ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~   作:Java-Lan

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第17話_8日目(木)A「先生転倒」

[8日目(木):通学路:朝:前原圭一]

 

朝起きると、俺は魅音に言われた通りに冷蔵庫を開けて納豆をとり出した。

コンロの上には昨日魅音が作ってくれたみそ汁が入った鍋もあったので温める。

 

これで海苔があれば完璧だったが、見つからなかったのでそのまま頂くことにしよう。

うむ。ご飯、納豆、みそ汁。シンプルだが完璧な日本の朝食だ。

 

丁度出かける用意が終わった所にレナが迎えにきたので、

靴を履いて一緒に出掛ける。

 

昨日が言った通り、朝は忙しかったんだろう。

いつもの待ち合わせ場所に魅音がいない。

 

魅音が待ち合わせ場所にいなかった場合は、

先に学校に向かっても良い事になっているが、俺は魅音が来るまで待つことにした。

 

最近、魅音は俺の為に重箱三段ぐらい昼飯を用意してくれている。

これがいつまで続くのかはわからないが、今日もそうだとしたら走って持って行くのは大変だろうしな。

 

「レナは遅刻するとまずいから、先、学校へいってろよ」

「圭一くんが待っているなら、レナも待つよ。

 圭一くんを一人にするわけにはいかないからね」

 

ありがとうなレナ。

 

しばらくして、息をあげて魅音がやってきた。

やはり重箱三段くらいの弁当を持ってきている。

 

「ゴメン、圭ちゃん!レナ!待った!?」

 

「おう、待ったぜ!その弁当をもってやるから貸してみろ!」

「結構重いよ。大丈夫!?」

 

重箱は風呂敷に包まれているが、上の方をつかんで走ったら、

中身がミキサーみたいになっちまう。

 

なので走るのなら重箱の下の方を持つしかないが。

 

ズン…

おぅ、結構ずっしりくる重さだ。

 

魅音、お前、ここ最近毎日こんな重さの弁当を持ってきていたのか?

そういえばレナも凄い量を持って来るときもあるよな。

雛見沢住民の基礎体力は大したもんだぜ。

 

この量を持って走るのは大変だけど、

泣き言なんていってられない。

 

「余裕だぜ!何しろみんなで食べる弁当だからな!」

 

俺のために作ってくれた弁当といっても、

一人で全部食べるのではなく部活の仲間で食べる。

 

お昼はそれぞれの仲間が弁当を出し合うビッフェ方式だ。

 

つまり、各々、持ってきた弁当を好き勝手につまんで食べるのが俺達流。

この俺の腕にある重箱三段の弁当は、俺のものであって、俺のものでは無い。

いわば皆の弁当なのだ!

 

だからこそ、弁当の中身はぐちゃうぐちゃにならないように、

なるべく死守しなければならない!

 

「いそごう!魅ぃちゃん、圭一くん!遅刻するよ!」

 

レナに促されて俺達は走る。

魅音と腕を組めないのは残念だが、

そんなことを言っている余裕はさすがになかった。

 

俺達が教室に入るのと、チャイムが鳴るのは、ほぼ同時だった。

知恵先生は「遅刻は厳禁ですよ!」と言っていたが、一応セーフにしてくれたらしい。

助かった。

 

しかし、走ってきたので、相当弁当は上下に揺れた。

中身を空けてみるのが、少し怖いぜ。

 

梨花ちゃんは激しくゆれたであろう弁当を撫でる。

 

「きっと、ぐちゃぐちゃのドロドロでジュースになっているのですよ☆」

 

梨花ちゃんはさらりと怖い事を言う。

 

[8日目(木):雛見沢分校:朝:前原圭一]

 

「圭ちゃん。いい…?

 先生!ちょっとトイレにいってきます」

「なんだよ…うぉっ…!」

 

授業が開始されると、早々に魅音に教室の外に連れ出された。

階段の裏手に引きずり込まれて、体を頬擦りされる。

 

「お、おい…魅音。今日はコレするのが早く無いか?」

「いや、だってさ。今朝は会えなかったし、手も繋げなかったから

 おじさん、深刻な圭ちゃん成分不足なんだよ」

 

だから、その圭ちゃん成分っていうのは何なんだ。

 

とはいえ、抵抗しても教室に戻るのが遅くなるだけなので、

体を優しく抱きしめて、頭を撫でてやる。

 

色々言うが、俺もこうして魅音を抱擁する瞬間は好きだ。

魅音に対する愛しさが込み上げて来る。

 

「早くしないと知恵先生に怒られるから、ほどほどにな魅音」

「ん~わかってる。もうちょっと~」

 

わかってる。というわりには、なかなか離れない。

そうは思うものの、俺も一度抱きしめた魅音を離したくはない。

 

お互いの利害が一致した結果の抱き合い。

とは言えば聞こえが良いが今は授業中だ。早く戻らないと。

 

困ったぞ。その時…

 

ガタッ…!

音がした。

 

「………」

 

誰だ、知恵先生!?

知恵先生がこっちを見ている!

 

「あ、いや、先生これは…」

やばい!怒られる!

 

すぅ…

……バタ

 

あ、倒れた。

…って、ええええ!?

 

俺と魅音は大慌てで知恵先生を保健室に連れて行く。

 

当然クラスも大騒ぎとなり、

入江診療所に電話して、監督を呼ぶ事態へと発展した。

 

クラスメイトによれば、俺達が戻ってくるのがあまりにも遅いので、

知恵先生が何かあったのかと探しに来てくれたらしい。

 

…魅音とのロマンスに夢中になりすぎて

時間感覚がおかしくなってしまっていたなんて。

とんだ大失態だぜ。

 

さすがにここまでくると、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

事態が一段落すると、俺と魅音は

校長室に呼び出され、海江田校長先生から静かに諭された。

 

「君達が婚約しており、仲が良いのは周知の事実である。

 だから、君達が仲睦まじくしていることに、何かを言うつもりはない。

 ただ、知恵先生を悲しませないで欲しい」

 

頭ごなしに怒鳴られるより、はるかに効いた。

結局、知恵先生が目を覚ましたのは、お昼近くになってからだった。

 

ベットから上半身を起こした知恵先生の横で、

俺と魅音は、ちょこんと座り頭を下げる。

 

「その…御免なさい。知恵先生!俺が、悪いんです!」

「ううん。圭ちゃんが悪いんじゃないんです。私が悪いんです!」

 

俺と魅音は交互で謝り続けた。

それを見ていた知恵先生は微笑んで、俺達の手をとる。

 

「先生は、わかっていますよ…

 魅音さんは、圭一くんの心のケアをしていたんですよね。」

 

…え?

 

「圭一君は沢で自殺を考えるほど、つらかったのですよね。

 それを魅音さんはわかっていたからこそ、ああやって

 積極的なコミニケーションをとっていたのですよね?」

 

…どうやら、知恵先生の頭の中では、

あのギックリ腰事件は俺の自殺未遂だと決定されてしまったようだ。

 

そういえば、昨日も自殺しないように心配してくれていたっけ。

実際は違うんだけど。

 

ただ、それを否定すると余計に面倒な事になりそうなので、

俺は黙って聞くしかない。

 

魅音が頷く。

「…この何日間、圭ちゃんは凄く大変なおもいをしてきたと思います。

 私は、圭ちゃんの婚約者として、ううん。妻として。圭ちゃんに少しでも

 人のぬくもりを与えられたらって考えて、こんなことをしてしまいました」

 

魅音、お前…凄いな。

しかも、涙まで浮かべてやがる。

 

知恵先生も、

なんか感化して目をうるましているし。

 

「えぇ、わかっています。園崎さんは優しい人ですから。

 でも、その行為は多くの人に誤解を与えてしまうかもしれません。

 この学校には小さな子たちもいます。

 今後は、なるべく、あぁいった行動は、学校を終えてからにしましょう、ね?」

 

俺と魅音は小さく「はい」と言って頭を下げた。

監督が保健室に来たので、入れ替わりに離れ、ドアを閉めると、

知恵先生の号泣する声が聞こえてきた。

 

-私は、私は、教師失格です!園崎さんが前原くんのケアをしているのを見て…

 

バツがわるくなった俺達は、そそくさと教室へと戻った。

 

[8日目(木):雛見沢分校:昼:前原圭一]

 

ほとんど勉強らしい勉強もせずに、

お昼時間へと突入した。

 

走って持ってきた重箱三段の弁当は、予想を裏切らなかった。

この場合の予想を裏切らないと言うのは、つまり中身は散乱してぐちゃぐちゃに掻き混ざっているという意味だ。

 

「見た目はあれだけど、食べられるから」

 

魅音は、そういうと煮物と漬物が混ざりあってのっかっている

タマゴ焼きをお箸で切って、俺の前に出した。

 

パク。

俺は食べる。甘くて美味い。

 

魅音に食べさせてもらっている俺の姿を見て、

すっかり沙都子は呆れている。

 

「また、魅音さんに食べさせてもらっておりますの?

 本当に、圭一さんはお子様ですのね」

 

しかたが無いだろ、目の前にタマゴ焼きを出されたら

食べるしかないじゃないか。

 

「圭ちゃん。あーん」

 

パク。

さらに魅音が摘まんで目の前に出してきた煮豆を口に入れる。

 

出されたら、食べる。

もう条件反射。パブロフの犬だな。俺。

 

でも目の前で、俺に食べさせて喜んでいる魅音の顏を見ていると、

これで良いかって気分になってしまう。

 

うん。やっぱり犬だな。

色々な意味で。

 

レナが重箱の煮物に手を出してため息をつく。

 

「でも、さすがに今回はやりすぎたよね。

 魅ぃちゃんと、圭一くん、仲が良いのはいいけど、

 少し自重した方が良いかも」

 

梨花ちゃんも同意する。

 

「知恵が、イチャラブを見てショックで倒れるなんて

 今までの、どの世界でも見た事無いのです。

 もう少し、セーブするべきだと思いますよ。みー」

 

確かにその通りだ。

人のイチャラブを見てぶっ倒れるって、

なかなかあるこっちゃない。

 

が。それに対して、当の元凶の魅音は

口をとんがらせて抗議した。

 

「そうはいうけどさ。おじさんもちゃんと考えて圭ちゃんに甘えているんだよ?

 今回だって、階段の裏に隠れてやったしさ。むしろ、覗きにくる皆が悪いんじゃないの?」

 

お前、罪悪感ゼロか。

3みたいな口しやがって。

 

「そういう圭一さんだって、どこか他人事ではございませんの?

 魅音さんの恋人でいらっしゃるのなら、その行動をきちんと教育するのも

 パートナーの勤めではございましてよ?」

 

ぐっ…沙都子に、沙都子に、正論を言われた…!

なんか、沙都子に正論を言われると悔しいぜ。

 

「…圭一さんにそう思われると腹ただしくはございますわね」

 

心を読むな。

エスパーかお前は。

 

とはいえ、俺も言うべきことは、

きちんと言うべきだろうな。

 

「なぁ、魅音。そういえば、お前、『圭ちゃん成分が足りない』

 とか言っていたけど、あれ、なんなんだ?

 あれを抑えれば、今回の悲劇を防げたんじゃないか?」

 

「『圭ちゃん成分』って、何かな?何かな?」

 

おい、なんでレナが身を乗り出してくるんだ。

しかもちょっとカワイイモードが入っているぞ。

 

魅音はコホンと咳をすると

俺達を見渡し、親指を立てる。

 

「圭ちゃん成分っていうのは、

 おじさんに必要な三大欲求のことなんだ。」

「…えっと、なんだそれ?」

「つまり、簡単にいえば、おじさんには

 食欲、睡眠欲、圭ちゃん欲ってのがあって、

 それが足りないと、圭ちゃん成分を補給しなければならないんだよ」

 

「おい、おい、魅音。人間の三大欲求は

 食欲と睡眠欲と…」

 

…性欲。

俺は手で口を閉じると、すかさず沙都子がフォローが入った。

 

「魅音さんの場合は、ゲーム欲だと思いましたわ」

「みー☆今の魅ぃは、ゲームより、圭一欲なのですよ」

 

ナイス援護だぜ沙都子!

俺は沙都子の頭をなでる。

 

レナに視線をうつすと、激しく息をあらげて興奮していた。

「け、け、け、圭ちゃん欲なんだ!魅ぃちゃんには、圭ちゃん欲が必要なんだ!☆はぅ~」

実に楽しげだ。

 

沙都子は俺に頭をなでられつつ、目を三白眼にして口を開く。

 

「想像以上に下らない理由でございますわね。それって、

 つまり、圭一さんに甘えたい。ってことではございませんの?」

 

「沙都子は最近、圭一に甘えられないので、圭一成分が不足しているのですよ☆にぱー」

「り、梨花!余計な事は言わなくてもよろしいのですのよ!」

 

あぁ、そうか。近頃沙都子が少し尖っていたのは

俺の成分が足りなかったのか。よし、よし、今日は念入りに撫でてやろう。

 

「そっか、沙都子。圭一にーにーがいっぱい撫でてあげるぞ☆」

「そ、そんなことをされても、全然嬉しくなんてないんでございますから…!」

 

素直に頭を撫でられているのに、口先だけは威勢がいいな。

おいおいツンデレか沙都子?お前未来に生きてるぜ。

 

それを見ていた魅音が体を寄せてくる。

 

「ね~圭ちゃん。私にもー」

「魅音には、さっき、したばかりだろ…」

 

「したって、どこでかな?どこでかな?どこでやったのかな!」

言葉尻をとらえてレナが鼻息荒く食いついてくる。

 

いやいや、聞かなくてもわかるだろ。そんなこと。

それで知恵先生がぶったおれたんだから。

 

とりあえず、レナは無視して魅音の頭をくしゃくしゃに

撫でてやったが、沙都子につめられた。

 

「まぁ、ともかく。圭一さんも、魅音さんもしばらく

 学校でイチャイチャするのはお止めになるのが吉でございますわね。

 心労がたたって、知恵先生がお倒れになりましたら、雛見沢分校存続の危機でございましてよ」

 

…それはまずい。

この雛見沢分校は、教員は、校長先生が1人、知恵先生1人という構成になっている。

その知恵先生にしたって、教育委員会と相当揉めて来たと聞いている。

 

つまり、知恵先生の代わりに赴任するような教師は、

まずいないって事だ。

 

知恵先生がいなくなったら、廃校の危機まっしぐらだ。

 

魅音の口は3のままだ。

まぁ、心の中では「えーいやだー」ってことなんだろうが、

さすがにこれからは、そういうわけにはいかないだろう。

 

梨花ちゃんが魅音の後に回り頭を撫でる。

 

「魅ぃ。減りに減った圭一成分は、放課後、しっかり分捕ってあげればいいのです。

 圭一をミイラにしちゃうのですよ」

 

いや、なんで、

いつも怖い事を言うんだよ梨花ちゃんは。

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