エースコンバット7 FLIGHT REZON 作:ブレイブ(オルコッ党所属)
今年最後の投稿となります。
今年最後の挨拶は活動報告にまとめておいていますのでそちらを是非。
新作短編の情報も書いてあるのでよろしくお願いします
カウント、フルバンド、チャンプ、タブロイド、俺を含めた以下5名はロカロハから無事に帰還した。
命があることに感謝しつつF-15Cの機体を撫でてやった。
「何機か墜ちたようだが奇襲は成功した。だが帰還ラインを超えて補給や整備を行ったものがいる。命令違反は独房だ、連れていけ!」
これだけでデブリーフィングは終わってしまった。
期待なんかまるでしてないとはいえ。前回と同じく適当過ぎないかなと。
チャンプとフルバンドは無断補給と戻ってきたとは言え敵前逃亡したため独房へ連れてかれた
カウントも同じく独房だが、無断補給のみだったから二人より早く出れたようだが。
チャンプはまだ独房に、と噂をすればだ。
「おかえり」
「おう」
ただでさえ広くない部屋がチャンプの巨体で更に縮まった。
自身の収納スペースからカロリーバーを取り出して食べカスを豪快にこぼしながらこれまた豪快に腹の中に納めたと思ったら2本目を取り出し。明らかに本人のサイズに収まってない椅子にドカッと座り込んだ。
椅子の耐久性が気になるところである。
「………」
「………」
「………」
「………………言いたいことあるなら言え」
「んえ?」
「そんな顔してんぞ」
ごめんなさい特になにも考えてはいなかった(強いて言うなら「あっ、今椅子がミシッていった」ぐらいだった)のだが。
うーむ。丁度良いからお言葉に甘えるとしよう。
目指せコミュニケーションで親睦率アップ。
「UAVから逃げ」
「撤退だ」
「お、おう。撤退したの、意外だった。チャンプのことだから『UAVがなんだ! 俺様が全部スクラップにしてやる!!』みたいな感じで突っ込むと思ってたから」
怒るかと思ったが、チャンプはこれ以上ないぐらい顔をしかめてそっぽを向いた。
それきり会話はなく、自然消滅したと思った俺は図書室から借りた本を読んだ。
タブロイドおすすめの冒険小説。15人の少年が漂流してたどり着いた無人島で生き抜いていく有名作。
冒険小説なんて読んだことなかった俺としてはタブロイドが勧めてくれる本は良い暇潰しになった。
読書に没頭して1/3ほど。本格的に無人島生活が始まる展開に差し掛かろうとした時。
ベッドに寝そべってたチャンプが口を開いた。
「俺は元々IUNにいた」
おっと話が続いたぞ。ラグが凄い。
「へえ俺と同じだな。所属は?」
「アレンフォート基地」
「アレンフォート………」
アレンフォート。はて、どっかで聞いたような。
アレンフォート、アレンフォート、アレンフォート………IUN………あっ。
「もしかしてガーゴイル隊?」
「知ってんのか」
「ハーリング救出で一緒に飛んだ。IUN本部直属の部隊。もしかしてガーゴイル隊に?」
「おう。新米だったが結構やれてた方だった」
直属部隊なんだから優秀だったんだろうが。
このチャンプがねぇ。ぶっちゃけ傭兵出身と思ってたのは秘密だ。
「そんなとこにいたのに今じゃ2本線。なにをしたんだ。2本ってことは大層なことしたんだろ」
「………ただじゃ教えねえ」
話したくないのか、それとも話そうとしても踏ん切りがつかないのか。
急に身の上話をし始めたチャンプの心境はわかるものではないが。俺は彼を知りたいと思っているのも事実。
「こんなもんでいいか?」
「マジで払いやがった。馬鹿だなお前は」
「ああ。付いたあだ名は大馬鹿野郎だからな」
「そっちとは別の意味で馬鹿だ」
「みんなエセ情報屋に金握らせてるだろ? あれと一緒だ」
なによりこのまま知らずにモヤモヤするのは嫌だ。
幸いハイローラーとの賭け金がたんまりとある。本の少し消えても問題はない。
「もう5年ぐらい前になるなぁ。俺たちガーゴイルがオーシア本土の部隊と共同でユージア大陸に潜むテロリストの掃討を任された。その頃はIUNが出来た頃と比べて大分ユージアも落ち着いてきた。その中でも結構大規模な作戦が舞い込んできたのは珍しいことだ」
「オーシア本土からとは穏やかじゃねえな」
「ああ。しかも准将クラスの奴がわざわざ出張って来たんだから。これは訳ありって思ったさ」
ガーゴイル4機とオーシアの戦闘機部隊4機の8機編成の戦い。
当時エース部隊と名を馳せていた中でもチャンプは出来るほうだった。
今回の作戦は楽に済む。そう思っていた。
「作戦開始直前だ。一緒に作戦に参加するはずだったオーシアの奴らが遅れやがったのさ」
「足並みが揃わなかった?」
「ああ。しかも敵勢力の戦力がブリーフィングの2倍。周りはSAMだらけ。航空戦力も地上戦力も段違いだった」
「マジか。撤退出来なかったのか」
「撤退は許されなかった。例の将官が許可しなかったんだよ。IUNは多国籍軍という名目だが実質オーシアの傘下だ。将官を前に司令官は尻込みして反論しなかったんだよ。結局俺たちはオーシアが来るまで孤立無援で戦い続けた」
そんなことが、あっていいのか?
理不尽過ぎる。まさしく弾除けじゃないか。
「作戦は成功したが、部隊は俺を残して全滅した。大遅刻噛ましたオーシアのエリート様が最後の最後に全部かっさらいやがった。もし奴らが遅れなかったらここまで手酷くやられなかったろうよ」
そしてデブリーフィングでチャンプ一人が戻った。
傷つきながらも作戦立案をした将官に噛みつくために。
なんで作戦開始に差が出たのか。あんたの監督責任じゃないのかと。どう落とし前つけてくれるのかと。
「そしたらあのクソ野郎はこう言いやがった」
『貴様らの部隊が落ちたのは実力が足りなかったからだ。IUNきってのエース部隊ならこれぐらいやれて当然かと思ったが。どうやら見込み違いだったらしい。弱いから死んだ、それだけだ。戦場なら良くあることだ』
思わず言葉を失った。
自身の過失を認めないどころか戦死した兵士の尊厳すらなんの悪びれることもなく平気で踏みにじった。
どんな利己的な思考をすればここまで地雷を踏み抜けるのか。
「頭が弾けた。俺は奴を殺すことしか考えられなくなった。部隊のみんなを殺したのはテロリストじゃなくこいつだ! 俺は馬乗りになって奴の顔面を殴り続けた。周りが止めるのも振り切り、MPに無理やり拘束されるまで殴り続けた。顔の原型なんかなくなるぐらい殴りまくったさ。死んだかどうかは知らねえがな」
「それがチャンプが2本線だった理由」
「俺は後悔も反省もしねえ。奴は死んで当然な奴だ、てめえもそう思うだろ」
「………………」
確かに、チャンプの言い分はもっともだ。
これは推測に過ぎないが。おそらく此処と同じくガーゴイルは弾除けにされた。
オーシアの本隊が無傷でいられるよう何も知らぬまま露払いとなって犠牲にされた。
彼の言う通り死んで当然のクソ野郎だ………だけど。
「ごめん。答えられない」
俺は軍人だ。どんな理由であれ上官を半殺しにしては行けない。
どんなことがあっても。それが軍人としての法なのだ。
「おめぇは良い子ちゃんだな。本当にハーリング殺したのかよ」
「殺してない。だからお行儀の良いことしか言えないのも事実だな」
「自分が囚人じゃねえって言いたいのか」
いや囚人じゃないです。
顔に傷が付いて人相悪くなってるとはいえ俺の心はオーシア大陸を愛する戦闘機パイロットなのです。
あっ、オーシア大陸であってオーシア自体に愛国心はないので悪しからず。高級官僚はもう一度滅びるべきだ。
「死ね腐れ軍人ども」
「おいどうした行きなり」
「なんでもないです。コホン、まあいつか此処を出れると信じてるのが俺だ。そしてそんな良い子ちゃんだから出来ることもあるんだぜ?」
「あん?」
「もし俺が此処を出たとしよう。その准将が俺の前でまた同じ愚行を犯したとします。そしたら俺がチャンプの代わりそいつを殴ってやるよ」
ベッドに寝転んでいたチャンプがムクリと起き上がって俺を見下ろした。
キョトンと見たことのない顔をして、呆れを通り越して虚無い顔をした。
「お前が?」
「俺が」
「そんなヒョロイ身体で?」
「これでも荒波に揉まれた人生だったから」
「………無理だろ、良い子ちゃんには」
「俺だってオーシア政府にクソッタレー! って感情あるし。俺がここに来た経緯なんてひっどいもんだぞぉ」
チャンプに俺がオーレッドで受けた仕打ちを身振り手振りで話してやったら結構食いついてきた。
気づいたら酒やつまみも出てきてもうヤケ食いヤケ酒状態に。
やたら度数の高い酒を飲みまくってもう頭がハッピーになっていた。
「なぁぁぁにがベルカの怨念じゃコラァ! こちとらベルカに愛国心なんぞ欠片もねえんだよ! むしろベルカに家族皆殺しにされたわ! エクスキャリバー引っこ抜いてぶっ刺すぞコラァ!!」
「おうやっちまえやっちまえ! 片羽呼んで核撃っちまえ!」
「おいてめぇ! 冗談でもそんなこと言うんじゃねえよチャンプこらぁ! No核、Yesパンチ! マジパンチ!」
「よぉし! このチャンプ様がもっとも威力の出るパンチのやり方を教えてやる! 師範代と呼べ!」
「わかりました! マスターアジア!!」
「見ろぉ! 基地司令の頭は!」
「今日も光輝いている!! てかスキンヘッドじゃねえよまだハゲてねえよ!!」
「そりゃそうだ! まだ、だがなぁ!!」
「「アハハハハハハハハハ!!!」」
「うあぁぁ」
「あぁぁぁ」
頭痛い………なんか凄い知能指数低い会話した気がする。てかした。
こんなに酒飲むこと初めてだった。どんだけ飲んだ? 俺ってこんな酒飲めたんだ。俺酒飲んで記憶残るタイプなんだ。
というか俺とんでもないこと口走ったよ。
ベルカカミングアウトしちゃったじゃん。
「おー、チャンプ。俺酒の席で凄いこと言った気がするんだが」
「あー? 知らねえ、覚えてねえよ。てか話しかけんな、響く」
「わりぃ」
「水くれ」
「はいどーぞ」
ぐいっとコップ一杯飲み干すといくらかマシになった。
頭いったい………
「あ、そうだ。昨日の話だけど。お前が半殺しした准将。何て名前?」
「知らん、覚えてねえよ。興味もなかったし」
「そうかい。バンドックあたりに聞いてみようかな」
「んなのどうでもいいから。売店で二日酔いの薬買ってこい」
「割り勘な。俺も飲むから」
「抜け目ねえ奴」
チャンプから貰った小銭をポケットに捩じ込んで廊下に。
千鳥足でふらつきながら売店に向かおうとしたが中々どうして歩くのが辛い。
それでも歩かなきゃ始まらない。今日任務来たら死ぬな俺。
「うーー………………わぷ」
いかん、壁にぶつかった。本格的に俺やばいな。
それはそうとなんか生暖かい壁だったな。
「前を見て歩け」
………ギギギと錆びた蝶番のように頭を上げると。
「うわ、ケルベロス!」
「あいにく頭は一つだ」
地獄の番犬こと強面バンドックが。俺と頭一つ違うタッパとチャンプ並みの筋肉はまさに支配者の風格を醸し出していた。
壁かと思ったら男の筋肉ってなにそれ。腐女子以外喜ばないよこのシチュ。
酔いは冷めたよ、お陰さまでな!
「昨日は随分と騒いでいたようだな」
「いやはやお恥ずかしい。愚痴合戦がまわりにまわってしまって。鬱憤が溜まってたというか」
「おかげでその体たらくか。俺でよかったな。他の奴らに見つかれば、今のお前は絶好のカモだ」
「良ければ売店までついてってくれませんかね」
「囚人の護衛は業務にない」
「じゃあ良いです」
残りの酔いも消えて大分足取りがまともになってきた。途中でゴロツキに巻き込まれないことを祈りつつ一歩一歩確かな足取り(のつもり)で歩き続けた。
「………」
「………」
「あの」
「なんだ」
「なんで着いてくるんです?」
「俺も売店に用がある」
「そう言うわりに歩幅凄い遅いんですけど」
「早く歩け」
なんで俺があんたにあわせなきゃ行けねえんだこの野郎。
なーんて言えずにそれに甘えた結果。バンドックは最後まで売店に着いていってくれた。そんなに顔色悪かっただろうか。
と思ったら売店でタバコ買ったらスタスタと去っていった。なんなんだろ、バンドックがわからない。
あっ、半殺し准将のこと聞くの忘れてた。
ーーー◇ーーー
「諸君らのような犯罪者を有効に利用した功績により、小官は勲功を賜った。一方で、諸君らの中に命令に違背する者があれば独房が待っている。それを忘れないことだ。不満を述べる自由すら、諸君らは囚人となる身を選んだときに自ら捨て去ったのだ」
(((こんなハゲでも勲功って貰えるんだ………)))
不満どころか話もろくに聞く気のない444パイロットの心が一つになった。
前回のロカロハからほんの少したった今日、新たな任務が舞い込んだ。
なんか勲功やら貰ったおかげかファッキンゼイのにやけ顔が五割増しになってる。
素直にキモいです。
「さて、諸君らの有効利用だ。エルジア領内へ強行偵察を実施中のオーシア空軍所属部隊がある。だが、事情により帰還ルートが変更されることになった。新しい帰還ルート上にあるインシー渓谷は風光明媚なカルスト地形の奇岩地帯だが………」
「インシー渓谷?」
「何処だそれ」
「ユージア大陸きっての針山地帯だ」
「カウント、知ってんのか?」
司令官の話そっちのけで皆がカウントの方を向いた。
司令官の退屈な話よりそっちに興味があるらしい。
長々と喋る司令官の話にほんの少し耳を傾けながら俺もカウントの話を聞くことにした。
「ああ。前の部隊で一度だけ飛んだことがあるが。あそこは酷いもんさ。晴れの日でも山が作る気流でまともに飛べやしねえ。そんときの上官はベルカ戦争生き抜いたベテランだが。円卓の次に飛びたくないとこにランクインしたらしい」
「そんな場所に基地たてて意味あんのか?」
「まあそんなとこでも広域レーダー施設の中継拠点だから重要度はそれなり。だが航空戦力はお世辞にもおける場所じゃねえ。よくてヘリがあるぐらいだ」
「良いとこだけど中断しな、本題に入りそうだ」
説明の合間に囚人がどーだの自身の功績がどうだのと無駄話していた司令官がようやく本筋に入ってくれた。
こっちに気付かないあたり自分自身で悦に入ってたんだろう。ウケる。
「諸君らの任務は自らの危険をかえりみることなく、それらを破壊し。この部隊を無事帰還させることだ。ただし攻撃を察知した敵の迎撃機と交戦する可能性も十分ある。そのことも忘れず、まともに飛べる機体を選べ」
「司令かーん。この基地にまともな機体なんか何処にあるんですかい? 新品の機体発注してくださいよぉー」
「司令官の癖に基地戦力の把握も出来ないんですかぁー? マッキンゼイちゃーん。一緒に算数のお勉強しましょうねー」
「独房っっっ!!」
スペア隊2名、離脱。
うん、これは妥当な独房だわ。妥当な独房ってなんだよ。
「フーフー、フー………。あいにく天候は最悪だが。諸君らが出撃を拒む理由にはならない。くりかえすが、諸君らの帰還は重要ではない、強行偵察部隊を無事帰還させることが任務であり。服役囚に期待される罪の償いなのだ」
「偵察部隊の代わりに死ねってことですかい?」
「岩壁に叩きつけられて死ぬか正規部隊を庇って死ぬかぐらいは選ばせてやる。いいか、正規部隊の生き残りが多いほど、私の評価が上がるのだ。私の名誉の為に働け、囚人ども!」
…そこはおべっかでも良いから彼らの為に戦えって言えばいいのに台無しだよハゲ。
そんなんだからこんなところに来たんだろうなぁ。
「司令、一つ宜しいでしょうか」
「なんだ」
「その部隊の名前はなんというのでしょう」
「それは貴様が知ることではない。さっさと持ち場につけ!」
はいはーい。
メイジやゴーレムだったらどうしようかと考えたが。隊長たちいまどうしてるんだろう。
いや、俺のやることは変わらない。
護衛任務だというならそれをやるだけだ。
「トリガー」
「ん? どうしたフルバンド」
「どうした? じゃねえよ。頼まれた情報持ってきたんだよ。奴の前の部隊のこと」
あーー。そういえば頼んでたな。特に期待してなかったから忘れてた。
自分の中ではほぼ確定していたが裏付けが欲しかったところだったんだ。
「しっかし大した偶然だよな。お前とまったく同じなんて」
「俺の所属も調べてたのか?」
「ついでにな。んじゃ、確かに渡したぜ。帰ったら金宜しく」
「はいよ」
渡された紙を広げてみると。やっぱりというかなんというか。
「必要以上に突っかかる理由はわかったけど。ぶっちゃけ逆恨みだよなーこれ」
ーーー◇ーーー
インシー渓谷は深い雲に包まれていた。
今回も10機編成だ。スペアの名の通り即座に補填が聞くのがこの部隊の良いところってか?
今回はどんだけ生き残るかなぁ。
ハイローラーがいなくなってからは444基地の賭け事文化は一気に消えてしまった。
何かしらのタブーとばかりに。
雲を抜け、戦闘空域に入った。
「これは、地獄を見てるみたいな光景だな」
「うわぁすげぇ」
そこにはもう、なんというか大自然ってスゲー! って光景が。
青々と生い茂る森を何十個も貫いている岩の柱。
どういう自然現象があればこんな自然の剣山が出来るんだというほど。目の前の岩山はこの世のものとは思えない異質さを放っていた。
「スペア隊、急を要するミッションだ。目標は敵のレーダー施設と対空兵器。複雑な地形の中に配備されてる上に雲も多い。雷雲まで近づいてるとのことだ、運がないなお前ら」
他人事のように言ってくれる。
雷雲………あー、遠目にピカピカ光ってるな。風向き的にこちらに来そうだ。てか風強い。
「おい。この作戦を立案したのはどこの大馬鹿野郎だ!」
「案外例の准将だったりしてな」
「そもそもなんで正規軍はこんな僻地に来るんだ? もっと楽な道はなかったのか?」
「質問は許可しない」
にべもない。
早速前方に対空機銃とSAM。
全体的に前のロカロハと比べて防衛兵器がかなり少なく見えるが。この天然の剣たちが奴らの武器となってるようだ。
『第444航空基地飛行隊、こちらサイクロプス1。サイクロプスとストライダーの2小隊で現在7機。我々の編隊も、まもなくその空域に到着する』
「了解した。全機、まもなく正規軍がこの空域に入る」
「到達予測時間は」
「5分だ」
短いな。数は少ないが迅速にいかないと。
「ぬぅ! 風に流される!」
「こんなんで飛べるわけねえだろ!」
風が思った以上に強い。加えて雨も降ってきた。
みんな怯え腰になって岩山の中に入れないでいる。
「風を利用しろよ素人どもが! 俺の飛び方でも見てろ!」
そんななか大口を叩いたカウントのSu-33が風に流される。だがそれに抗うことなく大回りで旋回し降下、地上のSAMを破壊した。
荒波に逆らわず、かつタイムロスを減らした飛び方。
普段やらないだけで、カウントも中々の腕の持ち主だということがわかる。
「おお、やるじゃないかカウント。この天候で対地攻撃とは」
「ハッ、ただでさえスコアが稼げない任務なんだ。俺の邪魔をするなよトリガー」
「名指しで言うな」
かという俺は逆に流れに抗いながらもそのまま直進。F-15Cの馬力に物を言わせてそのまま突き刺すように機銃を浴びせる。
と思ったら思いの外地面と壁が目の前で迫力が!
「うおー! 地面と壁がちかーい!」
「岩山にキスなんて詰まらない死に方すんなよトリガー」
「あいよ!」
岩壁に侵入するまでは風が強いが、入ったらそこまで風は強くない。
上昇しようとしてそのまま壁に紅葉おろしは避けれそうだ。
『我々は予定外の戦闘で兵装を消耗し、敵への対応が難しい。生還できるかは貴君ら次第だ』
「サイクロプス1、こちらバンドッグ。予定時間までには終わらせる」
『バンドッグか、いい名だ。では頼んだぞ、番犬どの』
「誰と話してるんだバンドック?」
「正規部隊の連中だろ」
「何故通信を分ける?」
「そりゃあこんな荒くれ者と話したらお綺麗な正規軍様の耳が腐っちまうからだろ」
「無駄話をしてる暇があるならさっさと目標を破壊しろ。岩山が気流を生んでいる、お喋りに集中して機体を壊すなよ」
おっと、お喋りの暇はないのは確かだ。
あと3分、行けるか?
『レーダーの異常じゃなかった、敵襲です! 敵の機影、真っ直ぐむかってきます!』
『確かか!? この天候だぞ! 奴ら正気か!? 援軍を要請! ミサイルで撃ち落とせ! ヘリ部隊も至急発進させろ! インシー渓谷で自由に飛べると思うなよオーシアども!』
「全機、敵のヘリ部隊を確認。排除せよ」
敵も本腰を入れてきた。こんな自由に飛びづらいとこだとヘリも油断ならんか。
「上は雲、下は岩山。地獄だなここは!」
「軍刑務所の方がマシだぜ」
「軍刑務所には戻りたくない。俺の足を引っ張るな」
「んじゃまさっさと終わらせて帰ろうぜ。スペア15、FOX2!」
「目標施設の破壊を確認。いいぞ」
褒めた? あのバンドックが?
正規部隊の護衛なんて大層な任務だから褒めて伸ばすにシフトしたのか?
それとも俺のひねくれすぎかね。
「しっかし正規軍の隠密偵察機がエルジア奥地になんの用なんだか。制空権取り戻してんのか?」
「遺跡を調べてるとかいう話だ。それ以上はつかめなかった」
「さすが早いな。遺跡ってのは建前で秘密兵器でもあるんじゃないのか? そこんとこどうなんだよ」
「情報の壁があるんだよ。でももう少しでわかるかもな」
「おいお前ら」
「私語は慎め、まだ敵は残っている。正規部隊到着まであと2分!」
俺が止めに入る前にバンドックが止めてくれた。
まったくフルバンドもそうだが。444は娯楽に飢えてるのかエセ情報屋を担ぎがちだ。
あのタブロイドでさえこうなるのだから。
今のだって聞いてよかった情報なのか怪しいところだ。
しかしそれはそれとして遺跡か。
確かサンサルバシオンに建設されたストーンヘンジ砲台やミサイルプラットホームのメガリス要塞は大昔の遺跡から名前を取ったんだっけ。
「こちらスペア2。俺は北側の目標をやるぜ。南西の端は任せたぞ」
「あー楽な方に逃げたなー。別に良いけど。タブロイド、近くにいるんだろ! 周りのヘリを蹴散らしといてくれ」
「了解した。そっちは頑張れよ」
「楽勝だ!」
と言ってみたが目の前には濃い雲と激しい雨! ろくに見えねえ!
出撃前整備員に防雨スプレーをキャノピーにかけて貰ったけどそれでこれとは。
だがまあやるしかないのが辛いところだよな。
おまけに風が一段と吹いてきて流される。
「無茶な作戦だ。あの司令官、参謀本部に気に入られることしか考えてねぇ」
「気に入られたとして戻れねえだろ。あんな腐れジャガイモは」
「仕事を終わらせるために口を動かす必要はないはずだ手と頭を動かせ。腐れマヌケども」
相変わらず切り口が鋭すぎて血すらつかねえや。
とっ、目の前のSAMこっち向いた!
「スペア15、ミサイル! よけろ!」
「ぬおー! 風の向くままにー!!」
左から当たる強風に身を任せて操縦桿を握りとブレーキを離す。
グイッ! とバンジーロープに引っ張られるように機体が右に。岩山にこすらないように調節しながらミサイルをやり過ごす。
「機銃は無理か! 行けFOX2!」
翼から切り離されたミサイルは風に負けることなく敵のSAMとAAGUNを屠った。
あとは無防備なレーダー施設のみ!
「よし! 破壊完了!」
「目標施設の破壊を確認。よく死ななかったな。うちの部隊には雲の中でも目が見えるやつがいるようだ」
「褒めてくれて嬉しいが。バンドック本当に褒めて伸ばす方にシフトした?」
「ありのままの結果を言っただけだ。カウント、残りはお前の近くだけだ」
「あいよ! もう終わるぜ!」
十数秒後。カウント近くのターゲットアイコンが消失した。
今日はやけに働くじゃないか。対空じゃないのに。
「目標すべて破壊。オールグリーン」
「これで終わりか? フタを開ければ楽な任務だったな」
「正規部隊は?」
「まもなく到着する。いやまて、サイクロプス隊の後方にUAVを確認!!」
ーーー◇ーーー
『警戒! 敵機インバウンド! UAVが出てきたぞ!』
『ラインを踏んだか!』
部隊の古株であるイェーガーの警告に部隊は震え上がった。
F-15Cのみで構成されたサイクロプス、ストライダーの両隊はある目的の為、敵地への強硬偵察任務を行った。
そんな彼らが帰路につく最中敵の襲撃を受けた。
その戦闘でストライダーの隊長機を失い。8機編隊が7機編隊となった。
元々超距離飛行の為ギリギリまで兵装を減らし、燃料タンクを増設した彼らにとって一回の戦闘で息切れするのは自明の理であった。
「来たな」
「迎撃は彼らに任せよう」
「当てになるのか?」
「祈るしかないだろう」
後方にMQ-99が迫るなか渓谷のエリアを飛び回る。
前方にはこれまた統一性のない機体で構成された444飛行隊。
その中で一際鋭い動きでこちらに来る自分たちとは違う444のF-15Cがあった。
「帰りに抜け道を使えればよかったのだがな」
「そう上手くはいかないさ。全機! 死に物狂いで生き残れ! 俺たちの生存がオーシアの希望になることを忘れるな!」
「ウィルコ!」
「了解した」
F-15Cそれぞれブレーク。
生き残れるかは自分たちの腕。
正規軍両隊の命運はこの雷雲のように未だ見えないままだった………
このミッション三人称視点なら全然問題ないのですがコクピット視点はマジで地獄です。
ほんと雲の中見えてるトリガー凄い