【完結】暁小南討伐チャートbyホモガキ   作:夜散花

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ご注意ください
(はじ)を知れ聡を」は淫夢ネタですので誤字ではないです
親切な方が何人も同様の誤字報告してくださるので念のためここに記しておきます
紛らわしいネタ仕込んですみませんm(_ _)m


ch.23 二人は幸せな和解の印を結んで終了(小南)

 ランの治療が続けられている間、私は暇そうにしているはたけカカシを呼び出した。どうしても尋ねておかねばならないことがあったからだ。

 

「あの、俺、なんかやっちゃいましたかね?」

 

 私の鋭い視線を浴び、はたけカカシは気まずそうに頭を掻く。そんな彼に、私は尋ねる。

 

「はたけカカシ、単刀直入に聞くわ」

「はあ、何でしょう?」

「ランとはどういう関係なの?」

「…………はい?」

 

 思いきって尋ねてみるのだが、はたけカカシはとぼけたような表情をするばかりだ。あくまでしらばっくれるつもりなのね。

 

「とぼけないで、貴方とランの関係よ。かなり親しいものだと聞いている。男女の仲、そうなんでしょ?」

 

 ゼツの持ってきた写真に映っていた二人はかなり親しそうにしていた。ランは身動きできないこの男の介護までしていたし、祭りでも親しげな様子だった。ただの友人関係というわけではないだろう。

 

「えぇ!? なんでそんなことを貴女がご存知で!?」

「ネタはあがっているのよ。正直に話しなさい」

 

 私がランのことは全て知っていると言うと、はたけカカシは物凄く焦ったような表情をする。

 

「いやランとは別にそんな関係じゃ……」

「ただの遊びだったということ? 私の親友を弄んだというの? だったら覚悟はできてるわね?」

「えぇ!? いや、ちょっと!?」

 

 純粋なランを弄んだ。そうだとしたら絶対に許せない。例え木の葉と戦争になろうとも、この男をここで抹殺しなければいけないだろう。起爆札六千億枚はもうないけれど、残っているありったけの起爆札を使って、この男を確実に冥府に送ってやる。

 

 そう思って私は圧力を加えるのだが……。

 

「ほ、本当に何のことだか、いや、本当ですよ?」

 

 はたけカカシは心底慌てるように弁明する。その様子は真に迫っていて、嘘をついているようには思えなかった。

 

「本当に何もないの?」

「本当ですって。何もないですから。生憎オレには一人もそんな奴はいないんで……」

 

 はたけカカシはどこか遠い目をしながら親しくしている女性がいないことを告白した。今にも過去にもいないことを告白した。つまり、彼女いない歴イコール年齢ということだろうか。

 

 改めて考えてみれば、こんな時にも自来也先生のすけべな本を読んでいるような男だ。おまけに覆面を常に被っている怪しげな風貌。いくら素顔がイケメンだとしても、女性に好かれるタイプではなかった。

 

 ランが好きになるはずもなかったかもしれない。ランはもっと明るく感情を表に出すタイプが好きなはずだ。弥彦のように。

 

「そう。私の勘違いだったのね。ごめんなさい、変なことを聞いて」

「まぁ別にいいですけど……」

「もういいわ。用はそれだけよ。わざわざ呼び出して恥ずかしいことを聞いて悪かったわね」

 

 はたけカカシはどこか気落ちした様子で部屋を出ていく。「俺もテンテンたちと里の観光でもしてくりゃよかったかな……何でこんな目に。とほほ」とぼやきながら出ていった。

 

 そんな情けないはたけカカシの姿を見て、私はとても申し訳なく思いつつ、その背を見送ったのであった。

 

 それから数日後、ランは意識を取り戻した。

 

「ランっ!」

「小南ちゃん……ナルト君……みんな?」

「ランの姉ちゃん、気がついたんだな! よかったってばよ!」

 

 私たちはランの復活を喜んだ。私たち雨隠れの者は勿論、木の葉の者たちも心から喜んでくれた。

 

「本当によかった。ラン」

「小南ちゃん、長門の輪廻眼、守れなかったんだね。ごめんね私のせいで……」

「いいのよ。長門もきっとわかってくれるわ」

 

 ランは長門の眼が奪われたことを気に病んでいたが、あの状況ではああするしかなかっただろう。そうでなければ、ランの命が奪われていた。きっと、長門も理解してくれる。そう思うことにした。

 

「春野サクラと言ったわね。貴女たちには心から感謝するわ」

「いえ、ランさんは私にとって姉弟子ですし、当然のことをしたまでですよ」

「俺にとっても姉弟子だってばよ。小南の姉ちゃんもな」

「本当に感謝するわ。何もない所だけど、肉まんだけはあるから是非食べていって」

「やったってばよ!」

 

 感謝の印に私のポケットマネーで肉まんを大量に奢った。特にアジサイと親しくしていたくノ一は大量の肉まんを前にしてとても喜んでいた様子だった。とにかく喜んでもらえたようなので幸いだった。

 

「それじゃ、俺たちは帰るってばよ」

「ええ世話になったわねナルト。そしてみんな」

 

 ランの容体が安定したのを見て、木の葉の面々は帰ることになった。

 

 ランが意識を失っていた時はどうなることかと思ったが、終わってみれば全て良し。ランは無事に命を繋ぐことができたし、アジサイたちは木の葉側の面々と絆を深めたようだし、将来の雨隠れの里にとってはいいことばかりであった。

 

「はたけカカシ。火影殿への言伝てを頼むわね」

「わかりました。貴女がもたらしたこの情報、大変貴重なものです。ですが、これだけで貴方の今後の立場が保証されるものではありませんよ。木の葉や五大隠れ里の忍びたちの前に出たら、依然として命が狙われるかも。貴方はそれだけの恨みを買っている恐れがありますから」

「わかっているわ。その時はその時よ。覚悟はできているわ」

「そうですか。まぁ上には伝えておきますよ。できるだけ良い風に言っときますんで。過度な期待はしないで欲しいですがね」

 

 別れ際に、はたけカカシに伝言を頼んだ。

 

 私の知りうるマダラの待っている情報。その他の暁に関する情報。心からの謝罪。暁と事を構える際には雨隠れも全力でサポートすること。それとこれからのことについて、伝言を頼んだのだ。一種の司法取引のようなものだ。

 

 それから木の葉側から返答はなかった。対応を決めかねているのだろうと思われた。

 

 そうしている間に時は過ぎていく。ランが復活し、それから幾日が過ぎた。

 

 危惧していた通り、マダラによって世界は大きく動き始めた。

 

 自称マダラが引き起こした第四次忍界大戦。それに伴い、五大隠れ里が結集し、忍び連合軍が結成されることになった。忍び世界の危機を救うため、五大隠れ里以外の隠れ里からも、多くの忍者が参戦することになった。

 

 私たち雨隠れの里からも人員を派遣することになり、復帰したランが真っ先に志願し、里長として私も勿論参加することになった。

 

 私も加わることになったのだが、そこで一悶着が起きた。私を受け入れるかどうかで影たちが揉めることになったのだ。

 

 わかってはいたことだ。私は元暁のメンバー。償いきれぬ大罪を犯した。既に足を洗ったからといって、周囲はそう簡単に受け入れてはくれなかった。

 

「ふざけるな!」

 

 戦いが始まる少し前。私は雷影から激しく詰られることになった。

 

「この女を今すぐ殺すべきだ! 暁の大罪人だぞ!」

「そうじゃぜ。この女には散々迷惑をかけられた。この女たちのせいでうちの老紫は殺されたんじゃぜ」

 

 雷影が鼻息荒くまくし立てるように言い、それに土影も続く。他の影たちも私のことを擁護などしなかった。

 

 ただ、その場に臨席していたランとナルトだけは違った。

 

「待って! 小南ちゃんを許してください! 何でもしますから!」

「俺からも頼むってばよ! 小南の姉ちゃんは心を入れ換えてやり直そうとしてんだ! マダラの野郎をぶっ潰すのにも力を貸してくれるって言ってんだよ!」

 

 ランが土下座をして雷影の右足にすがりつき、ナルトが同様に左足にすがりついた。

 

 私のためにどうしてそこまでしてくれるのか。彼女たちのひたむきなその姿を見て、思わず目頭が熱くなった。

 

(ラン……貴方……約束を守ってくれたのね)

 

 以前戦った時、ランは言っていた。私の罪について一緒に謝るから、と。

 

 あの時の私は小娘扱いするなと、その言葉を素直に受け取れなかった。だが今のランを見ているとわかる。

 

 あの言葉は本気だったのだ。いつ無礼討ちされてもおかしくない状況で、ランは私のことを庇ってくれていた。必死に擁護してくれていた。

 

「ええい! 鬱陶しいぞ! 小娘と小僧! 放せ!」

 

 しがみついていたランとナルトを、雷影が力ずくで振り払う。

 ナルトはすぐに吹っ飛ばされて引き剥がされてしまったのだが、ランだけはずっとしがみついていた。

 

「この小娘がぁ! 放せと言っておるだろうが!」

「放しません! 小南ちゃんを認めてくれるまで放しません!」

「ええい、放せ! この小娘、見かけによらずなんという馬鹿力だ! 五代目火影譲りか! このワシが全力で振り払っているのに振り払えんとは!」

 

 ランは嵐の中で揺れる木に必死にしがみつく猿のように、雷影の脚にまとわりついていた。

 

「小娘っ、貴様は猿か! 放せというに!」

「離しません! 小南ちゃんを認めてくれるまで離しません!」

 

 何度やっても振り払えず、雷影は困り果てていた。

 

「火影! 貴様からも何とか言え! この暁の女は即刻殺すべきだろうが!」

「そうじゃぜ。この女は木の葉壊滅の主犯格だろう。おまけに三忍の自来也だったか、あやつもこの女のせいで殺されたというではないか。しかも自来也はこの女の師匠だったというではないか。師匠殺しなんて、とんでもない恩知らずの女じゃぜ。(はじ)を知れ聡を」

 

 雷影と土影は変わらず私をなじり続ける。

 

 自来也先生の話を出されると辛い。実際に先生を殺したのは長門とはいえ、私も同罪だ。罪の意識に苛まれる。私は大恩ある先生を殺してしまったのだ。

 

無表情を装うが、私は内心動揺していた。

 

 そんな中、雷影に話を振られた火影が、徐に口を開いた。火影は心底悩んでいるといった様子で、絞り出すように言葉を吐き出す。

 

「木の葉としては、この戦争が終わるまで、その女の処遇については保留にする。木の葉はそう決断した」

「なにぃ! 自来也が殺されたというのに、この女を許すというのか!」

「許したわけではない。保留だと言っておるだろう。先の戦いを見据えて、恨みを一旦飲み込むことにしただけだ」

 

 火影はいかにも苦渋の決断であると言うかように、苦々しげな表情で言う。私のことは許していないものの、口添えしてくれたランやナルト、はたけカカシなどの顔を立ててくれたようだ。

 

「お前らはどうなんだ! 風影、水影! 殺すべきだろうが!」

 

 雷影は他の影たちにも話を振る。

 

「その女に最も被害を受けたのは木の葉だろう。その木の葉が恨みを一旦呑み込んで様子を見ると言うのなら、我が砂隠れもそうしよう。異存はない」

 

 風影がそう口にする。

 

「そうですね。暁には我が里もウタカタを殺されておりますが、木の葉ほどの被害ではない。木の葉がそうするならばそうしましょう。何かあればランさんが責任をとるとまで言っていますし、彼女を信じましょう」

 

 風影のみならず水影も賛同してくれた。

 

 ランは水影と知己のようだった。顔が広い。ここでもランに救われることになった。

 

「なんだとぉ、お前らどうかしているぞ!」

「雷影よ。元暁であるこの女に恨みがあるのはわかる。だがそれを言い出したら、キリがない。忍び連合の理念にも関わることだ。ここは先を見据えるべきではないか?」

 

 五影の中で最年少ながらも、風影は臆することなくものを言う。

 風影の言に、雷影は唸りながら考え込む。そして結論を下す。

 

「……よかろう。ワシもそうしよう」

「本気か雷影!? 聡を知らない女じゃぞ!」

 

 納得した様子の雷影に、土影が噛みつく。

 

「それを言ったらオオノキ、貴様もだぞ。暁を利用していたのだからな。先程からこの女の批判ばかりをしておるがな。聡を知らないのはお前も一緒だ」

「ぬっ、そ、それは……」

 

 雷影に痛い所を突かれ、土影はたじろいでいた。

 

 そうだ。土影は過去に私たちを利用していたのだ。他の影に何を言われようとも甘んじて受け入れるが、過去に私たちを利用していたこともある土影にだけは言われたくない。聡を知らないのは彼も一緒だ。彼は聡を知らない男だ。

 

「ふん、何かあれば責任をとると言うておるし、この小娘に免じてこの場は見逃してやるわ。この俺の全力を受けて、目を回しながらもしがみつき続けているこの小娘の根性に免じてな」

 

 雷影は喋っている間もランを振り払おうと全力で脚を動かしていた。その間、ランは目をぐるぐるに回しながらも、ずっとしがみつき続けていた。

 雷影はランのその根性に一目置いたようだった。

 

「雷影様、ありがとうございま……うぇっ、おえっ」

「っ!?」

 

 我慢に我慢を重ね、とっくに限界を超えていたのだろう。ランは会談部屋で吐き気を催し始めた。口を押さえて酷い顔をする。そのままリバースしそうな勢いだった。

 そんなランを雷影は慌ててつまみ出す。

 

「これでお前たちの話は済んだ! とっとと出ていけ!」

 

 私の処遇に関してひとまず話が済んだので、我々は部屋から追い出されることになった。

 

「ヴォエッ、おえっ」

 

 ランはすぐにトイレに駆け込むとゲーゲーと吐いていた。私はそんな彼女の背にそっと手を寄せた。

 

(ラン……そこまでして私のために……)

 

 一度は命すら奪おうとしたこの私のためにそこまで尽くしてくれるなんて。胸が熱くなった。

 

 ランたちの必死の口添えのおかげで、私の命は繋がれた。

 このチャンスを大事にしなければいけない。忍び連合に貢献し、恩赦がもらえるように振る舞わねばならない。私は覚悟を新たに起爆札の準備に取りかかった。

 

(マダラ、絶対に殺す! 殺す殺す殺す!)

 

 六千億枚の起爆札はないけれど、ありったけの札を使ってマダラを吹き飛ばしてやろう。ランの命を危険に晒したアイツを確実に殺す。そんな意気込みで準備を行った。

 

「力を貸してくれ!」

 

 やがて風影の演説を皮切りに、戦が始まった。私とランは遊撃部隊へと組み込まれることになった。

 

「小南ちゃん、ちょっと医療部隊に顔を出してくるよ。木の葉を出る時、シズネちゃんには挨拶もしないで出てきちゃったし。ちゃんと謝っておかないと」

「シズネ。たしかランの木の葉時代の友人だったかしら」

「うん、すっごい良い子だから小南ちゃんにも紹介するね!」

 

 戦争が本格的に始まる前に、ランは医療部隊の拠点に顔を出そうとしていた。そこの責任者のくノ一とは縁浅からぬ関係で、一言伝えておきたかったのだとか。それでそのくノ一を私にも紹介してくれることになった。

 

「シズネちゃん!」

「ランさん、お久しぶりです!」

 

 二人は会うなり、親しげに声をかけあい、近づいていく。

 

 黒髪の女。ゼツの写真で見たことのある女だった。

 ランはその女に近づいていき、久方ぶりの再会を祝おうとしたのだが……。

 

「てぇええええい!」

「――ふごおおお!」

 

 ランはいきなりそのシズネという女の顔面を殴ったのだった。

 

「ちょっ!? ラン、貴方何をしてるの!?」

 

 私は柄にもなく酷く慌てた。会って言葉を交わすなりいきなり殴り付けるなんて相当だ。異常すぎる。

 

 実はそのシズネという子と喧嘩でもしていたのかと、私は戸惑うばかりであったのだが……。

 

「何故だ……何故わかった……」

 

 ランの友人だと思われたくノ一は、実際のところ、変化した白ゼツであった。医療部隊の長が偽物とあって、周囲は騒然となる。

 

「やっぱり偽物だったんだ。シズネちゃんはあんな顔しないもん」

 

 ランはやはり、と一人頷く。

 

 あんな顔ってどんな顔だ、と私は思ったが、ランには何故かわかるようだった。細かな違いがわかるようだった。

 

 ランは昔からそうだ。抜けているようで鋭い。危険に関しては極めて聡いのだ。

 

「本物のシズネさんはどこだ!?」

「大丈夫。シズネちゃんはどこかにいるよ安心して」

 

 医療部隊は騒然となるが、ランは叱咤激励してその混乱を静めた。その後も的確に行動して敵を撃破し続けた。

 

「ランさーん!」

「てぇいやぁああああ!」

「ぷごぉおおあ!」

「ちょっ!? ラン!? その子は命の恩人の春野サクラよ!?」

 

 ランが春野サクラの顔面を躊躇なくぶん殴った時は本当にひやっとした。春野サクラはランを救ってくれた恩人だ。もし万が一本物であったなら、一大事だ。

 

 そんな相手の顔面を躊躇なく全力で殴れるランは、元暁の犯罪者の私よりもいい根性してると思った。

 

 まあランには偽物だという確かな確信があったのだろう。だから躊躇なく拳を振り抜くことができたのだ。

 

「ぐぅ、何故わかる……」

「だってサクラちゃんはあんな顔しないもん。もっと女の子の顔してるもん」

「そんな……俺の成り代わりの術は完璧のはずなのに……」

「女の子になる修行が足りないわよ。出直してきなさい」

 

 ランの眼力は確かだった。そうしてランは変化したゼツを次々に見破り倒していった。

 

「ええい、ならばこのまま数で押してやる!」

 

 ランの活躍もあり、ゼツはもう変化の意味がないと悟ったのか搦め手をやめ、途中から強引に数の力で押してくるようになった。

 

「小南、暁の裏切り者め、覚悟!」

「そのへらへらしたむかつく顔、いつか起爆札で吹き飛ばしたいと思ってたわ。くらいなさい!」

 

 敵を見分けるのに関しては大した役に立てなかった私だが、明確に敵だとわかる相手となら戦える。元暁の実力者は伊達じゃない。

 

 私とランは周りの者たちと共闘し、医療部隊の拠点にいる敵を全て排除していった。

 医療部隊の拠点の敵を掃討できた後は、砂漠エリアへと赴くことになった。そこでも我々は力の限りを尽くして戦った。

 

 ランは私と戦った際に発動したあの術を使い、多くの白ゼツを屠り、穢土転生された歴代の影とも渡り合っていった。

 

「ほぉ、俺の術が現代に受け継がれてるのか……」

 

 ランと対峙することになった二代目水影は、ランの術を見て、感慨深そうに言った。

 

「当然今代の水影やってんだろ?」

「いえ雨隠れの中忍です。水影はメイちゃんですよ!」

「なんで中忍なんだよ! しかも雨隠れなんてめちゃくちゃ弱小の隠れ里じゃねえか! 水影のメイちゃんって誰だこら! 弱小の雨隠れの中忍が水影をちゃん付けで呼んでるって、今の霧隠れはどうなってやがる! 舐められてんじゃねえだろうな!」

 

 あのチョビヒゲ男、ランと漫才をするどさくさに紛れて私たちの雨隠れを馬鹿にしやがった。元水影だかなんだか知らないが起爆札で吹き飛ばしてやろうと思った。

 

「って、おいおい、そっちの女、めっちゃぶちギレてるじゃねえか! 謝るから落ち着け! なんでお前がキレてんだこら!」

「雨隠れを馬鹿にした罪、万死に値する。死になさい二代目水影」

「もう死んでるっつーの! つか、池の鯉に餌やるみたいな気軽さで起爆札ばらまいてんじゃねえよ! 危ねえ女だな!」

 

 いけ好かないちょび髭男は、ランたちと共闘し、封印することができた。

 

「ここはもう俺たちだけでいい。他の場所の救援に行ってやってくれ」

「わかったわ」

 

 風影に言われ、私たちは違うエリアに向かうことになった。そこで、穢土転生体となってしまった長門とうちはイタチと会い(まみ)えることとなった。

 

「小南! よかった、生きていたのか!」

「長門……」

「俺の後を追うのではと心配していたが杞憂だったか」

「いえ実際そうなりかけたわ。ランに助けられて命拾いした。恥を晒しながらも生きているわ」

「そうかランがな……。恥などいくらでも晒せばいいさ。命長ければ恥多し。生者の特権だ。死人の俺が言うのもなんだがな。とにかくお前が生きていてくれてよかった」

 

 生きて長門に会えるとは思わなかった。我々は穢土転生体となった長門と久方ぶりに話し合うことになった。

 

「さて、感動の再会はこれくらいにしておこうか。僕も暇じゃないのでね」

 

 どこかからそんな幻聴が聞こえた気がしたと同時、長門が激しく苦しみ出した。

 

「ぐぅ、そろそろ限界のようだ。小南、ラン、ナルト、イタチ。すまないが俺を止めてくれ」

 

 長門は本格的に身体の自由を術者に奪われてしまったようで、私たちへ攻撃を始めた。

 

「悪いがここはナルト君たちに任せよう。俺は大元の術者を叩く。それに他にやらねばならぬこともあるのでな」

「ええ任せて頂戴」

「すまない感謝する」

 

 イタチは私たちにこの場を預けると、一目散に離脱していった。

 

「長門、今楽にしてあげるわ」

 

 ランとナルトと共闘し、長門を封じ込める。ナルトとランが協力して戦って倒し、復活するまでの間、足止めをする。そこで私が紙で拘束し、封印術を施す。

 穢土転生体となって己が身を顧みず戦う長門は厄介であったものの、程なくして封印することができた。

 

「世話をかけたな三人とも」

 

 完全に封印される前の長門が私たちに最後の言葉をかけてくる。

 

「長門……」

「ラン。小南を頼む。許されぬ過ちを犯した俺が今更頼みごとなんておこがましいかもしれないが、それだけが俺の願いだ」

「うん、それはわかったよ」

 

 この期に及んで私の心配など長門らしい。彼は本来優しい人間だ。他人の痛みに敏感で誰よりも共感できる人間なのだ。長門は完全に昔の彼に戻っていた。

 

 私たち雨隠れ三人、昔に戻ったかのような時間が流れる。だがそれも長くは続かない。長門の仮初めの命が消えていく。

 

「そろそろ時間のようだな。俺はいくよ」

 

 長門の身体が崩れていく。そのまま言葉少なに消えていこうとする長門であったが、ランは一歩前に出ると拳を突き出した。

 

「それは……」

「和解の印。長門とは、喧嘩して別れたままだったから」

 

 ランは木の葉を襲撃した時のことを言っているのだろう。確かにあの後、長門は言葉を交わすこともなく輪廻転生の術を発動して逝ってしまった。

 

 ランからしてみれば喧嘩別れしたまま。だからここで和解の印を結んで区切りをつけようということなのだろう。

 

 長門にとってもそれは願ってもないことだったようだ。長門はどこか喜ばしそうな顔でそっと拳を突き出す。

 

「和解の印か。そういえば昔、稽古をした後に何度も結んだな」

「うん」

「これで最後だな」

 

 二人は静かに和解の印を結ぶ。言葉を交わさずとも、理解し合っているようだった。

 

「ラン、お前ならきっと、弥彦の思いを正しく継げる。俺とは違って、正しい道を行くことができるだろう。俺は一足先にあの世で、あいつと一緒にそれを見守っているよ。俺たちの雨隠れをどうか頼む」

 

 ランに全ての思いを託した後、長門の体が完全に崩れていく。穢土転生の術が解け、彼は再び冥界へと旅立ってしまった。

 

「いってしまったわね」

「うん」

 

 長門と最後の別れを果たし、少し沈んだ様子のランであったが、目元を袖で拭い涙を払うと、しっかりとした眼差しで前を見据えた。弥彦やナルトに似た、強い意思の篭った目だ。

 

「行こう小南ちゃん。戦いを終わらせるために」

「ええ」

 

 長門との別れを経た私たちは、その後も戦いに身を投じていく。

 

「ランの姉ちゃん、小南の姉ちゃん。あいつは俺にやらせてくれ。オビトだけは、俺がぶん殴って目を覚まさせてやらなきゃなんねぇんだ」

「……わかったわ」

 

 第四次忍界大戦はナルトの活躍もあり、なんとか終わりを告げた。

 多くの犠牲を払ったものの、忍び世界の危機は去り、世界はいまだかつてない安定と平穏に包まれることとなった。

 

「帰ろう小南ちゃん。私たちの里に」

「そうね帰りましょう。帰ってもやることは沢山ね」

 

 大戦の活躍によって恩赦を得た私は、ランと共に雨隠れに戻った。

 

 世界を賭けた戦いは終わったが、私たちの戦いは続く。

 平和な雨隠れを築き、それを保ち続けるという終わりのない戦いに、私たちは全力で挑んでいくのであった。

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