ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~   作:Java-Lan

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第19話_8日目(木)C「夕餉」

[8日目(木):園崎本家:夕方:前原圭一]

 

野菜を切り刻む音、みそ汁の煮える音。

そして、ご飯の炊ける音。

 

園崎本家の台所では、俺達五人がせわしなく動いていた。

誰がどう動くのか、てきぱきと指図しているのは魅音だ。

 

さすが当主代行だけあって人を動かす術は長けているよな。

俺達は指示に従い、よどみなく作業をしている。

 

「いやぁ、今日はみんな来てくれて助かったよ。

 お手伝いさんが急に休んじゃってさ」

 

「よく言うぜ。手伝わさせる気満々だったんだろ?」

「あはははは、まぁ、今日は美味しい夕飯を御馳走するから」

 

今日は魅音の家で料理を作ろう。

という罰ゲームだったが、その料理の前に大量の買い物と、

広間の掃除と片付けがセットになっていた。

 

さすがに話が違うじゃねーか。

という事になったのだが、魅音は頭を掻いて釈明する。

 

「いや、だから、今日は皆に変な格好もさせないし

 一緒に夕飯取る形にしようかなーって思ってさ」

 

…まぁ、いいか。

 

園崎本家は大きく、親戚一同があつまるため台所も相当大きい。

俺達五人が同時に料理を開始しても悠々と動けるスペースがある。

 

ここで仲間五人と一緒に料理作っていくのは、

キャンプをしているような一体感があってとても楽しい。

 

しかし、予想外だったのが入江監督がいたことだ。

 

「はぁ、いいですね~沙都子ちゃん可愛いですよ」

「あの…監督。邪魔ですので、すこし、どいては頂けませんこと?」

「これは、これは失礼しました~☆はぅ~」

「ハァ…とんだ罰ゲームでございますわ」

 

監督に付きまとわれて肩を落とす沙都子。

 

魅音が言うには、監督はお魎のバァさんの定期健診に来ており、

今日はたまたま、その日だったらしい。

 

せっかくだからということで、監督も夕飯も一緒に食べていくことになった。

 

監督の分も追加で作ることになったが、監督にしてみれば、

台所で『古式ゆかしい日本風メイド「割烹着にエプロン姿」』を

身に着けている沙都子を見るのが一番の幸福だったろう。

 

ちなみに俺は、魅音の指示で食材を切り終えた後、うっかり

「監督はてっきりヨーロッパ風のメイドが一番かと思っていました」

 

と話題をふってしまったために「欧州におけるメイド服の歴史と傾向について」を数十分ほど聞かされるハメになってしまった。

 

だが、そのおかげで沙都子に「監督の注意を引き受けて下さいましてありがとうございましたわ」

と感謝されたので、良しとしよう。

 

「そろそろ、夕飯もできあがるし、

 バッちゃを呼んでくるよ」

 

魅音がそういって台所を出ようとしたので、俺は声をかけて引き留めた。

 

「なに、圭ちゃん?」

「俺も、一緒に行かせ欲しい。お魎のバっちゃにさ、俺…一言伝えたいんだ」

 

「………」魅音は数秒ほど無言で俺の顔を見ると、

一言「来て」と、呟く。

 

俺は魅音の背中を追いかけ、お魎のバアさんの部屋の前に来た。

 

「バっちゃ。夕飯できたよ。あと…圭ちゃんが、バっちゃに話がしたいんだって…」

 

魅音はふすまを開けると中に入り、

お魎のバァさんは上半身をゆっくりとあげる。

 

「圭ちゃん。いいよ。来て…」

 

俺は一礼すると、お魎のバァさんの前に正座をする。

バァさんは俺を見ている。

 

俺は、伝えたかった。

こんな下らない過去を持つ人間であった俺と、魅音との交際を許してくれたことに感謝の言葉を伝えるつもりだった。

 

だが、バァさんの前に出た俺は…声が出なかった。

 

言いたいこと。伝えたいことがいっぱいあるのに。

胸がいっぱいになって、言葉がでず。

 

泣いていた。

自然に涙が零れ落ちてきた。

 

「え、あぁ…圭ちゃん。どうしたの?」

 

そんな俺の姿を目の当たりにして、少し狼狽している魅音に気が付き、

なんとか必死に言葉をしぼりだそうとした。

 

だけれども、

ほんの小さな声がしか出ず…

 

「すいません。俺のような奴との仲を認めてくれて。すいません…」

 

うつむきながら、そういうのが精一杯だった。

それ以上は、口から出なかった。出せなかった。

 

困惑する魅音をよそに、

お魎さんはゆっくりと口をひらいた。

 

「あんな、人間ってのはようけコケよるもんよ」

 

俺は顔をあげた。

お魎さんは泰然としてそこにいた。

 

「コケたらな、立ち上がらなきゃならんよ。

 でもな、世の中にぁ、上手くたちあがれんもんもおる。

 魅音がな。コイツが…コケたら、助けてほしぃんよ」

 

俺は涙を手で拭って、

頭を下げた。

 

「はい、俺は一生、魅音を支えます」

「圭ちゃん…」

 

廊下をパタパタ歩く音が聞こえる。

梨花ちゃんだ。

 

「お魎、夕飯の用意ができましたのですよ」

「おぉ、梨花ちゃま。ようけ、きてくんさったんねぇ」

 

梨花ちゃんは、顔をほころばせたお魎の前にくると、

ちょこんと、その膝の上に座った。

 

「圭一。魅ぃに聞きましたですよ。ボクが圭一を許した事、

 覚えていてくれたのですね」

「え、あぁ…」

 

そうだ。過去に…いつだったか…よく覚えていないけど…

梨花ちゃんに許してもらった。その事を覚えていた。

 

「圭一、ボクも許しました。お魎も許しました。

 だから、何も気がねすることは無いのです。

 魅ぃを、幸せにするのですよ☆にぱー」

 

その言葉を聞いて俺は頷く。

 

そうだ。俺は魅音の夫になるんだ。

今はまだ力も知恵も無いかもしれない。

 

でも、いつか、魅音が辛い時、悲しい時に

支えられる夫に俺は必ずなってやるんだ。

 

「さ、みんな。いこうか。

 夕餉が覚めちゃうよ」

 

魅音に足されて、夕飯を用意した大広間に向かう。

 

大広間に席をつくと食事がはじまった。最初にお魎のバアさんが沙都子に「すまんことしたの」と謝り、沙都子はそれを笑顔で返す一幕があったが、その後は和気あいあいと夕食が楽しんだ。もっとも沙都子はお魎のバァさんに少しびびり気味だったが、それは仕方がないことだろう。

 

「ごちそうさまでした。今日は楽しかったよ!魅ぃちゃん!」

「みー☆沙都子がお魎を怖がっていて、かわいそ。かわいそなのです」

「べ、別に、怖がっていませんわ!梨花、帰りますわよ!」

 

楽しい時間は終わるのも早い。

玄関口でレナと、梨花ちゃんと沙都子に別れを告げる。

監督はというと夕飯を食べると診療所に戻らなければならないと言う事で早々に車で帰っていた。

 

「圭ちゃんは、どうするの?」

「そうだな。家に帰っても誰もいねぇしな」

「じゃ、さ。今夜は泊まらない?」

 

魅音が俺の体にしなだれたので、

心臓の鼓動がひどく高鳴る。

 

おいおい、落ち着けよ。

泊まるだけなら問題無いだろう?

 

「一応、断っておくけどよ」

「なに、圭ちゃん」

「俺の意思で泊まるんだからな。罰ゲームとかじゃないぜ」

「あはははは、わかってるって。すぐにお風呂とお布団用意するね」

 

俺は魅音と腕を組んで180度反転した。

 

 

この時、俺は忘れていた。

ここが鬼の住む家だということに。

 

 

[8日目(木):園崎本家:夜:前原圭一]

 

あ~いいお湯だなぁ

俺は、園崎本家の湯船に肩まで使って良い気分でいた。

 

窓から月が見える。

そういえば、四日前のあの時も月が見えていたっけ。

 

考えてみると、面白いよな。

俺が魅音に付き合いたいと告白してから、

まだ一週間とちょいしかたっていないはずなのに、

 

婚約して、許し合い。語り合い。

そしてここで、お風呂に浸かっている。

 

正直、一家の主になるっていうのが良くわかっていない。

少し、怖いと思うこともある。だが、それが何だってんだ。

俺は、これからずっと魅音と一緒だ。

 

個々が最強、集まれば無敵の部活メンバーの

二人が結婚するんだぜ?

 

俺達をはばめるものなんてあるわけがない!

 

「圭ちゃん、どう?温度足りてる?」

 

魅音の声だ。

 

「おぉ、バッチリだぜ!魅音、お前も入れよ!」

「うん、そうするね」

 

…え?

いや、まて今の冗談だ!

 

ガラガラガラ…!

 

「み、み、み、魅音!?」

 

着替え室のドアが開き、

タオルを巻いた魅音が入ってくる。

 

「あははは?裸だと思った?

 そりゃタオルをつけてくるさ」

 

いやいやいや、そうじゃないだろ!

そのタオルの下は、その、なんだ…!

 

「あ、ちゃんと水着を着ているから大丈夫だよ?」

 

タオルを無造作に広げると、

俺の目にスクール水着が飛び込んできた。

 

「これなら安心でしょ圭ちゃん?」

「い、いやいや、だからって…お、お、俺は裸なんだぞ?」

「へーそうなんだ?じゃあ、圭ちゃんのポーク・ウィンナー見せて貰おうかなあ?」

 

なんだこいつ!?

親父だ!女の顔をした親父がいるぞ!

 

「アハハハ、今頃気が付いたんだ圭ちゃん?

 おじさんは…おじさんなんだよ!」

 

笑いながら、湯船に入り、俺に抱き着いてくる!

なんだこのシチュエーション!?

 

ハーレムお色気学園漫画のシチュエーションなのに、

全然色気もクソもないぞ!?

 

「ふふふ、そういえば、圭ちゃんさ。体、洗った?」

「え?体?いや、そりゃ洗ってからお風呂って入るもんじゃないか?」

「あーそれは残念だね。おじさんの体で洗ってあげようとおもったのに」

 

なんだそれは。

体を洗うではなく、体であらってあげる?

 

「おじさんの体に石鹸をまぶして、スポンジのかわりに、

 圭ちゃんの体でごしごししてあげるっている。まぁ、ロマン的な体の洗い方?」

 

「…それって、手で洗った方が早くないか?」

 

「…そういわれると、そうかもしれないけど。圭ちゃんって、こういうのロマン感じないの?

 てっきり裸エプロンって発想があるから、こういうのもイケるかとおもったんだけどさ。」

 

「すまん。裸エプロンってのは、裸にルーズソックスをつけるべきか、裸であっても眼鏡をはずしてはダメだとか、そういう域の話であって、体をつかってゴシゴシとか俺ちょっとわからない」

 

「えーと、圭ちゃん…おじさん、

 今の例え話、一から十までさっぱりわからないよ」

 

…日本語って難しいぜ。

 

「でも、まぁ、いいや。

 こうして圭ちゃんとお月様を見れるから」

 

魅音は俺の横にくると、肩に頭をのせた。

二人で、お風呂場の窓から月を見る。

 

「圭ちゃん…」

「なんだ魅音?」

「裸エプロンは、さ…二人っきりの時に、ね?」

 

み、魅音の奴ッ!

最高に素敵なシチュエーションで爆弾飛ばしやがった!

ちくしょう、このままだとのぼせちまうかもしれない…

お風呂にも、魅音にも…

 

 

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