エースコンバット7 FLIGHT REZON 作:ブレイブ(オルコッ党所属)
暑いですねぇ………特に湿気が。
湿気さえなけりゃ暑さは乗り越えれるものです。
………ミッション11は涼しそうなとこだなと思った私です
海の上って久しぶりだなぁ………
天気は快晴。まっこと海水浴日和なスナイダーズトップ周辺海域にはビーチはなく。あるのは断崖絶壁のみ。良く見たら流氷も浮かんでいる。
空中給油を終えて飛び込んだ先には敵艦隊や敵プラットフォームのような物騒な物がこんにちは。
マップを見る限り大部隊。2個小隊8機でやるには心もとないがやるしかないのが軍人というもの。
そこんとこはメイジでもスペアでもストライダーでも変わらない。
「こちらAWACSロングキャスター。ストライダー1、サイクロプス2、通信状況はどうか」
「こちらストライダー1、感度良好」
「サイクロプス2、問題ねえ」
「それはなによりだ。これから長い付き合いになる。宜しく頼む」
こちらこそ。
しかしAWACSってのはロングキャスターといいスカイキーパーといいどれも美声揃いだよな。そういう条件もあるんだろうか。
バンドック? あれは贔屓目抜きだとまあまあ良い声ではあるから。
「悪いが俺は食いながらやらせてもらう。腹が減ると判断力が鈍るんでな」
「とんだ食い意地だな」
「眠くならないんですか?」
「逆だ。腹が減ると呂律が回らなくなり、幻覚さえ見える」
「そしてニューアローズ基地には弾薬より食料を絶やすなという絶対条件が課せられたのさ」
またとんでもない個性が現れたもんだ。
ロングキャスターと顔合わせしたけど。少し小太りでなんか愛嬌のある人で。それでこの美声なんだから反則だよなぁって感じだった。
あとなんだか分からないが食べ物をいっぱいくれる。なんか犬っぽいんだとか。喜んで良いのかな。
「トリガー、お前がナンバー1で俺がナンバー2とはな」
「羨ましいなら今すぐ変わってやるぞカウント。いや是非とも変わってください大先輩様」
「却下だ。部隊指揮なんてめんどいのは真っ平御免だからな。頑張れよ小隊長殿」
ええ! 頑張らせて頂きますとも!
頑張るしかないからねえ!
「俺たちはあんたについていけばいいのか? 凄腕だと聞いているぞ隊長……前の部隊ではな」
「俺たちに遅れるなんてことはないよな。インシー渓谷の奴がまぐれでないってとこを見せてくれ」
「ご期待に添えれるよう頑張りますよ」
声をかけたのはストライダー2、スカルド。
ワイズマンと同じ黒人の坊主頭で、一見寡黙で無駄なことは喋らない感じだが。実は話上手で饒舌な一面があり、幅広い知識を持つ頼もしい人物だ。
もう一人はストライダー4、ランツァ。
こっちは打って変わってひょうきんな男で。コーラやポテトフライなどジャンクなものが好物。
ことあるごとに「わーお」と言う彼のあだ名はミスター・わーおである。
そこにイェーガーを加えたストライダー隊。
みんな俺より場数を踏んだ強者。この強者と共に俺は飛んでいかなければならないということになる。
「ストライダー1。補給や整備が必要なときは帰還ラインまで戻ってくれ。人間も飛行機も補給は必要だ」
「泣けてくるねえトリガー」
「まったくだな………敵艦隊、目視で確認」
「もう見えたのか? 目が良いんだなトリガー」
それはもう。片羽の妖精お墨付きの視力ですから。
情報通り空母ニョルズ。イージス艦フレイ、ヘーニル。ミサイル巡洋艦、フリゲートを含めた計7隻の艦隊だ。
まだ近くに航空機がいない。叩くなら今がベストだ。
「敵イージス艦はCIWSでミサイルを迎撃してくる。低空で接近し攻撃するか、迎撃できない距離からミサイルを撃ち込め」
「トリガー。何かあれば俺とイェーガーが補佐する。初めての小隊長だが緊張しすぎるな」
「了解」
さーて小隊長としての初陣だ。
部隊を効率よく運用し、ローリスクハイリターンで戦果を叩き出す。
「ストライダー1からストライダー各機へ。これより先行して空母にFAEBを投下し戦力を削る。その間イージス艦を頼む」
「「ウィルコ」」
「了解した」
「よし………行くぞ!」
スロットルMAX、ダイブして速度を稼ぎ。たった1機のF-15 S/MTDが放たれた矢の如く艦隊防空範囲に飛び込んだ。
相手も反応が早い。イージス艦を筆頭にミサイルが弾幕として襲いかかってきた。
『旗艦ニョルズより全艦! 対空戦闘用意! 我が艦隊に近づく大馬鹿野郎どもを叩き堕とせ!』
「もう撃ってきた! あんなとこから届くのか!」
「低空で近づくか急降下して、弾幕をかわしながら接近しろ!」
「お先に失礼!」
変わらずスロットルを倒しっぱ。
最大戦速で突っ込む俺に対空ミサイルが殺到する。
「よしよしこいこい………そいや!」
その場でロール回避。速度を出来るだけ落とすことなくイージス艦の真上を通過。空母ニョルズ目の前。
兵装切り替え。FAEBの爆撃範囲の大きさは目を見張るものがあり。空母そのものをすっぽり覆い隠した。
「爆弾投下! 行けやぁ!!」
ポン! とGPBとは比較にならない質量の爆弾を投下。
そのまま空母の真ん中に目掛けて落下。先端が甲板に接触し。
「うわっとぉ!?」
「わーお! 大爆発だ!」
「派手だなっ」
特大の火炎が空母を飲み込んだ。
比喩表現ではなく本当に炎が空母を飲み込んだ。
あれぐらいの空母って全長305mほどあるはずなのにその全てが今や炎の中という。
いやいやFAEB半端ねえなぁ!?
そりゃ高級品だわ! こんなの連発しまくったらユージア大陸更地化まったなしだわ!
『何が起こった!?』
『使用火器、全て無力化されました! 離陸途中のSu-33も吹き飛んだ』
『なんということだ! あの戦闘機いったい何を投げ込んだんだ!?』
「いいぞストライダー1! 飛び立つ前に始末できた!」
「空母も丸裸だ! あれではただのハリボテ同然だな」
「よし、残りの船も落とすぞ!」
HUD越しに空母を見ると散りばめられていたグリーンマーカーが全てなくなっており、残ったのは空母自体のマーカーのみとなっていた。
いやほんとエグい。
だがまだイージス艦が健在。
特にイージス艦から撃たれる艦対空ミサイルの誘導が凄いこと凄いこと!
一回二回回避したぐらいじゃ決して許してくれない狂気的な誘導性能に冷や汗を垂らしつつ返す刀を繰り出していく。
更に先程ワイズマンが言った通り半端なコースで撃たれたミサイルが機銃で軒並み撃ち落とされている。
イージスの名に偽りなしである。
ならアドバイス通り低く飛んでみるか。
スティックを倒しつつ、ゆっくりと上体を起こす。
F-15 S/MTDは水飛沫を上げながらイージス艦の射角の外である海面スレスレを飛行し、すれ違いざまミサイルと機銃を艦底に叩き込んだ。
「ストライダー1がイージス艦フレイを撃沈!」
「よしよし良い感じだ!」
次は近くのミサイル巡洋艦。
そのまま海面を飛んだままミサイル。巡洋艦の周りを旋回し、更にもう一発叩き込んで沈めてみせた。
「ストライダー1が巡洋艦スカジを撃沈! 速いなトリガー」
「それだけじゃない。超低空を飛んで攻撃を避けてる」
「うおっ、トリガーお前低いな! いま高度なんぼなんだ?」
「え? 高度20」
「「「ひっく!!」」」
戦闘機にとってほぼ海面。それを戦闘中でやってのける俺に周囲はドン引きだ。
俺も対艦戦闘初めてだったからどれぐらいがいいかわからず、とりあえず無理のない範囲で下がってみた次第だ。
「敵艦の半数を破壊! 海の藻屑になりたくなければ気を抜かないことだ」
「俺たちもストライダー1のように超低空で飛んでみるか?」
「くそっ、これ以上低くは飛べないぞ!」
「とにかく船を沈めようぜ。俺たちが結果を出さなくては、新入りにしめしがつかん」
「だな」
その後も全員でフリゲート、巡洋艦を沈めていった。
スペアの時とは違いみんな文句の一つも言わず愚直に敵を駆逐していく。やる気になったカウントが増えたようなものだ。本当に動きやすいことこの上ない。
「ストライダー1、FOX2!」
「イージス艦ヘーニルの撃沈を確認。残るは丸裸の空母のみだ」
「空母………」
空母周辺に居た艦船、フリゲートから飛んだ苦し紛れのヘリもいない。
このままではでかい的なだけと判断したのか、空母からは次々と退艦する人たちの姿がある。
対して空母はというと甲板が少々焼け焦げてるだけで管制室は無事。
FAEB、気化爆弾というのは案外物理的破壊力はないもので。機銃とかSAMとかタンクとか、比較的柔らかい物は軒並み吹き飛ばせても破壊となるとそうでもないのだ。
「ストライダー1からサイクロプス1。この空母はオーシア軍で再利用は出来ないのだろうか。甲板の損害も軽微だ。現地利用できる空母はオーシアにとっても必要になると思うのだが」
「いや、それは出来ない。空母を修理運用出来る人員をここまで運ぶ手立てがない。それにここは敵のホーム。空母を利用されるとなればなんとしても破壊しにくるだろう。最悪敵に再利用される可能性すらある」
「了解。当たり前のことを聞いて申し訳ない」
「いや、目の付け所は悪くない。俺たちの作戦が進めば。それを実行できる日も来るだろう。全機、空母を破壊しろ」
「「ウィルコ」」
固さが戦艦並みの空母も8機からの集中砲火にはとても耐えられず船体に大穴を開けることとなった。
『空母ニョルズ被害甚大! これは、沈みます! 退艦を急いでください!』
『戦術的にはこちらが有利だったはずだ! それが2個小隊にやられるなど。どっから来たんだこの部隊は!』
『我が軍の兵站線を攻撃できる敵基地は近くにない! こいつらは遠方から飛んできたんだ、渡り鳥のように!』
「敵艦隊の全滅を確認した。強大な戦力を相手によくやってくれたな」
「朝飯前って奴だ」
「新しい仲間の腕がよくて頼もしいよ。トリガー、早くも小隊長の片鱗が見えてきたか?」
「いいや。みんなの腕が良いんだ。俺だけじゃここまで上手くいかなかった」
「フッ。みんな、弾薬はまだ残ってるな? このまま北側のプラットフォームを叩くぞ」
ワイズマンのF-15Cを筆頭に編隊飛行。
スペア隊と違ってここまで綺麗に出来ることに少々戸惑いつつ、途中で遭遇したF-14Dとフリゲート艦を叩いていった。
「トリガー、あんたの機体マーク。3本の線……爪痕か?」
「確か前の部隊でもつけてたよな? なんか意味があるのか?」
「ああ、これ? 目印のようなもの。あと俺にとって幸運の証なのさ」
「気に入らねえなぁ、なんで残すんだよ。罪線を思い出すだろうが」
「罪線? なんだそれは」
「なんでもねえよ。そら、プラットフォームが見えてきたぜ」
海から飛び出すように建造された敵のプラットフォーム。
何て大きさだろう。滑走路としても機能するそれは相応の大きさを誇っている。
FAEBの範囲もこれと比べれば小さいものだ。
更にプラットフォームの周りにハリヤーやらMiG-31などが多数飛び回ってる。
「このデカいのを丸ごとぶっ壊すのか?」
「それは難しい。艦船や航空機、対空兵器を破壊するんだ」
「いや、新入りの言う通りにやってみよう。敵の度肝を抜いてやれ」
「わーお、ラジャー」
「難易度上げちゃったねぇ伯爵ぅ!」
「おい待て。今のは冗談だぞ? マジでやるのか?」
マジでやるらしい。
煽っといてあれだが、こんな頑強そうな施設を破壊なんてどうすりゃいいのやら。
とりあえず今わかっているのは。
『着陸機をどけろと言ってる! 戦闘機を上げないとやられるぞ!』
「先ずは飛ばされないようにしないと。残ったFAEBを投下する。敵が戸惑ってる間に皿の上の戦闘機を破壊してくれ」
「了解した」
先程と同じくパワーダイブでプラットフォームに接近。FAEBでは全体をカバー出来ない。
狙うべき場所は、滑走路の先端!
「FAEB投下!」
『よし、緊急発し………うわぁ!!?』
「今だ、FOX3!」
「FOX3!」
放たれたFAEBが先程と違わぬ大爆発を巻き起こし。待機していたヘリと戦闘機を焼き。眼前に舞い上がった火柱が発進しようとしていたパイロットの思考を止めた。
その隙を逃さず、F-15Cの4AAMが次々と甲板上の戦闘機に突き刺さった。
これでプラットフォーム上の戦闘機は全滅した!
だがプラットフォームがデカすぎてまだまだ対空火器が目白押し。
更に敵戦闘機も慌てて俺らを取り囲まんとする。
「サイクロプスからストライダー。敵戦闘機は任せる。俺たちでプラットフォームを砕く」
「了解! ストライダー各機。俺が掻き回すから泡食った奴らを釣り上げてくれ」
スロットルを上げて敵中央に突入。敵戦闘機群は泡を食ったように散り散りになる。
勿論道中の敵は出来るだけこちらで釣り上げる。
ラファールやF-2A、F-15Jにタイフーンと選り取りみどりだ。
『うわっ! こいつ中央から食い破ってくる!?』
『なんなんだあれは、F-15 S/MTDだと!?』
『迎撃しろ! あいつがこっちを掻き乱して………』
「目立つルアーは食い付きが良いな」
「いただきだぜ!」
案の定意識を剃らされた敵機をストライダー隊が食いまくっていく。
こっちの指示を的確に行える判断力と技量は新人ばかりのメイジ、役立たずばかりのスペア隊ではなかったもの。
面白いように敵の光点がみるみる減っていく様を横目に再び魚群を突っ切るように加速。
そして精鋭はストライダーだけにあらず。サイクロプス隊、特にワイズマンは歴戦の片鱗を見せつけてきた。
「命中! 目標の破壊を確認!」
「こいつはすげえ。ワイズマンが柱にぶち当てやがった!」
『質量ダンパーが破壊された!』
『なんだって? 何を言っている!?』
『敵がプラットフォームの柱を破壊したんだ! 4番区画の奴らは今すぐ退避しろ! 潰される!』
通信が騒がしくなったから何事かと見てみると。なんとプラットフォームの一部が崩落して海に大きな水飛沫を上げたではないか!
「構造体の剛性の中心を狙った。的は小さいが不可能ではない」
「………よしデータを送った。できる者はワイズマンのマネをして、サンドイッチを作るんだ」
「はいよ」
「コピー」
プラットフォームの柱にマーカーが表示されると同時にサイクロプス隊が柱の排除に動く。
だが敵も馬鹿ではない。こちらの狙いが柱だとわかると邪魔をすべく必死に割り込みをかけてきた。
「敵戦闘機の3割撃墜、だが抵抗が厳しい状況だ。各自油断するな」
「まだまだ迎撃が止みそうにないな。ラブコールは熱烈すぎると嫌われるぞ」
「経験則かフェンサー?」
「フッ、さあな」
先ほどかなりの敵を倒したがそれでもまだまだ群がっている。敵も雑兵ばかりではない。
これは時間がかかりそうだ。
『プラットフォーム自体の破壊は想定外です!』
『この基地がやられたら海軍戦略は見直しだぞ! 対空砲火を増やせ! 敵の良いようにさせるな!!』
「くそ! 弾幕がうざったい! こんなの近づけねえ。おまけに横の柱にミサイルが吸い込まれちまう!」
カウントから悲鳴が聞こえる。
狙うだけなら難しくなさそうだが、彼の言うとおり弾幕が激しく悠長に狙いをつけづらい。
加えて厄介なのが来たみたいだ!
「注意! 方位340よりラファールMの編隊が接近。数は4!」
「ラファールの編隊………てことは来ちまったか!?」
北北西から来たラファールMの一団。
ブリーフィングに出てきたネームドの部隊か!
『HQからシャスール隊。敵は南から侵入、機数8機。既にニヨルド艦隊は壊滅している。敵編隊を撃滅せよ』
『シャスール1了解。各機、敵は2個小隊だ。物量は我らにある!』
『了解リーダー! 乱れ撃ちだ!』
『シャスール隊ブレイク! 狩りを始めろ!!』
4機の
敵に囲まれながら奮闘するロングレンジ隊に眼光を向けた。
『ほらほら! 巻き添え食らいたくなかったら離れろよ!』
『シャスール隊が来たぞ! 全機道を空けろ! 巻き込まれるぞ!』
『全機、オールウェポンズフリー!』
『『『FOX3!!』』』
「敵機弾幕! 回避運動!」
「なんだぁ!?」
ラファールM4機に備えられた
「フレアフレアフレア!!」
「わーーお! 持て余すぜこいつぁ!」
「プラットフォームを盾にしろ! 低空でやり過ごせ!」
いったい何発飛んできたのか。アーセナルバードの防空ミサイルを思い出すようなそれに思わず舌打ち。
うちのストライダーは大丈夫かと見渡すがなんとか無事みたいだ。
大盤振る舞いしてきたのがどんな奴なのか睨み付けると、そこには影でも落としたかのようなラファールが存在していた。
「こちらストライダー1。混じりけのない真っ黒のラファール。敵ネームド、シャスールを確認!!」
「こっちでも確認したぜ。こいつはトリガーじゃなくても分かりやすいな」
「ストライダー各機! ネームドを落とすぞ! サイクロプスの邪魔をさせるな! 搭載してるのは恐らくHCAA。敵の飽和攻撃に注意!」
「「コピー!」」
漆黒のラファールを沈めんと急上昇。
ストライダーの面々もそれに習い上昇。敵の目をこちらに引き付けるのが狙いだ。
『敵の一部が引っ張られたぞ。全機で囲め!』
『隊長、敵のイーグル。1機はMTDのようです』
『まさか噂の………』
『関係ない。どのみち纏めて落とすだけだ。全機! 矢を浴びせろ!』
『『『ウィルコ! FOX3!!』』』
シャスール隊から再びミサイルの雨霰、いやエグいエグいエグい!!
いつぞやのファングの4AAM連射なんか目じゃない程のミサイルの数!
数撃ちゃ当たるというより包囲して圧殺するような。正に逃げ道を無くすかのように撃ってくる!
救いがあるとすればHCAAの誘導や威力が普通のミサイルより劣っているところか。
そして流石は精鋭部隊。
HCAA、AAMの乱れ撃ちもしっかり躱してくれている。
「ストライダー1! 後方にネームド2機!」
背後にシャスールの2機。
恐らく奴らの戦法はHCAAを含めた波状攻撃で落とせば御の字。
躱したとしても大量のミサイルでパンクした相手を即座にキルしに行くってスタンスらしい。
『浮わついたな! 注意が散漫になった時が狩り時だ!』
『こいつはレア物だぜぇ!!』
漆黒のラファールが舌なめずりし矢を構えた。
が、あまりにも分かりやすい。
必中を確信したか? だが残念トラップだよ!
スロットルMIN。エアブレーキON。
急減速からのコブラ機動でシャスール2機を前方に追いやる。
『なんだと!?』
「勝ちを確信した奴ほど釣りやすいってなぁ! FOX2!」
『この状況で反応を!? うわぁぁ!!』
回避機動を行おうと機体を横にするも間に合わずミサイルをその身に受けたシャスールの1機が海に埋没する。
『シャスール3がやられた!? 俺たちの狩り場を攻略されたとでも!?』
『シャスール2! ケツにつかれてるぞ!』
『くっ、機動性なら負けな………』
「ラファールの癖はわかってんだよ! 乗ってたからなぁ!!」
ラファールは旋回径が小さくドッグファイトも得意。だがF-15 S/MTDはその上を行く。
道筋は見えている! 見え見えの回避機動に合わせるようにガンアタックを添えていく
『こうも一方的にやられるとは!』
『シャスール2! 脱出しろ!』
『くそっ!』
敵ベイルアウト。パラシュートを引っ掻けないよう機首を下げて次に向かう。
「トリガー手を貸すぜ! 俺はこっちの方がしょうに合ってる!」
「飽きちまったのか? すいません編隊長、悪ガキ一人借ります」
「暗くなる前に返せよ」
「誰がガキだ!」
悪は否定しないのな。
カウントもやはり出来る奴で。Su-33からF-15Cになってもその小綺麗な飛び方は変わることはなく。
鋭い機動で2機になったシャスールを追い込んでいく。
『編隊長! どうすれば!』
『狼狽えるな! 疲弊してるのは敵も一緒だ! もう一度波状攻撃だ!』
『2機だけでですか!?』
『2機だけでだ! 配置合わせろ! クロスアタックだ!』
シャスール2機が二方向にブレイク。また飽和攻撃をするつもりだろうが。
「ストライダー隊、方位080のシャスールを。カウント、俺たちは170を食らうぞ!」
「「「ウィルコ」」」
「あいよ。仕切り屋が様についてきたかトリガー?」
「なら従ってもらうぞ。奴が撃ったら───だ」
「は、マジで言ってる?」
こちらもそれぞれ二方向にブレイク。
奴らと真っ向ヘッドオンで加速していく。
『隊長! 奴ら真っ直ぐこっちに』
『好都合だ! 全弾撃ち尽くせ!!』
シャスールは残りのHCAAとAAM、機銃によるフルバースト射撃を敢行。
1機だけでも目を見張るほどの弾幕だが。1機だけでは範囲は狭いってもの!
こういう時の対処法はパイロで知っている!
「マジでやるのか? なあ」
「今だ! バレルロール!」
「あぁぁぁーやってやらぁ!!」
敵を中心点にフレアからのバレルロール!
バレルの内側に機銃とフレアで乱されたミサイルが吸い込まれて後ろに素通りされていく。
『そんなのありか!?』
「「FOX2!」」
面食らったその面にミサイルを発射。
慌ててフレアするも機体両サイドにミサイルが炸裂。ラファールの外装を滅多打ちにし、バランスを失った機体は錐揉み回転して海に墜ちていく。
『ぐふっ! 狩り場に誘い出されたのは………俺の方だったか………』
『隊長ー!!』
「隙ありだ!」
「FOX2」
『ぐわぁ! ち、畜生ーー!!』
シャスール隊長機、爆散。
それに意識を持ってかれた4番機も囲われて被弾してベイルアウト。
「こちらストライダー隊。敵ネームド撃墜!」
「サイクロプス2も忘れるなよー!」
「みんな良くやった。次はプラットフォームだ!」
「あー、そういやまだあったなー」
そう。ネームドを倒してもまだまだ道半ばだ。
俺たちが格闘戦をしている間にプラットフォームの対空火器。そしてワイズマンがまたも柱をへし折ったらしい。
横から見てもあの枠を狙い撃ちにするのは素直に脱帽する。
「敵戦闘機の5割は落ちたな。ほとんどストライダー1がやっている」
「やってくれるぜ」
「みんなが腕利きだからさ。凄く動きやすいよ」
「だが油断するなトリガー。これだけ打撃を与えたんだ。例の実験飛行隊が現れないとも限らない」
「イェーガー、彼が一番わかってるよ。ミスターXと戦って生き残った数少ない人間だからな」
「笑えねえぜ。これだけでも手一杯なのに、その上オレンジ色を相手したくねえ」
それに関しては同感だ。
来たなら来たで叩き落とすまでだが。まだ慣れてない部隊を危険に晒したくない。
………よしここだ! FOX2!
「ストライダー1。プラットフォームの柱に命中。崩落を確認!」
「ふー。慣れたら当たるもんだな」
「こんなのワイズマンとトリガーにしか出来ないんじゃねえか? 当たる気がしねえ」
「接合部を狙い撃ちにする。難しいミッションだが無理ではない。腕の見せ所だぞカウント」
「この機体でそんな難しいこと出きるわけがない。指示が無茶苦茶なんだよ!」
わからなくもないのがなんとも。
相変わらず周りの戦闘機がうざいからな。
なんとか被弾を気にせず撃ち抜きたいが………………むむ?
「お、おおー?」
「どうしたトリガー」
「あー。ロングキャスター。プラットフォーム内って戦闘機が通れるスペースあるよな? 整備で動かすだろうし」
「そうだな。充分に通れる幅はある。それがどうかしたのか?」
「ふむ……………」
大きく迂回してプラットフォームの周りを飛んでいく。
そのまま機体を微調整し、プラットフォームと平行になる位置についた。
「行けそうかもしれん」
「行けそうって………おいまさか」
「………本気か? ストライダー1」
「待て待て待て! それは駄目だ、無理だって絶対無理だって!」
カウントとワイズマンは気づいたらしい。
これから俺がやろうとしている奇行に。
「こちらストライダー1。これよりプラットフォーム内に侵入して柱を破壊する」
「「「え?」」」
「やっぱりか! 馬鹿じゃねえのお前本当に!」
「全機プラットフォームへの射撃中止! 俺に当てるなよ、突入する!」
「誰も許可してねえんだよ! あ、本当に行きやがった!」
高度を下げつつ、ストールしない速度600を維持。そのままプラットフォーム内部に突入した。
『は? ………はあぁぁぁ!!? 敵がプラットフォームの中に入ってきたぞ!!?』
『な、なに考えてるんだあのパイロットは!?』
『クレイジー! クレイジー!!』
ズモモモと迫る俺のMTDを見た整備員たちが目をひんむいてたまらず逃げ惑い、ある人はそのまま海に飛び込んだ。
わかっていたけど狭い! ロカロハのトンネルなんか目じゃない。
だがここなら邪魔は入らないだろ!
「FOX2!」
すぐそこの柱にミサイル発射!
クリーンヒットした柱は粉砕され。支えていたプラットフォームのブロックが倒壊。
爆炎が目の前に来たが気にせず近くの柱に機銃掃射、そしてリロードと同時にミサイルを射出。
これを低速で2、3回繰り返し。そのまま崩落したプラットフォームを飛び出した!
俺が通ったあとのプラットフォームは一つ残らず海に沈み。青い海に大量の白いあぶくを産み出した。
「イヤッホー!!」
「………何が起こっている?」
「宣言通りトリガーが中から破壊したのさ。あの長いプラットフォームを」
空中から見ているロングキャスターも思わず持っていたホットドックを食べることすら忘れて唖然とした。
他の面々も空いた口が塞がらず、沈み行くプラットフォームと飛び上がった俺を交互に見返した。
「この馬鹿! ほんと馬鹿! お前は毎回ビックリショーしなきゃ気が済まねえのか大馬鹿野郎!!」
「ちゃんとやる前言ったじゃないか」
「言えば良いってもんじゃねえんだよ!」
「ハハハ。トリガー、結果的に上手く行ったが何かのミスがあってはならない。次にやる時はもう少し相談してくれよ?」
「うっ。すまないワイズマン」
ワイズマンの言葉が耳に痛い。
実際やれるとしても普通やらないからな。
戦闘が長引くとみんなが大変だとは言え、もう少し待つべきだったか。
「なにはともあれ。敵大型プラットフォームのパージを確認した。よくやったな、ハンバーガーのできあがりだ!」
「さっきサンドイッチって言ってなかったか?」
「どっちも俺の好物だ」
「そんなの聞いてねえよ。たくっ、最後ぐらいは俺が落とす。とどめの一撃は俺によこせよ!」
「どうぞどうぞ。なら俺は残りの鳥を落とそうかな!」
このあとカウントが低空から突き上げるように真横にあった管制塔兼用のプラットフォームを破壊。真下にいた巡洋艦が押し潰される。
もう片方のプラットフォームもイェーガーが潰し、洋上プラットフォームはスナイダーズトップから姿を消した。
「洋上プラットフォームの完全破壊を確認。やってくれたな!」
『そうです、全滅です! 責任? プラットフォームに入って接合部を狙ってくるなんて誰が予想できるんです!? 虚偽報告だって? そんなの自分が言いたいですよ!!』
プラットフォームを失った敵戦闘機は体制を整える為か渓谷のプラットフォームに撤退を始めた。
これでここは完全に制圧したことになる。
だがこれでロングレンジ隊の懐がだいぶ寂しくなってしまった。
こっから渓谷のプラットフォームと戦闘機群を相手にするのは些かしのびない。
「驚いたな、想定した戦果を上回っている。新しい仲間の活躍も大きい」
「どうだい。俺もなかなかのもんだろ?」
「新入りの1人はよく喋るな。しかも口が悪いときた」
「俺より口が悪い女がいるみたいだが?」
「口が悪いだけじゃねえ。手が出るのも早いぞ 」
「だと思ったぜ。だが今日の俺は絶好調だ。今日こそスコアをいただくぜ」
「調子のって落とされるなよ伯爵」
「言ってろ3本線」
彼の言う通り新しい翼を持って上機嫌なカウント。
したり顔の彼だが、それは直ぐに崩されることになる。
「よし、まだ時間はある。もっとやるとしよう! 全機、補給を済ませた後、渓谷のプラットフォームを破壊する。敵さんを2度と起き上がれなくしてやれ!」
「おいおい! もう十分なんだろ? 今回は引き上げようぜ」
「……よしやろう、サイクロプス、ストライダー。残存勢力を掃討せよ!」
「ストライダー1了解! さあカウント、まだまだ働くとしようじゃないか!!」
「勘弁してくれー」
隊の笑いを誘いながらカウントはゲッソリとした顔で俺たちについていくのだった。
みんな一度はプラットフォームの中に入ったことはあるよね?
どうも暑さに弱い北海道人、ブレイブです。
FAEB、迷いましたがF-15 S/MTDは2発持ちに落ち着きました。
元のMTDは30は持ってた気がする。やべぇね。
ストライダー編はモブじゃない味方がAWACS含めて8人しかいないのでもう会話のキャラが多いこと多いこと。
ゲーム音声を切り貼りしたりするのは楽しいけど。ここ誰しゃべってるのかなって思われたりしたかもしれん。作者の力量不足や、すいません。
そして案の定1話で終わらないミッション、知ってた。
次回は渓谷の方に行きます。お楽しみに。
【FLIGHT REZON アサルトレコードNo.11】
ネームド:シャスール
機種:ラファールM
カラー:ブラック
派閥:急進派
パイロット:クリス・アズール
スナイダーズ・トップ防衛隊に属するネームドの一人。
シャスールはその名の如く戦場を狩り場、己を空の狩人と定義して獲物を仕留めるべく飛び上がる。
シャスール1であるクリスは元々ハンターの家系で、部下も狩り仲間である。
戦法は獲物を囲み、HCAAの積載量に物を言わせた飽和攻撃を行い。そこで群れからはぐれた物を狙う戦法。
トリガーたちにも同様の戦法を行ったが、逆に喉元を食いちぎられる結果となった。