ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~   作:Java-Lan

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第23話_9日目(金)C「確定分岐点」

[9日目(金):雛見沢分校:昼:前原圭一]

 

俺と魅音は色々と時間を調整し12時に学校に到着した。

担任の知恵先生に病院に行ったことを報告するため、教室には行かずにまっすぐ教務員室へと向かう。

 

教務員室を開けると、そこには菩薩のような微笑みを称えた知恵先生がいた…

俺達二人はその姿を見た瞬間、若干引いた。

なんだあの笑顔は?本当に知恵先生か?

 

知恵先生は二つの椅子を俺達の前に置くと座るように勧めてきた。

 

「お座りなさい。お二人とも…」

 

俺と魅音はとまどいつつも椅子に座る。

代表して俺が口を開こうとしたが、その前に知恵先生が俺と魅音の手をとりこういった。

 

「良いんですよ…わかっていますから」

 

…どういうことだ?

俺と魅音は困惑気味に顔を見合わせる。

 

「お二人とも、辛い思いをしていたんですね。わかります」

 

え…と、何が?

 

「これは、私の友達の話ですが、似たような話がありました」

 

似たような話って、一体…?

 

「親からは、恋人がいないのかと言われ、

 同僚からは結婚しないのかと言われ、

 同世代の友人から妊娠しないのかと言われる…

 えぇ、そうです。言う方は親切心かもしれませんが大きなお世話です!」

 

あの…先生の友人の話ですよね?

 

「見合いのパンフレットが親から送られてきたり、

 自称『100人のカップルを成立させた』仲人おばさんが連絡よこしたり、

 保険外交員から、女の幸せは結婚だとか告げられたり…

 本当に、精神をすりへらさられる思いですよね!!」

 

その話、先生の友人の話なんですよね!?

 

「人がどういう生き方をしようが関係ないじゃないですか!

 ええ、そりゃ毎年インドにカレー修行に一緒にいってくれる人がいたら

 今すぐにだって結婚しますよ!?だけど、世の中そんなうまくいかないでしょ!

 カレーよりも重要なことが人生にはあるっていうんですか!?」

 

いや、先生の友人の話じゃないんですかコレ!?

 

「だからね。先生は二人に言いたい。

 回りが言う事なんて気にしてはダメ。二人はまだ未成年なんですからね。

 早く子供をつくらないの?なんていう人がいたら、そんな人こそ常識知らずなんです。

 圭一くん、そんな人たちのせいで心を痛めなくていいんですよ…?」

 

知恵先生が生暖かい目で俺達を見つめていた。

その眼差しは確かに慈愛に満ちた物だったけれど、

一体、先生が何を言っているのかはよく分からなかった。

 

俺と魅音は教務員室を出ると、同時に大きく息を吐く。

 

「…魅音、一体、知恵先生は何を言っていたんだ?

 俺、サッパリわからなかったぜ?」

 

「圭ちゃん、きっとあれだよ。監督が知恵先生に診察内容を電話したんだよ。

 だって『早く子供をつくらないの?』って話、今朝、監督以外としたことないし」

 

あぁ、そういうことか。

すると…

 

「え、それじゃあ、知恵先生の頭の中じゃ、俺が自殺未遂したのって、

 バアさんに『早く子供を作れ』って脅されたからってことになってるのか?」

「ん、まぁ、そういうこと…だと思うよ。

 しかも、バッちゃに脅されたって話は、結構信憑性ありそうだし」

 

たしかに、お魎のバアさんに「早く子供をつくらんか!」なんて脅されたら精神をすり減らしそうな気がする。俺は、お魎のバアさんが、そんなに悪い人では無いとは知っているけれど、世間一般的には文字通り「鬼婆」だろうし。

 

「なんてこったい。マジかよ…」

 

瓢箪からコマじゃないけど、

ついた嘘が明後日の方向に飛んでいってる感じがする。

 

やっぱり嘘なんてつくもんじゃないよな。

どこに飛び火するかわかったもんじゃない。

 

「ゴメンね。圭ちゃん…なんか、いろいろと変な感じにしちゃって」

 

魅音が軽く頭を下げた。

無防備なその頭を、俺は軽く撫でる。

 

「なんかさ魅音。お前、最近謝ってばっかだな…」

「…え?」

「俺さ、魅音の悲しい顏より、明るい顏を見る方が好きだぜ?」

 

ここ最近、園崎家絡みで、魅音が俺に謝ることが多い。

俺は大したことは無いと思っているけど、魅音にとってみれば、俺にひどい目をあわせたという負い目があるんだろうな。

 

らしくない。とは言わない。

それも、魅音の一面だ。詩音に言わせれば「ヘタレ」ということだろうけど、俺はそんな一面を持つ魅音が好きだ。

 

だから、こう言おう。

 

「だからさ『ゴメン』じゃなくて『ありがとう』って言ってくれると嬉しいぜ?

 そっちの方が、明るい魅音が見れるから、さ」

「圭ちゃん…」

 

すまなそうな顏をしていた魅音は、

少し顔を赤らめると、一呼吸おいて微笑んだ。

 

「うん…私のために色々ありがとうね。圭ちゃん」

 

微笑んだ魅音は愛らしくてカワイイい。

 

うん。やっぱり魅音には笑顔が一番似合う。

くっそ、ここが教務員室前じゃなかったら抱きしめてやるのに。

 

[9日目(金):雛見沢分校教室:昼:前原圭一]

 

俺と魅音が教室に入ると、レナ、梨花ちゃん、沙都子と、もう一人…詩音が待ち受けていた。

 

「ヤッホー☆お姉元気?婚約者と一緒に重役出勤だなんてやるー!」

「詩音!?平日のお昼時間に、なんでいるのさ!」

「そりゃ、沙都子がいるからに決まっているからじゃないですか!

 沙都子のいるところに詩音ねーねー有りってね☆」

 

詩音の手には大きな包みが握られている。

おそらく、その中には沙都子のためのスペシャルなカボチャ料理が入っているんだろうな。

本当に愛されているぜ沙都子。 

 

「ところで…」

 

詩音は魅音に近づくと、鼻をひくつかせて腕を組む。

何やら考え事をしはじめた。

 

「お姉から圭ちゃんの匂いがするんですけど…何かしてました?」

「ふぎゃ!?」

 

明らかに挙動不審になる魅音。

視線が縦横無尽に動き、誰が見たってなにかやっていたとわかる動きだ!

 

「う、嘘でしょ!?」

「はい。嘘です!…でも、マヌケは見つかったようですね☆」

「うぎゃああああ!!!」

 

あ、やられた。

見事に誘導されちまった。

 

さすが詩音だぜ、魅音をおちょくることに関しては世界一だ…

 

「で、午前中は二人で何をしたんですか?」

「してない!してない!なにもしてない!圭ちゃんも、ほらッ!なんか言って!」

「でもしてたんですよね?圭ちゃん☆」

 

「あ、うん…」

 

しまった!?つられて思わず返事をしちまった!

俺もひっかかっちまうなんて!?

 

「そこは否定しなきゃダメだなところでしょ圭ちゃんッ!!!!」

 

でも、魅音が慌てるさまが面白い。

これはこれで有りかもしれない。

 

席に座っている沙都子と梨花ちゃんとレナが、

笑いながら、早くお昼をとろうと催促する。

 

「皆さん。おたわむれになるのもよろしいですが、

 早く食べないとお昼がおわってしまいますわよ?」

「みー☆食べる時間がなくなるのです」

 

「あはははは!ほら、魅ぃちゃんも、圭一くんも、早くたべよっ」

 

詩音に対して噛みつかんばかりに、唸り声をあげている魅音をなだめて

俺達は席についた。

 

今日は病院に行くということで、魅音のお弁当はいつもより少なく重箱一段だったが、

その代わりに詩音のスペシャルなカボチャ料理が眼前にひろがっていた。

 

カボチャのソテー

ガボチャのハンバーグ

カボチャのグラタン

カボチャのサラダ

カボチャの煮物

カボチャの和え物。

エトセトラ、エトセトラ…

 

「沙都子のために、いっぱいつくってきましたよー☆

 さ、沙都子、食べて食べて!」

 

満面の笑みで詩音は料理を並べている。

名前が違うだけで中身が一緒っぽいのもあったが、総量でいえば相当なものだ。

 

しかも…沙都子は嫌がってはいるが…これがかなり美味しい。

俺はすかさず、カボチャの煮物に手を出す。

 

「おっと沙都子、食べないのなら俺が頂くぜ?」

 

レナも箸を進める。

「詩ぃちゃんの料理おいしそうだよね☆おいしそうだよね☆」

 

梨花ちゃんも、魅音も遠慮はしない。

いつもどおり、争奪戦が繰り広げられる…はずだったが。

沙都子が動かない。

 

「どうした?お前が喰わないなら俺達が全部くっちまうぜ?」

 

いつもの挑発。こうすることで、沙都子はムキになっていつもは食べ始めるのだが…

どうしたことか、沙都子は詩音のカボチャ料理を見つめて何か思いふけっているようだった。

 

「どうしたの沙都子ちゃん。どこか体が悪いの?」

 

レナが声をかけると、沙都子は顏をあげて、にっこりと微笑んだ。

 

「いえ、あまりにも幸せで、楽しくて…もったいない気がしまして」

 

…沙都子。

 

沙都子は、去年実の兄貴が失踪し、イジメていた叔母が死ぬという体験をした。

そして、今年は北条鉄平というヤクザ者に軟禁状態にされていた。

それを俺達は何とか奪い返すことには成功したが、沙都子の心には大きな傷があるのは間違いなかった。

 

「本当に、皆さんと一緒にいれて…この雛見沢で生きてこれて良かったと思いますわ。

 私なんかのために、このような料理をつくってくれて…詩ぃねーねー…本当にありがとう」

 

それなのに、沙都子はこの雛見沢にいるのが幸せだと言う。

その言葉は、沙都子の仲間であり、家族であると思う俺達にとって、この上もない嬉しい言葉だった。

 

「沙都子…嬉しい!ねーねー嬉しい!食べてッ!いっぱいたべて!!

 私、沙都子のために、いっぱい、いっぱい頑張るからっ!」

 

沙都子に抱き着くと、次から次へと、沙都子の口にカボチャ料理を詰め込んでいく!

沙都子の言葉が嬉しいのはわかるが、さすがに詩音はやりすぎだ!

 

「い、いやぁああ!!だから、詩音さんには、

 あまり感謝の言葉を伝えたくないんでございますのよ!がぶぶぶぶ!!」

 

俺達は詩音に愛される沙都子の姿に笑った。

 

確かに、俺も雛見沢にきて楽しい時間を過ごしている。

レナも、梨花ちゃんも、そして魅音も。

 

みんなが、みんな、ここでは毎日、楽しく、幸せに生きている。

 

「そうですわね。きっと、この雛見沢には幸せになる魔法がかけられ…

 って、話している途中で口に入れないでくだ…ガボッ!!」

 

何が言いたいかは分かるぞ沙都子!

この雛見沢には皆が幸せになる魔法がかけられているんだって言いたいんだろう?

だからしっかりと、良く噛んで食べるんだ!

 

「強い想いは、運命を確定させるのです」

 

今のは梨花ちゃんか?

俺達は梨花ちゃんに視線をうつした。

 

梨花ちゃんは語る。

 

「この雛見沢が、沙都子にとって幸せで、皆にとって楽しい場所であるのなら…それは皆が強く望んだ結果なのですよ」

 

強い想いは、運命を確定させるか。

梨花ちゃんは良いことをいうよな。

 

「だとしたら…」

 

沙都子は、詩音の魔の手から逃れて、

梨花ちゃんの後ろに回り込むと両手で抱きしめた。

 

「私はこの雛見沢で梨花と…皆さんと一緒に、いつまでも楽しい日々を過ごせますわよね」

「もちろんです。沙都子とボクはずっと一緒ですよ。いつまでも、いつまでも☆にぱー」

「そうですとも、物語の最後は、いつだってハッピーエンドと決まっておりますわ」

 

さらに沙都子の後ろに詩音が回り込んで抱きしめる。

 

「もちろん、私も一緒ですよ沙都子☆ねーねーもずーと一緒にいますからね」

 

その様相はまるで、ダンゴが三つくっつているかのようだ。

さしずめ団子三兄弟、三姉妹ってところかな。

 

そういうと魅音が爆笑した。

「アハハハ、面白い事いうね。圭ちゃん。うん。きっと流行るよ、そのフレーズ!」

「だんご三兄弟の言葉のどこに流行する要素があるってんだよ…」

たまにわけの分からないことをいうな魅音も。

 

「しかし、強い想いが運命を確定するって言うんならさ…

圭ちゃんっておじさんのこと大好き人間だから、何度生まれ変わっても、絶対に一緒になる運命だってことだよね!」

 

魅音のやつ…

皆の前で、よくもまぁ、そんなに自信満々に言ってくれるもんだぜ。

俺の方が、なんだか恥ずかしくなってきちまった。

 

「アハハハ!だって事実じゃん。告白したの圭ちゃんだし!」

 

ん?待て、そうだったか?

 

「たしか最初に告白したのは魅音じゃないか?

 もしも、告白したらOKしてくれる?とか何とか言ってだろ?」

 

「そ、それはIF!もしも!の話、そんなこと言うだったら、産まれてくる子供に『お父さんは雛見沢に引っ越してきたときからお母さんのことが好きだった』って、嘘つくからね!」

 

おいおい、子供に嘘をつくな。嘘を。

でも、まぁ、それでもいいけどさ。

 

「ふぇ?いいって…」

「いや、だからさ。引っ越した時から好きだったって…それでいいってこと」

「圭ちゃん…引っ越してきたときから、おじさんのこと…好きだったの?」

 

おい!それはお前の嘘だろ!

なに、信じてるんだ!

 

…あはははは!

ほら、レナが笑い出したぞ!

 

「そういえば、圭一くん。最初の頃に、魅ぃちゃんのこと『可愛い、可愛い』っていっていたけど、じゃあ、あの時から、魅ぃちゃんのこと、好きだったんだ!」

 

え?いや、そっちの話かよ!

確かに、最初の頃そんなこといっていたが…

 

「あれはだなレナ…」

「まさか、圭一さん。単なるイタズラ心で、魅音さんをからかうのが楽しかった!

 …とか言うつもりではありませんわよね?」

 

俺が否定する直前に

沙都子がニヤリと笑って牽制してきた。

 

魅音が悲しそうな顔をしてこっちを見ている。

「そうなの圭ちゃん…?」

 

…うっ。

そういう顏で見られたら、そんなことは言えないじゃないか。

 

「そんなわけ…ないだろ沙都子。

 俺はあの時から、その…魅音の事が可愛くて仕方が無かったってだけさ!」

 

よし!嘘は言っていないな!ギリギリの着地点だ!

 

「そっか…その時から、おじさんの事が好きだったんだ。嬉しい圭ちゃん…えへへへ…」

「ま、まぁな」

 

満面の笑みで魅音が俺の体にしなだれる。

 

「普段、あんなこと全然言われたことがなかったから、さ…

 おじさん、圭ちゃんの言葉にすっごくドキドキしたんだよ…」

「お、おう」

なんか罪悪感が湧いてくるぞ。

 

なぜかレナも大満足の表情をしている。

 

「あの時、レナ、圭ちゃんのこと『やりすぎ』って怒ったけど、本当に好きで、そう言っていたんだね。ゴメンね、圭ちゃん!」

 

レナ、お前、めちゃくちゃ喜んでいるけどさ…

あの時俺が魅音を単にからかいたくてやったのわかっていただろう?

都合よく記憶、捏造していないか?

 

「それじゃさ、俺から魅音に聞きたいことがあるんだけど」

「ん?何?圭ちゃん」

「魅音は、いつ俺を好きになったんだ?」

「!?!!?!?!!?!!?」

 

顔を真っ赤にして、なんか腕をめちゃくちゃに動かしているぞ…

なんというわかりやすい狼狽をみせてくれるんだ魅音。

 

レナが笑っている。

「アハハハハ。魅ぃちゃんはねー」

「だ、ダメぇ!!!レナ!!言ったらダメ!言ったら絶交だからね!!」

「えーでも、言いたいなぁ~きっと圭一くん喜ぶと思うよ~」

「だめえええ!!!レナ!!!詩音みたいなこと言わないのっ!!」

 

「ほほう。レナさん。私も聞きたいですね?一体いつなんですかソレって?」

 

「ダメ―!!!!詩音帰れー!!!」

「やですー☆アハハハハ!!!」

 

「はぅ~☆魅ぃちゃん可愛い~!」

「うぎゃー!お前らー覚えてろー!!!!」

 

おいおい…

あれだけキスなりなんなりしているってのに、いまさらいつ好きになったかで揉めるのか?

面白すぎだろ、お前ら…なんか、沙都子が白い目で俺達を見ているし…

 

「なんだか、圭一さんと魅音さんを見ていると、

 運命が確定しているというよりたまたま偶然一緒になった。って感じがしますわ」

 

…うっ。沙都子の言葉に言い返せない。

確かに、あの時、ロッカーに入るという罰ゲームが無ければ、もしかしたら告白していなかったのかもしれない。そう思うと、これは確かに奇跡なのかもしれないが…

 

いや、それは違う!確率とか、そういう話じゃない!

 

「沙都子それは根本的な勘違いをしているぜ!」

「何がですの?」

「例え確率がなんだろうが、今、俺達は付き合っている事実にはかわりはない!」

 

つまり、俺と魅音が付き合う確率はこの世界では100%と言う事なんだ!

 

「そうだよね…うん、そうだよ…

 圭ちゃんとおじさんは…エヘヘヘヘ…絶対だよね」

魅音が頬を緩ませて、ゆるキャラみたいな顏で俺を見ている。

 

そうさ!不確定な運命がどうだろうと知った事では無い!

 

俺のいるこの世界では、俺は魅音と確かに付き合っている!

その事実はかわらないし、変えられない!

だからこそ言える!俺は魅音と付き合う確率は100%!

 

沙都子よ、詭弁だとわらえばわらえ!

これが前原圭一の算術だぜ!

 

「…まぁ、その通りでございますわね」

 

…え?意外な返事だな。

てっきり、沙都子のことだから「何をいっているんですございますの?」

ぐらいのツッコミが入るとおもったが…

 

「おーほほほっ!圭一さん。他の世界でどのような選択があったとしても、私たちのいる世界こそが全てではございませんこと?違う運命をたどった世界がどうなっているかは知る由もございませんが、私たちは、今、全力でハッピーに生きておりますのよ?なら、それでよろしいではございませんか」

 

そうだな。確かに沙都子の言う通りだ。

例えどのような選択肢があったとしても、俺達が生きているのは無数の選択肢の中から生み出された「今」この世界なんだ。

 

詩音も口を開く。

「歴史にIFは無いって言いますけど、逆にいえば前向きに生きて行こうってことでもありますよね?後ろばかり見て、『ああすればよかった』『こうすればよかった』なんて思うのは健全ではないと思います。私達は未来に生きていているんですから」

 

レナも同意する。

「だよね!だよね!私達、皆誰もが色々な過去を経験してきていると思うけど、それも今日の幸せのためだと思えば、きっとそれは、どんな辛くても良い経験だったって思えるんじゃないかな?私はそう思うよ!」

 

魅音も頷く

「そうそう。大事なのは今だよ!圭ちゃんと付き合えない世界があるとしたら、その魅音はすっごく損をしていると思うし、そんな世界には、おじさん、行きたく無いもん!そう思えば、圭ちゃんと付き合うきっかけになったロッカーに閉じ込められた罰ゲームには感謝しかないよ」

 

そういえばロッカーに入る罰ゲーム。

あれって結局、誰が考えたんだろう?

 

梨花ちゃんに頬をすりすりしていた沙都子が、憮然として口を開いた。

 

「圭一さんも、つまらないことをいつまでも考えておいでですわね?誰だって良いではございませんか。そのおかげで魅音さんとラブラブな生活をおくれているんですから。ねー梨花?」

「そうなのです。きっと、圭一と魅ぃが、あまりにも進展が無いので、神様が二人にきっかけをつくってくれたんだと思いますよ☆にぱー」

 

まぁ確かに。

今となっては誰が考え付いたかなんて、どうでも良い事か。

 

しかし、沙都子。

お前は要所要所で、何気なく良い事を言うよな。

 

「おーほほほほ!圭一さん、ようやくお気ずきになりましたの?料理だけではなく、

 人生にもふがない圭一さんのために、私、結構フォローしてさしあげておりますのよ!」

「サンキューな沙都子!

 いつもにーにーは、お前に助けられているぜ!」

 

俺は沙都子の頭をくしゃくしゃになでる。

「なでるなら、もう少しやさしくなさいませ!」と猛抗議する姿を見て、俺は笑う。皆も笑う。

 

そうだよな。沙都子だけじゃない。

レナにも、梨花ちゃんにも、詩音にも、そして、魅音にも。

俺は、助けられ、支えられ、導いてもらっている。

この部活メンバーは、本当に最高だ。

 

「そして魅音、本当にお前と出会えて良かったぜ。ありがとうな」

「ふぇっ!?あ、アハハハ…こっちこそ…その…あり…アハハハ!もう圭ちゃんったらさ!

 不意打ちはダメだって!」

 

そして、その最高の1人が、俺の嫁なんだ。

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