ひぐらしのなく頃に~ただひたすら圭一と魅音がイチャイチャするだけ編~   作:Java-Lan

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第7話__3日目(土)C「初泊り」

[3日目(土):通学路:夕方:前原圭一]

 

手をつないで歩くこと自体は、もうすっかり慣れたが気恥ずかしさはまだ抜けない。

魅音の手は温かい。こうしていると少し安心する。

 

いつまでもこうして握っていたいと思ってしまうのは俺だけなのか?

うなだれた感じの魅音の顔を見てもよくわからない。

 

…やばいな俺。

少し魅音中毒になっているのかもしれない。

俺は照れ隠しに魅音に語りかける。

 

「まったく、今日は詩音にやられたぜ」

「…うん」

「最初から、そうするつもりだったんだぜ、あいつ」

「…そうだね」

 

魅音の反応が鈍い。

というか、ずっと下を向いてボソボソ何かつぶやいている。

一体どうしたんだ?

 

「魅音。調子が悪いのか?」

「い、いやぁ~、ほら、圭ちゃんの御両親に挨拶するってんで、おじさん、その心の準備が…」

 

大げさな。

たかだか顔を見せて、挨拶して、うまく行けば一泊するだけじゃないか。

 

…いや、考えてみると結構大事かもしれないなコレ。

 

「お、おちつけよ。何も結婚の挨拶にしくわけじゃ…」

「け、け、け、結婚!?」

 

マズい。俺も何をいっているんだ?

これだと余計魅音をあがらせるだけじゃないか。

話題を変えよう。うん。それがいい。

 

「そ、そういえば最後に別れる時に詩音が、魅音に耳打ちしていたけどさ。

 一体何を話していたんだ?」

「え?いや、アハハハ…おじさんもよくわからないけどさ」

「…ん?わからないって?」

「その”お姉、いぱっつキメてこいて”って…」

 

決めてこい?

あぁ、なんだ。俺の両親に挨拶に行くっていうんで、おどおどしている魅音に激励しただけが。

 

「詩音らしいぜ。魅音が俺の両親の挨拶に緊張しているから、心配したんだろうぜ」

「あ、アハハハ。そういう意味か!そうだよね!おじさん、一発キメてくるかね」

 

そういう意味って…

全く、それ以外のどんな意味があるっていうんだ。

 

そうこうしているうちに、俺の家が見えてきた。

恋人を連れて来るなんて初めての経験なんで緊張してきたぞ。

 

もっとも、魅音の方がはるかに緊張しているだろうけどな。

 

顏が青ざめているし、体もなんだか硬直している。

というか、体の動きもぎこちない…

 

「み、魅音?大丈夫か」

「け、け、圭ちゃん。正直に言っていい?」

「お、おう。いいぜ」

「アハハハ、お、お、おじさんさ…ダメだわぁ

 ダム闘争で機動隊に突っ込んだ時や、牢屋にぶちこまれた時より緊張している」

 

比較対象が凄すぎて、逆にピンとこないが、

少なくとも極度の緊張状態だというのはわかった。

 

「お、お、お、落ち着けよみりょん…」

 

かくいう俺も緊張が伝播したのか、急に緊張し始めた。

ろれつが回らない。

 

おいおい、なんだこれ、親に「彼女が恋人だ」って言うだけの話だろ?

なんでこんなに緊張しているんだ。それこそ結婚報告をしに来たってわけじゃないのに。

 

「圭ちゃん…」

 

落ち着け、クールになれ!

ほら見ろ、魅音が今にも泣きだしそうな顔でこちらを見ているじゃないか!

 

しっかりしろ前原圭一!

どこの世界に自宅前で恋人を泣かせる男がいる?

 

緊張するのは仕方ないが、せめて虚勢だけでも張って安心させろ!

それが男ってヤツだろ!

 

俺は両手で自分の頬を叩いた。

気合いの入れなおしだ!

 

「よし!魅音、キスをしよう!」

「ふぇ…!?」

 

突拍子も無いが、こういう時には刺激がある方が良いに決まっている。

言葉が良くわからないが、カンフル剤という奴か?

 

前に見た漫画でも描いていただろ、

大きな火災は爆薬で吹き飛ばすのが一番だってな!

 

…ん。

 

俺は魅音の返事をまたずに唇を重ねる。

最初は少し抵抗していたが、次第に魅音の体から力が抜けていくのを感じる。

 

途中から魅音の方も、腕を俺の体に回して積極的な受け入れ態勢になった。

一分?二分?しばらくして唇を離す。

 

「大丈夫だ魅音。俺がいる」

「…うん」

 

濡れた目で俺を見る魅音の額に、軽くキスをする。

もう緊張感は無いみたいだ。

 

咄嗟にやったがうまくいったみたいだ。

結果オーライだ。これ上手くやれるはずだぜ。

 

魅音と二人で頷くと

玄関口にふりかえった。

 

「あ、どうも。前原圭一の父です」

「母です」

 

そこに親父とお袋がいた。

 

[3日目(土):前原屋敷:夜:前原圭一]

 

危うく卒倒しかけた魅音を支えて家の中に入った。

半分意識が無いせいか、意外に重い。

決して、体重が重いからではないだろう。多分。

 

両親曰く、家の前に俺達がいるのがわかったが、

中々入ってこないので出迎えにきたらしい。

 

「いや、そしたら目の前で、お前、キスしているじゃないか。

 さすがに父さんもな。声をかけないぐらいのデリカシーはもっているぞ?」

 

親父に何かツッコミを入れたいが、

どう突っ込んでいいのかわからないので無視をした。

 

恥ずかしいったらありゃしない。

魅音じゃなくても、卒倒するわ!

 

それで当の魅音はというと、しばらく放心していたが気を取り直すと、夕飯を作っているお袋の元へと赴き食堂のフローリングの床で古式ゆかしい三つ指ついてのお辞儀をした。

 

「初めてお目にかかりますお母さま。園崎魅音と申します」

「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。前原圭一の母でございます」

 

お袋も、慌てて料理の手を休むと正座をして頭を下げ返す。

いやいや二人とも、そのやりとりはフローリングの床でやるものじゃないだろう。

 

「魅音も母さんも、椅子に座って…ここは畳の上じゃないんだからさ」

 

魅音は立ち上がると両親に深々と頭を下げ、

俺に足されるまま椅子に座った。

 

しかし、さすがは魅音だ。

入る前はあれほど緊張していたのに、実際に家の中に入ると実に綺麗な所作で対応している。

 

「しかし、随分と上品なお嬢さんね圭一」

「まぁな。魅音は雛見沢の名家の出身らしいぜ」

 

「ふむ。てっきり恋人というからレナちゃんを連れて来るんだとばかり思っていたが」

 

親父、それは余計な一言だ。

ほら、魅音の顔が引きつっているじゃないか。

 

「そうだ。魅音ちゃんは、今夜は食べて行かれるんでしょう?」

「あ、それなんだけどさ、母さん」

 

せっかくお袋から提案があったんだから、それに乗ってみよう。

ダメで元々だ。

 

「今日、魅音の両親は興宮の実家の方にいって家には誰もいないらしくてさ。

ほら、雛見沢って田舎だろ?1人でいるのは寂しいと思うから、ウチに泊めてあげたいんだけどいいかな?」

 

まぁ無理だろうな。

常識的に考えて。

 

「あら~それなら是非泊っていってね!」

 

え?マジかよ?

 

「ほ、本当にいいのかよ、母さん?父さん?」

「もちろんだ。遠慮はいらないぞ魅音ちゃん。自分の家だと思って過ごしたまえ」

 

「あ、ありがとうございます。お母さま。お父様」

 

というか、親父もお袋も、そんな微笑みで魅音と俺を見ているんだ。

二人が何を考えているのか、俺には少しも理解できんぞ。

 

「だが、ウチに泊まるとなれば魅音さんのご両親にもご連絡を差し上げないといけないな。

ご自宅にいなければ、きっと心配なさっているはずだ…興宮のご両親の電話番号を教えてもらえるかな?」

 

俺と魅音は顔を合わせる。

そりゃそうだ。両親の許可も無く勝手に泊まれるわけがない。

だけど、魅音の実家に電話をかけて大丈夫なのか?

交際は許可してもらったとは言っていたけど…

 

「よろしくお願いいたします、お父様。これが電話番号です」

 

魅音は、懐から名刺みたいなものを取り出すと親父に渡す。

 

どうやら、大丈夫みたいだな。

親父は電話をかけに部屋から出て行った。

 

お袋は今日の夕飯を作るといって俺も追い出したが、魅音は手伝いをしたいと残った。

それなら俺も何か手伝おうかとも思ったけれど、お袋に

「アンタは、むしろ邪魔になるからお風呂に入ってきなさい」

と言われたので、しぶしぶ廊下へ出るはめになる。

 

手もちぶさだ。

 

仕方が無いので、

言われる通り先にお風呂にはいることにするか。

 

シャワーを浴びて、湯船につかる。

これがエロゲーなら、魅音が入ってくるところだが…

 

「圭一、湯加減は大丈夫?」

「母さん!問題ないぜ!」

 

まぁ、そんなところだろう。

ほっとしたが、同時にがっかりもした。

 

やはり現実はエロゲーじゃない。

タオル姿の魅音がお風呂場にはいってくる…なんて、そりゃ、ないだろうな。うん。

 

…いや、こんなことを考えていたら、

魅音に殴られるかもしれないけど。

 

風呂からあがってみると、食事が四人分用意されていた。

 

既に電話を終えた親父も戻って席についている。

興宮の魅音の御両親からは「よろしくお願いします」とのことらしい。

 

「それにな、圭一…」

「なんだい父さん?」

「ま…あとでな…」

「…ん?」

 

夕飯は実に華やかで…

俺にとっては苦痛に満ちた物だった。

 

「ねぇ、圭一のどこがよかったのかしら?」

「そうですね、お母さま…圭ちゃんと、一緒にいると楽しいんです。圭ちゃんは…」

 

「魅音ちゃんから見て、圭一はどうだい?」

「はい、お父様。うーん…そうですね圭ちゃんは…」

 

食事中に聞く話は、

俺のどこが好きになったのか?

学校での俺の態度はどうなのか?

子供の頃の俺はどうだったのか?

 

そればかりだ!俺、俺、俺!

正直、恥ずかしくて耳を塞ぎたい!

 

なんで俺の話題ばかりするんだお前らは!

そんなに俺が好きなのか!?

 

とはいえ、三人が楽しそうにするのに、

俺だけが憤慨しているのもおかしなもんだけどさ!

 

あぁ、くそ、詩音め!たしかにこれは罰ゲームだ!

かなり高度な嫌がらせだ!

 

俺はムスっと黙り、

そそくさと食事を終えると、二階の自室に戻る。

 

「あら、今日はもうご飯いいの?」

 

とお袋に言われるが、もう心もお腹もいっぱいだ。

返事もせずに、そのまま二階へと上がる。

「照れているんだよ圭一は。アハハハ」

親父は本当に余計な事を言う。

 

まぁ、とりあえず詩音に言われたミッションは終了した。

これで今日は寝るだけだ。

 

俺は布団を敷いて、仰向けに倒れ込む。

時間はまだ早いけど、今日一日の疲れが出てきたのか、眠くなってきた。

 

当たり前か。

緊張はしたもんな。

 

「…圭ちゃん。部屋に入っていい?」

 

目を半分つぶり、

うっつら、うっつらしていると、

部屋の入口から魅音の声が聞こえてきた。

 

「あぁ、いいぜ」

 

一目見て、ぎょっとする。

そこには、湯からあがったばかりの火照った体に浴衣姿の魅音がいた!

 

なんてこったい…!

お風呂上りのちょっと上気した顔の魅音ッ!

こ、これは…俺の、どツボじゃないかッ!?

 

赤く火照ったからだに、ほんのりただよう蒸気の温もり、

そして、洗い立ての体から匂うボディソープの香り、

 

やばい。心拍数が上昇し、眠気がふっとぶッ!

破壊力が凄まじすぎるぞ上気魅音ッ!

 

「み、み、み、魅音?」

「あ、アハハハ。詩音から借りた着替えがさ…

 ちょっと着にくかったから、お母さまから拝借してきちゃって」

 

詩音から借りてきた着替え?

そういえば、アルバイトが無かったから。とか言って

魅音に着替えのバッグを渡していたが…

 

まさかアルバイト先の際どい制服が入っていたのか?

いや詩音ならありうる。まったく…あいつは本当に…

 

あれなら、うん。確かに家の中では着にくいな。

親父はよろこぶかもしれないけどれど。

 

いやいや!!!、魅音のそんな姿を見せるわけないはいかないぞ!

 

「どう…かな?圭ちゃん」

 

魅音がおずおずと聞いてくる。、

正直、普段とは違う浴衣姿に俺もどぎまぎしている。

しかも、お風呂上がりの上気した姿というのが、またポイントが高い。

 

似合うかどうかと言われれば、そりゃ完璧に似合ってる。

浴衣美人とはこのことを言うに違いない。

 

「その…うん。とても似合っているぜ魅音」

「あ、ありがとう圭ちゃん…」

 

二人して正面にすわり、

もじもじしている。

 

なんだこの光景は?

 

「いや、というか魅音。なんか、ようか?」

「ふぇ?きちゃ、ダメだった?」

「い、いや、もちろん魅音が俺の部屋にくるのは大歓迎だぜ?

 でも、荷物はさ…泊まる部屋に先に置いておいた方が良いと思うぞ」

「?…いや、お父様から、今日は圭ちゃんのお部屋に泊まるようにって…」

 

おやじいいいい!!!!!

何を考えているんだ!!!!!!

 

俺の家は、雛見沢では「前原屋敷」と言われている。

芸術家の親父のために、自宅とアトリエが兼任した作りになっており、また出版社のパーティなどもひらくため、かなり大きな住宅となっているため、そう言われていた。

 

ということは、当然、来客用の部屋もあるわけで、

魅音も来客用の部屋に泊まらせるのだとばかり思っていた。

 

っていうか、普通はそうするだろう?

どこの世界に年頃の男女を一緒に寝かせる家庭があんだよ!

うちの親は、相手の御両親に申し訳が無いとか思わないのか!

 

俺はダッシュで一階に行くと、

親父にくってかかる。

 

「正気か親父!俺の部屋に魅音を泊めるって、どういう了見だ!」

 

だが、親父は微動だにしない。

むしろ、真剣なまなざしで俺を見ている。

 

俺はその姿に気圧された。

一体これはどういうことなんだ?

 

「父さん…?」

「先ほど途中で言うのを止めたが、園崎のお母さんから言付けがあった」

 

園崎のお母さん?

魅音の母親ってことか。

 

「『もし、手違いが起きても園崎家が全責任を持ちますので、ご心配なさらないように』ということだ」

 

…は…?

…はああああああ!?

 

どういう意味だよそれは!???

 

「圭一…」

 

親父は俺の肩にゆっくりと手を差し伸べた。

 

「決めてこい!」

 

とりあえず俺は親父をグーで殴り。

大急ぎに部屋に戻った。

 

なんなんだこれは?

魅音を家に泊めるまではいい。

 

しかし、キメてこい?

責任を取るから大丈夫だぁ?

何の冗談だ!これも詩音の差し金かよ!?

 

そういやアイツも「一発キメてこい」とか魅音にいっていたな。

もしかして、そういう意味で言ったのか?

 

いやいや、何かを考えているんだ。

俺も魅音も、まだ学生で未成年だぞ!

 

世界がぐにゃりと歪んだような気がする。

 

現実だとは思えない。

もしかして俺は、魅音に告白した時点で、

謎のアウターワールドに突入していたのかもしれない。

 

「圭ちゃん?大丈夫?」

 

俺の異常な興奮状態に驚いたのか、

魅音は目を見開いている。

 

「魅音。お前、布団で寝ろ。俺は今日は毛布で寝る!」

「へ?どういうことさ?」

「その言葉の意味通りだ!じゃあな魅音!」

 

おれは毛布を取り出そうとしたが、魅音に引っ張られた。

 

「お、おい魅音…!」

「そんなのダメだよ圭ちゃん!一緒に寝ないのなら、おじさんも毛布で寝る!」

 

何を言っているんだこいつは?

年頃の男女が一緒の布団に寝るだなんて、頭大丈夫か?

 

「どこの世界に彼女を毛布で寝かせる奴がいんだよ!魅音は布団で寝ろって!」

「嫌だよ!嫌だって!圭ちゃんと一緒がいい!」

「駄目だ。駄目だ。魅音は布団で寝ろって!しまいにゃ怒るぞ!」

「なんで!?どうしてダメなのさ!背中を見せないでよ!私を拒絶しないでよ!」

 

「はぁ?何をいっているんだ。み…」

 

振り返った先の魅音は目に涙を浮かべていた。

その瞬間、俺は雷に打たれたのような衝撃を受ける。

 

この…前原圭一のバカ野郎ッ!!!!!!

お前、本当に何考えてんだ!?

家の前で泣かせる恋人がいるかって言ったばかりなのに、

家の中で泣かせてんじゃねぇ!!!!

 

そうだよ!魅音の気持ちになってみればわかることじゃないか!

 

食事の時は俺は離れて部屋にいって!

部屋に来た時は、何で部屋にいるのかと言われ!

一緒に寝れないと突っ張られて!

 

魅音が、どう思うか考えなかったのか!?

どんだけバカなんだよお前は!!!

 

魅音が疎外感を感じて、

苦しんで、悲しむのは当然のことじゃないか!

 

あぁ、そうだ!全部!全部!今の話は「俺が恥ずかしい」だけだ!

そこに魅音の気持ちなんて一ミリだって入っちゃいねぇ!

全て「俺」でしかない!

 

なんだってんだ!これで魅音の恋人?魅音の大事な仲間?

ふざけんなよ、前原圭一!お前、確かに決めただろ!

魅音を傷つけた時、もう絶対にあんなことをおこさないって!

 

…魅音を、傷つけた?いつ…?

 

いや、いつだっていい!俺は確かに魅音を傷つけたんだ!

何度も何度も、裏切って、傷つけて、泣かせて…

 

それなのに、俺は全く魅音の事を考えて無かった…!

自分が傷つくのだけ恐れて、魅音がどれだけ傷つくのか考えていなかった!

 

許してくれ魅音!すまない魅音!

俺は、もう二度と、お前を傷つけないと決めたのに!

 

「圭ちゃん…?」

「ゴメン、ゴメンな。魅音、俺、またお前を傷つけてしまった」

 

いつの間にか、俺は泣いていた。

涙が止まらなかった。

 

魅音に対する申し訳なさと、

自分のバカさ加減に気が付いて悔しくて泣いてしまった。

 

それを見て魅音は少し驚いたようだったけれど、

俺はそれを無視してそのまま抱きしめた。

 

「もう二度と、魅音を傷つけないって…ゴメンな…本当にゴメン…」

「圭ちゃん…泣かないで、私も…言い過ぎたから…だから…」

「違う。違うんだ。全部俺が悪いんだ。だから謝らなくていいんだ」

「圭ちゃん…ごめんね。私も、ごめんね…家に入ってからずっと、圭ちゃん怒っているようだったから、私、なにかしたのかなって…ずっと、怖くて…」

 

あぁ、前原圭一。お前は本当に大馬鹿野郎だ!

魅音はずっと自分が何かしたから、俺に突き放されたと悩んでいたんだ!

 

俺が怒ったから食事の時に席を立ち、部屋から出て行けと言われ、布団で一緒に寝られるのを拒否されたと思ったんだ!

 

あぁ、クソ!クソ!

 

レナのナタがあったら、この場で、てめぇの頭をカチわってやりたいぜ!

こんなにも、俺のことを思ってくれている素晴らしい彼女を泣かせるだなんて!

 

「生まれて初めて恋人を連れてきたら、俺も勝手がわからなくて…

 だから、恥ずかしくて、魅音に、その、ひどいことをしてしまったんだ…ゴメン…」

「…圭ちゃん」

「だけど、これだけはわかってほしいんだ。俺は、魅音の事を大事に思っている」

「うん。わかってるよ圭ちゃん。わかってる。エヘヘヘ…」

 

俺は、そのまま魅音をベットまで誘導した。

もちろん、そのまま一緒に寝るためだ。

もう、別々に寝るだなんてバカなことは考えない。

 

何があっても、俺は魅音と一緒だ。

 

布団の中で魅音を優しく抱きしめる。

温かくて柔らかい。そして良い匂いがする。

 

あぁ、なんだろう。凄い安心する。

きっと、魅音と一緒だからだ。

 

視線を下すと浴衣から魅音の胸元が見える。

って、こいつ。下着をもしかしたらつけていないのか?

 

詩音から着替えを預かっていた気がしたが。

服だけではなく下着も着替えなかったのか?

 

まぁ、さすがに姉妹とは言え

相手の下着を着るわけにもいかないか。

 

ドキ、ドキ、ドキ…

 

わ、わ、落ち着け、俺の心臓。

魅音に聞こえちまうだろう!

 

「圭ちゃんがお風呂に入っている時に、私も興宮の実家に電話したんだよ」

 

俺が魅音の体温を感じて胸を高鳴らさせていると

魅音は口を開いた。

 

「そしたら、母さんがさ。泊まるんだったら決めてきな!って言うんだ。

おかしいとおもわない?詩音と同じ事を言うんだよ」

 

そういえば、親父も同じことを言っていたな。

 

「だからさ、その、圭ちゃん…いいんだよ」

 

ごくり。と唾をのみ込む。。

”いいんだよ”とは、つまり…

 

…待て。さすがにそこまではやりすぎだ。

クールになれ前原圭一。

 

今、魅音を大事にすると言ったばかりじゃないか!

舌の根も乾かないうちに魅音の襲うって、そりゃいくらなんでもアホの所行だろう!

 

俺は大きく息を吸うとゆっくりと吐いた。

 

「魅音、今日はこれで…もう寝ないか?」

「ア、アハハハ、そうだよね。おじさんの体って、あんまり女の子っぽくないしね」

 

そうじゃねぇ!

 

「逆だ魅音。むしろ、魅音の体は俺好みだ。むしろ俺の為に存在すると言ってもいい。

 できるなら、今すぐ押し倒して色々してやりたいぐらいだぜ」

「…ほぇ?」

 

押し倒してやりたいって言葉は、

布団で一緒に寝ているときに言う台詞でも無い気がするが、まぁ、いい。

 

魅音の額に自分の額を当てると、俺は魅音の頭を撫でた。

 

「…ん、圭ちゃん」

 

魅音は気持ちよさそうに、撫でられている。

 

「だけどさ、周囲に流されるってのは違うと思うんだよな。魅音はどう思う?」

「へっ…どうって?」

「いや、だから、魅音的にはさ。周りに言われたから…そのするってのは…」

「あ…いや。その、おじさん、そういうこと考えた事ないからさ…」

 

うむ。

俺も無い。

 

正直、この状況にかなり戸惑っている。

 

「言っておくが魅音。俺が本気でこのまま襲ったら容赦はしないぜ?

 なにせ相手は初恋の相手だ。魅音だ。きっと俺は限界を超えちまう。そう言うなれば

 ナイアガラの滝を上る鯉のようにハッスルするはずだ!」

「あの…圭ちゃん。意味がわからないんだけど…」

 

失敗。

 

「じゃあ、分かりやすく言ってやる。

 魅音、俺が本気なら、お前を今から三十分以内に妊娠させてやる自信がある!」

「に、妊娠ッ…!?」

 

おぉ、魅音の顔が真っ赤だ。

可愛いぜ魅音。ご褒美に額にキスをしてやるぜ!

 

…本当は、そんなことしたことないし、やり方もよくわからないから

 30分で妊娠させるなんて無理なんだけどさ。

 

「でも、それって、俺達が、お互いが欲しい時にするものじゃないか?

 周囲に言われてやるものじゃないだろ?」

「え、あ、うん…まぁ、そうだろうね。それにうちらまだ学生だし」

「そういうこと。まぁ、魅音がどうしても…っていうのなら考えてもいいぜ」

「…いや…アハハハ…おじさん、わかんないや…」

 

ごめんな魅音。

これは少し意地悪な質問だよな。

 

魅音がうつむいて俺の胸に頭をこすりつけてきた。

俺はそのまま魅音の頭を撫で続ける。何度も。何度も。

 

「なら、今日はこれで寝ようぜ魅音」

「うん…わかった…」

 

魅音は小さく頷いた。

よし、これで万事大丈夫だ。後は寝るだけさ。

 

でも、その前に…言っておかないとダメだな。

これだけは。絶対に。

 

あぁ、もう自分でここまで言っているのに、

本当に情けないぜ!

 

「…なぁ、魅音。今、色々言ったんだけどさ」

「なに、圭ちゃん?」

「その、我慢できずに色々イタズラしたら。ゴメンな…」

「アハハハ!もう、最初から”いいよ”って言ってるじゃん。

 圭ちゃんもさ、損な性分しているよね」

 

我慢しなくても良いのに。

魅音はそう笑顔で答えてくれた。




トピック: [ これがエロゲーなら ]
※トピックでは「ひぐらしのなく頃に」のネタバレが含まれます※

もっとも古いエロゲーは1981年に販売され、
1982年~1983年、つまり昭和58年(1983年)には光栄、エニックスなど、その後大手のゲーム会社からストロベリーポルノシリーズなどのエロゲーが発売されています。

とはいえ、恐らくパソコンをもっていないであろう前原圭一が遊んではいるとは思えないので、あくまでも比喩表現として見て下さい。


ちなみに昭和58年は丁度ファミコンが発売された時期であり、ひぐらしのなく頃に業・卒の玩具屋さんには、ファミコンのポスターが貼ってあります。

なお原作のひぐらしの鳴く頃『皆殺し編』では、当時では考えられない「ポリゴン、3Dなどの美少女の素晴らしさ」について前原圭一が亀田くんに熱く語っています。
この辺りは「昭和にそんなものはねぇ!」と目くじらをたてるより、ひぐらしの世界は、そういうもんだと思って見るのが一番でしょう。

トピック: [ お風呂上りのちょっと上気した顔の魅音~どツボじゃないか ]
※トピックでは「ひぐらしのなく頃に」のネタバレが含まれます※

『皆殺し編』の前原圭一が、亀田くんを説得シーンの台詞より。
前原圭一「お風呂上がりのちょっと上気した顔にこそ美しさを見出すのは俺だけかッ!?」
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