鷹の目は今日も極上の果実を射抜く   作:タイチ

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再び迷走中です。全て書き直すかもしれません。


護衛

 あれから6日が過ぎ、いよいよCランク進級試験である前日になった。その間変わったことと言えば、モンスターの討伐依頼がおかしなことになったくらいだ。というのも、指定の場所にモンスターがいなかったり、そもそも最近遭遇しづらかったりと何か特別な意味がありそうで警戒している。何はともあれ明日はCランク進級試験である為、今夜は早く休む事にした。

 

 ◆

 

 翌日は早く起き、『鉄の歯車』のメンバーたちと共にギルドに向かった。半ば予想していたというかマルコが言っていた通り、Cランク進級試験はエルン町長のサランの町への慰問に同行することと決定した。

 

 エルンの町長は結構若い女性で名前をマリアベル・デューターという女性らしい。年は30もいっていない。巻いた髪と眼鏡が特徴的なグラマラスなご婦人だ。

 

 初めに挨拶してもらった時には思わず2度見してしまうほどのプロポーションであった。

 

 さて同行するメンバーの方はというと『鉄の歯車』と俺で1パーティと一人。それに加え先輩冒険者である『青き蹄鉄』というCランクパーティも監督兼同行することになった。

 

 試験内容は無事に慰問を終えて帰ってくる事らしいがそんな簡単な事で大丈夫なのだろうか。さては暗殺紛いの事件でも起きたりするのだろうか。不安と緊張がこみ上げてくるが、やる事をやるだけだと思い気を引き締めた。

 

「レイチェル、俺の<ホークアイ>には何も反応しないがそっちはどうだ」

 

「いいえ、何もいやしませんわね」

 

「そうか」

 

 旅の最中基本的にCランクパーティの先輩方は手を出さない。

 すなわち警護や索敵も基本的には俺達で受け持つ事になった。

 これも試験の一環というやつだろう。気を引き締めてレイチェルと交互に索敵をするが、モンスターのモの字も見えやしなかった。

 

 道中は至って平和だ。

 こうなれば普段の警護態度とかで評価されるのだろうか。

 

 先輩達や町長直属の側近たちに立ち振る舞いを見られていると思えば、身体が鉛の様に動かなくなるかもしれないが、どうせ俺達は俺達だ。必要だと思う事をやって、それでも足りなけりゃ次回に挽回するだけだと自然体で挑む事にした。

 

「それにしてもモンスターを見ねえな」

 

「街道沿いだから比較的安全なのもありますね」

 

 レンドンとアドナンの会話に耳を傾ける。

 そう言えば最近モンスターの活動がおかしなことになっている気がするな。

 

「マルコ、ここ1週間モンスターをあまり見かけないがおまえもか?」

 

「そうだね、ホクト。全然見ないよ。なんか薄気味悪いなぁ」

 

 マルコの感はいかほどのものなのか。

 とりあえず、街道を渡って2・3日野宿もしたが特に危険らしい危険もなかった。ちなみに、寝ずの番は交代で行った。

 

 慰問とはいえいくらかの救援物資も馬車の後ろに積んでいるので客観的に見て格好の的だと思ってしまうのだが、なんら襲われる気配が無い。

 

 そして残り半分の行程というところでようやくモンスターをちらほら見かけるようになってきた。俺達は気を引き締め直して相手をする。

 道中に出てくるのはスライムや、ゴブリン。強くてもDランク依頼で見るようなジャイアントトードくらいのものであった。ジャイアントトードは舌攻撃と踏み潰しに気を付けて対処し、レンドンとマルコを中心に討伐した。

 

「モンスターを見るようになったけどこれが普通だよね」

 

「そうだな、サランはまだ盗賊被害も収まってないらしいから気を引き締めなきゃな」

 

「うん、来そうだねぇ」

 

 サランの町までは残りあと2日と言ったところか。

 

「私とあなたで目を光らせておくしかないわね」

 

「あぁ、決して逃さない」

 

「あら、頼もしいわね」

 

 レイチェルが髪をかき上げにこりと笑った。

 一瞬見ほれそうになるが、俺は頭を正常に戻して警戒を続けるのだった。

 

 ◆

 

 残り1日となったところであからさまに警戒されている視線を感じる。<ホークアイ>で見れば森の中から伺っている盗賊達の様子がわかった。

 

「レイチェル。見えるか?」

 

「えぇ見えますわ。これは戦いを避けられそうにありませんわね」

 

 俺達は怪しまれない程度に下がりレイチェルと世間話をするかのように情報を共有した。

 

「挟まれたらやっかいだな。飛び道具が多くなけりゃいいが」

 

「左右からも集まってきた。これは間違いなく襲われるな」

 

 近づいてきたレンドンが軽く顎で示す様に横の木々の合間を示す。

 あくまで気づいてないフリをする為に、決してそちらは見ない様にしてそのまま進んだ。

 

 5分も歩けば、前方からたった二人だけのガラの悪そうな男達が仁王立ちして待っていた。

 

「よお、アンタらこの先のサランに用かい?」

 

「そうですが、貴方達はなんですか?」

 

 先頭にいる御者が問うた。

 

「見てわかるだろ。俺たちゃこの辺りを縄張りにしてる盗賊だ。持ってるもん置いてってもらおうか!」

 

「ひぃっ」

 

「野郎ども、やっちまえ!」

 

 掛け声と共に馬車の左右から弓矢の雨が降り注ぐ。

『鉄の歯車』は咄嗟にレンドンとマルコが前に出て後ろにアドナンとレイチェルが隠れる様な陣形になる。持っていた槍でスキル<旋風>を発動して全て弾いた。俺も必死に<ライトニング>で撃ち落して、残りを回避した。

 

 全て防がれて一瞬驚いた盗賊達だったが、すぐに我に返り弓を捨てて手持ちの武器を抜きながら一斉に襲い掛かってくる。

 

 マルコ達は槍使い二人を中心に淀みなく迎撃し、レイチェルが隙を狙ってひとりづつ確実に仕留めていく。

 

 俺は反対側に居たため、単独での相手となったので短剣を使い回避する事に専念して時間を稼いだ。そしてマルコ達が敵を圧倒し始めるとタイミングを見計らっていたかのようにマルコが馬車を越えて助太刀に来てくれた。

 

「おまたせ、ホクト」

 

 形勢逆転だな、マルコが<大車輪>で大暴れしているおかげで、余裕が出来たので俺もレイチェルの様に弓矢でひとつひとつ撃ち抜いていく。

 

 やがて左右の攻防戦でお互いに勝利すると前方からも盗賊の増援が見えた。

 

 しかし、そいつらの到着はかなわず後ろに控えていたCランクパーティ『青き蹄鉄』がようやく援護に回ったことで敵は踵を返す事になる。

 

「ちっつえーぞ、ものどもずらかれ!!」

 

 その掛け声と共に生き残っていた盗賊共を引きつれ一目散に逃げていった。

 

 戦況は決した。急いで負傷者の確認を行い、アドナンに救護を要請する。当然、町長であるマリアベルさんの乗っている馬車の中も確認させてもらう事にした。

 

「すいません、盗賊は撃退しました。中の方々は無事ですか?」

 

 すると、馬車の扉が開かれ、マリアベルさん本人が自ら顔を出した。

 

「き、危険です。町長すぐに中へ!」

 

「今、盗賊は撃退したといったではないですか。皆さんご苦労様です。私や中の者のは見ての通り無傷ですわ。引き続き警護をお願いしてよろしいですか?」

 

「はい、了解しました」

 

 ひと時の間町長であるマリアベルさんの柔和な笑みに絆されていたが慌てて我に返った。

 

 結果としてこちらは負傷者2名のみで御者とレンドンが少し怪我をした程度で済んだ。

 

 盗賊達は死者10数名を出したが全て置き去りにしていった。

 仕方無いので貴重品のみ外し、残った亡骸はすべて火葬することになった。放っておけばアンデッドになる可能性も捨てきれない。

 

 そうして半日ほど足を取られたわけだが、7日目にしてようやくサランの港町に到着した。




市長→町長に変更
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