ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~ 作:Java-Lan
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[プロローグ:???:古手梨花]
なぜ、再びループが起きたのか、私にはわからない。
わかっていることは、死んでここに戻されたという事実と
再び、惨劇に挑まなければならないという覚悟だけ。
ここには、もう羽入はいない。
私一人で、この閉ざされた世界から抜け出さなければならない。
でも、きっと大丈夫。
すでに一度、私はこの因果から脱している。
強い意志は、より強固に運命を決定づける。
だとすれば、私は今回もきっと終わらせることができる。
私の願いは唯一つ。
仲間と楽しい日々を続ける事。
そのためなら、どんな労力もいとわない。
さぁ、始めましょう。
再び、運命に挑むための戦いを・・・
第1話__1日目(木)A「ロッカー」
[1日目(木):雛見沢分校:放課後:前原圭一]
唇をそっと離した。
「圭ちゃん…」
魅音がうるんだ瞳で俺を見ている。
「魅音、その…ちょっと熱くなってやっちまったけど…これは俺の、本当の気持ちだぜ」
自分の顔も紅くなっているに違いない。
それはわかっている。
勢いでやっちまったが、もう後戻りはできない。
後悔しているのか?いや、そんなことは無い!
しっかりしろ前原圭一。ここで決めなくてどうする。
魅音のために、俺のためにも、ここで決着をつけなきゃダメなんだ!
「魅音、俺と、いいよな?」
いいよな。ってなんだ。馬鹿なのか俺は?
はっきりともう一度断言しやがれ「付き合ってくれ」と。
「…おじさんで、本当にいいの?」
いいの、じゃない。
魅音でないとダメなんだ!
「その、圭ちゃん…嬉しいよ。本当に、嬉しいよ」
魅音がゆっくりとうなづく。
これは、その、つまり、なんだ。OKってことか。
よかった。もし断られたりしたら…
バンッ!
ロッカーの扉が開いた。
レナが満面の笑みで俺達を見ている。
「魅ぃちゃん。圭一くん。お疲れ様。罰ゲームの時間終了だよ☆だよ☆」
「あ、あぁ、そうかレナ。そんな時間か」
「アハハハ。長いような短いような時間だったねぇ」
俺と魅音はぎこちなく笑った。
この日、俺達は学校の放課後に集まり、
俺…前原圭一、園崎魅音、竜宮レナ、古手梨花、北条沙都子の
五人で部活をしていた。
部活というのは、このメンバーで、罰の有るゲームをして遊ぶという内容だ。
しかし、そこに手抜きは一切存在しない。真剣勝負!
なにしろ、毎回恐るべき罰ゲームが存在するのだから!
…が、今日に限って俺の成績は散々だった。
毎回、決まったゲームで遊ぶわけじゃない。
そのせいで、負ける人間が固定されているのは回避されてはいるが、それでもトータルで見れば勝負に強い人間、弱いに人間は出てくる。そして俺は、どちらかと言えば負けの多い方だった。
だから今日もゲームで最下位であっても、それほど驚くことじゃない。
だが今回は、なぜかどの種目においても圧倒的強さを誇っていたはずの部長の園崎魅音がボロボロに負け、俺と同着ビリという散々な成績だった。
「ちぇー圭ちゃんと一緒かー。ついてないなぁ」
それはこっちの台詞だぜ!
と言い返したが、珍しい事もあるもんだ。
どちらにしても二人しての罰ゲームは免れない。
敗者代表として俺は、罰ゲームが書かれたメモの入った箱の中に手を伸ばす。
罰ゲームは毎回決まっているわけじゃない。
勝者が勝手に決める場合もある。
ただ、今回は箱の中に入っているメモをを引き出す。
という方式をとった。
ちなみにメモは、ゲーム開始前に各々が書いて、箱の中に入れたものだ。
何が書いているかはわからないし、自分で書いた罰を自分で受ける可能性だってある。
どんな罰ゲームがあるか考えるだに恐ろしいが臆してはいけない。
それが部活メンバーの心意気ってもんだ!
そして、
そこで引いて書かれていたのは
-ロッカーの中に15分間入る-
というものだった。
…なんじゃこりゃ?
こんな罰ゲームを考えるのは
大方、ちびっ子の沙都子か梨花ちゃんだろう。
まぁ、確かにロッカーの中に入るのはいい気分じゃない。
暗いし、狭いし、変な臭いはするし。
そして今は六月にあるまじき暑さだ。相当に蒸すに違いない。
いやいや、多分それだけじゃすまない。
中に入ったとたん、外からモップの柄だか何かで叩かれ、騒音と恐怖の渦に叩きこまれるかもしれない!
しかし、ここはあえて何もしないで
『いつ、何かが襲ってくるかわからない』
という精神的恐怖を狙う可能性もある。
沙都子あたりがロッカーに入ったのなら
「い~や~!出して下さいませ!!!」
と暴れて可愛いかもしれない。
…そう考えると、
梨花ちゃんが考えたような気もするぞ。コレ。
「何をしているのでございますか?早くロッカーに入りませ」
そんなことを考えていたら
沙都子にせかされた。
残念だが今回ロッカーに入るのは沙都子じゃなく俺だ。
あ、いや、魅音も、か?
「えっと、おじさんも圭ちゃんと一緒にはいるわけ?」
沙都子と梨花ちゃんは嬉々として魅音を押し入れようとする。
「とうぜんでございましょう?ね?梨花?」
「一緒に入るのですよ。ぎゅうぎゅうなのです☆にぱ~」
レナが笑顔でロッカーの扉をあけて、俺と魅音は向かい合わせに一緒に入った。
苦しい。寿司詰めだ。というか。目と鼻の先に魅音の顏がある。
この雛見沢分校に通っている子供達は少ない。
そのため、下は小学生から上は中学生ぐらいまで、かなり年齢層がバラけて同じクラスにいる。
魅音と俺は歳が近いせいもあって身長もけっこう近い。
梨花ちゃんと沙都子は、小学生なので、身長があうことはほぼほぼ無いが、
魅音の場合は別だ。
ロッカーの中に押し込められれば、
目と鼻差の先に相手の顏があるのは当然の然。
つまり、恥ずかしいことこの上ない!
「け、け、圭ちゃん!顔が違いって!」
「ご、ごめん、魅音!」
俺は顔を背けたが、そんなに首が動くわけでも無い。
それは魅音だって同じだ。
「じゃあ、圭一君に、魅ぃちゃん。今から15分間カウントするからね」
レナの声に「おう!」と俺は答える。
たかが15分間。なんてこないぜ!
マンガを読んでいれば、一瞬じゃねぇか。
そして扉を締められたが…甘かった!
これは結構きついぞ!
狭いロッカーに詰められた二人!
聞こえるのは、魅音と俺、お互いの呼吸音のみ!
しかも、六月にあるまじき暑さの為に、熱気がロッカーに広がり、
汗もとめどもなく、出てくる!
幸いな事に、四方八方からモップで攻撃されるということは無かったが、それでも十分にツライ。
「お、おい…もう十分だったか?」
「圭一さん、まだ五分もたっていませんのことよ?
案外、根性が無いのでございますのね」
沙都子の意地悪い言葉が帰ってくる。
おのれ沙都子、ロッカーを出たら、いの一番におまえの頭を掻きむしってやるぞ。
「圭ちゃん、大声出さないでよ」
「わりぃ、魅音」
長時間、横を向いていれば首も痛くなってくる。
人間はいつまでも、首を横には向けていられない。
しかたなく正面に戻すと、
…うおっ。
びっくりした!
そこに魅音の顔があった。
「け、圭ちゃん」
熱いんだろう。
魅音の顔が火照り、汗もかいている。
俺にかかる息も熱い。しかし…
「こうしてみると魅音も結構セクシーだよな、うん」
「ふえっ…?」
あ、しまった。暑さで、思わず顔に出してしまったか。
俺は直ぐに顔に出てしまう悪い癖がある。
そのせいで、今、何を考えているのか知られてしまうのだが…
「いや、いや、圭ちゃん、声に出して言ったよ…?」
「え、マジで…?」
「うん」
…やっちまった。
こういうのは言わないようにしていたのに。
魅音とは、年が近く、転校してきたとき声をかけてもらった事からも、よくつるんでいた。
あまり男女として考えた事は無く、そのせいでどちらかといえば最近まで男同士の仲間という印象の方が強かった。
だけど、あの日、玩具屋で人形を渡した事で、少なからず魅音を「女の子」として見るようになっちまった。
だって人形って、女の子が欲しがるもんだろう?
魅音はどうだ?欲しいのか?欲しいならやるよ。
俺はそんなノリで手渡した。だけど、俺はそこで気が付いてしまった。
魅音も女の子だって事を。
…不覚だ。
いや、初めから魅音は女なのだから、むしろそう思わない俺が失礼なんだが。
だけど、それを深く考えると俺と魅音との関係性が壊れてしまう。
気軽に叩いたり、笑い合ったりするのも、女だとか考えていなかったからだ。
だから、今まで考えないように、言わないようにしてきたんだが…
「アハハハ、おじさん男だし、全然女の子っぽくないのに。圭ちゃんも良く言うよ」
「そんなことねぇよ。魅音は、女の子っぽいぜ」
「ふぇ…」
俺はぶっきらぼうに言うが。内心はドキドキだ。
当たり前だ。幾ら女だと思わないだなんて言っても、今、魅音という全存在を目の前に叩きつけられて…正確にいえば、押しつけられて。それを否定するのは無理だ!
諸君、考えてみてくれたまえ!
ロッカーの中で、魅音の体と俺の体。
正面から押しつけ合っているんだぞ!
魅音の腕!脚!腰!胸!吐息!匂い!
これをどうやって否定しろっていうんだ?
俺の心臓の鼓動はさっきから止まらないし、これで「女じゃない」と言い張るのは無理あるだろ!
「魅音、お前はさ。自分で言うほど、おっさんでもないし、男でもねーし。俺に言わせれば十分、魅力的な女の子に見えるぜ」
「・・・・・」
さすがに正面向いては言えなかったが、言いたいことは言ってやった。
そもそも、よく考えれば、俺が魅音を女扱いしたところで
俺と魅音の関係性が壊れるってことは無いんじゃないか?
だいたい思いっきり「女の子」しているレナや、梨花ちゃんや沙都子とだって、部活メンバーとして普通に付き合っているぞ。
「ほ、本気でいっているの?圭ちゃん?」
「本気も、本気、大真面目だぜ。というか、むしろそこは『なんで女扱いしないんだ!』って、お前が怒るべきじゃないか?」
「あ、いや、アハハハ…」
恥ずかしがって魅音は視線を落した。
こうやって見ると、やっぱり魅音は可愛い。
…良し。
男としてみていたが、もうおためごかしは止めだ。
今日からお前を女として見てやるからな。覚悟しろ!
「…じゃあ、じゃあさ。圭ちゃんが。もし、もしも、だよ?
これ、仮の話だからね?鵜呑みにしないでね?」
「なんだよ」
「私が告白したら、OK。してくれるかな?」
熱で、頭がぼおっとする。
あぁ、思考力が落ちているのが分かる。
でも、魅音の言っていることは分かっているし、問題はねぇ。
魅音が告白したら、どうするか?
そんなのきまっているじゃねえか。
「当たり前だぜ。むしろ俺から告白したいぐらいだ」
「ふぇぇ…本当に?本気でOKしてくれるの?」
何を言っているんだよ。
さっきから、そう言っているじゃないか。
あぁ、クソ。暑さで頭が回らない。
クールになれ前原圭一。そうだ。えぇ…と。
なんだっけ?そうだ。告白だ。
「だったら試してみるか?魅音、俺と付き合ってくれないか?」
「う、ヴエエエエエエエ!?」
なんだその返事は、面白すぎるぞ。
「あだッ!?だらりゃ!け、圭ちゃん。冗談で言っていい事と悪いことがあるりょ!」
「冗談じゃないぜ。本気だ」
「ほ、ほ、本気って…だっておじさんなんだよ!?レナじゃないんだよ!!
全然可愛くないし!女の子っぽくないし!がさつだし!それに!それに!…」
あああああ、もうなんなんだよお前は!
こっちも暑さと、お前の体の熱でオーバーヒートぎみなんだぜ!
もういい!魅音、お前がその気なら、こっちにも考えがある!
「わかった!もういい魅音!俺は今から、お前にキスをする!
それで嫌だったら、顔を背けろ!それなら俺も諦める!
もう二度とお前を女だと思わないし、俺もきっぱりとこの件を忘れる!それでいいな!」
「…え!?」
「いいな魅音!キスするぞ!」
俺は魅音の指とを絡ませあい、体を押し付けるように顔を近づける。
そして、そこまでやって我に返った。
…いや、俺、なにやってんだ?
って、なに魅音にキスをしようとしている!?
ちょっとやりすぎだろ俺!!!
だが、もう止まらない!
眼の前に魅音の顏が…
「圭ちゃん!?待っ…んっ…!」
冒頭に戻る。
ロッカーから出た俺達二人を
部活メンバーが三者三様で見ている。
レナが可愛いモードで、笑顔で俺達を見ている。
「あれぇ?魅ぃちゃん。なんだか。すっごく可愛いよ☆はぅ~!」
梨花ちゃんが、ニコニコしながら俺達を見ている。
「きっと、中で色々していたのです。ロマンスなのですよ☆にぱー」
そして、沙都子が目を据わらせて俺達を見ている。
「何を言ってますの梨花?あんな狭い所で、ロマンスも何もあったものではありませんわ」
俺は急に恥ずかしさが込み上げてきた。
おいおい、なんてことしちまったんだ俺は!
部活中に、魅音に告白するなんて!?
しかも、レナが可愛いモードに入っている。
これは間違いなく、俺と魅音の関係を察している。
レナは異常なまでに、勘が良い。隠し事をするのはまず無理だ!
まず、バレていると思って間違いない。
梨花ちゃんはどうだ?
梨花ちゃんも雛見沢の守護神であるオヤシロ様の生まれ変わりというだけあって、物凄く勘が良い。
そして、ときおり高い見識と直観力で大人びいた喋り方をする。
ニコニコしているが、わかっているかどうかは五分五分ってところだ。
「ところで、魅ぃちゃんと、圭一くん。ずっと指を絡ませているのはなんでだろうな☆なんでだろうな☆」
「あっ」いつの間に!
キスをしたときか?
慌てて絡めていた指を離したが、もう遅い。
もう三人には見られている!
それでもバレるのが恥ずかしいのが、すかさず魅音がフォローをはじめた。
「いやぁ~。おじさんさ、ちょっと圭ちゃんに指のマッサージをお願いしていたんだよ。アハハハ!」
…いや、フォローになっていないな。
その言い訳は
苦しいにもほどがあるぞ魅音。
ちら見をするが…
レナは可愛いモードのままだし、
梨花ちゃんもニコニコしている。
驚いた様子が無い所を見ると…
終わったな。もう完全にバレている。
いや、そもそも隠し通すことなど不可能なのだ。
この部活メンバーには!
「あんな真っ暗で狭い所で指のマッサージをしていたのですの?閉じ込められる時に、指でもぶつけられました?魅音さん」
「え?アハハ、まぁ、そんなところ?」
あ、どうやら、沙都子だけがわかっていないみたいだ。
可愛い奴だ。頭を撫でてやろう。
「はぁ~、もういい。魅音、話そうぜ」
「けけけけ、圭ちゃん!?話すって、何を!?」
「全部だ。どうせもうバレている。それに仲間に秘密を持つのは良くないと俺は思うぞ」
「いや、それは、それはその。だけどさ。そのさ…」
魅音が体をもじもじさせている。
恥ずかしいんだよな。わかるぜ。
確かに、告白したと宣言するのは勇気がいることだ。
しかし、このまま黙っているわけにもいかないだろう。
後で何を言われるかたまったもんじゃないからな。何より仲間だ。
「え?なんだろう?なんだろう?☆ハゥ~」
「きっとすごく良い事なのですよ☆にぱ~」
「…さきほどから、皆さんが何をいっておられるのか、よくわかりませんわ」
目を輝かせているのが二人に
不審な顔をしているのが一人、
それに何か何かとクラスメイトが集まってくる。
怯えるな。前原圭一。これは、そうなんでもないことなんだ!
事実を発表する!それだけだ!
「あー、こほん。静粛に。静粛に…
前原圭一と園崎魅音は、この場を借りて…
正式にお付き合いする事を宣言するものである!」
\オオオオオオオオオオ/
俺の宣言と同時に
部活メンバーの歓喜がおき
クラス中が一斉にざわめいた。
レナと梨花ちゃんは喜び、
沙都子はあっけに取られている。
「はぅ~☆おめでとう!おめでとう!魅ぃちゃん!!」
「これは吉報なのですよ!めでたいのです!」
「な、な、なんですって!圭一さんと、魅音さんがお付き合いを!」
魅音は顔を真っ赤にして、湯気を出している。
あぁ、予想通りの反応だ。可愛いぜ魅音。
「よろしいのですか魅音さん!圭一さんなんですわよ!
こんな口先の魔術師にたぶらかされて本当に大丈夫ですの!?」
沙都子、お前、後で頭ぐしゃぐしゃの刑だな。
「うん。その…アハハハ。おじさん、まいっちゃったな~」
魅音が頭をかいて照れている。
一体何がまいったのかは謎だ。
それより、レナがスカートをたなびかせて回転し始めた。
「はぅ~☆可愛いな!魅ぃちゃん可愛いな!」
「それで、先ほどロッカーの中でどんなことがおきたのですか?☆にぱ~」
「ま、まさか、圭一さん!魅音さんにロッカー内でいかがわしい事を!?」
沙都子、お前の俺に対するイメージはそんなにも悪いものだったのか?
俺は悲しいぞ!
「あ、うん・・・」
そこは否定しろ魅音。
「ふ、不潔ですわ~!圭一さんの不潔ぅ!!!」
ざわざわ・・・
周りが騒めいている。
いかん、これは非常にまずい。
沙都子や部活メンバーはともかく、クラスの皆にもよからぬ目で見られてしまう!
初手で、悪いイメージをもたれれば、払拭するのに一苦労だ。
ここで何とか手をうたないとダメだ!
ちぃッ沙都子、後でお仕置きだな!
「沙都子、それは違うぜ…」
「なんですの!圭一さん!近づかないで下さいまし!ケダモノ~」
「ケダモノで何が悪い!」
「…え?」
「いいか沙都子、よく聞け!俺は魅音が好きだ!愛していると言っても良い!だから告白したし、キスもした!好きな人を求める行為の何が悪い?本能で行うことが全て悪というのであれば、愛というものも、否定しなくてはならなくなる!」
「…え~と」
「沙都子!お前は、人を愛する事が悪いと!不潔だと思うのか!」
「それは、その…思いませんわ」
「そうだろう!人を愛する行為というのは気高く、美しく、そして崇高なものなのだ!そして、俺はそれを魅音に対して行った!それが悪い事だと断じるのであれば、それは愛を作り出した人類文化の否定!人類という種族の否定にほかならない!」
「………」
「沙都子、俺はお前に、そんな…悪の秘密結社みたいな考えを持って欲しくはない!
愛とは尊いものなのだ!だからこそ、俺は、俺がこのロッカーで行った全ての行動に対して誇りをもって、お前に確信をもって言える!俺の行ったことは全て魅音に対する愛情行動であり間違っていなかったと!」
「………」
沙都子は黙った。目を点にして。
そして、クラスは静まりかえっていた。
よくみると、
部活メンバーだけでは無く
クラスメイトも全員目を点にしている。
あれ?思っていたのと反応が違うぞ。
どうなってんだ?
誰かが裾を引っ張っている。魅音か?
「圭ちゃん…なにも…キスしたのまで、ばらさなくてもさぁ」
うぉおおお!!やっちまった!!!!!
口先の魔術師モードに入ると、一切の羞恥心を忘れちまう!!
魅音に何度か「圭ちゃんさぁ、今、すっごく恥ずかしい事言っていたからね?」
と言われた事を思い出したが後の祭りだ。
というか、俺ってそんなに何度も恥ずかしい事を言ったっけ?
覚えが今一つないが…
だが、一つだけわかる。
すくなくても、俺が今やったのは相当恥ずかしい行為だったのは確実だ!
\オオオオオオオオ/
再びクラス中で一斉に歓声が沸き起こった。
-え?なに、委員長と圭一さんがキスしたの!?
-なに、なに!?付き合っているの!!!!
-ロッカーで!しちゃったの!!きゃー!!!
レナは壊れたバレエ人形のような動きを始め、梨花ちゃんは嬉しそうに思いっきり拍手している。
沙都子だけがやや納得していない顔をしてたが、しばらくすると笑顔に変わった。
「まぁ、圭一さんの想いはわかりましたわ。しっかり者の魅音さんとならお似合いでしょう」
とりあえず祝福はしてくれるらしい。
「魅音・・・」
俺は魅音に声をかけようとしたが…
あれ?いないぞ?
「お、お、おじさんさ、今日はアルバイトがあるのを思い出しちゃった!アハハハ!!じゃ!!!!!」
物凄い速度で教室から出て行く魅音。
お前、今日は確かバイトがなかったら部活をしたんじゃないのか?
喧騒の中で、ひたすら回転するレナの
はぅ~☆魅ぃちゃん可愛いよぉ~
の声だけがいつまでも、続いていた。
トピック: [ 前原圭一は、園崎魅音をいつ異性だと意識するのか? ]
※トピックでは「ひぐらしのなく頃に」のネタバレが含まれます※
本作では「玩具屋で人形を渡した事で、少なからず魅音を「女の子」として見るようになっちまった。」と、書かれています。
これは「皆殺し編」で「人形を何故、前原圭一は渡せなかったのか?」に対する古手梨花の考察を下敷きにしたものです。
本来の歴史である「綿流し編」や「目明し編」では、前原圭一は、玩具屋の主人からもらった人形を、園崎魅音に渡さなかったことにより、凄惨な事件の幕開け(のきっかけとなる)とされています。
それでは、なぜ前原圭一は、園崎魅音に人形を渡さなかったのでしょう?
ループを100年間繰り返してきた古手梨花は『前原圭一が人形を園崎魅音に渡してしまうと、異性だと認めてしまい、今までのような男友達のような関係性を維持できないから』だと推測しています。
それでは、実際に人形を渡したケースではどうだったのでしょうか?
園崎魅音が人形を渡された分岐では、特に前原圭一は魅音を異性として認識していないように見えます。
ただ、だからといって古手梨花の考察が間違っている。とも言い切れません。
なぜなら、前原圭一に限らず、ひぐらしの登場人物の大半、とくに部活メンバーを中心に魂の記憶ともいえるものが累積しています。
だとするならば、前原圭一の心の奥底には『人形を渡していれば魅音が悲しみにくれず、暴走しなかったという後悔』それにともなう『魅音に人形を渡していればよかったという積年の情』です。
つまり「皆殺し編」で人形を渡した時の前原圭一の精神にあるものは「園崎魅音を異性だと認めたく無い」よりも「園崎魅音に人形を渡さなければならない」という使命感のようなものでしょう。
だからこそ、前原圭一は人形を渡してすっきりとしていますし、園崎魅音との関係性も変わっていないのです。
逆に言えば、園崎魅音を異性として認めて、惨劇を回避するにはどうすれば良いか?
それを考えた場合の答えの一つが、
『渡す前に異性として考えてしまうと、人形は渡せなくなるのなら、
渡した後に異性として考えればよい良い』
これが正しい答えか否かはわかりません。
ただ、そうなった場合、どういう展開となったのかを想像するのが本作となっています。