エースコンバット7 FLIGHT REZON 作:ブレイブ(オルコッ党所属)
あとがきになんちゃってアサルトレコード書いてみました。
よければどうぞ(また仕事増やしてやがるコイツ)
ワイズマン率いる正規軍が444基地から飛び立って早一週間。懲罰部隊に任務が発せられた。
作戦内容はアルティーリョ港と呼ばれる燃料精製基地の破壊。
大型オイルタンクを数多く備えた港で作られた燃料はエルジアの戦力。特に無人機に供給されるらしい。
人が乗らないとはいえ、無人機も戦闘機。飛ぶためには燃料がいる。俺たちがこれから向かうアルティーリョ港はその大元の一つだという訳だ。
「あれ? トリガーの機体変わってね? ラファールか?」
「ああ。前の戦闘でイーグルにガタがきたみたいでさ。変わりにこれ乗れってさ」
タブロイドが乗るミラージュ 2000-5より一回り大きいデルタ翼の機体。
速度はイーグルには及ばないが。イーグルよりも遥かに安定性、旋回しやすさがある。とても使いやすい機体にしあがっている。
「良いよなぁ。出来る奴には良い機体が与えられるってか?」
「さあね。とりあえず飛べないで置いてけぼりにされなくてよかったかなって」
「おいおい。あんなことがあったってのにお前ってやつは。そんなに飛びてえのかよ」
「悪いかよカウント。俺はこれが生き甲斐なんだ」
「へっ、つくづく変わってやがる」
呆れるカウントだが、その言葉には今までのような棘が少しだけ抜けている。時期的にはインシー渓谷のミッションから当たりから。
あれからしつこく言われていたハーリング殺しも聞かなくなったし。何かあったのだろうか、てか何か企んでるのだろうか。
タブロイドに心当たりあるか? と聞いたところ「本人に聞けよ」と返された。
答えてくれるとは思わないけどね。一体どんな心境の変化なんだか。
「そういやよ。あの化け物にチャンプが落とされる直前、あいつ弱気になってやがったよなぁ。強がったふりしたってわかったぜ。ハッハッハ、あの臆病者」
チャンプを嘲るエセ情報屋の声にムカムカと心が燻った。
真っ先に逃げ出した奴が何を言うのか。
少なくとも恐怖を圧し殺して向かったアイツの方がよっぽど立派だった。
何も知らない癖に好き放題言いやがって。
通信を開いて文句を言おうとした俺をタブロイドが遮った。
「臆病者はどっちだ? 尻尾巻きやがって」
「逃げたんじゃねえ、撤退したのさ。あんな化け物を相手しようとする奴の方が理解できないね」
「そんな化け物と戦って生き残った奴もいるがな。ま、気持ちはわかるよ。誰だってうんざりしてたさ、あの戦場には」
「………くそ、気分が悪いぜ。憂さ晴らしだ、壊しまくってやる!」
レスバに負けて尻尾をまくったフルバンドが加速する。それに追いてかれないよう総勢10機編隊が後を追う。
「ありがとうタブロイド」
「なんのことだ? 俺は思ったことをただ口に出しただけさ。思うところない訳じゃないし」
キャノピー越しにタブロイドがウィンクする。
ほんとこいつはこんな所に居るような奴なのか。政治犯というが、何したんだか。
「こちらスペア2、ターゲットを視認した。石油タンクが沢山ある」
アルティーリョ港が見えてきた。
これはまた夥しい量のグリーンターゲットだな。
引火すればワングループ吹き飛ばせるかな?
「船が停泊してるが軍艦じゃねえ、タンカーだ。他にも色々と建物があるぞ」
「目につくものは手当たり次第破壊しろ」
「うわぁシンプル」
「わかりやすくて結構だが、とても軍隊とは思えないね」
「お前らがまともな軍人だとでもいうのか?」
てー厳しいー。
そんな我ら罪にまみれた懲罰部隊(冤罪も含む)は眼前のオイル群をジェノサイドしろというお達しだ。
ならいっちょ派手にやりますか!
ラファールに懸架された通常ミサイルより大きめのこいつはLACM。なんと空対地巡航ミサイルだ。
エイブリル曰くたまたま物資にこれがあったから長距離照準システムのついたラファールMにつけたのだと。
払い下げ商品でもこんな上等な奴はないだろうが。使わないでエリクサー病になるよかマシか。
とにもかくにもおあつらえ向きにズラッと並んでるド真ん中。感覚を空けて射出!
「FOX3!」
軽い振動と共に長距離大型ミサイルがタンク軍に直進していく。
迎撃準備なんか取れてない油田基地はたちまち吹き飛んで………吹き飛んで、ええ?
「すげえ! 火柱が上がったぞ!」
「わーお! 大爆発だ、はっはっは!」
「いやーっほう!」
スペア隊のあちこちから歓声が上がる。
油田に突っ込んだ2発のLACMはタンクの薄壁を突き破ったのち起爆。付近にあった対空火器すら巻き込んで大爆発した。
ここまではいいのだが余程当たりどころがよかったのか。爆風により飛び火した破片がそのまま少し離れたオイルタンクも突き破り引火。ざっと一回り二回りのオイルタンクが軒並み爆発してアルティーリョ港に地震を起こしましたとさ。
「ナイスだトリガー。これは爽快だな」
「待って待って。流石に予想外デス」
いや誘爆するのはわかっていたさ。だけどまさか中央の油田群がゴッソリ抜けるなんて思わなかったし。そもそも使うのも初めてだったし。
結論………半端ねえな
とはいえ。持ってて使わないのも仕方なし。残り2発のLACMは少し遠目で離脱しようとしているタンカー2隻に向かってシュートされた。
勿論タンカーごとき避けることも防ぐことも出来ず、さっきと同じ規模の爆発が雲を焦がさんばかりに爆煙を上げた。
「大当たり! タンカーは燃料満載だ!」
『くそっ! タンカーが木っ端微塵に吹き飛んだ! 連中何をぶちこみやがった!?』
『敵編隊接近! 真っ直ぐこちらに向かってきます!』
『全員退船しろ! 海に飛び込め! 爆撃されるぞ!』
「そらそらぁ!!」
「沈めやぁ!」
タンカーの乗員が我先に海に飛び込もうとするも時既に遅し。荒くれ者どもがこぞって撃ち込んだミサイル群を前に残り2隻となったタンカーはオイルを撒き散らしながら等しく海の中へと消えてしまった。
「すげー。タンカーから漏れた燃料で海が燃えてるぜ」
「もうタンカーはないのか? ミサイルを撃ってこねえ船なら幾らでも沈めてやる」
「積み荷ごと海の藻屑だ」
環境破壊云々で訴えられそうだな。
だから懲罰部隊にやらせたのかな。ありえるなぁ。
奴等が勝手にやったことですと言われるのかなぁ。言いそうだなぁ、あのハゲ。
「ついでに悪い知らせだ。数日前に発生したメガストーム、イネッサ2が作戦空域に接近中だ」
「のんびりは出来なさそうだ」
「うわー、飛んだことねえや砂嵐なんて」
大丈夫だよなラファール。
信じるぞスクラップ・クィーン。
「楽な仕事だが性に合わんねぇ。俺はファイターパイロットなんだ」
「ならお前は戦闘機の相手をしろ。F-15CとF-16Cが接近中」
「おっ、良いカモが来たじゃねえか。トリガー、今日も撃墜数勝負するか?」
「あー。下の油田全部やったらやるわ。上任せるぞ」
「んだよつまんねえな」
カウントのSu-33上昇。近場にいたF-16Cに噛みついていく。
やっぱり変わったよなぁアイツ。憎まれ口きかないとか調子狂うな。
だが上を抑えてくれるなら任せるとしよう。
油田施設だからなのかわからんが地対空兵器が異様に少ない。
低空低速で機銃をばらまくと穴の空いたオイルタンクが途端に燃え上がる。
攻撃ヘリの真似事をしながら次々と火柱が上がる。これだけでどれだけ損失になってるのか考えたくもない。
大した抵抗もなく簡単に爆発し、しかも連鎖的な吹き飛ぶオイルタンクを前に懲罰部隊の面々はテンションアゲアゲだ。
「あっはっは! また爆発した! こいつは憂さ晴らしに丁度良い!」
「おーおー。次から次へと花火が上がるぜ」
「燃やし尽くせぇ!」
「お前ら狂ったふりをしてるのか? まともなやつもいた筈だ」
まともだったらこんなとこに居ないだろ。と思わずツッコミたくなった。恐らくバンドックも遠くで鼻を鳴らしてることだろう。
いま言った奴だってなにかしらやらかしてここに来てるし、皆もわかってるのか反応せずに攻撃を続けている。
俺は冤罪で清廉潔白だからそれには当てはまらないけどな。今日も任務に準じて目指せ恩赦だ。
「トリガー、黙々と任務こなしやがって! 自分だけまともなつもりか?」
「反応ないからって俺に当たるなよスペア9」
「実際どうなんだよお前は」
「ぶっちゃけ良い気分だ。無人機が腹を空かせて飛べないのは最高に愉悦だね!」
魂もへったくれもない殺戮兵器が燃料不足で沈黙。
クリーンな戦争だなんてほざいてるエルジア軍部のしかめっ面が目に浮かぶよ。
ざまあみやがれ。
「バンドックの言う通りだ、まともな軍隊じゃない」
「自分を棚に上げるなよタブロイド」
「ああ俺もさ。トリガー、お前はもっとだ」
「おいまてタブロイドくん。それは俺が3本線だからか? 自分で言うのもなんだが俺ほど品行方正で摸本的な囚人いないだろ。文句言わず粛々と任務を全うしてるというのに」
「それだよ。他の奴らが文句満載な中で理不尽な任務、理不尽な命令でも即了解して飛び続ける。お前がまともだったらこの世にまともな奴はいなくなるだろうな」
「なんてこと言うんだろうねこの政治犯は」
ちゃんと任務してるのにこの言われよう! しかも444の良心である新聞紙くんに言われてしまうとは!
えー、俺そんな変なのかなぁ。
他人から言われて初めてわかる異常性?
任務に忠実で文句も言わずこなしていく………
あれ、別におかしくなくない? おかしくなくないって思うこと事態おかしいのかな。
ゲシュタルトしてきた。
「まあそれだけじゃないけど」
「ん? いま何て言った」
「なんでもないよ。それよりトリガー、なんでこんなクソみたいな戦争が続くと思う?」
「露骨に話題変換してきたな。その心は?」
「それは国なんて物があるからだ。今回もエルジアがオーシアがなんだかんだって言ったから起きた戦争。今まで起きたのもそうだ。国なんて枠組みがあるから戦争が起きる」
「へぇ」
またなんともまぁ。
どっかで聞いたようなフレーズだよ。
「なーんて触れ歩きながら石を投げたら、ここに入れられたがな」
「え、お前が政治犯って言われる由縁それ? ショボ」
「ハッハッハ。トリガーの思ってる通りなら俺は二本線だな。まあ、こういうのは決まって民衆に受けないからぶちこまれたんだけど」
「おかげで貴様は飯と寝床に困らない。国民に感謝しろよ」
衣食住は大事だよねー(過去を振り返りながら)
しかしこういう考えって結構そこらにあるんだな。ちょっとモヤるな。
「作戦時間、残り2分………警告、方位280から増援あり」
「西から押っ取り刀が来たか。ってこの反応」
「うおっ、長距離か! ブレイクブレイク!」
かつてのアーセナルバードもかくやの数のLAAMが飛んできた。
10を越える排気煙が燃え盛る油田施設の上を通過した。
「あっぶねえな! どこの馬鹿だよ!」
「西、西………来た!」
機影、3。機種はタイフーン。グレーカラーの機体、翼に白黒のボーダーペイント。
「こちらスペア15、敵タイフーンはフォコン。ネームドのフォコンだ!」
「相変わらず目が良いなトリガー!」
奇しくもデルタ翼同士となった。
ドッグファイトではイーグルより劣るが贅沢は言えないか。
といっても前回のミスターXと比べたら雑兵もいいとこ。さっさと終わらせて………
『貴様ら! よくも油田施設を! 許さんぞオーシアの俗物どもがぁ!!』
なんだなんだ!?
オープンか? これ敵だよな? なんだ行きなり。
『ここには民間企業の人間もいたのだぞ、それを貴様らは! このティボー・ベッソンが裁きを下してやる!』
「誰だよこの喚いてる奴」
「ティボーってあれだ。フォコンのパイロットだ。確かお家が大富豪だとか」
確か褐色肌で存在感オーラがある奴だったか。
由緒正しき古貴族の末裔らしいけど。
「ガチのブルジョワじゃねーか。カウントが霞むな」
「うるせえ! ならどっちの家柄優れてるかはっきりさせてやる!」
カウントの動きが鋭くなった。
自称由緒正しき家柄を持ちネタにする彼にとってフォコンの存在は感化出来ないものがあるのだろう。多分。
「俺とカウントがネームド蹴散らすから。他の奴等は花火の続きしててくれ」
「おいおい、俺1人でやってもいいんだ。引っ込んで地上やってろよトリガー」
『我が裁きを受けろ野ねずみども! 貴様らは地べたを這いずり回るのがお似合いだ!』
「ネームド尻目に対地はキツイって、あと五月蝿いし。さっさと落としちまおうぜ」
「確かに俺とお前以外腑抜けばっかだからな」
『エルジアを支配しようとした不届きものよ大人しく死に絶えろ!!』
「え、褒めてんの? 気持ち悪っ」
「ちげーよ。事実を言ってるだけだ。やるなら早く」
『ちょこまかと避けるな! オーシアのゴミどもが! このティボー・ベッソンが駆るタイフーンの高貴なる一撃の前に消しとぶがいい!』
「「うるっせぇなお前さっきから!」」
ごちゃごちゃごちゃごちゃと! 騒音を垂れ流す自称高貴なる一族が乗るタイフーンに機銃をぶちこむ。
え、なんでこいつがネームド本人かって?
だってなんか凄い飛び出してるし加えて隙だらけだったから。
『おいフォコン! 前に出すぎだ!』
『鴨撃ちにされるぞ! 戻れ!』
『何を言う! 私があんな奴等に負けるものか! 俗物どもにベッソン家の威光を見せつけ、眼下の者たちの士気を上げて──』
「いただきだ!!」
オープンで演説を見せつけるフォコンの後ろをカウントがあっさりと取り、すかさずHVAAの高速弾がタイフーンの双発エンジンを吹き飛ばした。
なんと呆気ない。
『ば、馬鹿な! 私はこんなところで死ぬ器では!』
『フォコン脱出しろ! 脱出しろ馬鹿!』
『駄目だレバーが反応しない、ウワァァァァァァァァ!!』
お貴族様のタイフーンがそのままオイルタンクにダイブして派手な花火となって散った。
ジェスターといいフォコンといい、こんな奴等がエルジアが誇るネームドですよって宣伝してるエルジアのパイロット不足がよくわかる。無人機に頼るのもさもありなんだ。
『くそっ、お坊ちゃんがやられたぞ、どうする』
『元々あいつの独断だったんだ。引き上げるぞ、数の差がありすぎる。これ以上付き合う義理もない』
残りの2機は撤退したようだ。ほんと何しに来たんだろ。賑やかしか?
「よっしゃ撃墜だ! やっぱ家柄だよなこういうのは」
「そうだねぇ」
時々思う。
こいつやさっきの馬鹿に俺の出自教えたらどんな顔をするのか。
言ってももう誇れるような名声もないけど、滅んだし。
とりあえずネームドを撃墜したのは事実。なにも言うまいよ。
「最後のタンクを破壊した」
「更地だぜ。良い気味だなぁ!」
「よし、基地の完全破壊を確認した」
「こんな仕事ならいつだってやってやる」
「全機、まもなくメガストーム:イネッサ2が到達する」
「んじゃあとっとと帰ろうぜ」
「そうもいかん。衛星で見張っていた司令部から燃料満載のタンクローリーが逃げ出したという情報を得た。探しだして燃やし尽くせ」
うわー、結局砂嵐に突っ込むんじゃん!
ていうか衛星って。そんなもん444に、いや司令部って言っていたから大元か。本部がこの作戦を見ているのか?
よほど燃料流出を止めたいと見える。
あ、いたわ。3台走ってる。
『よしタンクローリーを出せ! 走行ルートは分散させろ! 一滴でも多く燃料を運び出すんだ!!』
必死に走ってるんだろうけど哀れなり。
戦闘機からそれは丸見えで、まるで食べてくださいとばかりにお天道の下を走っていく。
俺が向かうまでもなくその3台は他の奴等の機銃により砂漠の肥やしとなった。
「破壊完了だぜ! ちょろいなオイ!」
「楽で良いぜ。次いくぞ!」
トラックをやった程度で444の面々は上機嫌。散々爆散させまくった俺が人のこと言える立場じゃないのはわかってるが。なんとも救えないなぁコイツらは。
と、砂煙に入ろうとするトラックに接近し機銃をライン状に撃っていく。オイルタンクと同じように穴が空いただけで爆散したトラックを尻目に次の目標に向かおうとしたが。
レーダーのレッドマーカーが消えた。
「何故レーダーから出たり消えたりする?」
「サンドクラウドだ、砂煙には切れ目がある。そこでならレーダーに映る。レーダーに移った瞬間を見逃すな!」
「レーダーとにらめっこしてトローリングとはな。性に合わねえ」
「ネームド落としたんだから満足したろ。どっちが多くやれるか競争しようぜ。お先に失礼!」
「あ、待てよこの野郎!」
「元気だねぇ2人とも」
俺とカウント、そしてタブロイドがイネッサ2に突入。他も傍観を決め込む訳にはいかず次々と砂嵐に飛び込む。
確かにレーダーの赤マーカーがついたり消えたりしている。
だけど………
「こっちだな」
躊躇うことなく砂煙を最大戦速で突っ切っていく。
高度を下げすぎると岩山に擦ってしまうからギリギリの範囲で。
「みーつけた。FOX2!」
SAM車両含めて3台。
SAMにミサイルをぶち当て、残り2台を機銃で破壊、しようとしたが風が横合いにぶつかってきて1台やったところでそれた。
時間をかけるのも面倒だからミサイルをもう一発。
「黒煙が上がったぞ、誰がやった!?」
「スペア15のタンクローリーの破壊を確認、残りも仕留めろ」
「凄いなトリガー。どうやって見つけた?」
「バンドックの言うとおりレーダーに光った瞬間を見逃さなかった。光ったところに当たりをつけて周り飛べば見つかる。相手は急いでも車だ、戦闘機で行けばそれほどズレは起きないだろう」
「簡単に言うんじゃねえよ!」
「それ出来んのお前だけじゃないか!?」
むしろこれ以外で探せないだろう。有視界完全に塞がってるんだから。
例えここに出張った10人で闇雲にしらみつぶしで探しても範囲広いからその間に逃げられる。
「おいおい、お前らそんなことも出来ねえのか? うちの練度の低さにはほとほと愛想が尽きるね」
「お前も出来てねえ癖に言うんじゃねえ」
「いま2台破壊したぜ」
「適当なことを」
「またホラ吹いてるん………」
「スペア2のタンクローリー破壊を確認」
「「………………」」
成果を出されればいちゃもんも付けれず、皆閉口せざる終えない。
そんな気まずい空気をタブロイドが1本通してくれた。
「俺は2人のようにいかないから道路を探そうかな。デザートハイウェイの路面は案外整備されてる、砂漠で野盗に会わないようにみんな飛ばすからな」
「道か、俺もそっち方面で探してみるか」
「あいつらにばっか手柄やれねえからなぁ!」
他の奴等の反抗心に火がついたのかみなこぞって砂嵐の下を飛ぼうと試みる。
だが思ったより砂嵐の弊害が強すぎる。
ホワイトアウトならぬブラウンアウト。
一寸先も見えないキャノピー、絶えず当たり続ける砂粒による騒音、思うように飛んでくれない自機、すれすれに飛びすぎて地面とかすれる戦闘機の腹。
トリガーやカウントなんかに負けてられねえと息巻いていたスペア隊各機は砂嵐に負けないぐらいのブーイングの嵐を巻き起こした。
「ブラウンアウト! 何も見えない!」
「くそっ、ローリーが砂煙に消えた!」
「それを追うんだ能無し!」
「あっくそ! 擦った! 上昇する!」
「高度を下げないとデザートハイウェイは見えねえのに! 地面とキスなんて洒落にならねえ!」
「墜落することを恐れるな! タンクローリーをやれ!」
囚人が文句を言う度に一刀両断するバンドック。
毎度のことながら彼のレスバ力には舌を巻かざる終えない。
と、また見つけた。けど凄い渓谷の間走ってて射角が取りづらい。風も強くてまた流される………が。
「悪いね」
ポロっと出たほんの少しの同情と共に30ミリ機関砲がトラックをズタボロにし黒煙が砂煙に流れた。
天運は彼らにありと言ったところだろう、それでも戦闘機を相手にはどう足掻いても逃げ切れない。
戦闘機主体のこの世界において戦闘機は頂点に立つ存在。その絶対的な差は覆らずただただ蹂躙される。
弱い者いじめ云々などと言うつもりはもうないが。もしあれが自分だったらと、死の恐怖に怯えながらオイルを運ぼうとした運転手の気持ちを一瞬感じ取ってしまう。
だからといって容赦する気もないが。
俺とカウントは着々とタンクローリーを見つけれているが、他の奴等はそうもいかないみたいで。痺れを切らしたかのように口を開き始めた。
「ここ出たとしても何処に逃げるってんだ? 奴らガス欠にならねえのか?」
「タンクに積んでる燃料があるだろうが」
「航空燃料で車は走らんだろ」
「ディーゼル車なら走れると聞いたがね」
「え、そうなの?」
「馬鹿話はやめろ! さっさと目標を探し出せ!」
おっと、思わず食いついちまった。
しかしバンドックなんか焦ってる? 妙に急かしてるというか、語気が強い。
基地を更地にしておいて結局燃料運び込まれたら元の木阿弥になるってことだろう。それでもあのタンクローリー1台2台でどれだけのUAVが飛ぶのだろうか。
「スペア2、カウント! 貴様何処まで行くつもりだ。エルジア支配地域に近すぎる、戻れ!」
「レーダーの端らへんに反応があった気がしたんだよ。急がないと逃がしちまう。文句を言われる筋合いはない筈だ」
カウントは………あ、真北あたり。うわっ結構スレスレだな。このまま逃亡、なんてことはないと思うが。
「………………んーー」
砂嵐が濃くなったのかなかなかレーダーに移らなくなった。映ったとしても一瞬で出ては消えていく。
「スペア15、東側の反応が出なくなった。西側に移動しろ。見落としがあったら他の奴等にやらせる」
「ウィルコ。カウント、北のは見つかったのか?」
「クソッ、見失った。野郎何処に………」
「スペア隊、新たな敵機が接近中。参照点より方位350」
「北からか! カウントの機体を捕らえたのか?」
「待て待て! 俺のせいにするな!」
確かにカウントは北スレスレを飛んだが、元々襲撃したのだから一概にあいつのせいとは言えない………
レーダーに光点。11機編隊ってことは………奴等か!
「機種はMQ-99。エルジアの無人機だ!」
「またUAVか! 何で俺たちをつけ狙う!?」
「どうするんだよ!」
「作戦の目標は飽くまでタンクローリーだ、変更はない」
「タンクローリー追ってる場合じゃねえだろ! 来るぞ来るぞ!」
「無理ばっか言うんじゃねえ!」
「文句言ってる暇があったら動け! 来るぞ!」
MQ-99、四方にバラけて次々と444飛行隊に襲いかかる。
例のごとく阿鼻叫喚な懲罰兵。相変わらず練度が低いでございます。まともに動けてるの俺含めて3、4人。他6人なにやってる。
「言われた通りにやってたら命がいくつあっても足りねえな」
「俺はUAVをやるぜ! 背中さらして飛べるかよ!」
「ダメだ、先ずタンクローリーを破壊しろ。UAVは後回しでいい!」
「無茶言うな!」
「とりあえず砂煙に飛び込め! 雲と同じく散らせるかもしれんって居たぞコラァ!!」
目の前で走る2台!
あー、速度付けすぎた。とりあえずループでもう一度………
「トリガー、真後ろからUAV!」
「ふざけろや!」
ミサイルアラート!
フレアをたきながら縦ループ。ループ終わりと同時にロックオン。
「FOX2! くたばれ!」
鋭く一条。砂煙に囲われる前に跡形もなく吹き飛ばしたのちもう一度砂煙に潜って探す。
近くにタブロイドのミラージュ。
「タブロイド悪い。そこらへんに居るはずだが見えるか?」
「………………居た! トリガーから見て方位240」
「左か」
風にぶつかりながら左旋回………見つけた!
「タブロイド、手前の頼む!」
「ウィルコ、FOX2」
「FOX2!」
両機から放たれたミサイルが砂煙に流されることなくタンクローリーを貫いた。
あと何台やればいいんだか!
「車両破壊! 立ち上る煙が奴らの墓標だ」
「詩人だなバンドック。っと、やっと見つけたぜ。食らえ!!」
カウントも当初の目標を見つけたらしい。
こっちのレーダーにも映った。ほんとギリギリだな。ぶつくさ言ってはいたが、カウントなら仕損じることはないだろう。
しかしこうも視界が悪いと精神的にも応えるな。一度上に上がって見るか。
無人機が来たら落とせば良い。
上に上がって数分ぶりのお天道様を拝んだその時。
「うおおお!?」
「え、カウント!?」
「なんだ今の爆発は!?」
砂嵐とは違う振動。そしてカウントの叫び声と共に遠くで砂嵐を切り裂いて光る白い閃光。
「カウント、無事か!?」
「ああ、なんともねえ。しかし今のなんなんだ! 最近のタンクローリーは特大花火でも積んでるのか!?」
「燃料って、光らないよな?」
「無駄話も大概にしろ。いつまでも飛べると思うな、さっさとターゲットを探し出せ。まともに動けるのはお前らだけみたいだからな」
へいへい。
しかし今の光、何処かで見たことあるな。
何処だっけ、何処で見た? スペア隊時代じゃないから俺が捕まるより前か。
と、ミサイルアラート。本格的にうざくなってきたな。
ここいらで数落としてスッキリさせるか。
ーーー◇ーーー
目的のタンクローリーを攻撃したと思ったら目の前が真っ白になって死を予期した。が、杞憂にすんでよかったとホッと一息をつくのも数瞬。
「だーくそっ」
カウントは懲罰部隊に来てからの愛機Su-33のコクピットで悪態をついた。
先程の閃光爆発による衝撃でくらったダメージからなのか。FCSが不調を起こしてしまった。
具体的には機銃が撃てなくなっている。
幸いにもミサイルは撃てるからまだ動けるしその他は問題なしと次のタンクローリーを探していく。
「ガラじゃねえな」
ぼやきながらも今回のカウントは文句を言いつつも至極全うに任務に向かっていた。
そのきっかけが何かなどと考えず、いや考えないようにスロットルを開けて砂嵐の中を飛んでいく。
「スペア隊、新手の敵機が接近。数1、機種はF-15E。スペア2の近くだ」
(俺の近く?)
キャノピーの中から首を動かして確認すると、確かにいた。
1機でくるということはもしかしてネームドか。
先程のネームドは正しく雑魚だった。
一回のミッションで2機のネームドを落とせれば自分の腕を示せる。
カウントは意気揚々にF-15E ストライクイーグルのもとに向かう。
ミサイルのセーフティを外し砂漠迷彩のF-15Eの元へ。
相手も気づいたのか速力を上げる。
だがF-15Cと比べてF-15Eは重装甲重武装設計の為に早く飛べない。
(貰うぜ2機目!)
自身より上に位置するF-15Eをロックオンしようと機種を上げたカウント。
するとF-15Eは速度を下げた。
観念したのか? とカウントが訝しむと。F-15Eの翼から二つの何かが落とされた。
その時カウントの第六感から危険信号のアラートが鳴る。
次の瞬間。カウントのSu-33が激しく揺れた。
作中に登場するネームドのなんちゃってアサルトレコードを作ってきました。
これまでの登場回(登場終了回)のあとがきにも書いていますので。よかったらどうぞ。
なんでエスコン7のアサルトレコードあんな薄味なんだ。ZEROや6みたいな濃いめアサルトレコードがないんや!
【FLIGHT REZON アサルトレコードNo.8】
ネームド:フォコン
機種:タイフーン
カラー:主翼に白黒のボーダー
派閥:急進派
パイロット:ティボー・ベッソン
家が大変裕福なエルジアの古い貴族の長男。
突入と同時にLAAMを全弾叩き込んで派手な登場をし、オープンチャンネルで騒ぐだけ騒いで存在感をアピールするだけしてあっさり死亡。
モデルは某日曜日のたわけ。運命力がないためにあっさり死亡。取り巻きも忠誠心なんてないただの付き添いの為身代わりになる奴もいない。カリスマ性がないから死んだか
声優ネタだと某戦争大好き国家の優秀な血統(笑)のほうが近いかもしれん。アレもでばって直ぐに死んだし。