ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~   作:Java-Lan

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第4話__2日目(金)B「無許可の許可」

[2日目(金):通学路:放課後:前原圭一]

 

一位の俺が、最下位の魅音にどんな罰ゲームを下すのか。

部活メンバー達は興味津々で俺達二人を見ている。

 

皆が何を俺達に、いや、俺に期待しているのかは分かっている。

わかってはいる…が!

 

正直、いくら仲間だからって、

皆の前で何かやろうと思う気力はわかない。

 

なので俺は、

「今日は、魅音と二人で帰る。その途中で、その…魅音に頼む!」

と宣言した。

 

反発があると思ったが、意外にも沙都子以外には反対する者はいなかった。

「なんでですのー!」と暴れる沙都子の口をレナと梨花ちゃんが塞ぎ、

 

「いいよ☆いいよ☆二人で帰るといいと思うよ☆はぅー!」

「二人で仲良く帰ると良いのです☆にぱー!」

 

と、見たことも無いような眩しい笑顔で校門まで送ってくれた。

 

一体何だったんだ?俺の考えすぎだったのか?

いや、逆か。何か考えがあっての事なのか?

 

わからない。

この世は不思議と謎で満ち溢れている…

 

魅音と二人で歩きながら、

そんな限りなくどうでも良い事で思索していると、

魅音が体を寄せていることに気が付いた。

 

「魅音?」

 

顔を見ると恥ずかしそうに紅潮させている。

可愛い。と、思った。

 

さっきも天使のようだと思ったが

魅音は、こんなに可愛かったっけ?

 

…可愛かったんだろうな。

 

それを今まで俺は気づけなかった。

だが、今は気が付いている。それは大きな違いだ。

 

青い鳥は身近にいるとはよく言ったもんだぜ。

 

周囲を見るとここは農道のど真ん中で人はいない。

草むらが幾つかあるぐらいだ。

 

俺達の後方にある草むらが、

風も無いのに何故か揺れているが、それは気にしないことにしよう。

 

ふと、気が付いた。

手の甲と手の甲があたっている。いや、触れている。

もちろん自然じゃない、これは間違いなく魅音のアプローチだ!

 

前原圭一!このアプローチを見逃すなんてことありえるのか?

いや、無い!

男ならこのアプローチを肯定するべきなのだ!

 

俺は視線を前に向けると、手をつないだ。

魅音の体が、ビクッと、軽く身を震わせる。

 

俺は、そしらぬふりをしてそのまま歩き続ける。

お互いに無言だ。

 

この沈黙は嫌いじゃないが問題がある。

 

ドキン、ドキン、ドキン…

 

…俺の胸の鼓動がうるさくてたまらない。

落ち着けよ前原圭一。魅音と一緒に帰っているだけだろ?

そんなに激しく心臓を動かしてどうするってんだ。

 

精神を集中しろ!別なことを考えるんだ!

 

その時、昨夜に詩音の言葉を思い出す。

<定期的に好きだって言わないとダメだからね>

 

好きだって言う?簡単じゃねぇか。

昨日沙都子の前で、あれだけ魅音を好きだって言ったんだぜ?

今朝だって、クールに「女の子っぽい魅音は好きだぜ」って言ったばかりじゃないか。

たった一言、二言、言うなんてわけが無いさ。

 

あぁ、言ってやるよ。魅音によ「好き」だって。

そしたら、きっと驚くだろうよ。そして、少しはにかんだ笑顔で答えるはずさ。

 

うんうん。そう。楽勝だぜ。

さぁ、言うんだ前原圭一、魅音に好きだって!

 

「あ、うぁ…」

 

声が、出ない。

上ずってる。なんだこれ。本当に俺の口かよ。

 

ほら、どうしたのか気になって

魅音が見ているじゃないか。

 

「圭ちゃん、どうしたの。大丈夫?」

「…うん」

 

うん、ってなんだよ!もっと気の利いた言葉をかけろよ!

ほら、いつもの軽口で、

-なんでもねぇぜ魅音!お前がちょっとまぶしかっただけさ!-

…とか言えるだろ?言えないか?言った事無いか?

 

オチツケ俺、コンナノ何デモナイ

 

「昨日、さ…詩音から聞いた」

「え、あ…うん…」

 

魅音から声をかけてくれたせいか、落ち着いてきた。

…てか、聞いたって?詩音に話を?昨夜のか?

 

「…えっと、録音?」

「うん…圭ちゃんが、私と詩音の見分けがつくんだって話を聞いて…嬉しかった」

 

そういえば親族でさえ見分けがつかないとか、詩音は語っていた。

そのせいで「重度のお姉マニア」とか言われたんだよな。

 

「それなのに、圭ちゃんは私を見分けてくれた。

 つまり、それって、その…肉親以上ってことだよね」

「魅音…」

 

「私と詩音は同じもの。でも、同時に別のものでもある。

 詩音は魅音で、魅音は詩音、でも個性があるんだ。それがわかってくれる人がいるって、

 きっと、とても幸せなことだとおもう。だから…」

 

「バカだな。魅音は魅音だろ?心配するな、いつでもお前を探し出してやるよ」

 

そういって、俺は手をつないでいない方の手で、魅音の頭をくしゃくしゃになで回した。

魅音のはにかんだ笑顔が見える。予定とは違ったが、結果オーライだろう。

 

そして俺は魅音と見つめ合った。

 

「…そういえば魅音、今日の罰ゲーム、まだだったよな」

「うん、そうだね」

 

魅音が何かを期待するような目を俺を見ている。

その期待の意味は、俺もわかってるぜ魅音。

 

キスしても、いいか魅音?

…と、言おうとしたが、止めた。

 

それだとキスが罰ゲームみたいじゃないか。

俺は魅音が好きでキスをするんだ。罰ゲームなんかじゃない。

 

視線を外し、

少し悩んでから口を開いた。

 

「どうしたの?何でも言ってよ。圭ちゃん」

「…うん。それじゃあ

 今後は魅音の許可を取らずにキスをする。それでさ、いいかな?」

 

「え?あっ…許可ぁ?」

 

予想外の答えだったようで、素っ頓狂な顏で驚いている。

なかなか面白い顏だぞ魅音。

 

「思ったんだけどさ。キスするときに、ほら、一々『キスしてもいい?』とか聞くのもなんだか、野暮かなって思ってさ。恋人同士なんだから、そういうのは無しにして、その、良い感じになったらするってのは…さ、どうかな…?」

 

むしろ、恋人同士だからこそ、聞くのが良いのかもしれないけれど、正直そのへんの塩梅はよくわからない。だからこその提案だったんだが…駄目なら取り下げるだけだ。

そんなに重要な事でもないし、魅音に怒られなきゃそれでいいさ。

 

ん?それじゃ、罰ゲームにならない気がするぞ?…でも、まぁいいか。

 

「アハハハハハ、圭ちゃんって本当に面白いね!いいよ!いいよ!好きな時にキスしてくれて!」

「お、本当か?いやぁ、よかったぜ!聞くのって結構、心理的にくるからさ」

 

「あ!ただ、時と場所と状況によって、拒否することもあるから。

 それだけは肝に銘じてもらえればいいかな?それ以外の時になら、うん。いいよ…」

 

「おぅ、わかったぜ!魅音が嫌がる時はしない。これでいいだろう」

 

そして顔を近づける。

 

「圭ちゃん…」

「あぁ、分かってる」

 

俺と魅音は、風も吹いていないのに何故か草木が揺れている草むらに手を伸ばすと、

中にいたナニカシラの襟首を掴んで持ち上げた。

 

「梨花ちゃん、何をしているのかな?」

「梨花ちゃんじゃないのです。ネコさんなのです☆にゃー☆にゃー」

 

無理があるにも限度があるだろう梨花ちゃん!

梨花ちゃんがいるということは、沙都子もいるはずだが。

 

見つからない。

 

もしかして一人だけでついてきたのか?

それともどこかでトラップをしかけているとか?

 

しばらく周囲を見ていると、草むらの一角が動きはじめ、垂直に伸びた。

いや、伸びたんじゃない。草で完璧にカモフラージュした沙都子が立ち上がったのだ。

 

なんて奴だ沙都子。まるで気が付かなかった。

お前なら本当に自衛隊にも勝てるんじゃないか?

 

その沙都子といえば、迷彩を外して体の埃を叩き落とすと

捕まっている梨花ちゃんの姿を見て、あきれ顔だ。

 

「だから止めろと申しましたのに。

 梨花はそれほど魅音さんと圭一さんの逢引きをご覧になりたかったのですの?」

「にぱー☆猫ちゃんなので何もわからないのです☆にゃー☆にゃー」

 

学校の方から、駆け足でレナがやってくるのが見える。

どうやら、梨花ちゃんと沙都子が俺達を追跡していったのに気が付いて、とんできたらしい。

 

「んもう!梨花ちゃんも、沙都子ちゃんも邪魔したらダメだよ。馬に蹴られちゃうよ!蹴られちゃうよ!」

 

俺は、梨花ちゃんをそっとレナに引き渡す。

 

「お持ち帰りしていいぞレナ」

「み、みぃ~!?」

「ほ、ほ、本当にぃ!?お持ち帰りなんだよ!圭一くんが許してくれたんだよ!!☆はぅ~!☆お持ち帰りぃ!!!!!」

 

欲望の赴くままに梨花ちゃんを頬ずりするレナ。

まぁ、沙都子も一緒にレナについていくようなのでひどい事にはならんだろう。

 

責任をもって梨花を家まで送りますわ。とは沙都子の言。

頼もしいぞ沙都子。やっぱり、お前がナンバーワンだ。

 

「ふぅ~やれやれだぜ。これでようやく静かになったな」

「アハハハ、いやぁ~梨花ちゃんも好きだね。こういうの」

「お、でも、逆の立場なら魅音も同じように追跡していたんじゃないか」

「クククク…それは否定できないね!おじさんも、気になったら見たいタイプだし」

 

魅音と顔を合わせて笑う。

とても楽しかった。そしてみんなと一緒にいることが嬉しかった。

 

そして笑い静まると、そっと顔を近づけ。

影を混じらわせた。

 

好きだ。とこの時ちゃんと言えたかは、少し自信が無い。

 

[2日目(金):興宮詩音宅:夜:園崎詩音]

 

電話がかかってきた。お姉だ。

さて、今日はどんな話を聞けるのやら。

 

「はぁ~い。お姉、どうだった?」

「えへへへ、上手く行ったよ。ありがとうね詩音」

 

ふむふむ。わざと圭ちゃんに負けて、言いなりになる作戦。

ヘタレのお姉にはピッタリだったみたい。

 

圭ちゃんの甲斐性の無さだけが、ちょっぴり心配だったけど…

よくやってくれたみたいで安心した。

 

奥手なお姉を持つと苦労するわ。本当。

 

「それで、今日はどのくらいまでいったの?」

「帰り道なんだけどさぁ、キス、しちゃって…エヘヘヘ…」

「ほほう。それはそれは、ごちそうさま!で、ちゃんと『好き』って言ってもらえました?」

「えっ…と」

「ん?そこ、悩むところ?」

「いや、あはははは…キスしているときに、頭ましっろになって、よく覚えていないんだよね」

 

はぁ~。まったくお姉は、二回目なんだから

もっとしっかりすればいいのに。

 

「で、で、でも、朝はちゃんと言ってもらえたから!」

「ふーん。本当にぃ?」

「本当だって!信じなよ!」

「…ま、いいや。そういえば、ばっちゃに報告はしたわけ?」

「へっ…?ばっちゃに報告?」

 

待て待て、おねぇ。

アンタ自分の立場をわかっているのか?

 

「えっと、お姉…次期当主の自覚。ある?」

「なんだよ。藪から棒に!イヤだけどさ、あるよ!」

「その次期当主様がよ。殿方と付き合うってことは…これ大変な問題なわけよ」

「え?え?でも、ほら、婚約者とか、そういうんじゃないし…」

 

甘い!甘すぎる!

あの園崎お魎のバァさんが、何も口を出さないと思っているのか!

 

「あのね。お姉。もし、バっちゃが圭ちゃんのことを『あんな若者すっだらしらん!当主としての気構えがたらん!』なんてことを言ったら、これは大事よ?あっという間に引き裂かれるって!」

「えーー!!やだやだやだ!圭ちゃんとわかれるなんてヤダ!」

「だからよ。先じて、お姉の方から言わないと!」

「…バっちゃ、許してくれるかな?」

「大丈夫じゃない?ほら、先日の沙都子の件で、バっちゃも、お母さんも圭ちゃんのことを気に入っているようだし」

 

沙都子の件というのは、親権者である沙都子の叔父・北条鉄平に沙都子が連れ去られ、虐待を受けていた所を圭ちゃんが助けた話だ。

この時の圭ちゃんの活躍はすさまじかった。

 

かつて、この村で起きていたダム闘争。村中がダム建設を反対していた時期に、

雛見沢ダム建設の賛成派を形成して、主流の反対派にケンカを売った者達がいた。

 

北条沙都子の両親は、その反対派の首謀者として活動していたために、ほとんど村八分のような状態になっていた。

そのため、北条沙都子の両親が落下事故で死に、叔父に引き取られ、ひどい虐待を受けていたが村人たちは全員見て見ぬふりをしていた。

 

北条家の一族の者は苦しめられても仕方がない。

だけど圭ちゃんは、そんな空気が蔓延している中で、クラスメイトや村の人々、そして旧鬼ヶ淵死守同盟の幹部を説得し、最終的には雛見沢の最高権力者である、お魎のバァさんでさえ説き伏せ、沙都子を救う事に成功した。

 

この一件で、圭ちゃんは、お魎のバァさんに相当、気に入られているとか。

お魎のバァさんの側近で、うちらの母・園崎茜がそう言っているのだから間違いは無い。

そういえば、あの時も確か母さんは圭ちゃんを捕まえておけ的なことも言ってたっけ?

 

「…うん」

「それに、バっちゃに許可を貰えば、父さんも何も言えなくなるしね」

「アチャ~…そっちもあったか」

 

祖母のお魎のバァさんも問題だけど、父の方もさらに問題。

なにしろヤクザの親分なのだ。圭ちゃんが気に入らなければ簀巻きにして鬼ヶ淵沼に放り投げても不思議じゃない。

だが、それもバァさんに許可をもらえば丸くおさまるはず。父はお魎のバァさんには逆らえないのだ。

 

「というわけで、四方八方丸く収めるために、バっちゃに報告ね!」

「ありがとう詩音!本当に助かる!感謝する!」

「うん。いいって。お姉ならさ、私の場合と違って問題無いと思うしね」

「…詩音」

「あ、ごめん。湿っぽい話は無し!もう切るね。お休み!」

 

お姉が何か言う前に電話を切る。

ハァ~、失言。

 

去年を思い出して、憂鬱な気分になっちゃった。

みんなが、あえて気遣って言わなかったのに、当の自分からふるだなんて。

ダメだな。私。

 

いびつに曲がった三枚の指をなでる。

そういえば、剥いだ爪って時間が立てば綺麗になおるものなんだろうか?

 

あの時は、本当につらかったな。爪三枚だもん。途中で意識を失ったっけ。

そういえば、お姉も爪を…

 

まぁ多少歪んでいたとしても圭ちゃんなら気にしないか。

良くも悪くも、そういう所あるしね。




トピック: [ 北条沙都子の救出 ]
※トピックでは「ひぐらしのなく頃に」のネタバレが含まれます※

「皆殺し編」で発生する予定の沙都子救出は、本作では物語前に発生したことになっています。
本作では、様々なイベントの前後が入れ替わっていますのでご了承ください。

なお、本作は「ひぐらしのなく頃に」というよりも「業」の二次創作であるため、必ずしも、オリジナルの「ひぐらしのなく頃に」のイベントを踏襲しているものではありません。
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