【完結】暁小南討伐チャートbyホモガキ   作:夜散花

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飛段の加入時期がおかしいですがお兄さん許して


ch.11 霧隠れ? 行かないよぉ、今日は木の葉行く(小南)

「そうかランがな……」

 

 あの子が里を出て行った翌日。当然ながら長門もその事実を知ることとなる。

 ずっと一緒に暮らしてきただけに、少なくないショックを受けているようであった。

 

「やはり力ずくでも引きとめるべきだったかしら……」

「いやこれでいいのさ。アイツはアイツだ。俺は俺。自分の信じた道を行くだけだ。それよりもお前はどうするんだ小南?」

「どういう意味?」

「ランと一緒に行かなくて良かったのか? お前とアイツ、ずっと一緒だったんだろう。これからも一緒でなくていいのか?」

 

 長門が問いかけてきたが、それは愚問だった。

 私はあの子のような道はとらない。そう強く決めていた。

 

「私は私の道を行く。この里に残り、長門を助けて弥彦の夢を追う。あの子みたいに無責任な真似は絶対にしない。全ての責任を放り投げて好き勝手に出て行くなんて、そんな小娘みたいな真似は絶対にしないから」

「それでいいのか?」

「いいも何もそうすると決めたもの。長門は不満なの? 私じゃなくてあの子が残った方が良かった?」

「いや、そういうことじゃなくてだな……」

「じゃあどういうこと?」

「すまない。助かるよ小南。お前が残ってくれたおかげで、俺は弥彦の夢を追い続けられる。一人では力不足を感じていたところだ。お前がいてくれて感謝する」

「ええ。私も長門の助けになれて嬉しいわ。一緒に弥彦の夢を追い続けましょう」

「ああ……」

 

 こうして私と長門は雨隠れに残り、一緒に弥彦の夢を追い続けることになった。

 

 あの子のような無責任なことはしない。弥彦の夢のために身を削り続ける長門を献身的に支え続けるのが私の使命だと思い、必死に頑張ることにした。

 

(あの子は今頃どこで何をしているのかしら?)

 

 あの子のことなんてもう関係ない。そう思ってもなかなか割り切れないものだ。離れれば離れるほど、私はランのことを意識するようになっていった。

 

 以前はずっと一緒にいたからあの子が影で何をしていようがあまり気にならなかった。仮に気になっても直接聞けばいいだけのことだった。だがいなくなった今となっては違った。

 何もわからない、知りたいと思っても聞けない、というのはとてももどかしいことであった。

 

「ランは今は水の国にいるみたいだよ~。何か修行してるみたい。そこで知り合った女の子と意気投合しちゃったみたいで、『私たちずっと友達だね! メイちゃん!』とか言って楽しそうに抱き合って笑いあってたよ~」

「そう……」

 

 あの子の情報はゼツが時より齎してくれた。

 

 あの子はまず水の国に向かったようだった。()の地に長いこと留まり、そこで知り合った女の子と友情を育み、ずっと修行しているらしかった。

 よほどその女の子とやらが気に入ったと思えた。

 

(あの子は会ったばかりの子にもそういった言葉を投げかけるのね。私に対する言葉と変わらないことを。そういうことなのね。私たちの関係も所詮はその程度の関係だったということなのね)

 

 修行なら雨隠れでもできる。昔みたいに私と修行すればいい。

 ランの修行相手にならいくらでもなってあげるのに。朝から晩まで毎日付き合ってあげてもいいのに。

 忍術の腕を磨いた今の私ならランと対等に戦えるはずなのに。なんで会ったばかりの見ず知らずの子に。何で何で――そう思うとやるせなかった。

 

「ランは今は水の国を出て、自来也と一緒に旅してるみたいだよ~。各地の名物の美味しいものとか食べて温泉入って結構楽しんでるみたい。この前なんて、自来也と酒飲んで肩組んで楽しそうに歌ってたよ~」

「そう……」

 

 あれほど大言を吐いて里を出て行って、最初にやることが修行、そしてその次が自来也先生と旅行するというのは解せなかった。

 

 結局のところ、世界を見て自分の道を決めるだの何だの言っていたことは全部方便だったのだ。

 弥彦の夢を捨てて、柵を捨てて、自由に生きるための方便だったとしか思えない。

 

(弥彦に一番に愛されたくせに、弥彦の夢を捨てるなんて! 長門がこんなに苦しんでるのに!)

 

 心底腹が立った。

 長門が弥彦の夢を叶えるために毎日のように外道魔像に黒い棒を突き込まれて喘ぎ苦しんでいるというのに、あの子は温泉に入ってのんびり寛いでいると思うと、憎しみすら湧いてきた。

 

(あの子のことなんて今更どうでもいいけど、何故か無性にイライラするわ。今日も雨だし、明日も雨! 毎日雨ばかりだし! 雨隠れは雨ばかり! ああもう!)

 

 再構築した組織が拡大していくにつれ、昔のように忙しくなっていった。ただ昔のように組織は上手く回らなかった。

 昔は弥彦もランもいた。だが今は長門と私だけだった。自称マダラとゼツは信用できなくて全てを任せられない。

 

 頼りの長門はというと、輪廻眼の力を十全に操るための修行や休息などで手一杯。必然と私の仕事量が増えていった。

 私以上に苦しんでいる長門に愚痴は吐けなかった。

 

 ストレス解消の手段が必要だった。

 

(長門を置いて外に遊びになど行けないし、酒を飲むのは駄目ね。前に半蔵たちにしてやられた前轍を踏むわけにはいかない。弥彦の夢のためにも遊んでなんていられない。修行して気分転換を図るしかないわね)

 

 私はストレスが限界まで達すると、大量の起爆札を抱え、人気のない湖でそれを爆発させまくることで気分転換を図った。

 

――ドゴォオオオオン。バゴォオオオオン。ボガァアアアアン。

 

 良い修行になったし、天まで届くくらいの爆発を見ていると憂鬱な気分がスカっとするような気がした。

 湖を割るような連続した爆発はまるで芸術品のようで素晴らしいものだった。嫌なことが全部忘れられる気がした。

 

「今日は大漁ね。お鍋にしましょうか。長門、喜んでくれるかしら?」

 

 爆発の衝撃でプカプカと浮いてきた魚を持って帰れば夕飯のオカズにもなって一石二鳥だった。

 無駄な殺生は嫌いなので、浮かんできた魚は一匹残らず回収した。

 

(――ハッ!? もしかしてっ!?)

 

 湖にプカプカ浮いている魚を回収している時のことだ。良いアイディアが閃いたのは、そんな時のことだった。

 

(空間を埋め尽くすほどの起爆札があれば、この魚のようにマダラを()れる!?)

 

 マダラは油断ならない相手だ。

 いつ裏切るかわかったものではないので、私はいつでもマダラを殺せるように対策を練っていた。

 ただその対策が思うように思いつかなかった。

 

 全ての攻撃が通り抜ける時空間忍術は反則的に強い。長門の外道魔像の攻撃すらすり抜けるであろう相手にどうやって戦ったらいいか。忍びの神と謳われる千手柱間と互角に戦いあった相手を自称する輩にどう戦ったらいいのか。

 

 考えれば考えるほど悩んだが、修行&ストレス解消&食料確保のために爆発させまくった起爆札が私に重大なヒントをくれた。

 

(半蔵の毒霧よりももっと密に空間を制圧するような爆発ならあるいは……いけるわね)

 

 無敵の時空間忍術といっても、常に無敵状態でいられるわけではない。忍術である限り、少なからず隙がある。その隙を狙えばいい。

 何度も脳内でシミュレーションを重ねていると、起爆札で空間を制圧し続ければマダラを()れる、という確信が芽生えてきた。

 

(そのためには大量の起爆札を用意する必要があるわね。千いやもっと。億いやもっともっと。千億、二千億――六千億。六千億! これね!)

 

 六千億。その数字にピンと来るものを感じた私は、その日以来、六千億枚の起爆札を集めることにしたのだった。

 

(今日のノルマは千枚ね。部下の子たちにもやらせましょう。部下の子たちは暇そうだし二千枚でいいわね)

 

 暇さえあれば起爆札を自作し、あるいは組織の金を使って買い集めた。

 それから私を心酔している部下たちにも起爆札の製作と回収を命じた。

 部下たちは実習と称してアカデミーの子たちに起爆札の製作をさせたりして効率的に作業を進めてくれた。

 

(まだまだ全然足りないわ。もっと集めないと)

 

 暇さえあれば起爆札を集めていく日々。とにもかくにも、この忍び世界にある起爆札を全て収集する勢いで集めていった。

 そうでもしなければ六千億枚という途方もない数字の起爆札は集まらなかった。

 

(でもこんなに必要かしら? もっと少なくていいかも……)

 

 ある時ふとそんなことを思った。六千億枚は流石に必要ないかもしれないと。コストを考えると、そこまでする価値があるのかと思えてきた。

 

(いえ、相手はあのマダラよ。油断できない)

 

 だが相手はあのマダラであると考えると、そうも思えなかった。

 本物のマダラであるとは断定できないが、偽者だという確証もない。最悪を想定し、本物であると仮定しておけば安心だろう。

 

 伝説の忍びを相手にするならば、念入りにオーバーキルするくらいでなければいけない。そう考えると、やはり六千億枚の起爆札がどうしても必要だった。

 

(ダメね。妥協するなんて心が弱くなってる証。ちゃんと集めないと。どんな手段を使ってもね)

 

 一度決めたことは曲げない。どんなに苦しくても曲げない。それが自来也先生の教え。それができないのは小娘。

 

 ランの言った言葉が頭の中で過ぎった。あの子だけには負けない。負けるわけにはいかない戦いがそこにあった。

 

(何年かかっても六千億枚集めて見せるわ。私は一度決めたことはやり通す。あの子と違って小娘じゃないもの)

 

 そうして、私は組織の活動に励みつつ、起爆札の収集作業を進めていった。

 暇そうにしている部下を総動員して起爆札を集めていくことにした。

 

「聞いたかお前ら! 起爆札を上納した月間ランキングトップは表彰されて、天使様が直々に感謝の花束を手渡してくれるらしいぞ!」

「トップテンは天使様お手製の押し花の栞も貰えるらしい! しかも感謝のお手紙付きだぞ!」

「マジか!?」

「うおおおお! 起爆札集めるぞぉおお! 俺が天使様から花束貰うんだぁあ!」

「いや俺だ!」

「違う俺だ!」

「天使様からの花束欲しぃいい!」

 

 ご褒美の人参をぶら下げて部下たちのやる気を上手く引き出しながら、起爆札の回収を行っていった。

 それでも六千億枚というのは果てしない道のりだった。

 

(全然お金が足りないわね。もっと稼がないとダメね。暇そうにしてるアイツらに任せましょう)

 

 起爆札の収集だけに組織の金を使うわけにはいかない。起爆札以外の装備品、部下の給料、その他諸々。組織の維持には色々と金が必要だ。

 

 もっと起爆札の収集にお金をかけるとすると、さらなるお金が必要だった。支出を増やしたいなら収入を増やすしかない。

 私は暁に新しく入った二人を上手く活用することにした。

 

「俺に暁の金庫番を任せるだと?」

「ええ。ビンゴブックに乗ってる賞金首を仕留めてお金を稼いできて欲しいの」

「何故だ? 新参者の俺に一部とはいえ組織の金の管理を任せるなど、どうかしているぞ。俺が金を持ち逃げするとは考えないのか?」

「初代火影と勇敢にも戦い生き延びたという伝説の忍びである貴方を信頼してのお願いなのだけど、私の見込み違いだったかしら? 貴方は我々の信頼を裏切るの?」

「見くびるな。俺は里を裏切ったが、それは里が俺を裏切ったからだ。俺から積極的に里を裏切ったわけではない」

「では貴方は我々を裏切らないわね?」

「愚問だ。暁が俺を裏切らない限り、俺は暁を裏切りはせん」

「では金庫番の仕事をお願いしてもいいかしら?」

「ふん。面倒ごとは御免だが、まあ若い女にそこまで言って頼まれたなら仕方ない。断るなど男が廃るというものだ。ヤサを借りている礼もある。いいだろう。その任、受けてやる。その代わり、仕留めた奴の中で良い心臓があれば駄賃代わりに貰っていくぞ」

「ええそれは構わないわ。それじゃあ金庫番就任にあわせて貴方の新しい相方をつけるわね」

「俺の新しい相方か。今度はすぐに死ななければいいがな。わかった。組織のためにそいつと金稼ぎをしてこようではないか。さてさて、どんな奴が来るのだろうな。ふふ」

 

 老人で意固地なところのある角都のプライドを上手いこと刺激して煽てて、彼を組織の金集めの仕事へと回した。

 

 角都は性格に難があるものの、根は真面目だ。決して金を持ち逃げしないという確信があった。

 その根は真面目な角都に、実力はあるが馬鹿で性格に問題がありすぎて使い道のなかった飛段という少年を押し付けて、金稼ぎの任務に回すことにした。

 

 厄介者を有効利用しつつ、組織の金を稼げるという一挙両得の計だった。我ながら上手くやったものだ。

 

 そんなことをして必死に組織を回す日々を送っていると、ある日、長門が深刻そうな顔をしてやって来た。

 

「小南、相談がある」

「何かしら?」

「弥彦のことだ」

 

 話は弥彦についてのことだった。

 長門が悩むことなんて弥彦についてのことしかないからなんとなく察しはついていた。

 

「弥彦の遺体なんだが、防腐措置ももう限界に来ている」

「そう……それでどうするの?」

「外道の力を借りようと思う。弥彦の亡骸を弄繰り回すことになって心苦しいが、今のままよりはマシだ。それに俺は弥彦こそが暁のリーダーだと考えている。弥彦を形だけでも復活させ、再び組織のリーダーとして立てたい」

「弥彦が再び私たちのリーダーになる……素敵ね。私は賛成よ」

「そうか。じゃあそのように取り計らおう」

 

 こうして、私たちは一つの大きな決断をした。弥彦の遺体を外道の力を借りて改造し、人形として復活させることを。

 

 最愛の弥彦の死体すら利用する。もはや後には戻れない外道の道を突き進むことになる。

 けど構わなかった。弥彦の肉体が朽ち果てていくのは彼の夢が朽ち果てていくようで見ていられなかった。

 

 私たちはどんなことをしてでも弥彦の夢を叶えたい。そう思ったから外道の道を突き進むことにした。

 

――ブシュッ、ドグシャッ、ズグシャッ、グシュッ、ザクシュッ。

 

「ぐぅうっ、弥彦っ、生き返るのだぁっ、俺の生命力を吸い上げ、再び動き出せ! 俺がお前の魂となるぞ! 弥彦ぉおお!」

 

 弥彦の身体に受信機となる大量の黒い棒を差し込んで埋める。長門の身体には送信機となる大量の黒い棒を差し込んで埋める。

 それは見るからに痛々しい作業だった。二人の身体が外道な力に犯されていく。

 

(痛そう……長門……弥彦……)

 

 生きている長門はともかくとして、死んでいる弥彦に痛みなどないだろう。

 だがそれでも私は痛そうだと感じてしまった。

 弥彦が痛みを感じている。長門が、そして弥彦が苦しんでいる。見ていられなかった。

 

――チクッ。チクッ。

 

「小南? お前、何をやっている?」

「私も同じ痛みを共有するわ」

「それは……ピアス穴か?」

「ええ」

 

 黙って見ていられなかった私は、その場でとっさに顎と臍にピアス穴を開けることを決めた。

 同じ痛みを共有するためだ。弥彦と長門だけに痛みを背負わせるわけにはいかないと思った。

 

 小さなピアス穴を作る痛みなんて長門たちの痛みに比べればほんの小さな痛みかもしれないが、それでもやらないよりはマシだと思った。

 

「そうか。同じ痛みか。世界の人間が全てお前と同じように他人の痛みを理解してくれるようなら争いごとなんてなくなるだろうにな」

「そうね。痛みを知らない、知ろうともしない人には痛みを知らしめる必要があるかもしれないわ」

「ああ。所詮人は己の知るところしか理解できない。痛みを味わったことのない人間は他人の痛みなどわからないだろう。世界には痛みが必要だ」

「ねえ、生まれ変わった弥彦を中心として運用する六道の傀儡の名前だけど、ペイン――なんてどうかしら?」

「ペイン(痛み)か。良い名だな。そうしよう」

 

 こうして私たちは同じ痛みを共有し、弥彦(ペイン)を復活させた。

 

 弥彦の復活は本当に嬉しかった。形だけとはいえ、あの弥彦が動いて喋っている。

 愛する弥彦が私たちの元に戻ってきたみたいで嬉しかった。

 

 代わりにあの子はいなくなってしまったけれど。

 でもそれは仕方ない。弥彦の痛みを忘れてしまったあの子なんてもうどうでもよかった。

 

(どうせあの子は今頃は自来也先生と相変わらず呑気な旅してるんでしょうね。温泉に入って各地の美味しい地魚を堪能しながら美味しいお酒を呑んで、それで食後には舌がとろけるようなスイーツにまで手を伸ばしてるんだわ。旅先で知り合った子たちと呑み語らいながら楽しい夜を過ごしているんでしょうね。見目麗しいあの子のことだから行く先々でチヤホヤされてるのよきっと。人生楽しんで楽しみまくってるのよ。私たちのことなんて忘れてね)

 

 そう思うと憎しみしかなかった。

 

「弥彦。あの子のことなんて忘れて、私と長門と三人で夢を追い続けましょうね。私たちはずっと一緒よ」

「……」

「返事して弥彦」

「ああそうだな……」

 

 ペインが完成したその頃、組織の基盤は再び整いつつあった。

 我々暁は最強の傭兵集団として、各地の争いごとに本格的に武力介入していくことになった。

 

 未だ争い絶えぬ世界。戦地の痛みなど知らぬとばかりに大国は小競り合いを続けてばかりいる。

 戦争を指揮する者たちは戦場の痛みなど知らない。高楼の眺めとばかりに、末端の者たちの痛みを無視し続けている。

 

 そんな連中に我々暁が痛みを教えてやろう。

 圧倒的な武力で世界に痛みを知らしめる。そしてその力で世界に均衡を齎す。

 私たちがその嫌われ役を買ってやろうではないかと、そう思った。

 

「小南。俺はペイン六体の完成と共に表舞台から姿を消そうと思うがお前はどうする?」

「それは何故?」

 

 長門は神(ペイン)襲名を機に長門としての自分を捨て、己の死を偽装して姿を隠すことにしたようだった。

 疑問に思った私はその理由を問うた。

 

「暁は再び大きくなり始めている。過去の俺たちとの繋がりは消しておいた方がいい。足がついて不味いことになりかねん。外には俺たちを知る自来也もランもいることだしな」

「そうね。では私も過去の自分を捨てるわ」

「いいのか?」

「いいって何が?」

「ランとの繋がりを絶つことになるかもしれん。お前はそれでもいいのか?」

「あの子なんてもう関係ないもの。どうでもいいわ。里を出て行ったきり一回も帰って来ない。そんな人のことを気にしてもしょうがないでしょ?」

「そうか。お前がそう言うなら俺は構わないが」

 

 長門と私は己の死を偽装することにした。

 各地で偽情報を流し、自来也先生の口寄せ蛙の一体にもその情報を流した。

 

「大変だゲロ! 自来也の弟子の二人が死んじゃったゲロ! 早く自来也に伝えないといけないゲロ! トップニュースだゲロ!」

 

 これで確実に自来也先生に私たちの死が伝わる。

 つまり、自来也先生と一緒にいるあの子の耳にも伝わるだろう。

 

(これで帰って来るわよね? 長門と私が死んだって聞いたんだから、当然よね?)

 

 私たちが死んだと聞けば、あの子は弔いに来るか死の真相を確かめに雨隠れにやって来ると思った。

 

 最近は縁が薄くなってしまったといえど、私たちは幼い頃よりずっと一緒に育ってきた仲間だ。血よりも濃い絆で結ばれた仲間だったはずだ。

 

 それほど繋がりの濃くない人間たちでさえ、縁の者が死んだら死を弔いに訪れるのだ。

 だからあの子も当然やって来ると思った。そう思ったのだが――。

 

(なんで帰って来ないのよ……ランの馬鹿)

 

 いくら待ってもあの子が雨隠れを訪れることはなかった。

 やがてゼツの口から衝撃的な事実を知らされることとなった。

 

「あのランって子だけど、今は木の葉にいるみたいだね。自来也の紹介で正式に木の葉に移住したみたいだよ。もうここには帰って来ないだろうね~」

「そう……」

 

 私たちの死を伝え聞いても弔いにすら来ない。

 所詮、あの子にとって私たちの存在などその程度のものだったのだ。私たちが死んだと聞いてこれ幸いとばかりに木の葉へと移住を決めるなんて、そうとしか思えなかった。

 

(弥彦の夢のことなんてとっくに忘れてるのね。なんて子なの……弥彦に愛されたくせに。恩知らず! 許せない!)

 

 弥彦の夢などとっくに忘れ自分の人生の楽しみしか考えていないとしか思えないランに対し、私は未だかつてない憎しみの感情を抱いた。

 よりによって最大の大国である木の葉に寝返ったのだ。私たちの雨隠れを散々蹂躙した木の葉に、長門の両親を殺した木の葉にだ。

 

(許せない。絶対に……)

 

 あの子を殺せると思ったのは、この時が初めてだった。それからというもの、私の中でのあの子に対する憎しみは急速に膨らんでいった。

 

「弥彦、いやペイン。私は貴方を裏切ったあの子に神の裁きを下すわ。死の天使としていずれ必ず裁きを下す。いいわね?」

「……」

「ペイン、返事して。あの子は貴方に愛されながら貴方を裏切った大罪人よ。殺さなきゃダメでしょ? 神の鉄槌を下すべきでしょ?」

「ああそうだな……」

 

 私はあの子に復讐を果たすと決めた。

 あの子が木の葉の里にいる限り、必ずチャンスが巡ってくると思った。その時のために入念に準備をしておくことにした。

 

 あの子の用いる沸遁は厄介だ。火遁と水遁は私の用いる紙の天敵である。

 それに以前よりも腕を上げている今じゃ、あの子は水や霧のようになって自由自在に動けるはず。

 攻撃を当て辛いという点では、マダラにも匹敵するかもしれないと思った。

 

(これはマダラとは別に追加で六千億枚の起爆札を集める必要があるわね……)

 

 こうして、私はあの子を確実に殺すために六千億枚の起爆札を追加で集めることにしたのだった。

 

 マダラとラン対策用の起爆札、合わせて一兆二千億枚。それを集めるには莫大な金がいる。

 暁の子達、特に角都と飛段には、より一層資金集めに励んでもらうことになった。




小南が起爆札六千億枚をどうやって集めたかは諸説ありますが、本作では自来也先生譲りのど根性で無理やり集める感じです
ランちゃん分追加で一兆ニ千億枚分w
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