ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~   作:Java-Lan

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ex.大学生・綿流し祭

[昭和××年・綿流し祭:古手神社:夕方:前原圭一]

 

今年も綿流しの祭の日がやってきた。

あれから様々な出来事がおきたものの、昭和58年の雛見沢襲撃事件以降は例年通り、六月末に祭りは行われていた。

 

この場には、俺とレナと梨花ちゃんがいる。

 

屋台が立ち並ぶ屋台とを見て、レナが嬉しそうに手を叩く。

「今年も、お祭りにこれてよかったね☆よかったね☆」

 

梨花ちゃんも服をひるがえして、喜びを表している。

「今年も盛大なお祭りなのですよ。魅ぃがいないのが残念なのです」

 

沙都子の声も俺の耳に聞こえてくる。

「まったく、魅音さんも雛見沢御三家の次期当主なのですから、綿流しの祭りぐらい戻ってくるべきですわね」

 

沙都子は結構手厳しい事をいうな。

俺は梨花ちゃんの頭を撫でる

 

「まぁ、魅音も大学で色々と忙しくてなかなか帰ってこれないんだろう」

 

そうは言ったが、実は魅音は大学へ行った後も、土日は雛見沢に戻り

俺と一緒に過ごすのが習慣となっていった。

 

土曜日の何時に来るかは未定だが、どんなに遅くても特に用事がない場合は

俺の家に泊まりにくるのが通例だ。

 

ちなみに、両親も気をきかせて、土日は外に出ていることが事が多い。

 

つい先週も魅音は土曜日の夕方ごろに俺の家「前原屋敷」に泊まりにやってきた。

 

「圭ちゃ~ん♥♥♥」

 

語尾にハートマークを三つほどつけた魅音は、ドアの前にいた俺に勢いよく抱き着く。

それを正面からだきかかえた俺は、3.4周ほどくるくる回した後に静かに降ろして2.3回ほどキスをした。

 

「待っていたぜ魅音」

「うん、うん。早く入ろう」

 

魅音の腰に手を回して、家に入る。

そのまま、部屋にお持ち帰りすると、魅音はすでに敷かれていた俺の布団にダイブした。

 

「いやいや、これだよ!これ!

 はぁ~圭ちゃんの匂いが染みついた布団。

 おじさん、本当に感動だよ」

 

俺は苦笑すると、魅音の横に座る。

 

「大学は、どうだ魅音?

 勉強にはついていけているか?」

 

「うん。大丈夫だよ圭ちゃん。電話でも何度も話たけど、向こうでも友達できたしね。

 なんか、小難しい話を聞いて、論文?なんか書かなきゃいけないみたいだけど、

 まぁ、なんとかやっていけてる」

 

そうか。それはよかったぜ。電話でも言っていたもんな。

そりゃ、魅音なら大学で友達なんて何人でもできるだろうぜ。

魅音はコミニケーション能力が高いから。

 

女や、その…男との友達なんかも…

 

「クククク、圭ちゃん、何を考えているの?」

 

魅音がいやらしい笑みを浮かべて俺の顔を見ている。

言わなくてもわかるくせに、わざわざそう聞いてくる。

 

全く、意地悪なヤツだぜ。

 

「…戻ってくるたびに、垢ぬけて洗練されていく妻に対する

 夫の複雑な気持ちを答えろ。30点問題な。コレ」

 

だが、その問題には答えず

魅音は、俺の首に両手を回して抱きついた。

 

「それじゃあ、私からも質問。

 帰ってくるたびに、どんどん大人びてかっこよくなる夫に対する

 妻の複雑な感情を答えて。これ50点問題だから」

 

俺達は見つめ合うと、そのまま口づけを行う。

魅音は離した唇を、そのまま俺の耳元に寄せた。

 

「大丈夫だよ、圭ちゃん…だってさ、

 圭ちゃん以上にかっこいい男の人だって全然いないから。

 あははははは!」

 

俺は何と言って良いかわからない。

魅音はさらに話を続ける。

 

曰く、井の中の蛙大海を知らす。とは言うものの、

実際に大海に出てみれば、俺ほどの覚悟と信念持った男はおらず、

見ためはそれっぽく着飾って、背伸びをしている子供ばかりだという。

 

まぁ、これは事実というよりも、むしろ俺が嫉妬しないために見繕った方便だろう。

 

しかし、俺の心配した通り、言いよる男がいないわけでも無いらしい。

ただ、魅音に言わせれば、その手の男達は『園崎魅音』という個人そのものが目的では無いと言う。

 

大学に入学して、わりと早い段階から、魅音は『雛見沢襲撃事件で婚約者を守って負傷したM』の婚約者その人だと知られたらしい。

 

それによって話題の人として注目を集めたわけだが、

婚約者がいるし、またヤクザの娘ということで、いわゆる『女漁り』の標的にされることは無かった。しかし、逆に「だからこそ」魅音を狙うという挑戦者も何人かいたという。

 

つまり、そいつらは『人妻大学生』や『有名人』という肩書の女を落したいという低俗な目的の奴らだ。

 

「まぁ、おじさんも、それなりに周囲に悪い人達がいるなかで育ったからね。

 その手の輩は、目を見るだけでも、雰囲気だけでもよくわかるんだよ」

 

魅音も、そういう手合い相手にはのらりくらりとかわしてきたが、その内の一人が『あんたの婚約者が三発くらったんだって。俺なら銃弾五発をくらっても大丈夫だぜ』という奴がいたので、至近距離で改造モデルガンを空き缶に撃ち込んだことがあったらしい。

あまりの衝撃に驚いたそいつに魅音は「私の婚約者は、その十倍の衝撃がある実弾を三発くらったんだけど、あんたも体験する?」といって、震えあがらせたという。

 

「ちょっと、それはやりすぎじゃないか。改造モデルガンを至近距離で撃つなんて」

「…うん。ちょっとイラッとしてたかな。圭ちゃんを馬鹿にされた気分になっていたから」

 

まったく仕方がない奴だぜ。

俺は魅音の頭を撫でる。

 

ただ、そのおかげですっかりとそういった輩は近づかなくなり、

逆に大学内で『姐さん』として男女に関わらず人気を博したらしい。

 

それだけではなく、婚約者がいるということで女子たちの恋愛の相談も受ける事も多く、大学内では恋愛マスターとしての尊敬を集めているだとか。

 

「…魅音が、恋愛マスターか。とてもじゃないが、雛見沢に住んでいた頃を知っていた人間なら、にわかには信じられない称号だな。それ」

 

「いやぁ、これでも圭ちゃんと、恋の駆け引きを散々してきたからね。

 おじさんは、もう恋愛のプロって言っても過言では無いよね」

 

「…つき合った人数が一人なのに、恋愛プロとかマスターとかって名乗って良いモノなのか?」

 

「あのね圭ちゃん。本当の達人なら自分にとって究極の1人を見つけるもんでしょ?そんなふらふらと、あっちこっちの男と付き合っている人って、それって逆に男を見る目が無いんじゃない?『人を知りたいのなら、複数の人とつき合うのではなく、一人をより深く知るべし』だよ」

 

返答に困るような事を言うなよ。

 

「圭ちゃんを早く、大学につくったゲームサークルの皆に紹介したいな。

 きっとさ、驚くと思うよ。あの少年Mがって!クククク…」

 

「…一応、聞いておくが、ちゃんと俺の事を、誇張を言わずに伝えているんだろうな?」

「大丈夫だって。ちゃんと…お互い一目惚れしたって皆には話してあるからさ」

 

いや、そういう意味じゃねぇ!

てか、ちゃんと設定を覚えていたんだな。偉いぞ魅音。

 

「あとは、オマケに、勝つためなら手段を問わないヤツ。取り込まれるからデイベートを避けろ。

 口先でひっくり返す魔術師だから口論するな。ぐらいは伝えてあるかな?」

 

おいおい、心象最悪じゃないかよ。

って、なんでジト目で俺を見るんだ魅音。

 

「…予防線。圭ちゃんが他の女の子にとられないようにね。『有名人を誘惑したい』っていう人がいるっていったでしょ?それは男だけじゃないんだよ。圭ちゃんも気をつけて、そういう奴らのターゲットにされると思うから」

 

なるほど、そういう手合いも女性にはいるってことか。

中々複雑だぜ、男女社会ってのはさ。

 

「…それに言ったじゃん。圭ちゃん、来るたびにかっこよくなってるって…正直、心配なんだよね。圭ちゃん、優しいから…悪い女に騙されないか」

 

おいおい、まだ言っているのかそんなことを。

困ったフィアンセだぜ。

 

「俺も魅音以外に興味はないぜ?

 むしろ、どんどん魅音は美人になっていくから、ますますのめり込んじまうかもな」

「あははは。それ、おじさんも同じ事言っちゃうけど、良い?圭ちゃんも、どんどんかっこよくなっていくからさ、もう他の男性なんて眼中にもないよ」

 

魅音は俺の目を見つめると、指を絡ませてきた。

 

「そういうことだから…圭ちゃん、全然、平気…圭ちゃんが気にするようなことは何もないよ。私の体に触れても良いのは、圭ちゃんだけなんだから、さ…」

 

俺と魅音は、また唇を重ねる。

何度かキスをして、少し舌を入れると、陶酔したように俺の顔を見る。

 

「だからさ、圭ちゃん…おじさんの中を圭ちゃんで満たして欲しいんだ。

 来週は忙しくてこれないからさ…いいよね?」

 

魅音は口から熱い息を吐きだす。

唇を濡らして、俺の熱情を誘因する。

 

魅音と『初夜』を迎えたのは、大学に合格した日だった。

入学祝というわけでもなかったけれど、俺達は一線を越えた。

 

本当は魅音の誕生日まで待つはずだったけれど、そこはお互いに我慢できなかった。

最大の邪魔者だった大石がミフネによる『雛見沢襲撃事件』の後、園崎家を目の仇にしなくなったのも大きいだろう。俺達二人を邪魔する者がいなくなった以上、遅かれ早かれこうなっていたのは間違いない。

 

初めて一つになり、魅音が嬉しさのあまり泣きだしたのを今でもはっきりと覚えている。

 

その後は、タガがはずれたようだった。ダムが決壊したかのように、時間があえば毎夜のように愛し合った。

 

それは大学へ行った後も同じだった。

土曜日に返って来た魅音は、その夜、朝になるまで深く愛し合うのが俺達の約束事になっていた。

『太陽が黄色くなる』のをみたのも、1度や2度じゃない。

 

「いいぜ、魅音…今夜は寝かせないぜ?」

「うん、圭ちゃん…今夜はずっと一緒だよ…」

 

俺はゆっくりと魅音を押し倒した。

 

……………………

…………

……

 

時計を見る。午前4時だ。今日はいつもより早く終わった。

とはいえ、俺も魅音も手を抜いたつもりはない。二人とも満ち足りている。

腕枕の中で、魅音が俺を見て微笑んでいる。

 

少し息が上がって、顏が桜色にかわっている。

その姿が煽情的だ。くっそ。もう一回戦いくかもしれないな。

 

「…圭ちゃん。圭ちゃんが大学に来たら同棲しようね。

 一緒に朝ごはん食べて、一緒に勉強して、一緒に寝る…これってさ、最高だよね」

 

もちろん、俺ともしても同棲に異論はない。

さすがに雛見沢から大学へはいけない。

興宮で魅音と一緒に住んだ方が両親も安心するだろう。

 

「俺はもちろん嬉しいけど、良いのか?

 一人暮らしできる機会は今だけだろ?

 どのみち結婚したら二人で暮らすことになるんだぜ?」

 

「…そうだね。卒業したら二人一緒に暮らすことになる。

 でも、普通の結婚生活にはならないよ、圭ちゃん」

 

真面目な顔で魅音は答えた。

 

そうか。魅音の場合、特殊な家の事情がある。

魅音は園崎家の当主代行だ。大学を卒業して立派な社会人ともなれば、常人のような新婚生活はおくれないだろう。おそらくそれは、一般家庭とはかけ離れたものになるに違い。

”だからこそ”大学にいる間は、普通の新婚生活を味わいんだな。

 

「それにね…帰るとさ。家の中に誰もいないんだよ」

「…え?」

「こんなこと、前は考えもしなかったんだけどさ。大学にいってゲームサークルでバカやって、みんなと楽しく帰って来た家の中に、挨拶をしてくれる人がいないって…なんか、すっごく寂しく感じてさ」

「…魅音」

 

そうか。だから毎夜、俺に電話をかけてくるのか。

何かあったのか、どんな騒ぎを起こしたのか。

毎夜、毎夜、何時間も。

 

「圭ちゃんがいけないんだよ。おじさん、こんなに弱い人間じゃなかったのに…圭ちゃんのせいで弱くなっちゃったんだよ?だからさ、圭ちゃん…責任、とってよね…」

「あたりまえじゃないか。俺はお前の夫なんだぜ…」

 

俺はノータイムで魅音に返し、頭を撫でた。

魅音は嬉しそうに、俺の頬に顔をすりつけてくる。

そして俺は…

 

……………

……………………

 

「………くん、圭一くん」

 

レナの呼ばれて振り向く。

ずっと先週との魅音とのイチャイチャに思いを馳せてしまったようだ。

 

「大丈夫、圭一くん?どうかしたの?」

「あぁ、魅音も来れればよかったのにな。って思ってさ」

 

レナに笑顔で返す。魅音は今頃、大学の方で色々忙しく動いているんだろう。

それはわかるが、せっかく綿祭りの日なのに、合えないのは少し寂しい。

 

…と、思っていたら。

 

ドガッ

 

「圭ちゃんッ!!!!!!!!」

 

うわ、なんだ!?誰だ抱き着いたのは!

魅音か!なんで魅音がここにいるんだ!?今日は忙しいんじゃなかったのか!

 

「はぁ、はぁ、圭ちゃんに知らせたいことがあって、タクシーをすっとばしてきたんだよ!

 一大事!これ、もう大変なニュースだって!」

 

「な、なんだよ。大ニュースって」

 

じゃ~ん。という言葉と共に、魅音は懐から体温計のようなものをとりだした。

しかし、温度表示がある部分には何も表示されていない。赤紫のラインが二つ出ているだけだ。

 

…って、これ。妊娠検査薬か!?

 

「そうだよ!圭ちゃん!おじさん、妊娠したんだよ!!あははははは!!」

「そうか!あはははは!やったな!!!」

 

周囲で歓声があがる。レナも梨花も手を叩いて喜んでくれる。

俺は魅音を抱きしめて、くるくると、その場で三回転位した。そうか。ついに俺も父親になるのか!

 

「そうだ!はやくお魎のバアさんにも知らせてやらないと!行こうぜ!」

「うん、だね!ばっちゃん、喜ぶよ!きっと!」

 

その時、沙都子のツッコミの声がオレの耳に届く。

 

「喜ぶのは良いですけれども、圭一さん、まだ結婚式もあげて無いんではございませんの?」

 

あ、そうだ!なんてこったい。今まで実際に子供を妊娠する魅音の事ばかり考えていて、結婚式をあげてなかった!

てか、よくよく考えたら婚姻届けも出していないじゃないか!?

 

すると、魅音のお腹の子はどうなるんだ!

 

「み、魅音。どうしよう!俺、まだ結婚してないし、婚姻届けも出してない!もしかして生まれてくる子供って、父親無しになるのか!」

 

俺は慌てたが、魅音はあきれた顔をする。

 

「圭ちゃん、圭ちゃん。

 世の中に、婚姻届けを出してなくても子供ができちゃう人だって結構いるんだから、気にしなくても大丈夫だよ。ていうか、結婚式だってさ、デキちゃった結婚?とか、そいうのもあるんだからさ」

「そ、そうか…まったく、沙都子も驚か…」

 

俺は振り返って初めて気が付いた。

沙都子が、いない…?

 

「おい、沙都子は…?」

 

レナと梨花ちゃんが視線を合わせて悲しい顔をする。

「圭一、沙都子は…」

 

ちょっと待って、どういうことだ?

俺は確かに沙都子の声を聞いていたよな?

あれ…沙都子の姿を俺は、見て…いない?

どういうことだ…

 

沙都子は…でいて…いた…?

だとすれば、俺は一体誰の声を…

 

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

頭の中で、何か金属音が響くような音が鳴り響いた。

一体、これは…俺は……

 

………………

…………

…………

 

「チャン…!圭ちゃん!起きている?」

 

…あ。

 

俺は名前を呼ぶ方に顔を向ける。

魅音が立って、俺を笑顔で見ている。

 

左右を見渡す。ここは病院のベンチか。

<産婦人科>と書かれたプレートが見える。

 

すると病院の中か?俺は…寝ていたのか?

今までの全部…夢、だったのか?

 

「今日の検診おわったよ。お腹の子、順調だって!」

 

俺は視線を魅音のお腹に視線を落とす。

魅音のお腹が、少し膨らんでいるのがわかる。

 

ゆっくりと手を差し伸べ、やさしくそのお腹に手を触れる。

 

「…結構目立ってきちゃったね。お腹。

 大学の友達もさ、結構触りたがって困っているんだよね。

 ま、男にはふれさせないけどね。男でさわってOKなのは圭ちゃんだけだよ」

 

そうか。この中に、俺と魅音の子供がいるのか。

感慨深いぜ。子供は愛の結晶とは言うけどさ。

本当に深く、俺達は愛し合ったんだもんな。

 

やばい。なんか、涙が出て来たぞ…

 

「…んもう。泣き虫だなぁ、圭ちゃん。

 ここで涙目だと、出産の時は号泣するんじゃない?」

 

「…かもな。あははは」

「圭ちゃんったら、あはははは」

 

俺と魅音は二人を顔を見合わせて笑った。

 

「そうだ。圭ちゃん、子供の名前、考えて来てくれた?」

「そうだな。男だった圭太郎ってのは…どうだ?」

「ふむふむ。女の子だったら…?」

 

あ、女の子パターンは考えていなかった。

 

「け、圭女郎…?」

「…圭ちゃん、全くノープランだったでしょ?んもう、しょうがないな」

「わりぃ。鬼の文字を入れるって、中々ハードルが高くてさ」

 

それを聞いた魅音が、うつむき憂いを帯びた哀しそうな顔をする。

その表情には、だだ哀しみだけでは無く悲痛な叫びのようなものが込められているようだった。

 

…なんて悲しい顔をしているんだ魅音。

 一体、何でそんな表情をするんだ。

 

「み…」

 

その表情の意味を知ろうと声をかけようとしたその時、廊下を誰かがパタパタと歩いてこちらにむかってくるのに気が付いた。

あれはレナと梨花ちゃん…

 

「魅ぃちゃん!検査はどうだったのかな?どうだったのかな?」

「魅ぃ。安産のお守りを持って来たのです。身に着ける良いのですよ」

 

そして、一番後ろにいるのは…

沙都子!沙都子がいるじゃないか!

 

「沙都子!?お前…無事だったのか!」

「圭一さん…!?あ、あぁ…おーほほほ!あんなポンポンの痛みぐらいでなんでもございませんわ!」

 

「沙都子は、おなかゴロゴロ。ぴーぴーで雷様だったのですよー☆にぱー」

「り、梨花ぁ~余計なことは言わないで下さいませ!私達、もう小学生ではございませんのよ!」

 

…やっぱり、そうか。夢だったのか。そうだよな。沙都子が死ぬわけが無い。

 でも、なんであんな夢を俺はみてしまったんだろうか。

 

沙都子が俺の顔を覗き込む。

 

「圭一さん、何を気にされているのか、ご存じありませんが、悪い夢なら気になさらないほうがよろしくてよ。あの欠片の世界はもう”無くなった”ので、ございますから…」

 

…沙都子?

 

俺は、言葉にならない異様な何かを感じていた。

何かがおかしい。だが、それを口にだせないもどかしさがある。

 

沙都子は何も言わなかった。

そこにいた沙都子は、ただただ微笑していた。

 

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