エースコンバット7 FLIGHT REZON   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 トップガンの吹替版も見に行きました。
 同じ映画を二回見るなんて初めて。

 吹替版も良かったです。ルースター役の宮野さんの若々しい主人公ボイスはやっぱ癖になります。

 前回買えなかったパンフレットも買えました。パンフレット、重版されたらしいですね。
 これは新たな社会現象間違いなし。ゲット出来て良かったです。



STAGE17【Two-pronged Strategy(白翼の巨鳥)

 

 

「うおっ」

 

 上昇気流がファルコンを押し上げた。

 

 雲の上じゃなくても快晴な空が広がるチョピンブルグ上空。

 下は一面木、木、木の森がうっそうと生い茂っており。そこを分かつように1本の巨大な川が流れていた。

 

 きっちり途中の空中給油を済ませて戦場に馳せ参じたが、既に戦闘は始まっていた。

 

「メイジ隊、状況を知らせる。ゴーレム隊と他基地の2小隊は合流済み、既に交戦中だ。君たちは戦闘の真っ只中に突入する」

「スケルトン隊、先行してます。うわぁ暴れてる」

「勢いが良いな、若い奴は」

 

 先走りすぎて堕ちないといいけど………

 

「メイジ隊、この空域にいるバンディットを全て排除せよ。現状、我が方が優位だが油断はできない。幸運を祈る」

「メイジ1、ウィルコ」

「メイジ2、ウィルコ」

 

 しかし上昇気流が凄いな。まるで釣り上げられてるみたいだ。

 

 レーダーチェック、HUDチェック。

 おー、やってるやってる。

 

『パシフィック2! 後ろだ! ミサイル!』

「しゃあ! 撃墜数ゲット!」

『また増援が来たのか!? これ以上捌ききれないぞ!』

『耐えろ! 直に増援が来る!』

『グラム3! 離脱する!』

 

 敵はF-4E ファントムⅡとF-16C。

 こっちはゴーレム隊とスケルトン隊。F-14D スーパートムキャットを駆る本部直属のガーゴイル隊。

 

 戦力差は圧倒的だな。

 しかもみんな腕がいいのかレーダーから次々と敵の光点が消えていく。

 

「メイジ1よりゴーレム1、ただいま到着した」

「メイジ1、それからメイジ2。このまま押し切るぞ」

 

 戦闘開始。

 二週間ぶりの規模の大きい作戦に身体がキュッと締め付けられた。

 

「全機、一度食らいついたら逃がすなよ。雲の中に逃げようが追い詰めろ」

「おうとも! 俺たちオーシアに喧嘩売ったことを後悔させてやる! 行くぞスケルトン隊!」

「やれやれ、マングースの奴め。士気が下がるよりは良いが。少しは落ち着けないものか」

「そういうなガーゴイル1。じゃじゃ馬の尻拭いも老人の役目さ。さぁてトリガー、俺たちの腕をほかの隊のやつらに見せてやろうぜ」

「細々とやりたいです」

「ハハっ、それは自分の腕に言うんだな。さあ狩りの始まりだ!」

 

 テンションを上げたクラウンがスロットルを吹かし、近くのファントムに噛みついた。

 

 それに追従しようとしたが、目の前に向かってくる敵のファルコンが見えた。

 速度を上げて肉薄。相手が機銃を撃つより早くこちらの機銃を敵のエアインテークにぶちこんだ。

 

 そして下方に敵。ダイブしてすれ違いざまにミサイルを叩きつけた。

 ファントムの背中に当たったミサイルが炸裂。そのまま中折れしたまま回転して落ちていった。

 

『行きなり2機やられた!? 誰だ!』

『グラム4とパシフィック3だ! くそっ! 敵に凄腕が混じってやがる!』

『耐えろ! もうすぐベイオネットが来る!』

「やるなメイジ2。噂に違わぬ腕前だ」

「恐縮です、ガーゴイル1」

 

 真横を飛んでいたトムキャットにハンドサインを出してブレーク。

 クラウンと合流して次の獲物に向かった。

 

「トリガー、ナイスキル」

「F-4Eが多いですね。MiG-21と良い勝負の古株だ」

「あんなお爺ちゃんを出すほど敵の航空戦力も切羽詰まってるってことだな。無人機に手を出す訳だ」

「このままたたみましょう」

「よっしゃ!」

 

 スケルトン隊が編隊を組んで1機ずつ落としていく。

 俺たちが頑張らなくても敵が次々と落ちていく現状。自分たちとは違う部隊との共同作戦は初めてだったが、数が多いというのはそれだけで頼もしかった。

 

『押されてるぞ! 増援はまだか!』

『もうすぐ来るらしいが』

『全機! 方位270なら長距離ミサイル! 回避回避!』

 

 ガーゴイル隊のトムキャットが放ったLAAM長距離空対空ミサイルが戦場のど真ん中に突き刺さった。

 ベルカのシュネー隊宜しく。トムキャットのロングレンジアタックは敵からしたらたまった物ではないはずだ。

 

『こちらベイオネット隊! 待たせたね野郎共! これより戦闘空域に突入する』

『遅いぞ! だが頼む!』

「全機、敵の増援だ。F-16Cが4機、方位070」

「ポイントが来たぜ! スケルトン隊エンゲージ!」

「俺たちも行くぞトリガー」

「了解。メイジ2、エンゲージ」

 

 敵のF-16C 4機をメイジ・スケルトンのF-16C総勢6機が迎え撃つ。

 

「こちらスケルトン1! 増援のF-16Cはネームド! ホワイトカラーに翼端がレッドだぜ!」

「ベイオネットか!」

 

 白地に赤い翼のF-16C、ベイオネット小隊。

 確かリーダーの人は女性だった。

 この前のジェスターとは違い、出来る方のネームド。

 

『隊長、敵に凄腕のF-16Cがいる模様。例の狼付きだと思われます』

『同じ機体として負けられないね。そいつは私が喰う!』

「くるっ!」

 

 向けられた敵意。

 先頭を飛ぶ赤羽のF-16Cベイオネットがこっちにミサイルを撃った。

 

 回避、思い切り旋回して通りすぎる筈のミサイルが限界射程を向かえる前に破裂した。

 

「SASMか! ダメージは、なし!」

『よけたねぇ! いいじゃないか!』

 

 躍りかかるような軌道でこちらに矢面を向けようとするところを右旋回。

 ベイオネットはローヨーヨーとハイヨーヨーを駆使して俺の後ろにつこうとする。

 減速してオーバーシュートさせようとするが敵も対応してきている。ほぼ横合いの敵を睨みながらスロットルと操縦桿を手繰り寄せる。

 

『そらFOX3!』

「フレアフレア!」

 

 フレアボタンを押し込み、発煙弾が空中にパッと撒き散らされた。熱に釣られたSASMは機体の遥か後方で破裂する。

 透かさずハイGループ。ギリギリの円周回でベイオネットの背後を睨み付けた。

 

『やるねぇ!』

『隊長!!』

 

 横合いから別の赤羽のF-16Cが機銃を撃つ。目の前のベイオネットと比べて赤いカラーが短い僚機を躱し、ベイオネットにカーソルを滑らせる。

 

 粗削りながら普通では考えられない軌道で飛ぶトリガー。

 豪快でありながら熟練の冴えを隠すベイオネット。

 

 細かなチューンナップ、特殊武装の差異はあれど。

 同じ機体同士では互いの技量が物を言う。

 そして今回は俺が一手先んじた。

 

「FOX2!」

 

 ロックオン、子気味の良い音に促されてトリガーを引く。

 直撃コースであったが、ベイオネットは急旋回して身をよじり、直撃を避けた。

 

「浅いっ」

『狼! 噂に偽りなしかい!』

 

 油断などしていなかったが一発食らった。

 当たりどころが悪ければ今の一発で終わっていた。

 

(いいね! これだよ! これが空戦ってもんさ!)

 

 滾る血を乗せてベイオネットはフルスロットル。一同距離をつけ、そのままヘッドオンに持ち込もうとした。

 

『隊長、隊長!』

『なんだいエド! 今良いとこだよ!』

『本部から撤退命令だ!』

『撤退!? 私たちはまだ負けてないだろうが!』

『それが───』

 

 2番機の言葉に耳を傾けるベイオネット。

 しばらく清聴していたが、部下が言いきる前にコクピットのガラスを叩いた。

 

『んだよそれ! 私たちは囮かい!?』

『知るかそんなもん!』

『くそっ! 急進派の若造どもが……』

『隊長! 撤退をっ』

『わかってるよ! ラバルトの旦那に泥を塗るわけにはいかないさ! 全機、アタシたちに続け! 撤退を』

『こちらグラム1! 敵が後ろに!』

『右だ! 右によけろ!』

 

 ゴーレム隊とガーゴイル隊に次々と堕とされていくエルジア機。

 対して相手は1機も欠けずにだ。

 

 残っているのは自分たちベイオネット隊のみ。

 そんな現状にベイオネットはまた舌打ちを鳴らす。

 

『これがツケだな。まったくなってないじゃないか。うちの空軍は……』

『隊長………』

『ベイオネット1から各機! 全速力で現空域を離脱! そら急いだ急いだ!』

 

 ベイオネットの赤羽部隊4機が撤退を決めた。

 

 メイジとスケルトンの攻撃を振り切り、俺たちに背を向けて遠ざかっていく。

 

「逃がすかこの!」

「あ、ちょっと」

「スケルトン隊。深追いはするな」

「んんっ! 了解」

 

 煮え切らないまま反転するスケルトン隊。

 

 ベイオネット。仕留めきれなかったのは初めてだ。

 

 敵にも凄腕がいる。自分のペースに引き込めなかった。

 パイロを仕留められたのは敵が単機だっただからなのだろうか。いやそれだけでは。

 

「全機、こちらのレーダーに敵影なし。オールクリア」

「ヤッホーイ!」

「イェアッ!」

「見たかエルジアのへなちょこ!」

「俺たちに戦争を仕掛けるなんて! 馬鹿な連中だぜ!」

 

 思案にくれた思考が回りの、というよりスケルトン隊の歓声に引き戻される。

 

 コクピットに影が入る。上を見るとクラウンがこっちに戻ってきていた。

 

「今回のビジネスは簡単、ではあったな? ベイオネットも撤退してくれたし」

「そうですね」

「ベイオネット以外も腕はあったが。オーレッドでのお前に勝るものはいなかったぜ、トリガー」

「なんか不思議な感じでした」

 

 赤い羽のF-16C。

 俺の時はグレーに赤羽だったが。まさかあの時のアグレッサーカラーと同じ奴が相手とはなんたる偶然だろうか。

 

 もしかして意図的に敵のネームドとして飛んでいたのでは? 

 彼らの耳に入らないことを祈るばかりだ。

 

 無言でお祈りをしようとした、その時。

 

 コクピットにけたたましいアラートが鳴り渡り、緊張が頭から爪先を駆け巡った。

 

「ミサイル接近! かわせ!」

「ブレイク! ブレイク!」

 

 方位360。真北から大量のミサイルがIUN空軍に降り注ぐ。

 いくつもの白い筋、そしてミサイルを表すレーダーの白線が大量にチョピンブルグの空を横切っていく。

 

「なんだと。どういうことだ」

「警戒! ミサイル!」

「なんだよなんだよこれ!」

「敵は撤退したんじゃないのかよ!」

「警告! 巨大な機影が接近してきている 全機警戒せよ!」

「巨大な機影だって!?」

 

 まさかっ! 

 

 沸き上がる悪寒に従ってミサイルが来た方向を睨んだ。

 

「うっあ………」

 

 分厚い雲。その白い雲海から鯨のように突き抜けてきたのは。巨大な航空機、否、航空母機。

 

 中央の巨大プロペラと、翼に生えた6基のプロペラを回転させ。戦闘機十数機分の巨体を大空に広げている。

 

 無人航空母機、アーセナルバードだった。

 

 ゆっくりと、そして荘厳な姿を見せ付けるように飛ぶアーセナルバードは。こちらを見た。

 

 そして奴の翼の裏を見て俺は目を反らしたくなった。

 翼の下には夥しい量の無人機が懸架されていて。

 その無人機が卵を産み落とすかのように次々と投下。

 

 投下されたMQ-101は折りたたまれた翼を開き反転。パルスエンジンに火をつけ、親鳥の敵を貪り尽くさんと襲いかかってきた。

 

 その数は、もう数えるのも馬鹿馬鹿しいほどだった。

 

「UAV、急速接近!」

「エルジアがアーセナルバードを運用してることがはっきりした。奴らめ、実践投入の準備は万端だった訳か!」

「レーダーを照射されている」

「来るぞ!!」

 

 先遣隊ザッと20機が一斉にミサイルを撃ってきた。

 

 各機各々が持てる推力を持ってミサイルを回避。

 

「くそっ! 被弾した!」

「大丈夫かガーゴイル3!」

「早い! なんだこの機動は!」

「スカイキーパー! こちらスケルトン1。バケモノ鳥をどうする? やるのか?」

「現在作戦本部の判断を待っている」

「くぅ! 嫌な予感しかしねえぜ!」

「ゴーレム1から各機! 自分自身の仕事を全うしろ!」

「生き残るぞトリガー!」

「了解!」

 

 交戦開始。戦力差を考える暇もなく小鳥の群れに突入。

 丁度目の前の2機にミサイル。すれ違い様に爆散させるが、まだまだ焼け石に水にすらならない! 

 

「注意しろ、包囲されてるぞ!」

「ハッ! この間の無人機より良い動きしてるぜ」

「なんて動きだ、数が多すぎる」

「簡単に落とせる敵じゃないぞ」

「バンディットの動きが読めない!」

「怖じ気づいたら負けだ! 撃墜するしかない!」

 

 機銃、4AAMに通常ミサイル。

 

 本当に何機いるのかわからないその群れに火力を突き入れていく。

 

 適当に撃てば当たる、ならどれだけよかったか。

 クラウン言う通り、このまえのMQ-99よりもキレが増している。

 MQ-99と同じく、ちゃんと狙わなければ落とせない。

 

「全機聞け。作戦に変更なし、チョピンブルグの航空優勢を確保───アーセナルバードを破壊せよ!」

 

 ミッション更新。

 その命題にIUNの勇士たちは震えた。

 

「あんなのと戦うのかよ………どうなってるんだ」

「無人機に対応するだけで精一杯だ」

「航空機で相手出来んのかよ………」

 

 呆気に取られる者。

 現実を口にする者。

 絶望を悟った者。

 

 同様と恐怖が蔓延するなか、俺は………

 

「どこを狙えばいいかな、これは………」

 

 冷静に目の前の巨鳥を直視していた。

 

 飛ぶためのプロペラか。

 いや先にミサイルランチャーか? 

 

 なんにせよ、奴は人が作りし物。破壊は可能な筈。

 

 そしてやらなければならないなら。

 やるしかないのが軍人だ。

 

「ゴーレム隊! デカブツを落とすぞ!」

「メイジ隊、アーセナルバードに攻撃開始!」

「「了解!」」

 

 フォートグレイス両隊長の檄に新米パイロットが思い思いに翼を動かす。

 怖じけはある、がそんな暇を相手は与えて貰えそうになかった。

 

「こちらガーゴイル1、ひよっこが必死こいて挑んでる。俺たちも腕を見せる時だ。そうだろうスケルトン隊」

「あ、ああ! スケルトン隊各機! メイジ2に手柄を寄越すな! オープンコンバット!」

 

 アーセナルバード攻撃開始。

 

 アーセナルバードの回りを大きく迂回し、背後に取りついた。

 4AAM選択。メインプロペラロック、ファイア! 

 

 ファルコンの最大火力をプロペラに叩き込む。

 他の機体も用いる兵装をアーセナルバードに投射さる。

 

 何発かは命中したが、不意にMQ-101が俺たちの間に紛れ込み、身を挺してミサイルを受けて散っていった。

 

「うっ! 自分を盾にした!?」

「無人機だから出来る芸当だな!」

「各機! アーセナルバードから光が!」

 

 コクピット内にも響く音と友にアーセナルの中央から青白い光のリングが出現した。

 それはまるで天使の輪っか、エンジェルハイロウのようだった。

 

 神々しくも荘厳な姿な気を取られる隙もなく、周囲を飛んでいた無人機が俺たちを包み込むように攻撃する。

 

 鳴り響くアラート、アラート、アラート。

 

 HUDに表示された赤い帯のサインがミサイルの来る方向を教えてくれたが。

 それはもう通常の戦闘ではあり得ないような集中砲火だった。

 

 たまらずアーセナルバードへの攻撃を中止してループ。

 コクピットの横を通るミサイルをやり過ごしてもう一度攻撃態勢を取ろうとする俺らに今度は親鳥のミサイルランチャーが火を吹いた。

 

「翼からミサイルの雨が降ってきやがる。なんて兵器だ」

「軌道エレベーターの守り神が、俺たちに牙を向くとは」

 

 VLSのように次々と対空ミサイルを吐き出すアーセナルバードに思わず苦言を漏らすクラウンに同意しつつ、回避するために左旋回してやり過ごす。

 

 だがこの苛烈な圧迫射撃に無傷とはいかなかった。

 

「スケルトン1! チェックシックス! 隊長!」

「やられた! ベイルアウ………」

 

 スケルトン隊隊長マングースの機体が爆散した。

 パラシュートは………くそっ、見えないか! 

 

「くそ! スケルトン1、ロスト。スケルトン2、隊の指揮を引き継げ」

「マングース! くそぉっ!」

「ヘイブ! 指揮を!」

「ガーゴイル1からガーゴイル隊。スケルトン隊支援に入るぞ」

「了解! くそっ、味方が落とされるとは!」

「スカイキーパー、状況は」

「いま情報を収集中だ」

 

 立ち塞がる無人機を機銃で追い払い、本命のミサイルをプロペラに叩き込む。

 よし! 

 

「こちらメイジ2。メインプロペラ1基破壊! こいつも食らえ!」

 

 4AAMが右翼のSAMを2機破壊。サブプロペラに命中し、駄目押しに機銃を集中照射して破壊する。

 アーセナルバードの飛び方がほんの少し傾いた。

 

 よし、間違いなくダメージは入っている! このまま行けば………

 

「ゴーレム2、ミサイル! よけろ、ミサイルだ!」

「躱してみせる! くぅっ!」

「こちらゴーレム3。ゴーレム2が被弾した!」

「ブラウニー!?」

「おい大丈夫か!?」

「ゴーレム2、状況報告」

 

 ブラウニーからの返答がない。いつもなら即座に返す筈なのに。

 

 ブラウニーは何処だ? 

 くそっ、見る余裕がないっ! 

 

「ゴーレム2、返事をしろ!」

「大丈夫かブラウニー! おい!」

「こちらゴーレム2。計器に異常無し。戦闘継続します」 

 

 ブラウニーの声が聞こえてきてホッと胸を撫で下ろす。

 だが心配する余裕はアラートによって直ぐに振り払われた。

 

「スケルトン3! ブレイク! ブレイク!」

「ミサイルだ! ぐっ」

 

 また1機、スケルトン隊のF-16Cが撃墜された。

 ジワジワと追い詰められていく感覚。

 

 こちらは命をかけているというのに、奴らは損害なく俺たちを囲っていく。

 

「いくらでも出てくるぞ、どうする?」

「報告はまだか!」

「こちらHQ、引き続き制空戦闘を継続せよ」

「HQ、どういうことだ。こちらは劣勢に立たされている」

「スカイキーパー。繰り返す、制空戦闘を継続だ。アーセナルバードを破壊せよ」

「どういうことだ!?」

 

 機械的かつ実直な司令部からの命令にIUN、なかでも残されたスケルトン隊2機の士気が乱れ始めた。

 

「このままではジリ貧だぞ!」

「落ち着け! 全機、攻撃を続けるんだ」

「マングースもやられたんだぞ、うちのエースが………」

「おい待て、なんだアレは!」

「警戒! アーセナルバードの光に変化が!」

 

 立て続けに変わる戦場に目眩がするなか。俺は視線だけをアーセナルバードに向けた。

 アーセナルバードのエンジェルハイロウ。光の輪が白から赤に変わり。それがどんどん大きくなっていっていたのだ。

 

「司令部からの情報? こんな時に………なんてこった!」

「なんだスカイキーパー!」

「警告! 全機警戒せよ! APSが来る!」

 

 APSってなんだ!? 

 

「各機! レーダー警戒の円から待避せよ! 急げっ!!」

「回避回避!」

「避けろ! 速く!」

「無理だ無理だ!」

 

 レーダーに写されたアーセナルバードの機影、その周囲に赤いリング。警告範囲が表示された。

 

 嘘だろマジ!! 

 

 その円の中に入っていた俺は急速反転。遮二無二にスロットルをぶった押し。

 既に煤だらけなエンジンに鞭を入れた。

 

 アーセナルバードが剣を振り下ろした。

 赤く広がったエンジェルハイロウが機体周囲まで一気に広がり、それはアーセナルバードの巨体をすっぽり包む電磁バリアとなった。

 

 放たれたミサイルと機銃はそのプラズマに押し潰されて爆発。

 

 中にいた戦闘機はプラズマからの断続的な電磁摩擦に晒された。

 

「うぅぅぅぅ!!」

 

 紙一重で間に合わなかった俺のF-16Cはビクンビクンと痙攣しながらもプラズマバリアの外に飛び出せた。

 

 だが円範囲の中心にいたスケルトン隊のF-16Cはプラズマの奔流に振り回され、致命傷となった。

 

「もうダメだ、堕ちる! 操縦不能!」

「母さん! 母さんっ!!」

 

 スケルトン隊がアーセナルバードが作った鳥籠の中で翼を手折られた。

 脱出することも出来ず、スケルトン隊はAPSの中で蒸発した。

 

「くそっ! スケルトン隊が……!」

「スケルトン隊は全滅だ。被害が大きすぎる。クソッ、なんで今頃こんな情報が………」

「トリガー大丈夫か? トリガー!」

「け、計器チェックします」

 

 計器確認、エラーなし。

 損耗率20%。

 操縦桿、ペダル、スロットル、問題なく動く。

 

「こちらメイジ2。計器オールグリーン。まだまだ行けます!」

「そうか。だがもうアーセナルバードには攻撃できないな」

 

 機体を建て直してアーセナルバードの方に向くと奴は巨大なプラズマの円の中で悠々と飛んでいた。

 あれでは攻撃が通らない。全部プラズマに当たって蒸発してしまう。

 

「全隊に告ぐ。司令部より撤退の指示が出た。全機、作戦空域より離脱せよ」

「判断が遅いんだよ! 初めから逃げていれば死なずにすんだ奴もいた!」

「話はデブリーフィングで聞く」

「スカイキーパー!」

「私だって同じ気持ちだ! 今は撤退せよ!」

「………了解。撤退する」

 

 反論を抑えたガーゴイル1がF-14Dの可変翼を閉じて東に進路を取り、他のガーゴイル隊も反転した。

 

「ゴーレム隊にメイジ隊。仲間が逃げる時間を稼いでほしい。UAVを撃墜せよ」

「ウィルコ、ただし被弾したゴーレム2は撤退させる」

「そんな。隊長! 私はまだ飛べます!」

「ゴーレム2、お前は撤退しろ。これは命令だ。自分の機体を良く見ろ!」

 

 ブラウニーの機体、尾翼の一部がかけていて。焼け焦げている。

 確かに飛行に支障がないように見えるが、この状況ではそれが致命傷になりかねない。

 

「ですが、私のせいで隊に穴を開ける訳には」

「お前が抜けて開く穴などない! 先に帰って頭を冷やせ!」

「………了解、撤退します」

「ガーゴイル1。ゴーレム2をエスコートしろ」

「了解した」

 

 比較的損傷の少ないガーゴイル1がブラウニーの直掩についた。

 

「ガーゴイル1。うちの紅一点を頼みます」

「任せろ。そっちのお姫さんは必ず連れて帰る」

「トリガー、みんな………ごめん」

「いいさ。パイロットは生き残れば大勝利。だからな」

「………わかった。みんな先に行く」

「了解」

「基地で待ってろよブラウニー!」

 

 ブラウニーとガーゴイル1が一足先に離れていった。

 さて、こっからだ。

 

「ゴーレム隊メイジ隊。UAVを堕とせ! 仲間をやらせるな」

「ウィルコ! これ以上やられはしない!」

「うちの若手はトリガーやブラウニーだけではない。それを教えてやる」

「そうだ! 気張っていくぜ!」

 

 一度後ろを振り向いて親鳥を睨み付ける。

 この仮は必ず返すことを誓い、目の前に躍り出たMQ-101に引き金を引く。

 

「FOX2! 墜ちろ!」

 

 撃墜! まだまだ敵がいる。

 

 横合いから機銃で撃ち抜き。

 4AAMをすれ違いざまに無人機の脳天にぶちこんだ。

 

「良いぞトリガー! 相手は機械だ このまま手加減なしでいこう」

「そうだメイジ2、迷わず撃ち続けろ。全機、今一度操縦桿を握り直せ! 無人機にない根性を見せる時だ!」

「撤退機はまっすぐ戦域外へ迎え! 追手は仲間が食い止める。ゴーレム隊メイジ隊、踏ん張ってくれ。そして君らも生きて戻るんだ」

 

 言われなくても! 

 

 未だに展開し続ける数多のMQ-101。

 数を数える前に落とし、味方を守る。

 

 いま、このチョピンブルグの空で。無数の無人機を相手にした歴史上例を見ない壮絶な撤退戦の幕が開かれた。

 

「この程度で折れると思うなよ。エルジア!」

 

 





 一話に納めようと思ったが無理だったぜ。
 悔しいんだぜ。

 なんかアーセナルバードの文字数でかさ増しされてそうな気がするんだぜ。
 あまり気にしないようにするんだぜ

【FLIGHT REZON アサルトレコードNo.3】

ネームド:ベイオネット
機種:F-16C ファイティング・ファルコン
カラー:ホワイト、主翼と垂直尾翼がレッド
派閥:保守派
パイロット:ロージー・ルーカス

F-16C4機編成のベイオネット隊の女隊長
疲弊したエルジア空軍の建て直しに尽力した頼れる姉御肌
現エルジアでも珍しい保守派のネームドパイロット、エルジアの平和を実現しようしている保守派筆頭であるラバルトを尊敬しており。いまはお国の為と戦闘機を駆っている。

その腕前は部下を含めてトリガーらメイジ隊とスケルトン隊相手でも対等以上にやれるやり手の部隊だが。アーセナルバード到着までの時間稼ぎに使われ、撤退命令に従い撤退する

ベイオネットのモデルはFateシリーズに登場するサーヴァント、フランシス・ドレイク。
部下のエドは某オタク黒髭から取ったが性格も同じかは不明。しかし隊長のロージーにタメ口を言えるぐらいには付き合いがある模様

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