最近、アンジーが時折村からいなくなることがある。ミランダ様に相談したけど、あの御方でも追跡できないみたい。
何処に行っているのかしら・・・・・・?
心配だわ・・・・・・無事に帰ってきてくれると良いのだけれど・・・・・・
アタシの目の前で『灰の審判者、グンダ』が膝を着く。審判者としての永い責務を終えた『英雄』はそのまま朽ち果て、光となって消えていった。
前回までのあらすじ。目覚めたら見知らぬ墓場にいたので脱出したら謎の大男とガチバトルすることになった。以上。
いやどういうことだよ!?まるで意味が分かんねえぞ!?
どう見ても村とは違う墓場にイカれた亡者達、結晶の生えたクッソデカいトカゲ、極めつけは分厚い鎧に身を包んだ斧槍を持った大男!なんだこれ!?また異世界なのか!?この前魔界で悪魔退治したばっかじゃねえか!
しかもドナとのつながりが切れてやがる。アタシ1人で放り出されちまったってワケだ。クソが。
こっちの武器は幻影短剣(ショーテルより取り回しが良いからこっちに変えた)とウルフスベイン(念動力で浮かせて撃つ。何故か弾数が無限になった)だけだ。ダンテとバージルに戦い方を習っておいて本当に良かった。
しかし、天はアタシを見捨てていなかった。同行者がいたのだ。
「ふぅ・・・・・・終わったか」
「どうやらそうみたいだね・・・・・・あー疲れた。アタシは人形だから疲労はしないけど精神が疲れた!」
アタシの隣で数打ちのロングソードを鞘に収めているのは、背中に盾を背負った全身鎧の騎士だ。涙を流しているような変わった意匠の兜の、見たことが無いタイプの鎧だ。やっぱ異世界なだけあるな。
コイツはアタシが墓場で目覚めた直後、鐘の音が鳴り響いたと思ったら近くにあった石の棺桶から起き上がってきた奴だ。鎧姿のまま棺桶にぶち込まれるとかコイツ以前は何やってたんだ?
「あのグンダの斧槍でオマエの首がぶっ飛んだ時はマジで焦ったんだからな!」
「すまない。油断していたわけではないのだが、間合いを見誤ったようだ」
そう。コイツはアタシの目の前で一度死んでいる。斧槍の横薙ぎをもろに喰らって首と胴体が泣き別れしたのだ。しかもその直後、死体が煙のように消えちまった。
混乱するアタシに猛攻を加えるグンダ。アタシが必死になって弾丸と幻影短剣を乱射していると、なんとアタシ達が戦ってる広場の入り口から死んだ筈のアイツが走ってくるではないか!アタシは恐怖した。
話を聞くと、どうやらコイツは『火の無い灰』と呼ばれる不死の存在らしい。不死と言っても死なないわけではなく、死んでも『篝火』の側で復活できるのだとか。『何度でも死ねる』ってことだ。
「不死ねぇ。ミランダよりヤバいじゃないか。死ねないってのはある意味悲惨かも知れないが、非力なアタシにとっては羨ましいよ」
「・・・・・・?貴公も火の無い灰ではないのか?」
「そんなわけねえだろ!どう見たらアタシとオマエが同じ種族に見えるんだよ!?」
「そうなのか?貴公から強大なソウルを感じるから、てっきり不死なのかと・・・・・・」
「え?」
アタシの中にソウルが?
・・・・・・いや、確かにアタシの中には人間の魂が入ってるが、この騎士が言う『ソウル』はまた別の意味を持つものなのかもしれない。
「・・・・・・まあ、いいや。それで、これからどうする?」
「ふむ・・・・・・先程こちらへ向かう途中に、遠くの方に石造りの建物が見えた。まずはそこを目指すとしよう」
「あいよ。了解」
そんな感じでグダグダ喋りながら進む。ここから、アタシ達の『はじまりの火』と『薪の王』達を巡る長い旅が始まるのだった。
・・・・・・とりあえず、あのクソ犬どもは絶滅させる。絶対にだ。