エースコンバット7 FLIGHT REZON   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 遅れました。申し訳ない。過去一遅れた気がします。

 ルビコン3に行ったりしてました。
 あと仕事疲れなのか寝不足なのか最近寝落ちが酷い。
 出来るだけ書きたい、けど書けない。アホイ作者です

 それはそれとして陸のACも楽しいです。フロムゲーだからおっかなびっくりでしたが。私みたいなロボゲ初心者でも十二分に楽しめております。


STAGE37【Straight Flush(蜘蛛の一刺し)

 

 

 ユージア辺境の地、ザップランドからエーンヤコラ。

 俺たち懲罰兵クソ野郎どもは今までより遠く、インシー渓谷の更に向こう側に連なるワイアポロ山脈に向かって飛んでいる。

 緑や荒野ばかりの代わり映えのない景色だったが。それと売って変わり、前方に白い雪化粧が見えてきた。

 

 今回も10機編成。

 カウント、フルバンド、タブロイド、この間助けたスペア13のジャイロ。そして俺の他5人。

 

 道中やはりお喋りなスペア隊はその度にバンドックから叱責を受けるが懲りる様子もない。

 

 そんなスペア隊が雪原地帯に突入した時。

 

「この前のミッションで思い付いたんだが。今回のクソッタレなミッションも、トリガーに着いていけば生き残れるんじゃねえかな」

「なんでだよ」

「政治犯の野郎は大した腕もねえのに今まで生き残ってる。なんでだと思う?」

「トリガーについていったからか」

「奴と居た方が生き残れる。そういうこった」

「ほーん。流石あいつにやらせれば良いんだよ! って言ってサボタージュ噛ました奴は気楽で良いねぇ。なぁスペア14?」

 

 そう、こいつはあの時恩知らず発言をしたスペア14だ。

 流石囚人野郎。言うことの民度がちがいますわ。

 

「タブロイドの腕を馬鹿にしてたみたいだけど。こいつはインシーの化物の僚機2機相手に単独で生き延びた男だ、しかも超絶悪天候の中な。お前は同じことが出来るのか。オラなんとか言ってみろよスペア14」

「うっ………」

 

 反論の材料がないのか押し黙るスペア14。心なしか速度が下がったな。

 所詮口だけの野郎なんざこんなもんだ。まったく。使い捨て部隊とはいえ、必要最低限の仕事を出来る奴が欲しいよ。

 

「おいおい、あんま苛めてやるなよトリガー。俺は気にしてない」

「お人好しだねぇ」

「お前には負けるさ」

 

 俺は役立たずはさっさと死んで新しいスペア来れば良いって言うほど人でなしだぞ。

 ここでは言ってやらねえけど。

 

「スペア14はともかく。トリガーに着いていけば生き残れる、なんてまじないは効果がありそうだな。どうなんだタブロイド」

「まあ、な。トリガーは灯火のようなものだ。トリガーがやろうとすることを一緒にやれば血路を開ける。そんな気がしたんだ」

 

 おいおい、そんな持ち上げたところで大層な加護なんか持ってないからな? 

 アテにされるのは悪くないけど。持ち上げるだけはやめて欲しいぞ、特にお前らの場合。

 

「今回も理不尽なミッションだ。トリガーについていけば生き残れるってまじない。試して見る価値はあるな」

「それをまじないなどと信じる奴は、早晩死ぬだろう」

「今回はバンドックに賛成だ。トリガーに着いていって生き残ったなんて、ただの偶然さ」

「なんだ。前回ヘマこいて帰った奴がなに言ってんだ」

「FCS不調なんてわかりやすい嘘吐いた奴が良く言うぜ」

 

 当然のようにカウントをせせり笑う囚人一同。

 確かに前回の途中帰還、FCSがダメになったと言うことは、これまでの狼少年ぶりからあまり信じられるものではない。実際カウントはあのあと我らがファッキンゼイから独房行きを言い渡された。

 

 だがあの時、いつも逃亡兵が出る度に口煩く引き止めていたバンドックがスルーしていたのだ。

 単純に言うのを諦めたのか、それとも本当にFCSと機体にダメージがあって撤退を許可されたのか。

 あの時のカウントの言葉にいつものような薄っぺらさを感じなかったというのもあるが………

 

 そう考えているとカウントが周りの言い分を何処吹く風と言い返す。

 

「ハン。さっきトリガーが言ってただろ。タブロイドがインシーで生き残ったのはてめぇの腕だ、決してトリガーの加護なんかじゃねえ」

「褒められるとくすぐったいな」

「要するに戦場で生き残るのはそいつの腕次第だ。どうせ大した腕のねえお前らのことだ。トリガーについて行かなかったから危ない目にあった。トリガーについて行ったのに堕とされそうになったって言い訳に使うに決まってる」

「トリガーにエース奪われた奴が言っても説得力ねえよ!」

「てめえこそサボってばっかじゃねえか」

「話すり替えてんじゃねえよ。現に俺は生き残ってるしスコアも出してる。トリガーについていかなくてもな」

 

 苦し紛れの反論も受け流して言いたいことを言いきったカウント。

 流石詐欺師。油が射したばかりかのように舌が回る回る。

 

 しかしカウントの言うとおりだ。

 希望を持つのは構わないが、それに過信して落ちたら元も子もない。

 ましてや文句を言われる筋合いすらないのはごもっとも以外の何者でもない。

 

「伯爵がトリガーを庇うなんてな。どんな心境の変化だ?」

「うるせえぞジャイロ、どう聞いたらそうなる。とにかく自分の命は自分で守りやがれ。この間みたいにトリガートリガーって情けねえ声上げまくっても、お人好しトリガー様がいつでも守ってくれるとは限らねえぞ」

「お前聞いてやがったのか?」

「高高度で聞き耳立ててたんじゃねえか?」

「帰る間際に聞こえたんだよ。てかトリガー! おめえも黙ってないでなんか言えよ。俺がてめえを擁護したみたいになっちまってる」

「はいはい。まあカウントの言うとおりだ。ついてくるのは構わないが仕事はちゃんとしてくれ諸君。俺は仕事が出来る奴しか助けねえからな。苦情クレームはシャットアウトだ」

 

 結果カウントに促される形で言いたいことを言うことが出来た。

 しかしほんとどういう風の吹きまわしなのか。

 俺が目立つのが気に食わないからトリガーは凄くねえんだぞって言いたかったのかと思うのは、俺も大概ひねくれてるな。

 

「囚人ども、雑談はそこまでにしておけ。間もなく敵レーダー圏内に入る。全機、高度を下げろ」

「ウィルコ」

 

 前方、目標山脈地帯。

 雲より高い山がぞろぞろと。インシーより地形はマシだが。その分空の目が俺たちを刈り取らんと眼を開いている。

 

「敵は上から見ている。雲の中、あるいは雲の下なら見つからない。つまりミサイルは来ない。貴様らでもそれくらいは分かる筈だ」

「窮屈な作戦だぜ」

「独房とどっちが窮屈か考えろ。作戦開始」

 

 独房1択だなぁ………行きますか。

 

 スロットルオン。作戦空域に飛び込んだ。

 直情には厚い雲があり、太陽の光を見事シャットアウトしている。

 

「レーダーサイト………行きなり雲の上なんだが」

「それが目標のレーダーだ。周囲の対空兵器も破壊しろ」

「いつもどおり皆殺しね………よし行け!」

 

 ピッチアップで雲を抜ける、と同時にアラートなる。長時間いれば高速ミサイルが来るってことだ。

 山の山頂に立った玉ねぎみたいな球状レーダーに機関砲を叩き込む。

 よし破壊! 直ぐ様雲に飛び込むとアラートが止まった。心臓に悪いぜほんと。

 

「レーダーサイトを破壊。まだ衛星の監視は続いているぞ。ミサイルに気をつけろ」

「番犬が何匹もいる気分だな」

 

 バンドックが何人もいる気分? 

 ハッハッハ………地獄。

 

『ん、なんだ? 3番レーダーの反応が………敵です! 攻撃です! 敵機、こちらへの侵入コースをとっています!』

『レーダーから消えた! 雲で衛星の監視が届かないんだ!』

『奴ら雲が厚い時を狙ったか! 撃墜はしなくていい! 追い払え! 上空に追いやれ、ミサイルに始末させろ!』

 

 今ので敵が起き上がったか? 

 データでは思ったほど敵勢力もなし。滑走路もない。出るとしたら良くてVTOL系だと思うが。

 UAVは確実に来るだろう。その前に終わらせないとな。

 

「いまトリガーが破壊した奴は近くに雲があったけどよ。雲がないところにレーダーが建ってたらどうするんだ?」

「破壊しろ。ただし命が惜しければ、すぐ雲に戻り隠れることだ」

「だと思ったぜ」

 

 いつものいつもの。

 

「敵のミサイル誘導には衛星とレーダー施設の両方が使われてるらしい。したがってレーダーを破壊できれば、ミサイルは飛来しなくなるはずだ」

「確かなのかその情報は?」

「さあな、身をもって試してみてくれ」

 

 扱い雑。まあ少なくともお前の情報よりは価値はあるぞ情報屋よ。

 しかしさっきもそうだが、最近フルバンドの扱い荒くなったよなバンドック。気持ちは痛いほど分かるけど。

 

 と、次のレーダー。山なりにAAGUNが2基、奥にレーダーありか。

 

「こちらスペア15。先行してレーダーを叩く。道中の機銃を任せても?」

「スペア11、ウィルコ」

「ウィルコ。しくったら俺がやるからなトリガー!」

「調子のって死ぬなよスペア13」

 

 増速。山あいから機銃の効果範囲ギリギリを通過し再び雲の上に躍り出る。

 出た瞬間軸会わせ。おっと、思ったより近い。急ブレーキをかけて衝突ギリギリまで機関砲を浴びせてから雲にダイブする。

 レーダーやれたかな。

 

「レーダーサイトの破壊を確認した。だがまだすべてのレーダーを破壊したわけじゃない、衛星の監視は続いているぞ」

「どれだけ厳重にしてんだよ」

「衛星監視とくれば、敵にとっても重要な場所なんだろうな。危険ではあるけど、こんな要になりそうな作戦を俺たちに任せるなんて、少し妙だよな」

「ああ。俺たちは何かをさせられてる、だが何を?」

「あんま詮索しない方が身のためだぞタブロイド」

「だな。任務は危険だが、目隠しで地雷原を走らされるような無謀さはない。俺たちの作戦は、少なくとも戦争終結の糸口になるはずだ」

 

 そうだな。的になれと言われても特攻して死んでこいなんて言われてないからまだ良い。

 大昔なんか艦船に体当たりしろっていうカミカゼアタックなんてのもあったらしいし。恐ろしい………

 

 と思っていたらまたエセ情報屋の大口が開いた。

 

「お人よしだなタブロイド。結局俺たちは地雷原を走らされてるのさ。文字通り使い捨ても良いところの便利屋としてな」

「黙れ。妄想を口にする暇があったら仕事をしろ」

 

 今まで聞いたバンドックの声でも効いたことのないドスの効いた低音ボイスに思わず軽く震えた。

 これ以上喋るなら容赦しない。そう言ってるかのように。

 

 だが奴は妄想と言われてカチンと来たのだろう。

 そんなバンドックの素振り気付くことすらなくベラベラと喋り続ける。

 

「誰でも知ってるような手法で侵入しただけでな。色々とわかった。例の遺跡の奴も………」

「フルバンド、警告は2回目だ。3度目はない」

 

 フルバンドを無理やり遮って遂に最後通告が出た。

 これ以上わかりやすいものはない。

 だというのに。

 

「パスワードが手に入ってな。ちょちょいとアクセスしたら色々と出てきた」

「自分が何を言ってるか分かってないようだなスペア6」

「帰ったらあんたにも教えてやるよバンドック。情報握ってないと死ぬからな。いまの戦争は」

「はぁ………ああ、帰れたらな」

 

 バンドックと同じタイミングでため息を吐いた。

 

 出撃前のアドバイスは完全に無為に消えたって訳だ。

 精々不慮の事故にならないことを片手間に祈るとしよう。

 

 辞世の句を聞いてる間にも仕事は続く。

 3個目のレーダーサイトは先程より高い、イコール当たり前の雲の上だった。

 フルスロットル。徐々に速度を上げて上昇。

 もうケチケチ機銃で撃つわけにも行かん。だが射角に注意しないと山肌にミサイルが擦っちまう。

 ほんと良くできた要塞だこと! 

 

「FOX2!」

 

 すれ違い様にミサイルをぶちこみ。行き掛けの駄賃としてAAGUNも破壊していく。

 

「トリガーが3基目を破壊! そういえば前回の巡航ミサイルは持ってきてないのか? あれなら楽勝だろ?」

「在庫切れだってさ! まったくここほど長距離対地が活きるミッションはないってのに!」

 

 お陰で高速クライミング&ディセンドだ! しかもミサイル追っかけのおまけ付き。

 あれほどの火力あったら雪崩起こして一網打尽もあったろうなぁ。環境団体から怒られそうだが。

 てかいまレーダーの隅でミサイルの反応見えたぞ。怖すぎる! 

 

「ハハッ。今回もトリガーに任せたらなんとかなりそうだな。トリガーに着いていけば生き残れるってのは当たりだぜ!」

「スペア14。貴様はいい加減仕事したらどうだ。喋るだけなら誰でも出来るぞ」

「良いじゃねえか! ミッションが完了すれば上も文句ねえ。出来る奴がやればいい………」

 

 ビィィーーーー。

 

 能書きを垂れていたスペア14をノイズが遮った。

 

「どうしたんだ?」

「HUDの様子がおかしいぞ」

「なんだこれは………全機、方位270から増援を確認。数3! 機種はF/A-18F。注意せよ」

「なんだこれ、レーダー照射? いったい何処か………」

 

 ノイズが強くなった瞬間。スペア隊のF-16Cが粉微塵に吹き飛んだ。

 空間を切り裂いたそれは。断末魔を上げることなくその命を粉砕した。

 

「スペア14、ロスト!」

「おいなんだよ! 何が起きた!」

「いま来た増援から高速の飛翔体が発射された。これは………レールガンだ。敵は航空携帯式の電磁投射砲を装備していると思われる」

「レールガンだって!?」

 

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

『ハッハッハー! 意外と当たるもんじゃねえか!』

『この距離はまぐれでしょう隊長』

『てかノイズ酷いですよそれ。ちょっとしたECMになるんじゃないですか?』

『試作の試作型なんだから仕方ねえだろ』

 

 ワイアポロに突入したホーネット3機編隊。

 通常のホーネットと違い青いデジタル迷彩と、毒々しい蜘蛛のエンブレムを携えている。

 その内の1機、隊長機のホーネットの機体下部には鳥のクチバシのようなレールガンが装備されていた。

 

 ネームド、スパイダー。とその小隊であるスパイダー隊。

 

 F/A-18Fの積載量の高さを名目に携帯式試作レールガンプロジェクトのテストを任されている。

 

 今回はようやく実用段階にこぎ着けたそれを携え、ワイアポロレーダー施設の救援に馳せ参じたということだ。

 

『しかしワイアポロとはついてるぜ! 敵さんは衛星監視と超高速ミサイルのお陰でろくに動けねえ! つまりレールガンが当たる!』

『飛躍し過ぎです隊長』

『まあ、確かに俺がオーシアならこんなとこ死んでもごめんだ』

『エルジアの生命線を守りつつレールガンの試験にも最適。これぞ一石二鳥って奴だ!!』

((相変わらずテンション高いなぁ))

 

 このスパイダーことハンス・ウェーバーという男は無類の新しい物好きとして知られている。

 これまでエルジアの新型装備の試験運用を幾度も任されるレベルの乗り手だが、新型装備を触るその姿は正に子供のようで。

 

 無人機とアーセナルバードが出た時はもう凄かった。

 

『やっべぇ! これが新時代か!? 俺も乗りてえ! え? 無人機だからあんたが乗ったら有人機になる? そんなーー!!』

 

 こんな感じで目をキラッキラさせながら試験運用出来ないかとごねたとか。もうおっさんなのに。

 そんな好奇心全開の男でも、いやだからこそ部下に親しみを持たれるということなのだろう。

 なんだかんだ僚機はそんな隊長が放っておけないのだ。

 

『しかし隊長。情報通りなら敵は例の白線部隊らしいですよ? 各所の拠点を荒らし回ってるという』

『この前なんかアルティーリョでガゼルがやられたらしいですよ。あの空対空爆撃する変人が。あっ、ついでに金持ちフォコンも』

『例の3本線ってやつですかね。イーグルかラファールに乗ってるらしいですけど』

『ラファールってあれか? いるな? よしあいつは俺とレールガンが落とすぜぇ!!』

『え、ちょ隊長!?』

 

 隊長機、スパイダーのホーネットが猛加速。

 慌てて随伴機もスロットルを解放した。

 

『隊長! 私たちの任務はレールガンの試験を兼ねた防衛です! 接近戦での使用は予定してないですよ!』

『隊長、その装備で大丈夫か?』

『大丈夫だ、問題ない』

『スパイダー3! なんで煽ったんですか!?』

『扱いづらいレールガンって話だが、最新装備が負けるわけねえだろ!! 行くぞおおぁぁあ!!!』

『スパイダー3、ウィルコ』

『あー、やっぱりこうなる。スパイダー2、ウィルコ!』

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「また撃ってきた!」

「うわ、いま真横通った! レールガンこわっ! 怖いから迎撃に向かう! レーダーサイトは任せたぞお前ら!」

「おいトリガー!? 怖いのになんで行くんだお前!」

「あれを放ったまま任務の方が100倍怖いからだよ!」

 

 命中率はわからんが弾速と破壊力は現行兵器の水準を遥かに凌駕している。

 ドッグファイトで撹乱して落とすしかない! 

 

「敵は3機か。タブロイド手伝ってくれ! 一人はキツイし早く済ませたい! いいよなバンドック!」

「仕方ない。スペア11。スペア15とエレメントを組んで始末しろ。他は敵レーダーサイトの破壊を続行しろ」

「ウィルコ。とっととやろうトリガー」

 

 タブロイドのミラージュ 2000-5を直掩につけ、即ブレイク! 

 空いた空間をレールガンが通過したエアリングが通っていった。

 

『んー、当たらんなぁ! 狙いがズレてるとかないよな』

『どんだけ自分のエイムに自信あるんですか?』

『今週の機銃キル成績シミュレーションの結果がこちらに』

『部下が今日も冷たい! だが俺はめげない! 各機散開! あのラファールが白線付きかはわからんがとりあえず落としてから確認しよう!』

((それって思考停止では))

 

 敵ホーネット散開。白地に青のデジタル迷彩のホーネットということは。こいつも。

 

「気を付けろタブロイド。こいつらネームドのスパイダーだ! レールガンつけてるのは恐らく隊長機一つだけだ。だから」

「前と同じく他のを引き付ければいいんだな?」

「すまない、行けるか」

「なに。前の化け物と比べれば楽さ! 行ってこいトリガー!」

 

 以前より頼もしく聞こえる僚機の声を背中にこちらに銃口を向けるホーネットを見据える。

 青白い雷光が迸り、音速の塊が空気を震わす。

 

『おいおい、この距離でさえ外すって。俺が下手なのか相手が出来すぎか!?』

 

 かすっても御陀仏になりそうだ。レールガンと言えばストーンヘンジ砲台だが、それをまさか戦闘機にぶら下げるとは! 恐ろしいな人類の科学力! 

 だが感覚としてはパイロのガンポッドと同じだ。なおかつこいつが撃つ前は必ずHUDに乱れが生じる! 撃たれることが分かれば早々当たってやるものじゃない! 

 

『隊長。遠目で一瞬だったから定かじゃありませんが。そのラファールの尾翼。他より白の面積がでかいです』

『てことはやっぱこいつが噂の3本線か! いいねぇ。数多のネームドを葬り、そしてあのアルカンシュでさえ落とせなかった化け物! 燃えるぜ!』

 

 ホーネットの動きが更に激しくなった。

 天気は快晴でさぞ動きやすいだろうが。

 

「スペア15コーション! 対空ミサイルだ! 雲の中に逃げ込め!」

「やっば!」

 

 こっちはミサイルで狙おうと上昇したら直ぐに対空システムに捕捉される。レールガンと高速ミサイル。どちらも一発食らえばアウトな代物だ。

 だが上を向かないと射線が通らないし。相手もそれを分かってるのか高高度の優位を崩さない。加えて上からレールガンが落ちてくるという。

 

 再度上昇。今回持ってきた高積載ミサイルHCAAをぶっぱなすが、当たらん! 

 スパイダーは急上昇して誘導を切ってきた。

 

 さらにまたアラーム! レーダーの端からミサイルが凄い早さで向かってくる! 

 急降下し雲にダイブ。俺を見失った高速ミサイルは近くの山肌に激突して爆ぜ上がった。

 

 空が狭すぎる! ここまで空の立地がヤバイとこは初めてだ! 

 最近ミッションの度にフラストレーションが貯まるなとぼやいているとカウントからこれまた気の抜けた声が。

 

「トリガー。苦戦してるなら助けてやろうか?」

「それよりレーダーサイトなんとかしてくれ! ろくに戦えん!」

「へいへい。もうすぐ4基目をやれそうだ。精々落ちないように頑張りな」

「おいカウント! スカしてないでさっさとやれよ!」

「だーから今やるって言ってんだろ。FOX2!」

 

 レーダーの赤点が一つ消えた。

 最近のカウントやけに有言実行してないか? ほんとに詐欺師か? 

 しかしレーダーが一つでも稼働していれば雲の上に行けない。比較的薄い雲でも隠せてるのが幸いだが、その分スパイダーもこちらを狙い放題だ。

 

『レーダーサイトが!』

『スパイダー2、お前は奴らを撹乱しに行け。ここは一人で良い。隊長がラファールを落とせば俺たちの検証は終わる』

『ウィルコ、ここは任せる!』

「こちらスペア11! 僚機の一つがカウントたちの方に行った! 注意!」

「くそ、めんどくせぇ。お前ら追ってくる奴なんとかしろ! 山登りは俺に任せな!」

「ふざけんな! こんな綱渡りのなか戦闘機の相手しろってのかよ!」 

「落とさなくて良いから妨害しろって言ってんだよ! このカウント様がレーダーサイト落とすまでな!」

「無茶言いやがる」

「だがやるしかねえだろ! トリガーがやられたら俺たちもマズイ。行くぞ!」

 

 出来る奴は苦労人ポジションになるのはここの伝統芸な気がしてきた。とにかくカウントはやる気になってくれてるのは本当にラッキーだ! 

 このままカウントが最後の奴を破壊するまでなんとか持ちこたえれば良いが。

 

 ビシュゥ! 

 

「うぅっ!」

 

 それまで俺が生き延びれるか! 

 

『ぬぅ! なかなか当たってくれんな!』

「野郎!」

『おっと、上がってきたか!』

 

 こっちが雲の上に上昇するとスパイダーは即座に距離を離して上昇してくる。先程からして射程距離はLAAMに迫るものがあるからドッグファイトをする気はないらしい。いやらしいことこの上ない! 

 

「タブロイド、そっちの状況は!」

「1機になったから楽だが。油断は出来んな」

「無理するなよ。危なくなったら他の機体に合流しろ」

「問題ない。トリガーについていけば生き残れる。なんだかんだ一番実感してるのは俺だからな」

「まったく……」

 

 ミスターXの僚機2機とのドッグファイトで見せた。タブロイドの逃げの生存能力。

 古い世代のミラージュ 2000-5で最新型のSu-30M2と渡り歩いたその腕は決してトリガーについていっただけの弱い奴なんて戯れ言など誰が言えようか。

 

 本人はまったくもってその通りだと思ってるんだろうけど。

 

「トリガーたちに任せておくのもいかん気がしてきた」

「ならお前は地対空ミサイルの的になれ。その方が二人の負担も軽くなる。それが嫌ならさっさとレーダーを落とせ」

「クソッ」

「カウント、あとどれぐらいかかる!」

「山が高いし、風も強い。対空兵器の密度がさっきと比べて比じゃねえ。おまけにネームドの僚機がちょっかいかけて来やがる。時間かかるぜ」

「具体、的には!」

「1分ぐらいだな!」

「30秒でやってくれ! 俺が落とされたら次はお前だぞ!」

「こいつ………わかったよ!」

 

 自分にあのレールガンが襲ってくるとなればやる気にもなろう。存外素直になってくれたカウントに期待しつつ引き続き雲の下の長い谷をなぞっていく。

 

 フルバンドがなんか言ってた気がしたが知らん。

 

『こいつら。腕はそこまでなのに数ばかり!』

「オラー! こっち向けぇ!」

「カウント! 早くしろ!」

「やべぇ、ミサイルが………」

「スペア3がミサイルに当たりやがった!」

「カウント!」

「わかってる焦らすな!」

 

 カウントとジャイロも頑張ってくれてる。

 数分なのに30分も飛んでるような感覚。奴を信じて俺は再度雲の上に出た。

 と思ったら正面に! 

 

「マジ!」

『ドンピシャだ3本線!』

「ふざけろぉ!!」

 

 操縦桿横倒し、フットペダルを蹴り180ロールして威嚇ばりにHCAA、AAMと機銃を全発射! 

 背面飛行のまま降下、腹のあたりをレールガンが掠めた! 

 

「スペア15、被弾!」

「トリガー!?」

「大丈夫! 掠めただけ!」

 

 掠めただけなのに損傷率35%ってなんだよ! 

 

『くあー! 被弾した!』

『大丈夫ですか隊長?』

『問題ない! レールガンも無事だ! 全武装一斉射とは景気が良いじゃねえか3本線! よしならば俺も』

『隊長!』

『なんだ!』

『もうダメです! レーダーサイト間に合いません!』

『え?』

「そこだ行けぇ!!」

 

 カウントの雄叫びと共に最後の赤点が………消えた! 

 

「スペア2のレーダーサイト破壊を確認!」

『すいません隊長!』

『マジか………てことは?』

「おらー行くぞぉぉ!!」

 

 疾風の名の通りラファールが雲を切り裂いて急上昇。

 レールガン装備のデジタル迷彩ホーネットを目視! 

 

『空の目が消えた? だったらなんだ! 俺のレールガンは最強だ!』

 

 ホーネット再びヘッドオン。スパイダーは口角を上げてレールガンをアクティブにした。

 

『勝負はまだこれからだ! 行けえ!』

 

 ………………レールガンは発射されなかった。

 

『あれ? なんで? あれれー?』

《オーバーヒート。レールガン。使用不可》

『負荷限界? バレルが焼き付いた? おっ?』

「くらえFOX3!!」

 

 ヘッドオンからのミサイル直撃。

 すれ違いざま後方でスパイダーのホーネットはレールガンごと爆発四散した。

 

『そんな………』

『隊長!? 嘘ですよね! 隊長! 隊長!!』

 

 騒がしくも憎めなかった編隊長の戦死に同様を隠せない僚機。

 僚機たちは弔い合戦をすべくスロットルを開けようとした、その時。

 

「馬鹿もーーん! 死んでないわぁ!」

『『隊長!!』』

「うわっ、なんだ?」

 

 突然のオープン回線にビクッと身体が跳ねた。

 その場を旋回していると真っ白な雪肌の中、少し彩度の違う白いパラシュートがフヨフヨと浮かんでいた。

 

 まさかミサイルがかち合う寸前にベイルアウトしたのか? なんて判断力。

 

「今回は俺らの負けだ。お前ら、さっさと基地に戻れ! これ以上消耗する必要はない」

『隊長を置いていけと!?』

「馬鹿! ホーネットでどう救助しろってんだ! ほとぼり覚めたら探しに来いってこった。ほらさっさと行け! 俺は寒いの苦手なんだ!」

『スパイダー3、ウィルコ。スパイダー2、隊長の言うとおりだ。帰還するぞ』

『………了解。ていうか隊長、無線がオープンになってます』

「なに!? 不味いな、ワイアポロの司令部にも聞こえてたりするか? まあいいこの際だ。おい3本線のラファール!!」

 

 うえ! 俺? 俺か? 3本線のラファールなんて俺しかいないな。

 いったい何事かと耳を傾けてみるとまた豪快な声が鼓膜を叩いた。

 

「今回は俺の負けだ! だが次は負けん! 次こそは俺のレールガンが貴様を粉微塵にしてやる! 覚悟しとけよぉ! あっ、やばっ着地ミスった。あああぁぁぁぁぁぁぁーーーーー………プツン」

 

 ………………死んだか? いや死んでなさそうだな。

 しかしスパイダーという陰湿そうなネーミングとは思えないぐらいなんか。凄い人だったな。型破りなとこはマートンさんを思い出す。

 

「………すべての作戦目標を破壊した。破壊を計画したレーダーサイトはこれですべてだ。衛星と連携したミサイル誘導システムも機能を停止しただろう。誰か雲の上を………もう飛んでる馬鹿がいるな」

「イヤッホー! 空が広いぜーー!!」

 

 ラファールの双発エンジンをぶんまわして垂直上昇からの大旋回を噛ます。

 アラートが鳴らない。最高。景色も良いし。

 

「トリガー。今回のMVPは俺だぜ。精々俺に感謝しろよ」

「ありがとー。さすがはくしゃくさまー、かっこいいーー」

「おいトリガーてめえ、棒読みにも程があるじゃねえか」

「ごめん。なんかカウントを素直に褒めるのがなんか難しくて」

「おいトリガーてめえ………」

「444全機。ミッション完了。長居は無用だ、基地に……………いや待て。なんだこの編隊は」

「どうした、バンドック?」

「接近中の味方機。こちらは第444航空基地飛行隊のAWACSバンドックだ。そちらの所属を明らかにせよ」

 

 なんだ? レーダーに感。

 青マーカーだから、味方機だよな? 

 

「近くにこの数がいるとは聞いていない。接近中の味方機、応答しろ。繰り返す、こちらオーシア所属のAWACSバンドック。接近中の味方機、応答せよ」

「………ホーネットが10………いや12機? うちに負けないぐらいの大所帯だな」

「こっから機種まで見えるのか? どんな目してるんだお前」

 

 遅れてきた援軍だったりするのか? 

 だが一向に応答に応じない。

 形容しがたい不気味さを感じつつ警戒しようとした瞬間ロックオンアラートが鳴った。

 

 おいなんだ!? 

 

「おい、レーダー照射を受けてるぞ!」

「IFFでは味方だぞ!」

「ちょっと待てちょっと待て。まさか督戦隊だなんて言わないよな!?」

 

 督戦隊! 

 逃亡兵や味方殺しを生業とする特殊部隊。ベルカでいうシュヴァルツェのような部隊。

 確かにうちらは命令違反逃亡歴があるぼんくらばかりだが!! 

 

 ミサイルアラート!! 

 

「撃ってきた! こいつ、敵なのか!?」

「回避するぞ!」

「オーシア軍機、攻撃をやめろ! こちらは第444航空基地飛行隊AWACSバンドック! オーシア軍機! 応答せよ! 攻撃をやめろ!」

 

 バンドックの再三の応答に耳を貸すことなく現れたホーネットの大部隊が444に牙を向いた。

 

 本来あってはならない味方同士の戦闘が。ワイアポロ山脈を舞台に繰り広げられることとなった。

 

 

 

 

 






 LACMはナーフされたんや。難易度鬼下がるからな。

 作者的には高速ミサイルをフレアで避けるっていう馬鹿なことさせようと思いましたが。その前に文字数が満足言ったのでカット。実際そこまで頭回らないしそもそもトリガーはちゃんと雲に潜ってる。

 カウントがなんか働くようになってます。ゲームと違って味方も動いていますが。どんな心境の変化なのやら。

【FLIGHT REZON アサルトレコードNo.9】

ネームド:スパイダー
機種:F/A-18F
カラー:白地に青のデジタル迷彩
派閥:なし
パイロット:ハンス・ウェーバー

 エルジア所属兼ノースオーシア・グランダーI.Gの新兵器テストパイロット。本人はベルカ人ではなく純粋なエルジア人。
 新兵器大好きおじさん。最近パルスレーザーやら戦術レーザーだったり戦闘機の特殊兵装革命が起きてウキウキしている。
 本人は派閥争いにはノータッチでひたすら新兵器の試験のために飛んでいる。ついでに防衛できたら良いよね程度と、あまり愛国心的なのはない。

 最初は対空レーダーミサイルとレールガンの雁字搦めクモの巣戦法的なものに胡座をかいて「はっはっはー!逃げろ怯えろー!はっはっはー!」みたいな調子こいた若僧をイメージしたのですがいつの間にか愉快なおっさんになってました。

 部下のスパイダー2は苦労人のツッコミポジ
 スパイダー3は冷静、と見せかけて実はノリが良い面白い男。
 
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