剣は魔法より強し   作:孤独なバカ

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第9話

その一言に俺は少しだけ戸惑う。でも白崎は何か思ったのかずっとこちらを見つめてくる

俺はどうしようかと思ったが正直な感想をいうことにした

 

「生きている可能性はかなり低い。落下して奇跡的に生きていたことを仮定しても食料とか水とか色々と問題があるからな」

「……っ!」

「まぁでも、反対に南雲には南雲にしかできないこともあるだろ?錬成は元々武器を作る技能だ……ちゃんと自分の評価を見直せれば戦うことはできると思ってたぞ」

「評価?」

「南雲は俺とは違って純粋なオタクだろ?学校生活はそこまでに好きなことには熱心になる和人先輩みたいなタイプなんだよ。いわゆるクリエイタータイプ。だから錬成師だったんだろうな。自分の好きなものを製造する才能があるから」

 

俺にはできない才能だからな

菊岡さんと和人先輩の話についていけない時があったくらいだし

 

「正直なところ一番危険だったのは勇者の天之河ではなくて俺は畑山先生か南雲だったと思う。先生はいわずもがな。魔法と科学。それが融合して武器を作れば?……どんな武器になったのかよく分からないんだよ。もし火薬があって爆弾や銃を南雲が作れたとしたら?武器だけじゃない。この世界に魔道具を作るための機械を南雲が作れたら?」

「っ!」

「戦争も暮らしも全部変わる。産業革命のチャンスだった。全てをひっくり返す新たな産業の機会をこの王国は失ったんだよ」

 

冷静に考えるとそうだ。南雲を前線に出そうとしたのが王国の誤算だったはずだ

それに戦闘面に関しても教会は手放した

 

「それに気づいているのなら、……生きている可能性は1〜2%くらいはあるんじゃないか?」

「っ」

「あぁ。気づいてなかったのなら死んでいるはずだ。それほどあの迷宮は殺意がたかい。まず客観的に落ちて死んでないか?食料があるのか?安全地帯があるのか。怪我をして回復できる方法があるのか?それを全て合わせてそれくらいの数字だ。……ゼロじゃないだけマシだろ。まぁそれが分かったのなら後はあそこから出ないといけない。ずっと迷宮にいるのはさすがに無理だろうからな」

「……そう。……でもゼロじゃないんだね」

「あぁ。奇跡が積み重なってやっとって感じか。まぁ、元の性格でいられる可能性は低いだろう。たった一人で全て敵の世界で生きないといけないってどれだけ辛いのかなんて俺ですら分からないからな。白崎の思っている南雲じゃない可能性が高いだろ。それに」

 

俺は一言どうするか迷ってしまう

でも、少しだけ危険が振り返る可能性を踏まえて、言うべきだろう

 

 

「それに?」

「……俺たちのことを敵だと思っているかもな。あいつ多分殺されたから」

「…えっ?」

「殺された?」

「火の球がわずかに軌道がずれたからな。意図的である可能性が高い。元々クラス全員集まったらオレンジになってないか見ようとしてたからな」

 

俺は客観的に告げると信じられないのか俺を見る三人

 

「…冗談ではないのね?」

「あぁ。俺が気づいたのも偶然だったからな。だから俺も南雲のことをすぐにベヒモスの突進に間に合えた」

「あなたって魔法は使えなかったわよね?」

「リンクを解けば魔法自体は使えるけど……俺リアルでも剣使った方が強いし適正回復だぞ?」

「火は?」

「南雲と同じくらい」

 

大きな魔法陣がなければ小さな火種もつかない

まぁ魔法を使うくらいだったら問題はないのだか

剣で戦った方が数千倍強い

 

「へぇ〜。それじゃあ師匠って剣特化の脳筋なんだ」

「言い方は悪いけどその通り…」

 

と俺が言おうと思った矢先その答えを答える前に絶対にありえない声に俺はその声の主を見る

小さな少女で車椅子に乗った青みかかった紺色の髪の少女が小さく笑顔でこっちを見ていた

 

「やっほー師匠!!」

「……ユウキ!?」

「師匠こそ。こっちの世界に来てたんだ♪」

「……いや、なんで?」

「……やっぱりあんたの知り合いだったのね。あんたキリトのこと言えないと思うけど」

 

ジト目で見ていく詩乃に俺はそれどころではない

ユウキがこの場所に居られることが奇跡に近いのだ

 

「…お前大丈夫なのか?」

「うん。ウイルス自体は既に消滅状態だから。でも一年間ずっとゲーム内にいたわけだからリハビリは必要だけど」

「……なるほど、確かに地球じゃあ治らない病気でもこっちの世界じゃ治る可能性はあるのか」

「あの?ユウキさんでしたっけ?三上くんとどういう関係なんですか?」

 

直葉が不思議と思ったのか俺との関係を聞いてくる

ん〜答えるのは難しいけど

俺はユウキの顔を見ると一回だけ頷く

俺は小さく息を呑むとそして話し始める

 

「元々VR技術はゲームではなくて医療機関の特に終末期医療として期待されてきたっていえば分かるか?」

「終末期医療?」

「あぁ。……ユウキはその被験者で、俺はその支援者なんだよ」

「……えっと?」

「……そういうことね。あなたが医療用語に詳しいのかって思っていたけど……」

 

詩乃は理解できたらしい。まぁ俺が医療機関を結構詩乃に進めていたのもあるのだが

 

「あぁ。菊岡さんの依頼をほとんど受ける代わりに俺が自衛官及び治験に立ち会わせてもらってる。まぁその一つに詩乃が受けた精神ケア医療も含まれているわけ」

「あんた前にキリトにトラブルを持ってこないためって言っていたけど」

「それも本当だよ。というよりそっちがメイン。菊岡さんキリトのことを利用しようとしてたから俺の方に向けただけだし」

「限度があるわよ。まったく。ゲームといいあんたは危険な橋を渡りすぎなのよ。心配する立場になりなさい」

 

詩乃が呆れたようにしているけど俺はまったく気にしない

それを切り捨ててまでも俺はキリトさんに恩を返せていないのだ

 

「あの、二人とも」

「…悪いな。まぁ簡単にいうめうならばHIVで……ユウキは余命宣言を受けていたんだ」

「っ!」

「まぁ、だからこそ観察しながら治療を続けたわけなんだけど……」

「うん。今は体が弱いから動けないけどリハビリを頑張れば生身でも動けるようになるって」

「悪いな。南雲の話からそれちまって」

「ううん。それが当たり前だと思うから。それに南雲くんとあまり関係なかったし」

 

白崎の言葉には苦笑してしまう。事実その通りだからだ

俺にとって南雲は赤の他人であるので本当に大事な人の方が優先するのだ

 

「そうだな。まぁでも、言葉には嘘はないから。助かるにしろ全て運任せだしな」

「運任せって無責任ね」

「あんな。無能って言われていたとおり戦闘面では明らかにクラス最弱のやつが生き残る可能性はかなり低いだろ?」

「あはは。でも、それが本当なら助けに行きたいけど」

「それだけの実力を持っていたらな。人を殺すこともできるのは俺くらいだろ?」

「……やっぱり殺すことは確定なのかしら」

「殺さないとこの世界では生き残れないさ。ただでさえクラスの中に裏切り者が一人いる可能性がある以上な。…もしそいつらがスグや詩乃、ユウキ、一番狙われる可能性の高い雫を狙うなら俺は容赦なく…そいつを殺す」

 

絶対の覚悟を持っている

例え裏切って人を殺している以上俺はオレンジプレイヤーと同じだ

生憎キリトさんも俺も単純にそいつを許すわけにはいかないのだ

 

「……はぁ。キングって本当に過保護よね」

「…詩乃?」

「どうせあんたのことだから人を殺したことのある自分が殺すべきって考えているんでしょ?」

「……まぁな」

「それなら私が殺してもいいんじゃない?私だって人を一人殺しているんだから」

「いや、お前ってトラウマ植え付けられていたじゃんか。もう一度ぶり返す気か?」

「……あんたがやっても同じよ。シノンと私にとってキングとハルには命を救われているのよ」

 

その言葉の重さは俺にしか理解できない

死銃事件の被害者である詩乃は第二回KoBに参加して、メインターゲットになっていたのだ

ゲームで殺されたら死亡する。そしてリアルでも、詩乃は友達だと思っていた男子に殺されかけている

 

「……私はあの時からずっとあなたの隣で歩んできた。ずっとALOでもGGOでもあなたの後ろを守ってきた。そんな人がもしハルならハルが先にトリガーを引くとは思わないかしら?」

「まぁ分かるけど」

「それに別にこの世界で絶対に人を殺すことになるのは分かっているわよ。そしてもしその時最初にトリガーを引くのはハルってこともね。でも、それではハルは絶対に壊れてしまう」

「それは絶対にないな。スグと詩乃がいればな」

「えっ?」

 

スグは呼ばれることを想定しなかったのかスグが驚く

でも事実だろう

 

「つーか、元々俺のことを一番分かっているのはスグだろ。今は俺が死にかけたことと死の恐怖から怯えて分からなくなっているだけだしな。元々アスナとキリト以外に一番付き合い長いんだぞ?リアルでもゲームでも。例えば俺の好きな食べ物は?スグ?」

「えっ?ケーキ」

「嫌いな食べ物」

「麻婆春雨だったはず」

「苦手な人」

「天之河くん」

「……こういうことだよ。言っとくけど俺のリアルのことを知っている人はほとんどいない。つーかリアルでも俺は基本的にゲームのことしか話さないからな。ユウキがいっていたけど俺もVRMMO、即ちバーチャルに生きているって言っても過言ではない。俺にとってリアルってそこまでいい思い出がないからな」

 

だから俺自体部活動関連に参加している以外はほとんどVRに潜っているのだ

リアル関連の話をするのは俺にとってある種一歩進んでいるって言ってもいい

 

「…まぁ、この二人がいれば畜生には落ちることがないしな。ユウキと雫は守る対象だし、大切な奴らがいるからこそ俺はいきるんだよ。まぁこれから南雲を探しにいくにしろ俺のすることは変わらない。このメンバーで地球に戻ることだろ」

「まぁ、そうだけど」

「……まぁ、白崎も考えとけ。本当に大事なものを守るってことは何か大切なものを失う可能性があるってことを。それと恋愛でも関係なく現実があるってことをな」

 

俺は答えると白崎は少しだけ首を頷く

南雲が生きている可能性はかなり低いので一応覚悟はしておいた方がいい

それが例え望まない結論としても

畑山先生について

  • 主人公のサブヒロイン
  • ハジメのハーレム
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