キンっと金属の接触音が聞こえる
明らかに戦闘音を放っているのは
「甘い!!」
「あめぇのはそっちだよ」
「えっ。きゃあ!!」
一瞬の隙を誘い桐ヶ谷さんの腹に峰打ちで剣を叩き込む
お腹を押さえ涙目になる桐ヶ谷さんに俺ははっとしてしまう
「い、痛い」
「……ってわりぃ。結構本気で叩き込んだ」
「ううん。いいんだけど……やっぱりお兄ちゃんもアスナさんもそうだけど剣を持つとやっぱりちょっと怖いや」
「……まぁ殺し合いをしてた訳だしな」
「……やっぱり気にしてるの?」
「しないはずがないだろ」
俺はSAOにいた時に仲間を殺されたこともオレンジプレイヤーを殺したこともあるのだ
人を殺す、殺される
その事をクラスメイトは何も分かっていないのだ
桐ヶ谷さんも少しだけ曇ったようにしてる
それは数日前初めて魔物を殺したときから曇りが見られるようになった
人を斬ったことだってあるはずなのに肉を斬る感触が忘れられない
それでもやらないといけないのだ
大事な人を守る為に
そういえば大事な話があるって聞いているので行かないといけないか
「ん。ほれ」
「ありがとう」
「んじゃ行くか」
と俺と桐ヶ谷さんは歩き始め、訓練所へ向かうのであった
俺たちは初めて王宮から出て演習のためオルクスの大迷宮の付近にあるホルアドという街にきていた
どうやら明日にはダンジョン攻略に向かうことになる
その日の夜俺は一人で噴水の前で俺は剣を構える
白いエフェクトが剣を包みシステムアシストと自分が同じように振ることで威力と速さを増減できる
俺は動きを合わせ剣ソードスキルを発動していく
スキル硬直はもちろんあるが、それでも威力はあの時と同じならかなりの威力があがる
そして俺は大きく息を吸うとそして連続でソードスキルを放つ
片手剣だけではない。俺は体術スキルも持っているので忘れないように繰り返していく
今のところクールタイムも変わっていないはずだし、せめて桐ヶ谷さんのことを守れるくらいには強くなりたい
強くなって、恩を返したいのだ
そして最後の最後で一番の大技と呼べるノヴァ・アセンションを放つと俺は小さくふぅと息を吸うと
「……」
「…は?」
何故かジッと同級生が俺を見ている
そして剣を振り下ろし鞘に入れても俺の方を見ているので話すつもりはなかったがさすがにここまで反応がないと不思議に思ったので俺はため息を吐く
「……何してんだ。八重樫」
「…えっ?」
俺はその人物に呆れながらも話しかける
八重樫雫、八重樫道場の一人娘で、県大会から全国大会で桐ヶ谷さんが一度も勝ったことのない相手である
学校の二大美人と呼ばれている中で女子からもすごく人気の女子。実際俺自身唯一リア充グループで話せる人である
「…いや、深夜に三上くんの姿が見えたから。少し付いてきたのよ。そしたら剣を振り始めたから」
「話すタイミングを失ったってわけか。……索敵と隠密スキル発動してなかったのが災いだったか」
最悪だ。ソードスキルについては出来るだけ秘密にしておきたかったのに…
「……話すタイミングがなかったわけではないのだけど。ただ少しだけ見とれていたのよ」
「ん?」
「すごく綺麗だったから」
綺麗ってもしかしてエフェクトとかの話か?
「ソードスキルのことか?」
「違うわ。普通に振っている時の剣筋が綺麗なのよ。無駄がなくて効率的といえばいいかしら」
「……そうなのか?自分では自分の剣筋みたことがないんだけど」
「えぇ。私から見たらの話だけど」
そうなのかな?嘘はついてなさそうだけど
基本的に自己流なんだけどそこまで剣筋がいいのは自分で見たことがないからわからない
「んで用件は?」
「いえ。何もないわよ。ただ男子とはいえ一人で知らない街を徘徊してたら道が分からなくになる可能性だってあるでしょ?それにこの街も決してあなたにとっては安全ではないから」
「…嘘は言ってないか。てっきり戦争に参加しろとか天之河に言われてきたのかと思ってた」
「そんなこと言う訳ないでしょ?あなたSAOサバイバーなんだから」
俺は驚いたように八重樫の方を見ると八重樫は呆れたようにしている
「あなたね。ソードスキルと呼ばれるスキルが入ったゲームはSAOと先日のアップデートで追加された元SAOサーバーのALOくらいでしょ?それにあなたは二年半使っていたアバターって言っていたから」
「よく覚えてんな。まぁ隠す気はなかったけど」
実際隠さなくてもいいと思っていたからな。どうせソードスキルを使う時にはバレるとは思っていたけど
つーか詳しいな。もしかして八重樫もALOプレイヤーなのか?
「…でも、凄いわね、あなたSAOを生き抜いたって」
「そうでもねぇよ。元々俺もなんども死にかけたし」
「それでも生きているじゃない。……そういえばあったわね。話したいこと」
「謝るなよ」
俺は呆れたようにしてしまう。すると八重樫はキョトンとしている
「お前が謝ることじゃないんだよ。お前の幼馴染が言い出したことだけでお前が発言したわけじゃない。だからお前が謝ったところで筋違いだし俺にとって天之河に対する印象もこれから起こることについても変わることはないんだよ。戦争に巻き込まれて死の恐怖に死ぬ直前になってから絶望し死ぬか大怪我を負う……それがこれから起こる現実だよ」
「……随分知っているような雰囲気ね」
「俺だってSAO事件が起こった時怯えて最初は何もできなかったし、油断してPK集団に俺以外のパーティーメンバーが全滅させられたこともあったからな」
「えっ?」
八重樫は明らかに動揺する。事実それは俺以外の全員が死んだことに対する動揺だろう
「……忘れもしないさ。2回目の二月三日に俺は小規模ギルドのリーダーをやっていたんだよ。五人だけの質素なギルドだったけど、それでも年齢差もなくフレンドリーなギルドだった」
実際俺が一番年下だったと思う。時々社会人トークで納得している人と高校生だったというギルメンがいたからだ
一緒に飯を食べにいったり、色々なイベントを他ギルドとやったりしていたしな
「でも、交流会で準備している時だったよ。……俺たちはオレンジギルド、……って分からないか。SAOは他の人をPKや詐欺行為をした後にネームプレートがオレンジ色になるんだよ。だから犯罪者プレイヤーをオレンジプレイヤーっていうんだ。そして犯罪者ギルドを、オレンジギルド、より犯罪性が強いものをレッドギルドって呼んでいたんだ。……モンスターが滅多に出ないところを見つけて。……それで少し肉があったからそのままバーベキューすることになったんだよ」
八重樫はただジッと聞いている。本当なら聞きたくない話だろう
八重樫の手が震えている。悪意がある人なんて思いたくないだろう
「その途中だった。みんなある程度満腹感が生まれて、盛り上がっていた中15人のオレンジギルドが襲ってきたんだよ。俺たちは油断もしてたこともあって全員鞘に剣をしまってたからすぐに壊滅状態……俺らみたいな小規模なパーティーには結晶アイテムはかなり貴重で転移結晶なんて1パーティーに一つ二つしかないのが当たり前だった。本当は俺が生き残るつもりじゃなかったんだけど…俺に転移結晶を使った」
転移結晶は簡単に見つからなく高価だから持っていた人が使うっていうルールだった。基本的にドロップは自分のもの。そうしないとトラブルになりやすいと俺が言ったことにより出来たルールを唯一破ったのだ
「…だから俺だけは生き残って全滅は免れた。何度も殺したいって、俺だって死にたいって思ったけど…最期の遺言が生きろって……俺を最期まで想ってくれて」
本当に嬉しかったのだ
だから復讐の道に落ちなかった
だけど、どうしても許せなくてキリトさんを頼ったみたいなことを伝えていく
「これが俺のギルドの結末だよ」
「……何で?」
「ん?」
「何でそんなことがあって貴方は戦っていられるの?」
怯えたように俺を見る八重樫に俺は苦笑してしまう
つい話過ぎたらしいこんなに話したのは第二回BOB以来か
「……目の前で誰かが死ぬのが嫌なんだよ」
「えっ?」
「俺はあの世界でレッドプレイヤーを討伐したこともあったし最終的に茅場明彦をキリトさんとアスナさんと共に倒したんだよ。リアルでも少し前に須郷って言う奴がSAO帰還者を幽閉してた事件だってあっただろ?それに死銃事件だってそう……その時のキリトさんの顔や帰還者を待ち続けてる人達を見て思うんだよ。俺はゲームが好きでやってるけどそれでもそのゲームで誰かが傷つくことがあってはならないって」
誰かが悲しむところなんて俺は見たくない。人はやがて死ぬのが当たり前だ。いつかは朽ちて死んでいく
そんなことはエゴってことを分かっている
「本当は何かを殺すために剣なんか握りたくない。そんなの当たり前なんだ。ゲームじゃないんだし斬ればたとえ魔物であっても生き物が死ぬんだ。でも握らないと桐ヶ谷さんが死ぬかもしれない。他の誰かが死ぬかもしれない。だから握らないといけない。俺は人を殺した罪があるから、人に助けてもらったからその恩を返していかないといけない。例え俺自身が嫌われてもな」
それは決意だ。俺は救ってもらった分だけの命を返していくこと、そして俺が殺した人間の分まで助けることがが俺の生きる理由なのだから
「……これが俺が戦う理由。失いたくない物を守るために俺は戦う。この世界で大切な人ができたなら俺はその人のために戦うよ。でも…今はこの世界のことを許せそうにないから」
「……そう。……羨ましいわね」
「ん?」
「それほど直葉のことを大事にしてるのでしょ?だから直葉が羨ましいわ」
「どこがだよ。汚れた、いや血だらけの手の俺から守らたい思うやつなんていないだろ」
「あら、強い人から守られるって女の子は憧れるものよ」
強いか。俺は強くなっているのだろうか?
あの当時よりも、大事な人たちを、仲間を守れるだろうか
目の前の少女も、桐ヶ谷さんも
「あんまり期待はするなよ」
「へ?」
「んじゃまた明日」
俺は小さく手を振り俺は自分の部屋に戻る
少しもやもやした思いがが残るものであった
畑山先生について
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主人公のサブヒロイン
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ハジメのハーレム