続ける門矢士。彼は今日も世界を通り過ぎると、仲間の夏海や小野寺ユウスケと共に光写真館へと帰ってきた。
「いやぁ今回も大変だったな」
「俺は大して苦労していないがな」
「相変わらず強がりなんですから」
軽口を言いながら次の世界へと渡るため、士達は背景ロールの前へと向かった。
その瞬間だった。突然大きな揺れと共に眩い光に包まれて皆眩しさに耐え切れず顔を手で隠す。
「な、なんだっ!?」
暫く動けずにいた士達だが、やがて光が収まりゆっくりと目を開けて周りを見る。
写真館の中は別段変わったところはない。
「一体何が…?」
「ディケイド」
背後から突然声をかけられ、士は咄嗟に振り返る。
そこには、士にとって見慣れた相手、鳴滝が佇んでいた。
「鳴滝……? 今のは、お前の仕業か」
「いや、私の差金ではない。私は君に頼みがあって来た」
「頼み…? お前が俺にか」
鳴滝は頷くと背景ロールに手をかざす。すると、背景ロールが動いて次の世界を表す新しいものへと変わった。そこには背景や人が歪んだ絵が表示されていた。
「ここは歪んだ世界。様々な世界の一部が入り乱れる、時空の不安定な場所だ」
「そんな所に俺たちを連れてくるとは、随分怪しいことだな」
「君にとってもこの旅は避けては通れないものになるだろう。なにせ、先ほどの光で君達の力の殆どが失われたのだからな」
士達は突然告げられたことに驚く。
「全てはスーパータイムジャッカーの仕業だ。彼らは自分達の目的の為に、邪魔な仮面ライダー達の力を奪い自分達の計画を完遂させるつもりだ」
「なんだ、その計画っていうのは」
「残念ながらまだ調査中だ。君達には奴らがこの世界に生み出したアナザーファイターをと戦い、私が調査する時間を稼いで欲しい」
「アナザーファイター?」
士の疑問に、鳴滝は背を向けて銀色に歪むオーロラカーテンを作り出す。
「スーパータイムジャッカーが新たに作り出したアナザーライダーの発展系だ。それを打ち破るためにも……まずは、この世界で星のカービィを探し出してくれ」
鳴滝はそれだけ言い残すとカーテンを潜って別の世界へと渡ってしまった。
残された士達は互いの顔を見合った。
「なんだか、変なことになったな」
「なるようになるだろ。まずは外に出るぞ」
「歪んだ世界、と鳴滝さんは言っていました。一体どんな世界なんでしょうか」
夏海の疑問を明かすためにも、士達は写真館の外へと出ることにした。
写真館の外は、今まで訪れた他の世界とそう違いはない街並みが広がっていた。
建物などにも、特に奇抜なものは見当たらなかった。
「なんだ、歪んだ世界なんて言うからどんな異世界になっているのかと思ったら全然普通じゃねぇか」
「……いや士、アレ見ろ」
ユウスケが指差す方向に士は目を向けた。
そこにはハニワの様なモンスターのキャピィ、空を浮遊するブロントバート、大きなハンマーを担いだボンカースなど、どう見ても人間ではない生き物が闊歩していた。
しかも、すれ違う人間の人々はそれを全く気にしていない様子だった。
「この世界では、ああいう方達がいるのが普通なんでしょうか……?」
「いや、全然世界観合ってない気がするけど」
「或いは、これが世界の一部が混ざり合った影響というやつかもな」
士がそう分析した時のことだった。
「所長ー! やっと見つけましたよー!」
「全く、すぐサボっちゃうんですから」
「今日は視察に来てくれる日じゃないですか」
ハンカチで汗を拭く大柄な男と2体のワドルディが士を引っつかんで連れて行こうとする。
士はいきなり現れて自分を連れて行こうとする男達に問いかける。
「な、なんだ。その所長ってのは」
「所長は所長じゃないっすか」
「僕達が務める工場の所長ですよ」
「ボケちゃったんですか?」
強引に連れて行かれる士を眺めながらユウスケは感慨深げに頷いた。
「この世界だと士はそういう役割なのか。なんか久々だなこのパターン」
「最初の頃はこうでしたよね」
昔を懐かしみながら、ユウスケと夏海は連れて行かれる士の後を追いかけた。
強引に連れてこられた士だが、ここが士にもたらされた役割の場所だと言うならそこに行ってみるのも悪くない。
そう考えて大人しく工場の視察をすることにした士はユウスケや夏海と一緒に工場の施設内を巡ることにした。
工場では人間と可愛らしいモンスターが一緒に勤務していて、その見た目の異常さを除けば至って普通の工場だった。
「変っちゃ変だけど割と普通だな」
「ああ……それで、俺がここの所長の役割を与えられた理由はなんだ……?」
士がそう疑問に思った時だった。
ふと自分の足元で黙々と作業に没頭している球体がいることに気がついた。ピンク色の球体のような生き物が眼鏡をかけ、作業着を着込んでコンベアから流れてくる缶詰に物を詰めるライン作業をしている。
士がジッと見ていることに気がついたのか、作業員の一人がこの球体について話し始めた。
「ああ、彼は星野さん。真面目に仕事だけする変わった人だよ」
「星野……星野?」
士は首を傾げた。どこかで聞いたフレーズだ。
そして、鳴滝が言っていたことを思い出す。
『まずは、この世界で星のカービィを探し出してくれ』
「星のカービィ……こいつのことか?」
「星野さんだから違うんじゃないか?」
「分かりませんけど……世界が歪んでいる影響なんでしょうか?」
カービィについてひとまず居場所だけは把握できた士は、工場の視察を終わらせることにした。
施設内を見終えた士が外に出ると、社員の数人が日向ぼっこをしていた。
「あ、所長。お疲れ様です」
「これサボりじゃなくて休憩ですから」
絶対ただのサボりだよな……と思いつつユウスケは黙っておくことにした。
そのまま見過ごしてやろうと士が考えた瞬間、星型の弾丸が飛んできてサボっていた社員達に直撃した。
「うわあああああああ!」
爆発が起こり、吹っ飛ばされた社員達に夏海とユウスケが駆け寄った。
士はあの星型の弾丸を飛ばした者を見つけるべく周囲を見回す。
「ククク……」
そして、そいつは空からふわふわと下降して来た。
ピンク色の球体に黒い縞々の線が走ったボディ、カービィと瓜二つの容姿の存在に士は問いかける。
「お前がアナザーファイターとやらか」
「……だったら、なんだ?」
「大体分かった、お前を倒すのが俺のやるべきことらしいな」
戦闘が始まることを察して、ユウスケと夏海は士の側に寄って変身の準備をする。
しかし、キバーラはいつまで経っても来ず、ユウスケの腰にもアークルが現れない。
「あ、あれ?」
「どういうことですか?」
士は二人の様子を見て鳴滝の言っていたことを理解した。
俺達の力の殆どが失われているというのは、これを指していたのだ。念のためライドブッカーに入っているカードを眺めて、士は舌打ちをした。
「なんだ? 威勢がいいのは口だけか?」
「ふっ、ほざいてろ」
士はディケイドライバーを腰に装着するとカードをドライバーに挿入し、バックルを回転させる。
「変身!」
《カメンライド ディケイド》
士の姿が変化し、頭に複数のライドプレートが突き刺さる。
仮面ライダーディケイドへと変身した士は、ライドブッカーをソードモードに変形させてアナザーカービィに向かって斬りかかる。
アナザーカービィはディケイドの斬撃を巧みにかわし、上空へ飛んで距離を取る。
ディケイドはライドブッカーをガンモードに切り替えて銃口をアナザーカービィに向けて構える。そして、両者は同時に銃弾と星型弾を発射した。
両者に同時に命中した攻撃は、激しい火花を散らして両者に膝を付かせた。
「ぐああああ!」
「士!」
ユウスケは思わず士を心配して呼びかける。
それ程強烈な攻撃には見えなかったのに、まるで必殺技を食らったかのようなダメージを追って倒れるディケイドの姿にユウスケは違和感を覚えた。
そこに、鳴滝が背後からそっと現れた。
「あれがアナザーファイターだ」
「鳴滝さん?」
夏海の問いに鳴滝は静かに頷く。
「タイムジャッカーがライダーの歴史を奪い作り上げたアナザーウォッチ……スーパータイムジャッカーは、それにスマブラファイターの力を上乗せして作り上げることに成功した。アナザーライダーはその力の元になったライダーの力が特効となる」
「じゃあ、あのアナザーファイターは……」
「そうだ。アナザーカービィはアナザーディケイドウォッチを元にして作られたアナザーファイターなのだ」