エースコンバット7 FLIGHT REZON   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 ミミックの仕留め方
 エンチャンターの円で待ち伏せして2発ぶち込む。
 終わり!!!


STAGE55【Unexpected Visitor(救済の凱歌)

 

 

「全機注意。2機の不明機が接近中。機体は……Su-47」

「ベルクトか! エルシアがあまり配備していない機だ。どこから来た?」

「不明機? エルジアじゃないのか?」

「現在IFFを……不明機がエルジア機を撃墜!」

「おっと?」

「どういうことだ!?」

 

 突然来た侵入者御一行様がエルジアの戦闘機をぶっ殺した。乱入してくるとはとんでもない奴らだ。

 味方か? でもこれ以上の増援が来るならロングキャスターが知らせるはず。つまりは……

 

「これ以上味方の増援はない。敵機と判断し交戦を許可する。迷うな!」

「そうなるよな。ストライダー隊、不明機をやるぞ! ドレイク隊ここは任せます」

「了解。気をつけろよトリガー」

 

 さーてどちら様? こっちは偏屈准将が見張る中戦争終結に関わる任務中ですよー。

 

「見えた。Su-47が2機。ベルクトなんて初めて見たぞ」

「今回は戦闘機の見本市だな」

「まったくだ。来た、レーダーロック! 全機ブレイク! 取り囲んで堕とせ!」

「やっぱり敵か! なにもんだこいつら!」

「オーシアでもエルジアでもねえ。コウモリ野郎だ!」

 

 コウモリか。敵味方をあっちにフラフラか。

 それぐらい分別あれば可愛いほうだが。

 

『やるぞ』

『フフッ。私が滅ッ茶苦茶にしてあげる!』

「もうすぐ射程に、わおっ!」

「うおっ、敵が増えやがった!」

 

 ロックオンした瞬間HUDが一瞬乱れたあとロックオンマーカーが7機に増えた。

 見間違いじゃないよな? 

 

「おそらく敵のECM、飽和デコイの一種だ」

「目視で本体を探すしかないか!」

「そういう手品か……なら心配いらねえなトリガー」

「ああ、問題ない」

 

 本当に敵が増えた訳では無いのだろう。

 それで騙せるのか試してやる! 

 

『アハッ! 私を追ってきた!』

『そのまま耐えろスクリーム!』

「見えた。おいおい、これで騙してるつもりか?」

 

 確かにロックオンマーカーは7つだ。

 だが空のマーカーは自機周囲に6つ。そして本体は真ん中に居る。

 こんな寝ぼけた分身、俺から見りゃなんの目眩ましにもなりゃしないぞ! 

 

 落ち着いてロックオンカーソルを変更。

 マーカー中心のSu-47をロック! 

 

「誰だか知らんが茶番は終わりだ、落ちやがれ!」

 

 敵か味方か不明瞭ながら迷わず引き金に指をかける。必中の距離……その時、形容しがたい違和感がよぎった。

 

『かかったなバーカ!』

「は、なにぃ!?」

 

 突如、空のロックオンマーカーが消え。変わりに敵のSu-47が4機に増えてロックオンがずれた! 

 

「トリガー、後ろにつかれてるぞ!」

「いつの間に!?」

『FOX2!』

 

 フレアは最初の乱戦で使い切った。

 こんじょーーう!! 

 

「いで!」

『命中!』

『まだ死んでないよレイジ!』

「ストライダー1被弾!」

「大丈夫かトリガー!?」

「ああ、かすっただけだ! しかしなんだ今の!? 敵がマジで増えたぞ! マジで機影が増えた!」

 

 幻覚と信じたいが間違いなくあの瞬間機影が4つに見えたのだ。

 いったいどんな絡繰だ? 光学迷彩でも付けてたのか!? 

 理解が追いつかない疑問。それに答えたのは意外な人物だった

 

「こちらデイビッド・ノースです。聞こえますか」

「クイズ屋!? いま任務中だぞ!」

「敵のマジックの正体ですが、恐らく環太平洋戦争で使われたホログラム投射機を利用したジャミングと思われます」

「なんじゃそりゃ!」

 

 ホログラムで分身の術!? 

 しかも環太平洋戦争からって、そんなサイエンスマジックがあったのか!? 

 

「かつてウォードッグ隊を含めた数回のケースが確認されています。その時は電子戦機が大群のホログラムを実際の戦闘機が動いてるように偽装していたのですが……」

「現在電子戦機らしき機影は確認できない」

「こっちもだ。こんな雲がない空で隠れられる訳がねえ!」

「では答えは一つ、敵Su-47に搭載されているに違いありません。なんとか本体を見つけ出してください!」

「出来るのかそんなこと!?」

「やるしかないだろうさ!」

 

 分身してようがやることは変わらない。

 いつも通りしつこく追い、引き金を引け! メイジ隊の頃から変わらない戦闘機乗りの鉄則だ! 

 

 分身して増えているSu-47をロック。

 ミサイルは無駄打ち出来ない、機銃で正体を見るが。微妙に当たらず、当たったかと思えば素通りする。

 

『良いぞスクリーム、3本線は翻弄されている。だが油断はするなよ』

『フフッ。こんなやつを殺したかったんだ!』

「くそっ! なんか位置が分かりづらいな、あのシマシマ迷彩!」

「ダズル迷彩って奴だな。対象の距離感を欺瞞する塗装だ」

「とことんトリガーの目の良さがあだになってやがる」

 

 白と黒のシマウマ模様。

 今まで色んな色のネームドが居たけどこいつなんか異質だ。

 なんか距離感が微妙にずれるというか。機銃がそれる錯覚になる。恐るべしダズル迷彩。

 

「というより。こいつらトリガーしか狙ってねえんじゃないか!?」

「ああ、俺たちが近づこうとしたら他のエルジア機に擦り付けるように動きやがる!」

 

 確かに。さっきから前のやつが逃げ回って相方が俺を落とすように動いている。

 しかもフーシェンの言う通りガッツリ俺をツーブロックでマークしてやがる。

 

「もしかして殺し屋? 狙い俺ってこと? なんでや!」

「有名人は辛いな。しかもさっきエルジア機ぶっ殺したから、こいつらエルジア側じゃねえぞきっと」

「何処だよこいつら雇ったの。もしかしてオーシ……」

「ストライダー隊! 無駄話をしてる暇があるならさっさと不明機を落としたまえ!」

 

 はいオーシアだな! オーシアだろ! オーシアに決まってる! オーシアで確定だよな!? 

 クレメンスお前が仕込んだんじゃないだろうな! これ以上俺を疑心暗鬼にして何が楽しいのかしらね!! 

 

『レイジ! さっさとコイツ落としてよ!』

『わかってる! 英雄様は逃げるのも上手いんだよ!』

 

 とにかく、とーにかくこいつらばっか相手してられない。本命はアリコーンなんだ。さっさとぶっ殺してドレイク隊とパフィンに合流しないと。

 しかしこのホログラム技術凄いな! まったく乱れないじゃん! なんか見分ける方法……

 

 ──キラッ。

 その瞬間。ホログラムのうち1機のキャノピーが太陽光で光った。

 

「見ぃつけたぁ! FOX2!!」

『なに!? うあっ!』

『スクリーム!』

「トリガーの攻撃が命中!」

 

 ヒットぉ! 

 ホログラムは光反射しないからなぁ! 天運は我にありぃぃ!! 

 当たりどころが良かったのか。敵のホログラムがなくなったぜ! 

 

『ちっっくしょうやりやがったな!! この野郎やりやがった!!』

『やり返せ! 3本線を殺せ!』

『絶対殺してやる絶対!!』

「FOX2! あれ!?」

「トリガーのミサイルが誘導されてねえ!」

「おいおい! 今度はロックオン外れるようになったぞ!」

「ブレイクロックだ! ロックオンした瞬間を見逃すな!」

 

 くそ! 次から次へと小細工を! 手品師かこいつら! 種も仕掛けもありまくりだがな! 

 舐めんなよ! こっちには元詐欺師が居るんだ! だからなんだって? 知るか! 

 

 ロックオン出来ればダズル迷彩なんぞなんのそのなんだがな! 

 

「いいだろう! そっちが手品ならこっちは魔法だ!」

『なんだ、あいつ何処に行く!』

『尻尾巻いて逃げ出したのさ! 3本線の名が廃るね!』

『追いかけろ! こいつを殺せば俺たちは!』

 

 おーおー追ってくる追ってくる。

 殺し屋にとってターゲットは金の卵だからな。

 そーら入ったぞぉ! 

 

『くそっ! どんな加速してんのさ、あのF-15!』

『奴も疲れてる! 追い回せば。なっ、あいつ何を。ロックオン!?』

『まだ射程外じゃ……』

「ヒャッハー! ファイヤー!!」

 

 エンチャンターの支援に入った瞬間半クルビット。機首を奴らに向けてミサイル発射! 

 エンチャンターバフのミサイルを見ていない奴らは高速かつ高誘導、そして自機射程外から撃たれたミサイルを回避しきれずヒット! 

 

「ヒュー! ブルズアーイ!」

『なんだ今のミサイル!?』

『くそっ、撤退だスクリーム! 被弾した機体では3本線は堕とせない!』

『くっそぉ!』

 

 フー! 奴ら黒煙を上げて踵を返した。

 このまま追い込んでぶち落と……

 

「3本線! 次は殺す! 殺してやる!!」

「誰だ!?」

『おい何やってる!』

「俺の耳がおかしくなったか?」

「いや、あたしにも聞こえてる」

「空耳じゃねえな、コウモリの声か?」

 

 いや待て待て、混線じゃなくて普通に通信に。これこっちの回線だよな!? 

 

「お前は一瞬で燃え上がる。座席で小便漏らすヒマもないよっ」

「おいコウモリどもが逃げるぞ!」

「追う必要はない。航空優勢を確保、味方を守れ」

「あの女、オーシアの周波数を使ってた。暗号化された軍用回線だぞ!」

「そんな報告はあとでいい、作戦に集中しろ」

「くっ……ウィルコ」

「ウィルコ、ドレイク隊と合流する」

「フッ、それでいい!」

 

 素直に従ったと思い込んだクレメンスが満足げに鼻を鳴らした。

 もう呆れてツッコむ気力すらない。

 

「更なる敵機を確認、方位270。またフルバックだ。更に潜水艦の周囲に地対艦攻撃部隊も確認した、排除せよ」

「了解! ストライダー隊、弾はまだ残ってるか?」

「お前よりは残ってるよ、まだ一暴れ出来るぜ」

「敵増援は来てるが、際限なく沸いて来るわけがねえ」

「そうだな、確実に敵の数は減っている!」

「ああ、希望が見えてきた。引き続き作戦を続行するんだ」

「了解、ドレイク隊は地対艦部隊をやる」

「任せます。ストライダー、フルバックをやるぞ。電子戦機の妨害はない。手こずるなよ」

 

 編隊を組み直して旋回。

 フルバック4機が見えた。こっちに気づいてバラけたようだが。こっちも4機居る。更に不運なことにエンチャンターがまだこちらに居る。

 結果は正に火を見るより明らか。放たれた高速化ミサイルがフルバック4機を花火に変えた。

 

「艦隊に接近中のSu-34を味方機が撃墜! 助かりました!」

「こちらドレイク1、敵地対艦部隊の撃破を確認。エンチャンターの支援に感謝する」

「艦長、空戦部隊が敵を抑えてくれています。我が艦隊の脱落は認められません」

「ああ、部下を死なせずに済むかもしれん。我々もその働きに応えてやらねばな」

「了解、陣形崩すな。アリコーンは目の前だ」

 

 いやー早いねぇ撃滅速度が。

 地対艦部隊はエンチャンター込みのドレイク隊8機がまたたく間に更地にしたようだ。

 まったく敵からしたら悪夢以外の何物でもないだろうな。

 

『味方の戦闘機がもうこんなに……』

『嘘だろ! 空を埋め尽くした俺たちの空戦部隊が! くそ、3本線め!!』

「電子支援、破格だな。普通のミサイルの感覚忘れそうだぜ……」

「ああ、毎回欲しいぐらいだ。うちの基地に常備出来ないもんかね」

 

 逆に言えば経験が浅い部隊でも一線級の活躍が出来るというわけだ。

 それにしても、こんないつ落とされてもおかしくなかった激戦区に来てくれたエンチャンターたちには頭が上がらないよ。

 

「遠目から見えてたけど、近くで見るとなおさらデカさがわかるな」

 

 アルティーリョ港のくぼみに収まっているアリコーンの黒い船体。

 潜水艦でありながら空母であることを示すカタパルトライン、それに加えてレールガンや多数のVLSを備えたアリコーンは正しく今までの常識をひっくり返す超兵器だろう。

 

 少し前に起こったエメリアとエストバキアとの戦争ではアイガイオンというベルカ戦争のフレスベルクに空母の戦闘機離着陸機能を施した重巡航管制機が出ていたらしい。

 いったいこの世界の兵器体制は何処まで行っちゃうのやら。次は超巨大な移動拠点戦車でも出てくるのではないか? 

 それともアーセナルバードが量産されることもあるのか、恐ろしいことだ。

 

 しかしアリコーンはなんで今も沈黙してるのか。

 今頃中で必死に出航態勢を整えて大慌てなのだろうか。

 俺たちが攻撃しようと思えば直ぐにミサイルの雨を降り注がせられるのに、だ。

 アリコーンは見るからに硬そうだが、潜水艦というのはデリケートなもののはず。致命的な損傷を負えば潜水は不可能になる。

 

「不気味だな……」

 

 ミスターXとは違う。得体の知れなさ。

 2年間を海底で生き延びた傑物たちが潜むそれは俺には巨大な宇宙船のような不透明さを感じていた。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「艦長。発艦準備完了。彼らは命をかけて荷物を運ぶ覚悟だと」

「美しい……!」

 

 副長代理の言葉にトーレスは思わず笑みを深くする。

 それは正しく歓喜。腹の底から浮上する喜びだ。

 

「艦長?」

「分からんか。これから無慈悲に奪われる100万の命。その鎮魂に何人の生贄が必要だと思う?」

 

 これから発艦する同胞はまさしく決死隊。

 生存を考えない、正に捧げられる供物だ。

 全てはこれから始まる救済の序章。ここに居るものはその救済に全てを捧げるのだ。命さえも。

 

「素敵ではないか……!」

 

 潜水艦の赤色照明に照らされた彼の顔は熱に浮かされているようだ。

 まるで太古のドラキュラが極上の血を啜る瞬間、見るものが見れば恐怖する恍惚とした笑顔だった。

 

「スーパーキャパシタへの蓄電完了」

「よし!」

「主砲目標よーし。射撃用意よーし」

 

 彼の狂気に呼応するようにアリコーンの原子炉が唸りを上げる。実際は静音なのだが、彼らクルーにはその産声が聞こえるのだ。

 

「艦長、エルジア司令部より入電です」

「繋げ」

「アリコーンに告ぐ! 敵揚陸艦の接近を阻止できない! 貴艦はいますぐ自沈せよ!」

「愚かな……」

 

 冷水を浴びせられるとはこのことだ。

 静かな怒りを滲ませるそれは彼を繋ぐ最後の鎖が切れた瞬間であった。

 

「本艦は現時刻をもって、エルジア軍より離脱する!」

「何を言ってる!?」

「やはり分からんか……」

 

 なればこそ未練もない。

 さあ奏でよう、救済の凱歌を。

 

 翼を携えた一角獣が、いま目を覚ました。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「こいつは驚きだ。相当な戦果が上がっている」

「一番撃墜したの誰だよ」

「トリガーの33機だ」

「わおっマジか!」

「いよし! 派手にやってくれたなトリガー!」

「はいはい知ってた知ってた」

「拗ねるなよカウント」

「やっぱお前はすげえなトリガー!!」

「なまってるどころか更に先鋭化されてない? ここまでくると怖いわね」

「流石だな我が友よ! 私では逆立ちしても追いつけそうにない」

 

 よせよせそんな褒めるなよ。

 とはいえこれは大戦果だな。俺以外も相当落としてたし、散発的に来る増援も残さず平らげた。エルジアの航空戦力は大打撃を被ったことだろう。ただでさえパイロット不足なのにこれはエルジア涙目。これはますます無人機購入しないとヤバいかもなぁ? 

 

「ロングキャスターからパフィン。敵の攻撃が弱まった。航空優勢も取れつつある」

「パフィン了解!  鹵獲作戦に移行する!」

「あとはおまかせします艦長。これでやっとソーセージロールが食える」

「フフッ。そんなものを食べてるのか?」

「ええ。仕事柄、フィンガーフードじゃないと仕事に支障がでますので」

「そういう意味じゃねえ」

「マジで機内に食い物持ってきてんのかよ」

「いつもは作戦中に栄養補給してるんだけどな」

「パネェ」

 

 うん、パネェよね。

 AWACS機の中に似つかわしくない小型冷蔵庫を発見した時は幻覚かと思ったもの。

 

「フン、ずいぶん手こずったな。私は退席する、あとの指揮は任せる」

「フゥ……よくやってくれた」

「ありがとうワイズマン。その言葉がいま凄い染みてるよ……てか聞き間違いじゃなければ准将退出したの?」

「ああ、足早に部屋を出てったよ」

「……はぁーー」

 

 これみよがしにため息をするが許せよ。

 居ても居なくても変わらないけど、作戦が終了していないのに指揮官が居なくなるってどうなの? 

 仮にも軍人だよな。飾りかその階級……

 

 さて、最後にアリコーンの姿でも見てやるかね……

 

『両舷前進微速』

「ん?」

 

 なんだ? アリコーン周辺の波が……

 

「……間違いないのか? 揚陸艦パフィンより作戦参加中の各部隊! 敵潜水艦、移動開始!」

『撃ち方はじめ!』

『主砲撃ち方はじめ!』

 

 アリコーンの両側から白い何かが……マジかよ!! 

 

「方位180! 速度5ノット! 艦上の戦闘機に発艦の動きが」

「パフィン! 回避しろ! 敵のレールガンが狙って……あぁ!」

 

 アリコーンから2本の線が飛び、パフィン含めた中央3隻を貫いた。

 続いて対艦ミサイルが正確に両翼の艦体を狙い撃ちした。

 

「アリコーンが動きやがった! パフィンがっ!」

「アリコーンからの砲撃! レールガンです! 揚陸艦炎上中! これは……沈みます!」

「なんてことだ!」

 

 さっきまでほぼ無傷だった揚陸艦隊が傾いていく。

 アリコーンは船とは思えない速度で港を出た。そして特徴的なカタパルトには尾翼と翼端を赤く塗った黒色のラファールМが4機……

 

「艦載機の発艦を確認! 機数4! 内1機が巡航ミサイルを搭載している模様!」

「なんだって!?」

「何があった!?」

「アリコーンが出たぞ!」

「どうする!? 攻撃するのか!? どっちだよ!」

 

 あまりの急展開に指揮系統が混乱した。

 肝心の司令官は……クソっ! さっき出てったよクソが!! 

 

 ラファールは方位040方面に飛んでいく。

 潜水艦の防衛じゃないのか!? 

 

「聞け! その1機を撃墜しろ! 急げトリガー!」

「繋いで、聞こえます? デイビッド・ノースです! 巡航ミサイルは大量破壊兵器の可能性ありです! 敵編隊の方向には街があります!」

「くそっ!」

「おい! 潜水艦はほっといていいのか!?」

「それより味方艦だ!」

「逃がすな! 撃墜するんだ!」

「クソったれがぁっ!!」

 

 今まで聞いたことのないワイズマンの声を背にバシンとスロットルをぶっ叩き、F-15 S/MTDが苛立ちと共に火が入った。

 こちらに来るF-22AやF-35Cを無視し真っ直ぐラファールの方へ。途中視界を遮る雲を払い除けてラファールに猛追する。

 

『ベント開け。バラストタンク全注水! 潜行後、両舷前進最大船速!!』

「敵潜水艦、潜行開始」

「バケモノが海に放たれちまう……」

「トリガーが追いついた!」

「逃がすなトリガー!」

「待ちやがれコラァ!」

 

 もう何がなんだかわからん! 

 特殊兵装は全部使い切った、ミサイルも残り少ない。くそっ、イライラする! 

 

「艦載機離脱まであと2万メートル」

「FOX2! ああっ! フレア炊きやがってクソが!!」

「……傾聴せよ」

「な、なんだ!?」

 

 通信に歳のいった男の声が流れ込んできた。

 割り込んだ男の声は厳かな雰囲気で演説を述べていく。

 

「我が艦は。この醜怪な戦争を、エレガントかつ、最終的に終わらせる能力を持っている」

「まさかこれ、アリコーンから流れてるのか!?」

「我々が行うのは戦闘ではない。均衡の回復であり、裁きである」

 

 エレガント? 裁き? 何を言ってるんだこいつは! 

 得体の知れなさが身体を掻きむしるなか、ミサイルをロック。ファイア! 

 

「艦長……!」

「1機やった!」

「こいつら無線をオープンにしてる!?」

「それは徹底して合理的に行われる……この先、我々が奪う命の数に世界は驚愕するだろう……そして、自ら武器を置くだろう……1000万人を殺すはずだった武器を……」

「声から狂った人間の臭いがする」

「……気持ち悪いっ」

「トリガー大丈夫か!? しっかりしろ! 速く飛ぶのはお前の得意分野だろうが!」

「わかっている!」

 

 フーシェンの言う通り、声だけなのに身も毛もよだつ不快さと悪臭を感じた。

 まるで海の底からこちらを覗き込み、大口をあける怪物のような声が。

 

「私は勇敢で誇り高く。理想に準じる戦士であることをここに誓う……」

「ぶつくさ喋ってんじゃねえ!」

「救済を……!」

「1機撃墜!」

「墜とし続けろ!」

「こいつら回避行動を取らない!」

「盾だ! 狂ってる!」

 

 ストーンヘンジに特攻をかまそうとしたフードルとは違う。

 何が違うのかはわからないが。こいつらはそれとは違うと断言が出来る!! 

 

「こちらエンチャンター! 支援行動に入る! ぶっぱなせストライダー1!」

「ラストだ! これで死ねっ!!」

 

 1機ずつ狙った最後のミサイル2発。エンチャンターによって高速となったミサイルは1機を撃墜し、2発目はあろうことか炎を噴き出しながら敵機が庇った。

 恐怖を感じた。ミスターXとは違う。何か強い思念に引っ張られた、狂気の具現。

 

「艦載機離脱まであと五千メートル!」

「くそ! ミサイルが切れた!」

「急げトリガー! お前のほうが速いはずだ」

「やらせねえ! あれは今ここで落とさなきゃ駄目だ!」

 

 ある種の強迫観念に襲われながら最後のラファールМを追いかける。

 未だ回避軌道を取らずに猛進するラファールのド真ん中にレティクルを合わせ、引き金を引く! 

 渾身、ド真ん中ドンピシャで放たれた機銃がラファールのエンジンをズタボロにし、いくつかが巡航ミサイルに弾痕に刻んだ。

 

「よしっ!」

「救済をっ……!」

 

 ラファールパイロットの断末魔をかき消すようにアルティーリョ港の端で花火が上がった。

 

「ターゲットの破壊を確認!!」

「はぁ……はぁ……はぁーーー」

「敵航空機部隊も撤退を始めた。戦闘は終了だ」

「ああ……だが……」

「アリコーンは逃げた。揚陸艦隊も全滅だ」

 

 ミッションは失敗。失敗も大失敗だ。

 アリコーン、ここまでの化け物だったとは。

 

「全機、帰還しろ。次は必ず来る。いまは機を伺うしかない」

「そう、だな。ストライダー隊、RTB。ここでの雪辱は次に果たすとしよう」

「気を落とすなよトリガー。敵の航空戦力に大打撃を与えたのは確かなんだ。悪いことばかりじゃねえよ」

「……それだけじゃないんだ」

 

 アリコーンを逃がした。それは事実。

 

 だがそれ以上に、あの艦長を逃がしたというのが胸に重くのしかかってしまっていた。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「プレゼンターが3本線に撃墜されたようです」

 

 彼らは捨て駒。アリコーンの注意を逸らし脱出するための供物。

 だがそれでも死んでよかった命ではない。それでも副長代理は淡々と報告する。それが彼の責務だったからだ。

 

「汚しやがって……」

 

 トーレスの声は震えていた。

 悲しみではなく明確な怒り。アームレストに握られた手には血管が浮かびに浮かんでいた。

 

「艦長?」

「わからんか。奴は土足で上がりやがった!! 真っ白なシーツで完っ璧に整えた! 俺のベッドの上にっ!! ハー、ハー、ハーー…………フーー」

 

 怒りに満ちた表情。一息、また一息と息を吐くと。いつもの自信に満ちた笑みを浮かべていた。

 

「奴に次の計画を手伝わせよう。100万人を殺す計画の余興としてはおもしろい………いや、1000万人を救済する計画だったな。副長代理?」

 

 艦長の笑みに、呆気に取られていた副長代理は薄く笑みを返した。

 この艦のサブマリナーは等しく狂っている。

 これはまだほんの始まりに過ぎない。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

 ドレイク隊の面々とわかれ、ストライダー隊はニューアローズ基地に帰還を果たした。

 

 なにはともあれミッションは失敗だ。

 あれだけ食って掛かって心象も最悪なんだ。これからどんな嫌味やお小言を食らうかと思うと憂鬱で仕方ない。

 それでも俺たちは軍人、作戦失敗のそしりは甘んじて受けよう。

 

「作戦は完了。次の指示を伝達するまで待機せよ」

 

 と思ったらマッキンゼイ顔負けの超短縮デブリーフィングだ! 

 あれー!? 今回結構シャレにならない失敗したと思うんだけど。

 

「待ってくれ。あのコウモリ野郎どもは何者なんだ!? なぜトリガーを狙う? やつらオーシアの周波数を使ったぞ。味方機だってのか?」

「ありえん。IFFの返答はなかった。それとも、フン、個人的な恨みでも買ったか? 戦場で味方から背中を撃たれる話ならよくある」

「前いたところじゃあったかもしれねえがな……なあトリガー」

 

 カウントの顔が目に見えて暗い。

 仲間を後ろから撃ったのだから思うところはあるだろう。

 

 しかしなんだろうね、ほんと。

 ここで俺が喋るのは吉が凶か。なやんでいると我らのホームズが口を開いた

 

「みなさん、問題です」

「もういい、回線を切れ」

「ちょっと待って切らないで! なぜ彼らは、我々が大量破壊兵器の情報を掴んでいると知っていたのでしょう? 知っていないとあの手は取れない」

 

 確かに、あの時のラファールは正に囮だ。

 アリコーンから注意を逸らし、判断を迷わせる一手。しかも彼らは自分の死すら何とも思わない狂人の類い。

 あの大量破壊兵器が本格的に発動すれば街に大惨事をもたらした、だがそれは俺たちが知っていたからアリコーンより優先できたということが大前提だ。

 

「スパイ……」

「おいスカルド、滅多なことで言うもんじゃ」

「いえ、恐らく正解です。少なくとも、敵がこちらの手の内を読んでると仮定する必要があります」

「フンッ。猜疑心が強いのは良いことだ。私は退席させて貰う」

「一つ宜しいでしょうか、クレメンス准将。なぜ貴方は作戦途中で席を外したのですか。アリコーンがパフィンを攻撃した時に貴方が入れば、混乱を抑えることも出来た可能性も」

「作戦失敗の一因である君が将官である私を咎める権利も資格もない。失礼させて貰う、君たちのようなパイロットと違って私は忙しいのでね」

 

 室内の空気を物ともせずクレメンスは気兼ねなく部屋を後にした。

 彼が出て少し時間を置いたのち部屋を閉め切って背を預ける。

 

「……とりあえずここに居る者を代表して一言言わせてもらう……あいつ隠す気あるのか?」

 

 全員が全員同意するかのように小さく息を吐き、ある者は舌を打つ。

 

 ドレイク隊から聞いた話だが。作戦時間は予定通り俺たちの5分後で間違いはなかったらしい。

 作戦領域に向かう途中で俺たちの作戦開始を耳にし、慌てて速度を上げてかっ飛ばしたのだと。

 

「准将は5分ぐらい耐えられず何がエース部隊か、などと言っていたよ」

「ふざけてるのか!?」

「ふざけてるんだろうさ。戦争の結果を左右する重要な作戦だって自分で言っておきながらこれだ。これがふざけてないでなんだって言うんだ」

「マジでトリガーが居なかったらヤバかった」

「あのあと俺とイェーガーが直ぐに向かうべきだって言ったんだ。まあ間に合わねえって却下されたけどよ」

「その気持ちだけで嬉しいよ」

 

 そして極めつけはあのSu-47のコウモリ部隊。

 敵でも味方でもない奴らは様々な手品を使って俺を殺そうとしていた。

 明らかな敵意。明らかな殺意をもって。

 

「なんかよ、ダズル迷彩だったりホログラムだったり。トリガーの目の良さを知ってるみてえだったな」

「てか名指しで次は殺してやる3本線って言ってたよなあの女。確定だろ」

「ついにトリガーも殺し屋リスト入りって訳だな。感想は?」

「空で来るだけマシだなって」

 

 同じ土俵で来るわけだし。

 地上だったら通りがかりにグサーやズドンだったり毒でやられる可能性すらある。

 また来るのならば是非もなし。逆にチビる暇もないぐらい焼却してやる。

 

「コウモリの目星はついてるのかクイズ王」

「いえそれがまだ。Su-47にあれほどの電子戦装備を組み込める部隊なんてそうそう無い筈なんですが……所属もエルジアかどうかわからない以上、探す範囲が広くて。何か証拠とか特徴があれば」

「PE、GR032」

「あん?」

「コウモリ野郎のテールコードの番号。これで所属分かりそう?」

「………え? ちょっと待って下さい、パーマー中尉。テールコード? いまテールコード言いました? 見たのですか、いや見れたのですか?」

「ああ。追い回してる時に目に入ったんだ。間違いないよ」

 

 ちなみにPEは所属基地、その下が部隊番号だ。

 俺としてはさっぱりだが、分かる人には分かる

 

「中尉の目の良さは資料で見ましたが。まさかここまでとは。いやはや、脱帽ですね」

「トリガーが敵じゃなくてよかったぜ」

「とにかくこれさえ分かれば絞れる範囲もぐっと狭まります! ありがとうございます中尉」

「しかし、もしあのSu-47が敵ではなくオーシア。もっと狭めればクレメンスが仕向けたとして、その理由はなんだ? トリガーを殺してなんのメリットがある」

「いつもの英雄アレルギーだろ。オーシアってばそういうの得意だから」

 

 まあそれだけじゃないだろうけど。

 やれやれ、ベルカの血は濃いなぁ。特に俺は純度バリ高だからな。

 

「さっきのトリガーじゃないが。奴はバレると思ってない、というよりバレても俺たちには何も出来ないと思ってる。やたら自分の地位を誇示してるのがまさにそれだな」

「権力ってやつか。腐ってやがる!」

「オーシアの高官ってあんなもんよ。一部除いて」

「問題はその権力が害意向けて来てるってことだろ」

 

 はぁ。ついに俺だけじゃなくこの部隊も腐れオーシアの餌食になったか。

 出る杭は打たれるのが常とはいえほんとマジF言葉F言葉。

 

「とはいえ、だ。これで泣き寝入りするほどニューアローズ基地はやわじゃないだろ、ワイズマン」

「その通りだ。奴が権力を盾にトリガーや俺たちを害するならば。こちらも権力を武器に使うまでさ」

「ワイズマンの目が怖いぜ」

「当たり前だ。せっかくヘッドハンティングしてきたお前らを手前勝手な理由で排斥されてたまるか」

 

 ワイズマンもご立腹だ。

 怒らせちゃいけない人を怒らせてしまったクレメンスの明日はどっちだ。

 

「クレメンスはそれでよしとして。最後にあの艦長だな。トリガー、さっきお前気持ち悪いとか言ってたが。あれどういう意味だ」

「いや、単純に声から得体のしれない何かを感じちまってな。フーシェンの言葉を借りるなら狂った人間の声がしたんだ……それと、みんなOBCニュースのベルカ戦争のスキャンダル覚えてるか?」

「知らねえやつなんかいねえだろ。ベルカ戦争の闇が白日に晒された大スキャンダルだ」

「それがどうかしたのか?」

「何処か似てたんだよ。あの声色というか、雰囲気が」

「何に」

「………ジョシュア・ブリストー」

 

 重々しく出てきた名前に全員が息を飲んだ。

 

 ジョシュア・ブリストー。

 国境なき世界のリーダー。かつて新型核兵器を使い、国境線を消し去る為に各国首都を核攻撃しようとした狂気の英雄。

 

 その男とアリコーンの艦長が似ている。

 俺たちはその答えを時間を置かずに知ることになる。

 オーシア首都、オーレッド滅亡の危機と共に。

 

 





 どうも。自宅療養中。家のご飯は美味い。作者のブレイブです。
 詳しいことは活動報告に上げてますが。短期入院していました。いやほんと家のご飯、そして静かに寝れるの最高ですね。

 さてSP1終了でごさいます。
 先ずはミミックですが。少し改造しました。
 いや原点だと目眩ましが目眩まししてなかったのでほんま。環太平洋戦争技術をお借りしました。実際ホログラムの精度上がってるかもですね。

 海のブルートゥことマティアス・トーレス艦長。どうでしたかね、上手く彼の狂気度を出せたらと思ったのですが。まあ本番はSP3ですかね。頑張ります。

 次回、SP2からスタート!3話で収めたいが果たしてどうなるかな。お楽しみに



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