ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~   作:Java-Lan

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第5話__3日目(土)A「嫉妬の鬼」

[3日目(土):前原屋敷:朝:前原圭一]

 

時計を見ると、どうやら少し寝過ごしちまったようだ。

マズい!もうレナが来る時間じゃないか!

 

階段をおりると、どうやらすでにレナが来ていたようで、

母さんと楽し気に話をしている。

 

またろくでもない俺の過去の話で盛り上がっているんじゃないだろうな!?

 

急いで着替えて大慌てで玄関に向かうと、

お袋は意味ありげな笑いをして、俺の背中を叩いた。

 

「がんばりなさいよ」

 

一体何を頑張れというんだ…

というかレナ、お前は何を話した。まさか…

 

「何もいっていないよ。ただ、圭一くんに気になる子がいるって話をしたってだけかな?かな?」

 

おいおい、十分言っているじゃないか!

気が付くと玄関には、なぜか親父もいた。

 

ちょっと待て、

今まで親父が玄関に出迎えにきたことあったか?

 

「圭一、今度彼女を連れてきなさい」

 

それを言いたかったのかよ!

 

ちくしょう!気が向いたらな!

俺はレナの手をとって速攻で家を飛び出す。

 

全く、だれもかれも、人の恋愛事情に首をつっこもうとしやがる。

そんなに楽しいのか、お前ら!

 

「はぅ~☆」

 

まぁ、レナは楽しそうではあるようだけどさ!

 

いつもの待ち合わせ場所に行くと。

今日も、魅音がしおらしく待っていた。

手には昨日とおなじく風呂敷に包まれた弁当がある。

 

さすがに昨日ほどではないにせよ、

今日もかなり弁当の量は多そうだ。重箱三段か?

 

「圭ちゃんが、さ。昨日美味しいって言ってくれたから作ってきちゃったんだ」

「お、サンキュ、魅音!今日もお昼が楽しみだぜ」

 

偽りのない本心だぜ。

魅音は嬉しそうに俺に近づいてきて…というか、少し近すぎないか?

すぐ目の前に顔があるんだが。

 

「へヘへ…圭ちゃんあのさ。昨日の夜バっちゃに聞いたんだけどさ、交際してもいいって!」

「へ?あのバアさんが俺達の交際を認めてくれたのか?」

 

魅音のバアさんのお魎には、前に沙都子が叔父の北条鉄平に軟禁されたさいに、手助けしてほしいと頼み込んだことがある。

 

そのさいに、まったく首を縦にふらない姿に俺も少しキレて

「てめぇは俺達の敵か、ならお前殺して魅音を当主にしてやる!」

と啖呵をきったことがあった。

 

会談が終わった後に、快く手伝ってくれたので見た目ほど怒っていないとはわかっちゃいたけど、交際を許してくれるとは正直思わなかったぜ。

 

「はは、とりあえずよかったな魅音。これで。こそこそ付き合わなくてすむぜ」

「だね。圭ちゃん」

 

魅音は俺に体を寄せる。魅音が交際を認められて嬉しいのはわかる。

しかし、左手で、執拗以上に俺の右手を触ってくるのは何なんだ?

まさか握りたいのか?

 

いや、待て。ここにレナがいるだろ?

さすがにレナの前で手をつないで登校するというのはどうなんだ。

 

「圭ちゃんも、魅ぃちゃんも、見つめ合ってどうしたのかな?かな?遅れちゃうよ!」

 

あ。と声をあげるまえに、レナが魅音の手をつないで歩きだした。

 

咄嗟に魅音は俺の手を握り、おれもつられて握り返す。

さしずめ、三人一緒に手を握って歩くような光景が…

 

いや、なんなんだこれは。

俺達は仲良し小学生か。

 

[3日目(土):雛見沢分校:昼:前原圭一]

 

そんなこんなで学校についてのお昼時間。

いつものように机を合体させてお昼の用意をしていると、詩音がやってきた。

 

「詩音、なんであんたここにいんのよ。学校はどうしたの?」

「今日は、創立記念日でお休みです☆」

「あれ?前回も同じこと言ってなかった?アンタの学校創立記念日何回あんのよ」

「アハハ。それよりお姉。随分と豪華なお弁当ですねぇ」

 

俺の前に広げられた弁当は昨日ほどでは無いが、

重箱三段もある豪華なものだ。

 

魅音が、どれだけ気合いを入れて作っているのかわかるってもんだぜ。

 

「まぁ圭ちゃん。こんな豪勢な弁当は今だけですから気にしないで下さいね。

 お姉はめんどくさがりやなので、しばらくすれば、普通のお弁当に戻ると思いますから」

「ちょっと詩音。あんた何をいってんのよ!」

「あら、じゃあお姉は、こんな豪勢な弁当をこれからも毎日、圭ちゃんのために作ってくるつもりなんですか?結婚したら大変ですね」

「け、け、け、結婚!?」

 

魅音が真っ赤になり、詩音がクスクス笑っている。

この学校では無敵の魅音が、詩音の前では簡単に手玉にとられるのがなんだか面白い。

 

「詩音嫌い!詩音嫌い!詩音嫌い!早くどっかいけー!」

「やなこったー☆私は、沙都子に用があるんですー

 お姉こそ、圭ちゃんと一緒に、運動場の裏でイチャラブしてたらどうですかー?」

「へ、へぇ!?い、いちゃらぶ!?」

「まぁ、根性なしのお姉には無理かもねー☆アハハハ!」

「詩音嫌い!詩音嫌い!詩音嫌い!」

 

口ではどうこう言っているが、二人のやり取りを見ていると、本当に仲が良いんだなってのがよくわかる。俺には兄弟がいないからちょっとうらやましい。

 

詩音は当然のように沙都子の横に座る。

常には一緒にいないが、詩音も俺達の仲間だ。

 

自然な流れで、

一緒に俺達と弁当を食べはじめる。

 

途中、詩音の弁当箱の中身が山盛りのカボチャだとわかり、沙都子が逃走しようとする一幕があったものの楽しく食事をすることができた。

 

「しかし、圭ちゃんには驚かされましたね。私とお姉の違いがわかるだなんて」

「あん?この間の話か」

 

確か、詩音が魅音のふりをして、夜中に電話をかけてきたんだよな。

 

「俺は魅音の彼氏だから、わかるにきまっているだろ!

 いやぁ~啖呵切った圭ちゃん、かっこよかったですよ」

 

魅音が顔を赤くして口をパクパクさせている。

それを見ている詩音とレナが実に楽しそうだ。

 

かく言う俺も楽しい。

魅音は表情が豊かだな。

 

「まぁ、そりゃ詩音と魅音は『好き』っていう一言でも、だいぶ感情がこもり方が違うからな。

 見分ける事なんて簡単だぜ」

「へぇ~すると、私の好きって言葉より、お姉の「好き」って言葉に、

 重みがあるってことですか?」

「へへ、そりゃそうさ。なんて言っても魅音は…」

 

……

……あれ?

 

「どうしました?」

「いや、よく考えたら、魅音に『好き』って言われた事無かった気がするぞ?俺?」

 

視線が一斉に魅音に向けられる。

 

「お姉、本当ですか!?」

 

魅音がちいさく「あぅあぅ」と口を動かした。

 

それは、どういう意味だ。

いや、それはこのさいどうでもいい。

 

そうだ。俺は未だに

魅音から「好き」だと言われていない。

これはかなり問題じゃないか?

俺達恋人同士だよな?

 

「魅音、正直に教えて欲しい。俺の事…好きなんだよな?」

「け、け、け、圭ちゃん、何をいっているのさ!そ、そりゃそうだよ!アッハハハ!」

「恋人同士、なんだよな…?」

「え?うん、そうだよ…」

 

魅音は顔を真っ赤にして小さく頷く。

 

そうか。なら安心だ。実は前原圭一の1人相撲だった。

なんて話だったら洒落にならないところだったぜ。

 

「お姉、だったら、今、ここで圭ちゃんに『好き』って言ってみてください」

「ふぇ!?」

 

詩音がいきなりハードルが高そうなことを言う。

皆の見ている前で、好きだと告白するなんて通常なら罰ゲームに近い。

 

だが、詩音の目は本気そのものだ。

いや、むしろ、鬼気迫るものを感じる。

 

一体どうしたって言うんだ詩音?

 

「あ、アハハ!トイレ、おじさんトイレにいってくるよ!じゃ!」

 

魅音は立ち上がると、制止する間もなく飛び出していった。

 

レナと梨花ちゃんはニコニコしているが、

沙都子と詩音は渋い顔をしている。

 

「圭ちゃん、ごめんなさい」

「え?何がだよ」

 

詩音に謝られたが、

理由がわからない。

 

「前に電話で、好きって定期的に言って欲しい。と頼んだことあったと思うけれど」

「ん?あぁ、あったなそんな話」

「あれ、お姉にも言っとくべきだった」

 

いや、しかし…

さすがに付き合って日がたち、魅音に好きだと告白されたことが無かった事に気が付かなった俺にも落ち度があると思うぞ。

 

「魅音さんも存外だらしがないんでございますね。

 好きだと伝えることがそれほど難しいのでございますですの?」

 

少し沙都子は手厳しい。

レナと梨花ちゃんが素早くフォローする。

 

「魅ぃちゃんは恥ずかしがり屋さんなんだよ!なんだよ!」

「沙都子も好きな人ができればわかるのですよ☆にぱー」

 

うんうん。

ここは魅音の名誉のために俺も少しフォローしておくか。

 

「いや沙都子。想いを強くこめればこめるほど、それは言いだしにくい物なんだ。

 言ってみれば強い想いってのはペットボトルのふたのようなものだ。

 一回あければ簡単にあくが、その最初の一回が難しいって奴なのさ」

 

「…圭一さんが何をおっしゃられているのか、さっぱりでしてよ」

 

さすがに少し例えがへたくそすぎたか。

もう少し、直接的な表現でいくか。

 

「例えばさ、前にフワラズの勾玉の時に、

 レナが俺に「好き」だって告白したことがあるだけどさ。

 あれって、レナの心がはいっていないから簡単にいえたことなんだぜ?」

 

「・・・・」

 

「逆に言えば、心がこもっていれば、なかなか言い出せないってことだ。だから…」

 

「・・・・」

 

ん?

 

周囲が急に静かになったのを感じた。

いや、静かなだけでは無い。冷気のようなものを感じる。

 

ひどく冷たい。冷房?いや、教室にはクーラーも扇風機も無い。

季節外れの六月の暑さのはずが、なぜ、今、これほど寒いんだ。

言うなれば、氷、いや寒波。氷河期。

 

眼の前にいる全員の顏から血の気が引き、視線は俺の後方に向けられている。

俺は恐る恐る振り向いた。

 

そこには、いた。鬼が。

 

「…レナが、圭ちゃんに『好き』って言ったの?」

 

教室の入り口にたっていた魅音の顔に影がかかり、

髪の毛が逆立ち、目が真っ赤に光っていた。

 

目の錯覚か?いや、違う!

お、鬼だ。鬼がいる!

 

「お、おい。落ち着け魅音。あの時は勾玉の力のせいだって、

 知っているはずだろ?なあ梨花ちゃん」

「み、ミー☆あれは勾玉のせいなのです☆レナは何も悪くないのですよ」

 

「でも、言ったんだよね。圭ちゃんに『好き』だって」

 

おい、言葉が通じてないぞ!?

魅音ってこんな嫉妬深かったのか?

 

「だから、あれだ魅音。レナの言葉はあくまでも勾玉の力に乗っ取られたモノだから、

 全然レナの本心でも無いし、俺も相手にしなかったし…なぁ、レナ?」

「う、うん。そうだよ。あれは、その…勾玉のせいで、少し。おかしくなっちゃって」

 

「そうそう、あんな力を感じて受けた告白になんて価値なんて全くないぜ。

 正直、全然心にも響かなったし、あぁ、心にも無い言葉って、

 こんなにも揺さぶられないモノか。って気分だったしな!」

「うぅ…そこまで言われると、ちょっと悲しいかも」

 

悲しませてすまんレナ。

しかし、この状況を打開する方が先決だ。

 

「ふぅん…そうなんだ

 でも、言った事には間違いないんだよね『好き』だって」

 

だが、魅音は聞こえているのか聞こえていないのか、

体を左右に揺らしながら近づいてくる。

 

これはヤバイ。逃げなければ。

と、逃亡しようとしたその時、詩音のやたら冷めた声が聞こえてきた。

 

「で、お姉のその怒りは何に対しての怒りなんですか?」

 

…え?

何の怒りって、それは。

えっと、なんだ。どういう意味だ?

 

「どういう意味よ、詩音?」

 

その言葉に魅音も、

かなり戸惑っているようだ。

 

「どいういう意味も何もないでしょお姉。圭ちゃんが告白された。だから怒る。なんで?

 それは圭ちゃんが奪われるかもしれないから。そうでしょ?」

「・・・・・・」

 

正鵠を射たのか魅音は動きを止めて無言になった。

 

つまり、誰かに奪われるかもしれない嫉妬心から怒りが沸き起こる。

当たり前の話だが、言語化されると結構きついものがあるな。

 

「レナは圭一くんを奪わないよ!」

 

すかさずレナも話に乗ったがそれはスルーされた。

詩音は続ける。

 

「あのね。お姉、怒るならレナちゃんじゃなく「好き」だと言えない

 自分の不甲斐なさを怒るべきでしょ?」

「そ、それとこれとは関係が…」

「あります。」

 

ピシャリ

 

「あのね。世界には六十億の人類がいて半分が女性なんですよ。

 つまり、お姉のライバルは三十億人もいるわけです。言っている意味わかりますか?」

 

なんか壮大な話をし始めたぞ。

というか、そんなにモテないだろ。俺。

 

「今のお姉に必要なのは、嫉妬の鬼になることではなく、圭ちゃんを誰にも奪わせない、

 圭ちゃんを誘惑し、魅了し、ハートをがっちりと奪い離さない…略奪鬼となることです!」

 

鬼に例えるのはわからなくもないが、

なんか例えが物騒だな。おい。

 

「そのために必要なのはなんだと思いますか?自分の想いを相手に伝える事。

 つまり、自分から『好き』だと告白することです!

 

 一方的に圭ちゃんに与えられる愛に浸るだけで

 何の努力もしないで、心をつなぎ留められますか?否!断じて否です!

 圭ちゃんに呆れ果てられ、捨てられて、落ちぶれるのが関の山です!」

 

「いやあああああああ!!!!」

 

…いや、そこまでいうのはどうかと思うが。

 

「圭ちゃんお願いだよぉ捨てないで!

 圭ちゃんに捨てられたら私ッ!」

 

おいおいおい、さっきまで鬼だった魅音が泣きついてきたぞ!?

 

「お、落ち着け魅音。俺が魅音を捨てるわけがないだろう?」

「ほ、本当に?捨てない?」

「当然じゃないか。俺達は仲間で…その、恋人同士なんだぜ?」

 

詩音の奴脅かしすぎた。

魅音が半泣きで鼻水までたらしているじゃないか。

せっかくの美人の顏が台無しだぞ。

 

「…魅音さんって、こんな一面もおありなんですね。意外ですわ」

「沙都子も誰かに恋をすればきっとわかるのです☆にぱー」

「なんか、さっきから梨花そればかりですわね。これなら別にわかりたくもありませんわ」

 

やたらと冷めている沙都子と笑顔の梨花ちゃんをしり目に、

俺はティッシュで魅音の鼻をかませる。

 

とにかく魅音は冷静になったようだ。

ひとまず良かった。良かった。

 

「そうだ。良い考えがあるのですよ」

 

梨花ちゃんが立ち上がると珍しく提案をしてきた。

一体なんだ?

 

「圭一をつかって部活をするのです☆」

「俺を使って部活って…どういうことだい梨花ちゃん」

「圭一に全員で告白して、一番圭一をドキドキさせた方が勝ち。

 というゲームなのですよ☆にぱー」

 

はぁあ?

なんだそれは。

 

「梨花ちゃま。それはグットアイデアですよ!これならお姉も告白できるはずです」

「はぅ~、圭一くんに告白するの?魅ぃちゃんの前で?」

「ちょっと梨花ぁ、告白だなんて、私、圧倒的不利でございませんこと?」

「そんなことないのですよ。『圭一に~に~☆大好き♥』と言えば、

 圭一はイチコロなのです☆にぱー」

「いやあああ梨花ぁあ!!それは私も大ダメージではございませんの!!!」

 

なんだか、

わけのわからないことが始まったぞ。

 

ぐぃいいいいいい!!!!

がっ…!?なんだ!後ろから羽交い絞めされた!

誰だ?魅音か?

 

「ダメ!ダメだって!圭ちゃんは私のなんだから!」

 

俺の所有権を主張するのは百歩譲って許そう。

だが、そんなに強く締めるな魅音…苦しぃ…って…

 

「くくく、お姉、これは来たるべき圭ちゃん争奪戦のプレリュードですよ…

 園崎家次期当主たるもの。己の伴侶は自分の力でハートをつながないとね」

 

完全に俺は玩具にされている。

だが、それはまぁいい。問題はこの後の展開だ。

 

もし、告白合戦が始まったらどうなる?

 

魅音は嫉妬でおかしくなって、凄惨な未来が訪れるかもしれない。

もしかして血の雨が降る可能性だってある!

 

いや、なにより嘘とは言え、全員に告白されるのは恥ずかしい!

なんとしても回避しなければ…

 

「コホン…ちょっと皆、良いか」

 

おれは後ろに羽交い絞めしている魅音に、素敵な笑顔を見せて落ち着かせると、

全員の顔を眺めて口をひらいた。

 

「俺に対する告白ゲーム。面白いが、言わせてもらおう。

 梨花ちゃん。これは『否』だ。認められない」

「みー!?圭一なんでですか!?」

「まず、理由の一つは…これは100%魅音が勝つからだ。だってそうだろう?

 俺は魅音が好きだ。大好きだ。だからこの中の誰かが告白したとしても、俺は魅音以外を選ぶつもりはないし、そこに公平さはない。つまり、八百長…というか、結果のきまったゲームに価値なんて無いんだ」

 

俺は、魅音にウィンクして見せた。

魅音は顏から湯気を出して椅子に倒れこむ。

 

よし、わかりやすくて助かる。

これでしばらくは落ち着くだろう。

 

「そしてのもう一つの理由…このゲームは、誰もが恥ずかしい。

 つまりある意味、罰ゲームもかねているといってもいい。

 告白される俺も、魅音も、レナも、沙都子も、詩音も…

 が、一人だけ特に恥ずかしくもない人物がいる…それは梨花ちゃん、君だ!」

 

「み、み~!?」

 

梨花ちゃんを捉える俺の指先が光る!効果音が鳴り響き、画面は揺れる!

その迫力たるや某裁判ゲームの『異議あり!』のシーンを彷彿とさせるだろう!

いや、この場面は異議じゃないんだけどな!

 

そう、この告白ゲームは皆が恥ずかしいのに、梨花ちゃんだけは恥ずかしくない!

梨花ちゃんはこう見えても結構…というか、かなり腹黒だ!

 

心にもなく「圭一好きなのですよ☆にぱ~」などというのは、朝飯前!

つまり、自分一人心の余裕を持ちつつ、皆が恥ずかしがって悶えているのを見て喜ぶつもりなのだ!

 

沙都子が呆れた顔で梨花ちゃんを見ている。当然だ。

 

「梨花、あなた…」

「何のことかわからないのですよ☆にぱ~」

 

さすが腹黒梨花ちゃんだ。

ここまで指摘されて全くこたえてないのはさすがだぜ。

 

「つまりだ。安全な所で一人だけ楽しむゲームをするというのは、公平さにかける。

 やるなら全員が同等のペナルティをくらうものにしないとダメだと俺は思うんだ」

 

そこで俺が今日の部活で提案したいのが虫取りゲーム。

 

これはどういう内容かと言えば、

全員が虫取り網をもって、虫では無く、お互いを捕まえるゲームだ。

 

「…それでは告白とは何の関係もありませんわね」

「お、よく気が付いたな沙都子。そうなんだ、本来部活と告白とは別の話なんだ。

 なのに誰かさんはそれを利用して自分の楽しみに利用したようとしたわけさ」

 

「…梨花ぁ」

「何のことかわからないのです☆にぱ~」

 

さて、この虫取りゲームの肝は

部活ペナルティとはべつに

外付けペナエルティもあるということ。

つまり『捕まえた相手はお持ち帰り可能』という点だ

 

「え!?お持ち帰りしていいの!いいの!り、り、り、梨花ちゃんおもちかえりぃ!!!!

 

それを聞くとレナが興奮して可愛いモードに突入する。

可愛いモードに入ったレナは、あらゆる困難と障害を打破し、

可愛い物をお持ち帰りする。

 

こうなってしまった以上、梨花ちゃんの命運はきまったも同然だ。

 

「み、み~!?まつのです!これは特定の誰かを狙い撃ちにしたズルいゲームなのですよ!」

「梨花、諦めなさいませ…それでよろしくてよ」

 

うんうん。悪い子にはお仕置きが必要だぜ梨花ちゃん?

魅音は特に否定もせず、詩音はというとしばらく考えていたようだ最終的にはOKを出した。

 

「まぁ、それでもいいですよ。私が勝ってお姉に色々させますから」

「う~詩音嫌い~」

 

-その勝負、待った!-

何者かが、教室の中に入り込んできた!って監督!?

 

「沙都子ちゃんをお持ち帰れるというのであれば、この入江京介、戦わなくてはなりません」

「…いや、なんで監督が学校にいるんですか?」

 

監督こと入江京介さんは、雛見沢にある病院・入江診療所の所長さんだ。

雛見沢ファイターズという野球チームの監督もしているので、通称監督と呼ばれているが、

俺達のいる雛見沢分校で何をしているんだ。もしかして野球部の練習があったとか?

 

「いえいえ、保健室の定期点検です。

 あまりお会いになりませんが、結構学校にはきているんですよ」

 

そういえば、そういう話を前にもしていたな。

うちの学校には保険医はいないけれど保健室は一応あるんだっけ。

 

「圭一君、いやK!貴方、魅音さんとラブラブハッピーENDを迎えたようですね」

「あ、はい。おかげ様で…」

「ならば、今度は沙都子ちゃんと私のハッピーENDをお見せしましょう!」

 

監督が大きく手を沙都子に向けるが、

沙都子の態度は冷ややかだ。

 

「お断りですわ」

 

即答。

 

「な、なぜ…!?」

「監督の事が好きかどうかと問われれば、決して嫌いではございませんのよ?」

「なら…」

「でも、監督の好きなのは『今の私』であって

 北条沙都子そのものでは無いのではございませんの?」

「え…いや…そんなことありませんよ…?」

「だって前に『今の私』でないとダメだからといって、

 惚れられ薬を作っておいでではありませんか」

 

あぁ、そういえばそんな薬、監督前に作っていたな。

俺は記憶がほとんどないので覚えていないが、周囲は相当ドン引きだったらしい。

 

「くっ…ちがうんです。沙都子ちゃん…!

 ただメイドに…小さな専属メイドになってほしいだけで…

 やましいことなど何一つないのです!」

 

あぁ、監督。

フォローに困る発言は止めてくれ。

 

そして俺を見るな。同類だと思われる。

 

「…まぁ、勝負は勝負ですから。

 監督に捕まえられたら診療所でもどこでもお連れになって頂いても、かまいませんけれど」

 

「わかりました。この入江京介。沙都子ちゃんを獲得するためにあえて鬼とも修羅となり勝負にいどみましょう!さぁ、始めましょう圭一君!私のメイド・イン・ヘブンのための戦いを!」

 

監督は気合いを入れたポーズをとって、その本気度を俺達に見せつける!

さながら、燃え上がる炎の効果音と、監督の立ち姿背景画面が表示される如くだ!

今、男のロマンをかなえるための熱き戦いが始まろうとしていた!

 

圭一「…いや、なんなんだよ。この流れは」

 




トピック: [ フワラズの勾玉 ]
※トピックでは「ひぐらしのなく頃に」のネタバレが含まれます※

「ひぐらしデイブレイク」及びそのノベル版「昼壊し編」に登場する魔法アイテム。
古手家に古代から伝わる秘宝であり、白い玉を持つ者を赤い玉が持つ者が一方的に好きになると言うトンデモナイ効能をもっていました。

なお、「昼壊し編」は
オリジナル同人版の「ひぐらしの頃に礼」では最後の相手が
「大石蔵人&竜宮レナ」ペアとの麻雀勝負でありますが、

コンシュマー版の「ひぐらしのなく頃に奉」では、
「入江京介&竜宮レナ」ペアとの野球勝負となっています。

なお、どちらも最後は前原圭一と竜宮レナが、古手神社でお祓いを受け、
そのさい勾玉の効果(?)でレナが、圭一に告白して終わっています。

トピック: [ 入江京介の惚れられ薬 ]
※トピックでは「ひぐらしのなく頃に」のネタバレが含まれます※

「ひぐらしのなく頃に大賞」 の「方條ゆとり賞」に選ばれたこの短編「女こまし編」の逸話。
この話では、入江京介はマッドサイエンティスト性をいかんなく発揮して、相手の女性を惚れさせる薬を開発していました。

ちなみに、この薬を開発していた理由が『大人になる前の、ちびっこ時代の沙都子ちゃんや梨花ちゃんをメイドにしたい』であり、最後はドン引きした園崎魅音、竜宮レナ、北条沙都子、古手梨花の四人にボコボコにされて吊るされて終わります。

なお、薬の治験者となった前原圭一は、あらゆる女性を口説きおとすハイスペック男子へと変貌しましたが、薬の効果が切れた後は服用時の記憶を喪失しています。
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