エースコンバット7 FLIGHT REZON   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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STAGE57【Domino(謀略と戦略)

 

 

 

 

「申し訳ございませんシェパード中将。F-22Aの納入を阻止出来ませんでした」

 

 ニューアローズ基地に設けられた自室にて自身の上司からの連絡を受けたクレメンスは開口一番に謝罪の言葉を口にする。

 トリガーの新機体の納入遅延、その犯人はクレメンスだった。日々日々戦力を増すトリガーとエドワード副議長麾下であるニューアローズ基地の増強阻止。そしてフリューゲルの遺児である彼にF-22Aを与えない為に。

 

『あれ以上は止められん。むしろここまで遅らせられたことは評価に値する』

「ありがとうございます」

 

 シェパードの言葉を脳髄に刻みつけながらクレメンスは安堵し、首を擦った。首が繋がっていることを確かめる為に。

 

 ハワード・クレメンスはエースパイロットを嫌悪していた。エースというものは増長する、増長したパイロットは例外なく軍の意思を逸脱する。彼は軍の意向に従わぬ者を人とは思わなかった。

 ちなみに彼の言う軍の意向というのは語るべくもなくお察しの腐敗したものであるということを明記しておく。

 

 国に必要なのは突出した武力ではない。イレギュラーは必要ない。特異点など必要ない。

 全ては歯車をより良く動かすための駒に過ぎない。兵士など国の後ろ盾がなければ何もできない烏合の衆。替えなど幾らでもいる消耗品に過ぎない。

 我々はその駒を効率よく使い、適切に消費することで成果を出す。

 

 クレメンスは上司の命令のもと、出る杭をひたすら打ち付けてきた。方法や過程など些細なこと、オーシアという国を運用する為ならなんでもする。全ては結果の為、結果こそ全てだ。

 それがハワード・クレメンス准将という歯車の役割だ。

 

 ハワード・クレメンスの人生は正に絵に描いたようなエリート街道であった。

 エリートとして実績を重ね、エリートとして邪魔者を排除し、エリートとして上官の期待に応えてみせる。

 将官という地位でありながら更なる上官からの指示に従うことに思うところがないわけではないが、軍において個人の意思は不要。

 自身は替えの効かない歯車。盤上の駒を動かすプレイヤーであり管理者なのだ。

 

『だが我々の中に3本線の暗殺を保留にする動きが出ている。私の意向は理解しているな?』

「手筈は整えております。ドミノ作戦では必ずや3本線を排除致しましょう」

『期待するとしよう』

 

 自身は替えが効かない歯車。

 そうであるべき存在。矮小十羽の兵隊とは違うエリート……

 

「F-22Aラプターだやったぁぁぁぁああああ!!」

「………」

『我が国の英雄殿は随分と元気なのだな』

「度し難いことです。あれで軍人を名乗るとは」

『だが腕は確かだ。だからこそ厄介なのだがな』

「ええ。ベルカの、ましてやフリューゲルの血統がオーシアのエースを気取るなどあってはなりません」

 

 当時デトレフ・フレイジャー率いるロト隊と共にベルカ公国の広告塔として有名だったフリューゲル隊。国を越えて人気を博する彼らだったが、オーシア上層部にとっては不倶戴天の怨敵だ。

 ベルカ戦争においてかの円卓の鬼神とは別方面から攻め込んでいたオーシア軍は何度も何度もフリューゲル隊に邪魔をされた。もしフリューゲル隊の活躍がなければベルカはまたたく間にオーシア・ユークトバニアの2大大国によって攻め落とされていたことだろう。

 

 アレクセイ・フォン・フリューゲルの息子であるリヒト・パーマーが戦争の英雄であることを【部屋】のメンバーは望まない。

 だからこそ彼とF-22Aの組み合わせを作らないよう様々な遅延妨害をこしらえてきたのだ。

 

『彼はF-22Aに乗るようだな。フリューゲルの遺児がF-22と共に散る。これ以上の皮肉はない』

「その通りです。慣熟なしでアンカーヘッドを落とすと抜かす若造です。そろそろ夢現に浮かされた青二才の目を覚ませてあげます」

 

 クレメンスはトリガーの失策を確信している。

 だが同時に彼は自身の失策を見落としている。

 

 リヒト・フォン・フリューゲルはただの腕の良いパイロットではないということを。

 今までの戦果を見て彼が普通じゃないことなど火を見るより明らかだ。彼を色眼鏡で見てる時点で、誰が夢現に囚われているか気づかない時点でクレメンスが進む道を決まっていた。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「いやー。ほんとに良い機体だわF-22A ラプター。F-15 S/MTDに勝るとも劣らないぜ」

「マジで給油前に慣熟終えたのかトリガー」

「驚かないぞ。数時間で慣熟飛行終わってぶっつけ本番で飛べる元ルーキーが居ても私は驚かないぞ」

「ハハハ」

「いやシミュレーションは結構やってたから。まったくノータッチじゃないから」

「「「ダウト」」」

「ダウトすな!」

 

 だとしても短すぎだって? 

 知ってるよそんなことぁ! でも俺はこれを4回もやってんだよ! ラファールに限っちゃ触りしかシミュしてなかったんだぞ! 

 とっくに俺はおかしい奴って知ってるんだよ自覚してるだけええやろがい!! 

 

 作戦領域手前でハイライトを無くした者が2名

 とっくにその道を通って空笑いをする者が1名。

 下ろし立てのステルス機にワクワクしたりヤケっぱちで百面相する小隊長が1名。

 こんな4名に落とされるであろうアンカーヘッドのエルジア兵には静かに哀悼の意を評したい。

 

 ストライダー隊4機は高度50メートルで進み、海面に線を引きながら目標に向かっていた。

 

「水面に手が届きそうだぜ」

「間違って転けるなよ」

「お前に言われたくねえな」

「フッ。では作戦の確認だ。爆装した俺とカウントが北部アンカー港のイージスアショアと艦船を徹底的に叩く。その間にランツァとフーシェンは南部ダキアーク港を攻撃しろ。なお南部のイージスアショアの破壊が理想だが、それは努力目標とする」

「俺たちは対空装備だからだな」

「その通りだ。対地対艦攻撃終了後に俺とカウントは補給。再度爆装しダキアーク港に合流する」

 

 今回はスペア時代のアルティーリョ港以上の花火大会になりそうだ。

 三方向に設置された潤沢な補給線。ここまで贅沢な作戦は今までにないだろう。それほどアンカーヘッドの重要性と戦力密度の高さがうかがえる。

 

「ストライダー隊。現在アンカーヘッドには潜伏斥候が潜入している。通信には耳を通しておいてくれ」

「なんだよそれ?」

「アンカーヘッドには多数の急進派将校が居るらしい。混乱に乗じて逃げるかもしれないからその時は叩けって話さ」

「急進派将校を叩けば戦争終結の近道になるって訳か。なんでブリーフィングの時に言わなかったんだよ」

「情報の価値は機密性だ。偉いやつはどいつも逃げ足が速い。情報漏洩のリスクは可能な限り消したほうが良い」

「要するに政治的な理由だ。前みたいに護衛を気にする必要がない分気が楽だろ」

「トリガーもいっぱしのお偉いさんだな。政を考えるようになるとは」

 

 小隊長だからな。こうもなるさ。

 それに俺たちがこれから仕留めに行く急進派将校は軍人ではあるが非武装の人間だ。

 案外、覚悟が決まってないのかもしれんな。

 

「こちらストライダー1。まもなく戦闘領域に突入」

「高度制限解除! 作戦開始!」

「今回はビュッフェスタイルのパーティだ。反撃体制が整う前に好きな皿を取れ!」

「了解! 食いまくってやる!」

「今回の料金はエルジア政府持ちだ。補給線もオーシア政府が持ってくれる!」

「人の金で食う飯ほど美味いものはないぜ!」

「その通りだ。ではパイロット諸君、派手に行こう!」

「「「ウィルコ!」」」

 

 作戦通り俺のF-22AとカウントのF-15 S/MTDは北部アンカー港へ。

 目に映るのは巡洋艦や駆逐艦、そしてフリゲート艦やミサイル艦。選り取り見取りではあるが俺たちの目当てはそれではない。

 

 カウントのF-15 S/MTDにはスナイダーズトップで猛威を振るったFAEBこと気化爆弾が搭載されている。

 狙うはハリネズミの対空ユニット群! 

 

「イージスアショア確認! 食っちまえカウント!」

「了解! 行けよオラァ!!」

 

 直後、北部イージスアショアが紅蓮の炎に包まれた。本来迎撃用として過剰なほど映えているAAGUNやSAMは爆風により薙ぎ倒され、残るは堅牢なイージスシステム搭載のコントロールユニットのみ。

 間髪入れずにミサイル発射、更に今期初お披露目。投下型誘導爆弾、XSDBを連続発射。頑強なイージスアショアは役目を発揮することなく瓦礫の山と成り果てた。

 

「対空防衛システムを稼働前に破壊した! いいぞ これであとが楽になる」

「ヒューー! 爽快だな! 気に入ったぜ気化爆弾!」

『至急至急! ボギー4を探知! 到達まで2分!』

『すでに到達してる! イージスアショアが一瞬で消滅した! 奴らどんな魔法を使いやがった!?』

『起動前にやられただと!? 何のための対空防衛システムだ!』

『攻撃はどこからだ!』

 

 防衛の要であるイージスアショアが瞬きの内に消えたことでアンカーヘッド防衛隊は途端に足並みを乱れさせた。

 

「いいぞトリガー! 敵の動きはまだねえ」

「高級料理を狙っていけよ! マナーは気にするな!」

「そんなもん気にしたことねえ!」

「よし、南部攻撃開始! 前回は留守番だったからな! なまった体にゃピッタリのハイキングだ!」

 

 ランツァとフーシェンも始めたみたいだ。

 こっからたっぷりと連中にぶちこんでやる!! 

 

『クレメンス准将、3本線の件だが……今度こそ結果を出せるのかね?』

「お任せくださいシェパード中将。ドミノ作戦は順調です」

 

 おーおーそこにいるのかシェパード中将この野郎。

 俺をザップランドにぶち込んで始末した気になってたようだったが地獄からおまけを連れて帰ってきてやったぜ。

 

「カウント! こっから手分けして片っ端から艦を沈めるぞ。ここをバミューダトライアングルにしてやれ!!」

「ウィルコ! トリガー、美味いもんは俺が先にいただくからな!」

「生憎いい育ちしてないんでね。急がねえと俺が食っちまうぞ!」

 

 しかしドミノ作戦とはなかなか粋なネーミングじゃないか。

 クレメンスがつけた作戦名だが。アンカーヘッド襲撃というドミノで倒されていく先には俺の命がある。だが素人が並べたドミノは途中で止まるのが常。通りすがりの猫パンチの如くその流れを吹き飛ばしてやる。

 

「爆弾投下!」

 

 4発のXSDBが艦橋含めた敵武装を破壊。ミサイルと機銃をぶち込み黙らせる。

 

『ああ、ケトがやられた!』

『イージス艦ケトとの通信途絶! くそ! まだ動き出してもいないのに!』

『敵の誘導爆弾です! 一方的にやられますよ!』

「イージス艦ケトに攻撃命中! 撃沈!」

「大物を仕留めやがった!」

「抜け駆けしやがって! 次は俺がやる!  そらぁ!」

 

 またもアンカー港で花火が上がった。

 キャノピー越しやエンジン音越しにも響き渡る気化爆弾の爆炎がたちまち炎でイージス艦の艦体を破壊で塗りつぶす。そして丸裸となったイージス艦を潰すことなどフリゲート艦より容易い。

 

「イージス艦タラッサを撃沈した! これで敵防空能力が大きく低減したぞ! 続いて巡洋艦エリスを撃沈!」

『イージス艦が炎に飲み込まれた! 気化爆弾なのか!? 野蛮人どもめ!』

『ダメージコントロールのための最低兵員を残します!』

『駄目だ総員退艦だ! くそ、艦長から預かった艦が!』

『早く艦を出せ! これじゃ狙い撃ちだ!』

「綺麗に並んでやがるなぁ。ちょっと荒らさせて貰うぜ」

『艦対空ミサイル攻撃始め! 敵は勝ったと思ってる! その隙をつけ!』

『カウンターパンチだ! やるぞ!』

『3本線らしきF-15 S/MTDを捕捉。砲撃開始!』

「敵もやっと起きたようだ。艦対空ミサイルに注意しろ!」

「さっそく来たぞぉ!!」

 

 艦対空ミサイルは誘導率が鬼ヤバい。

 撃たれたら死ぬ気で逃げ回るかフレアで逸らすしかない。

 カウントが駆るF-15 S/MTDに集中砲火。やはり3本線はMTDって図式が出来てるようだ。

 案の定カウントに向かって排気煙の群れが凄いことになっている。

 

『敵は数機ですが、港湾施設、艦船ともに被害が広がっています!』

『上にそんな報告は出来ないぞ! 意地でも撃ち堕とせ!!』

「こちらストライダー3。こっちのイージスアショアが一足先に起きてたようだ。接近困難!」

「うおっ。UAVが一斉に孵化しやがった。空戦装備でよかったぜ」

「敵対空兵器群の抵抗も確認したが、もっと食って構わん。ただ料金は払うな」

「全機、少しでもやばかったら補給に行け。だが出し惜しみなんかするなよ! エリクサー病で落ちるなんてダサすぎるからな!」

「はいよ! 油断するなよお前ら! 帰還率100%だ!」

「ハハッ! ああ、必ず全員生きて帰る!」

 

 もいっちょ爆弾とミサイルで艦を叩き折る。

 気持ちいいねえ! 弾薬気にしないでぶっ放せる快感でアドレナリンがバンバン放出している。

 敵には気の毒だがこちとら食べ放題で来てるんだ! さて次はどいつだ! 

 

「こちらタッカー04。目標の乗ったヘリへの航空攻撃を要請する」

「こちらストライダー1。聞いていた潜伏斥候か?」

「その通りだ3本線殿。首を長くして待っていたぞ。目標、海軍作戦部副部長サミュエル・ブラン少将。座標を送る」

「全機、潜伏斥候からの情報をデータリンクした。目標を確認できる者は撃墜せよ」

「近いな」

 

 レーダーに従い機を滑らせると森の上を単独で飛んでいく機体が見えた。

 護衛もなしとはずば抜けた度胸の持ち主か、それともそれほど慌てふためいているのか。

 

「……オスプレイか」

 

 逃げ出した少将が乗っているのはMV-22 オスプレイ。かつて軌道エレベーターから逃げたハーリング元大統領が乗っていたのと同じ機種だ。

 

 舌が渇き、ギュッと胸を締め付けられるような痛みが滲み出てきた。

 やれやれ。無実が証明された今となってもどうやらトラウマは深々と刻みつけられているらしい。

 

「ストライダー1よりタッカー04。ターゲットの少将は急進派で間違いないな?」

「そうだ。彼はエルジアの数少ない歴戦の急進派将校の一人だ。モスボール寸前の艦を巻き込んで総動員させたのも彼の指示だ」

「了解、これより撃墜する」

 

 敵は戦争を引き起こした急進派。倒すべき敵だ。

 まったく、何を躊躇ってるんだトリガー。あれにはハーリング元大統領は乗っていない。

 今は亡き彼の為にも、一刻も早く戦争を終わらせるんだ! 

 

「ロックオン、FOX2!」

 

 引き金を引き、放たれたミサイルは真っ直ぐオスプレイに向かう。ヘリごときの機動力ではミサイルを回避することなど出来ず、あっけなく爆発四散。中に乗っていた将官は灰と化した。

 

「目標の撃墜を確認。サミュエル・プランの死で、エルジアの海軍戦略は切れ味を失うだろう」

「情報感謝する。引き続き頼む」

「了解だ。現在アンカーヘッドは混乱状態にある。更に混乱を起こせば巣穴から大物が出る筈だ。幸運を祈る」

「了解した」

「トリガー、大丈夫か?」

「ああ。やってみたらなんてことない。心配してくれたのか相棒」

「まあな。お前が本調子じゃないとこっちの仕事が増えるからな」

 

 まったく素直じゃない。

 俺も柄にもなく相棒呼ばわりしちまった。

 

 よし、切り替えてけトリガー! まだまだメニューはあるぞ! 

 

『味方艦が半数が沈没、または航行不能です! 誰かあの空のやつをなんとかしてくれ!』

『動けない艦は対空戦等に集中!』

『被害状況は不明ですが6割、いや半分かもしれません!』

『信じられん! 鉄屑で港を埋め立てる気か!』

「トリガー、カウント。MIG-31が4機接近中! 迎撃部隊だ、足が速い! 方位310、高度2000」

「やっと航空部隊のお出ましか」

「少ないな。速力に任せて先行してきたのか?」

 

 押っ取り刀で来たのはUAVではなくMIG-31B。

 やはりエルジア支配領域の内側にはUAVスクランブルエリアはないらしい。元々はそれをカバーするために2機のアーセナルバード防空網を敷いていたが1機になった為それはないようだ。

 

『こちらフロッティ。後続の到着まで時間を稼ぐ』

『待て! 貴機らは対空兵装を積んでいない!』

『なぁに、機関砲の弾はたっぷりある!』

『敵には3本線のカナード翼付きのF-15が居るんだぞ! 無茶だ!』

『引く理由にはならないな。エンゲージ!』

 

 MIG-31Bが4機を視認。流石にマッハ4の変態は居ないらしい

 有効射程となるや敵機は機銃掃射。4機ともなれば相当な弾幕だ。敵はMIG-31らしく一撃離脱で攻撃してくる、だが……

 

「あのMIG-31、ミサイルを撃ってこないぞ」

「兵装を付け替えずにスクランブル発進したんだ」

「ミサイルが撃てねえつらさは知ってるぜ。だが手加減はしねえ」

 

 カウントは俺より早く懲罰部隊として爆撃機に対する欺瞞邀撃を行なっていた。

 俺は初出撃の一回だけだったが、俺が来る前のスペア隊はその名に違わず部隊の入れ替わりが激しかったという。

 空戦を好むカウントからすれば四肢を千切られる屈辱だったことだろう。

 

 敵編隊がバラけた。四方からこっちを搔き回すつもりだろう。目的は時間稼ぎか? ということはもうすぐ敵本隊が来るのか。

 

「カウント。こいつらをやったら補給だ。俺は残りの爆弾を落とす」

「了解。お前は俺のおこぼれでも食ってな! そら!」

 

 カウントのF-15 S/MTDのキレが増した。

 クィーンズ・カスタムを抜いたとはいえ、F-15Cとはダンチのピーキーさを見事乗りこなしている。

 

「FOX2!」

『ぐあっ!』

『フロッティ3! くそっ! やっぱりこいつ3本線なのか!?』

『F-22接近!』

「ミサイルなしじゃあな!」

 

 ヘッドオンミサイルの心配はないから思いっきり正面からミサイルをぶちかます。ついでに眼下のADタンクをXSDBで吹き飛ばす。

 

『フロッティ2! 応答しろフロッティ2!』

『畜生あのラプター! 俺たちを相手しながら地上部隊を!』

『……最悪だな。3本線はラプターの方だ』

『馬鹿な! イーグルも大した腕だぞ!』

『つまり自身の愛機を託せる相手と言うことだろう。総員覚悟を決めろ! ここを死に場所と心得ろ!』

 

 MIG-31Bの動きが更に速くなった。機銃のみでよくここまで戦意が持てる。

 しかし敵の狙いが足止めならば俺たちを自由にすることは望まない筈。

 

「カウント、俺は地上部隊に行く。追ってくる奴らを後ろから刺せ」

「油断して落ちるなよ」

「言ってろ!」

 

 アンカー港西側のビル群の地上部隊。ここには多数のタンクやSAM車両が点在している。さっきは艦に落としていたが、XSDBはこういう小さい敵にこそ効果を発揮する。

 道路に沿って飛行。面食らったであろう敵陸上部隊にFAEB4発、ミサイル2発、おまけに機銃をぶち込んでライン状に破壊を撒き散らす。

 

「トリガー! 後ろ行ったぞ!」

「はいよ! そらびっくり箱!」

 

 やはり好きにはさせて貰えないだろう。連中泡を食って追いかけてきた。だがビル群に入るために減速している。速くない狐狩りなどカモでしかない。

 SAM車両を全滅させたのち十八番の半回転背面撃ちで1機を破壊。そのまま急上昇し敵を釣り上げる。

 

『フロッティ3! な、なんだいまの曲芸は!』

『フロッティ4、後ろにイーグル!』

『しまっ』

「フィーッシュ!」

 

 MIG-31Bの3機目を破壊。残り1機。

 

『ミサイルなしだとしても、こんな短時間で一方的に……だが私とてエルジアのファイターパイロットだ!』

「まだやる気だぜこいつ」

「手負いだ、油断するなよ」

 

 更に速度を上げ、またたく間にトップスピードに。とことん時間稼ぎに徹するつもりか。

 西側の地上部隊は破壊した。

 後は北側を撫でながらコイツを落とす! 

 

『くそっ! ミサイルがないからって眼中にないってのか!』

「敵さん焦ってるぜ」

「もう少し焦らせ」

 

 XSDBはなくなったがまだ弾薬がある。使い切る前提でやるのは中々の爽快感だ。

 更にF-22Aの機動性に物を言わせて連続ハイGターン。曲がるのが苦手なMIG-31は敵機を捕らえられず、ただ陸戦部隊が破壊されるのを見るしかない。敵にとってこれ程屈辱的なことはないだろう。

 

『第2小隊との連絡が取れない!』

『奴らがやられたら、動ける部隊は半分以下だぞ!』

『くそっ! これ以上はやらせん!』

「そろそろだな」

「泳がせて焦らせる。悪どいねぇ小隊長」

 

 ミサイルなしで来るのが悪いのさ。

 気持ちは理解できるが、な! 

 

 更にハイGターン。今度はMIG-31Bの背後を取るように動く。しかし敵も取られたら終わることを分かっているからか必死に取らせないように動く。

 そうすると自然と正面を向く形になる。

 

「ヘッドオンだ。食らわせろ!」

『せめて片羽は持っていく!』

「焦らして悪いな。終わらせる!」

 

 チューンされたF-22Aもマッハ3間近まで速度を出す。マッハ3同士のヘッドオンはまたたく間に彼我の距離を縮めていく。

 機銃を撃ちながら接近するMIG-31Bにバレルロールで回避しながら一発、そして二発目を間隔を空けて撃ち出す。

 一発目回避、二発目ヒット。首の皮繋がった敵機。だがカウントがすかさず二の太刀で仕留めた。

 

『これまでか。だが少しでも時間を……』

 

 最後のMIG-31B撃墜。

 紛れもなく決死隊だった。これほどのパイロットがエルジアに居たとは。

 

「フォックスハウンドを全て墜としたぞ!」

「機関砲だけで俺たちの相手は無理だぜ」

「じきに後続が来る。ロングキャスター、これから北側の補給に入る」

「了解した、先方に伝えておく」

 

 まだメニューは残っている。

 たった4機だがこっちは選りすぐりの上にバックアップ完備。まだ腹八分目は行っていない。

 バイキングはこれからだ。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「中将、報告します。現在敵戦力の50%が行動不能」

「2番機も良くやっているが、それでも3本線の活躍が目覚ましいな。エースに頼らないという君の作戦だが……3本線は不要、そう言えなくては説得力はないぞ。何か手があるなら使う時だと思うが?」

「……承知しました」

 

 電話が切れるまで手の震えが伝わらないことを祈りながらクレメンスは目の前の結果に慄いていた。

 

 受領したばかりのF-22Aを手足のように操り、並み居る艦船を壊滅に追いやり。

 ミサイルなしとは言え敵戦闘機を子供をあしらうように片手間で撃墜せしめた。

 慣熟もろくに行っていない戦闘機で何故ああも動かせる、しまいには曲芸すらやってみせた。彼は本当に人間なのか。

 

(フリューゲルめ! 忌々しい奴!)

 

 内心で毒づくもそれは何の意味を持たない。 

 

 事態は間違いなく好転している。それとは対照的にクレメンスの精神は焦れていた。

 

 当初の作戦としてアンカーヘッドの防衛戦力で撃墜されれば御の字。仮に生き残ったとしても疲弊したところでSu-47の姉弟を差し向ける計画だった。

 アンカーヘッドはエルジアが誇る要塞都市。たった4機で落とせるほど甘くはない。アリコーンが立ち寄るという情報は正にクレメンスにとっては天啓だった。

 

 だか結果的に奇襲は成功し、アンカー港は2機の活躍によりほぼ壊滅状態。

 南部ダキアーク港も残る2機により抑えられており、程なく4機が集結し攻勢に出ることだろう。

 

 更に忌々しいのはF-22Aラプターを与えられたトリガーだ。今まで以上に翼を広げ、エルジア軍に破壊を撒き散らしている。

 まさに空飛ぶ厄災。これだからエースパイロットは予測ができない。

 

 それに加え異様なまでにお膳立てされた補給線だ。当初は補給線の設置は東側のみだった。だというのに北、東、南に設置されている。

 ニューアローズ基地勢力に先手を取られた、まさかここまで素早い対応をされるとは夢にも思っていなかった。

 

(マズい。このまま行けば、上層部の意思決定が傾いてしまうのでは)

 

 彼らの上司、エドワード参謀本部副議長も動いていると知らせがある。

 トリガーを謀殺するという結果が果たされればまだ活路はある。だがそのまえに上層部がトリガー暗殺を取り消してしまえば。奥の手である姉弟は切り札ではなく悪手となってしまう。

 

 なんとかしなければならない。

 姉弟を出すか? だが疲弊していない現状で出撃させても成果を期待できない。それにエルジアにとっての所属不明機である彼らが逆にアンカーヘッドの防空戦力に絡め取られる可能性すらある。

 

(いや、まだ敵の航空戦力は出てきていない。たまたま敵の奇襲で機能しない海上戦力を相手してるだけだ。敵の攻勢はこれからだ。まだチャンスはあるはずだ)

 

 この時クレメンスは未だに自身の過失に気づけずに居た。

 それどころか。順調な作戦進行とは対して焦りを露わにする彼を横目に見るワイズマンに気づいていない。

 着々と自身の足場を崩されていることすらも。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「こちらストライダー1。戦線に復帰する」

「おーおー。なんか静かになったなここらへんも」

「ああ。そのエリアから発せられる通信が静まった。場所を変えてみろ2人とも。向こうの会場にも美味い料理がありそうだ」

「南は確か造船所だっけ?」

「ここは複数の艦隊の母港になっている。エルシア海軍の心臓部ってところだ。フーシェンとランツァだけでは胃袋が足りないだろう」

「そういうことだ! トリガー、カウント。手を貸してくれ!」

「こっちには強い酒も置いてある。私たち2人じゃ飲みきれねえ!」

「んじゃ行くとするか!」

「俺酒あんま飲めねえんだよな。ハニーミルクあるかな」

「基地で用意しといてやる。サピン産の蜂蜜と一緒にな」

 

 そいつは頑張らないと行けませんねぇ! 

 労働のあとのハニーミルクほど美味いものはない! 

 

 対空防衛が過疎状態になったアンカー港を突っ切りダキアーク港に。空にはお久しぶりのUAV、MQ-99が飛び交っており。地上には多数の武装車両やタンクが散りばめられている。

 

「ランツァ、フーシェン。弾と体力はあるか」

「まだ余裕はあるぜ」

「あたしもまだ行ける!」

「よし、ストライダー1から全機。ダキアーク港の士気を挫く。敵イージス・アショアにカウントの気化爆弾を投下後、全機で総攻撃をかける。カウント、敵対空防御に注意しろ」

「オーライ」

 

 カウントが来る前にイージスの対空兵装をXSDBで露払いしていくがもう機銃の嵐にミサイル凄い

 うひー。こんな濃密な弾幕初めてだわ。

 

 カウント上昇。高高度からFAEBを投下。

 対地兵装、しかも無誘導なんてガラじゃないと言いつつも正確な投下軌道で特大の爆弾がイージスに着弾──する直前で爆発した! 

 

「はぁ!? 奴ら爆弾も撃ち落とせるのか!」

「構うな! 爆炎で敵の目が塞がった。チャンスだ! FOX2!」

「「FOX2!」」

 

 恐らくアンカー港で警戒されたのだろう。ミサイルではなく投下した爆弾さえも撃ち落とすとは流石は陸上兵器の最高傑作イージス・アショア。

 だが爆発の光と炎はイージスの周りを囲んだ。一瞬の目眩ましだが戦場において数秒の空白は命取り。三方向迎撃不可の超至近距離ミサイル6発は堅牢を誇る中枢ユニットでも耐えられる道理はなかった。

 

「南部イージス・アショアの沈黙を確認!」

「よし、よくやったぞみんな!」

『イージス・アショア沈黙! 4機でこんな……これが3本線の部隊なのか!?』

 

 虎の子のイージス・アショア全滅。

 こんな短時間でやられるなんて思ってもなかったろうし。それも俺たちが来た途端だからなぁ。

 それもこれもエイブリルがF-15 S/MTD作ってくれたおかげだな。

 

「おっ?」

「どうしたトリガー」

「良いもの見ーっけ」

 

 湾岸地区の一角。倉庫に挟まるように開いてないUAVコンテナ発見。こんなとこに隠してる悪い子は閉まっちゃおうねぇ! 

 

 まだ開いてないコンテナ目掛けて機銃掃射。

 弾丸はコンテナとUAVを突き破り、中の燃料に引火。倉庫を焦がしながらUAVは爆発の中に消えた。

 

『あーくそっ! これから飛ばそうと思ったのに!』

『3本線のラプターだ。あいつどんな目してやがる!』

「敵UAVコンテナ破壊!」

「トリガーの目からは逃れられねえって訳だな」

「本当に敵じゃなくてよかった」

「トリガー! UAVがそっちに行ったぞ!」

 

 お仲間をやられて怒った、なんて得性なプログラムは積んでないであろうが。敵のMQ-99がこっちに突っ込んできた。

 

「お前らも久しぶりだな。ちょっくら付き合えよ性能テストに!」

 

 スロットルオン。UAVは7機ほど。俺が来る前に2人が結構落としたらしい。

 こいつとは2度目のミッションからの付き合いだが。慣れというのは恐ろしいもので、メイジやスペア時代と比べてこいつらの動きやパターンは普通に目で追えるようになった。

 月日がたってバージョンアップしてるんだろうけど、ぶっちゃけ有人機の方が厄介に思えてきた。

 こいつの元であろうオレンジ野郎とそれの写し身だった白いアンノウンと比べれば雲泥の差。ようするに。

 

「雑魚だよお前らは」

 

 MQ-99の群れに突っ込んで早速1機を蜂の巣に。ついでに眼下のタンクをXSDBで爆破。

 更にもう1機を追い回してミサイル発射。背後から追ってきたMQ-99を縦ロールでオーバーシュートしぶち落とす。

 こうしてる間にストライダー隊も参加。あっという間に敵UAVはその数を減らしていく。

 

「ちったぁトリガーの飛び方にも慣れてきた」

「これが全力じゃないかもしれないぞ。なにせ慣熟数時間だ」

「もう良いだろそのネタ」

「諦めろ。お前はネタの宝庫なんだ」

 

 そんな人をビックリドッキリ人間みたいに。

 世の中には片翼飛行して生還した妖精さんも居るんだぞ。あれよりマシだろあれより。

 

 カウントが陸戦部隊が密集してる場所に気化爆弾を投下して木っ端微塵にしている。

 前も思ったけど。気化爆弾部隊作ったら更地地帯量産して第二第三のホフヌングまったなしだよなぁ。

 まあ俺も誘導爆弾を隙あらばばら撒いて破壊撒き散らしまくりである。いやー! 対地攻撃出来るラプター最高やなぁ!! 

 

「トリガーが造船所を解体所にしちまう!」

「船の墓場って言ったほうが合ってるぜ!」

『味方水上艦の約半数が沈没! あるいは戦闘不能です!』

『艦隊を失うわけにはいかないぞ! ラバルトら保守的な連中が調子づく!』

『動ける艦ありません! 現在生存者の捜索と救出を行っています!』

『……これは3本線の仕業だ そうでなければとても報告できない』

『クソ! こっちの航空戦力はいつ来るんだ!』

 

 敵の通信はもはや被害報告を上げるスピーカーになっていた。

 それが更なる士気低下を引き起こすが叫ばなければやっていけないこと、そして身に染み付いた報連相理念によるものだから止めることは許されない。

 

「こちらタッカー04、航空支援を要請する。座標を送る」

「座標を受信。ダキアーク港に1機、アンカー港に1機だ」

「あっちまで戻らなきゃ行けねえのか。どうする」

「俺が行くぜ。トリガーはここで爆弾落としてもらわねえと」

「よし、アンカー港は頼むぞランツァ。ヤバくなったら直ぐに戻れよ」

「了解」

「じゃあこっちは私がやっておくぜ」

「頼む」

 

 リロードが終わり次第爆弾投下。残ったミサイル、機銃。持てる全てを使ってダキアーク港も更地に変えていく。

 

「よし! こちらストライダー4、ターゲットを撃墜した!」

「目標の撃墜を確認! 乗っていたのはグレープ・アルマゾフ艦隊司令だ。これで艦隊の再建は遠のく」

「さっきから大物ばっかだな。急進派って若い奴らばっかじゃねえんだな」

「大陸戦争の亡霊って奴だろ。そんな奴がラプターで大暴れする3本線なんか見たら、泡食って逃げ出すのも無理ねえって話さ」

 

 巷ではメビウス1の再来言われてる俺がメビウス1の愛機に乗ったとなればさもありなん。

 さっきからカウントのF-15 S/MTD無視して俺に火線が集中してるのは気の所為ではないっぽい。軒並み爆破しまくってるけども。

 

「こちらストライダー3、目標が見えた。逃さねえぜぇ!」

「まさか奴さんも反対側から猛追撃するとは思わねえよな」

「味方置いてヘリで逃げるのが悪い」

 

 あっちにも事情はあるんだろうけど。

 シェルターなりなんなりで隠れたほうが生存率上がったんじゃないかと思うのは俺だけだろうかな。

 

「よし、もうすぐ……」

「警告! 北西より敵機接近! 数が多い! Su-37、8機! ランツァの直ぐ側だ!」

「わーーお!!」

「わーおー!?」

 

 おいおいおいおいなんとタイミングの悪い! 

 

「ストライダー各機! 全力でアンカー港にダッシュだ!」

「こちらランツァ! 敵のヘリは破壊した! だがやべぇターミネーターが来てる!」

「補給線まで逃げれるかランツァ!?」

「駄目だ気付かれた! 追いつかれるか補給線まで敵を案内しちまう!」

「分かった! 向かうから気張れよ!」

「頼むぞ! このままじゃBGMが聞こえそうだ!」

 

 流石に身長190cm、髪は茶、筋肉モリモリ、マッチョマンの変態は来ないだろうが今のランツァにとっては間違いなくそれだろう。

 死ぬほど疲れる前に助け出さなければ。

 

『4機が方位015より超低空で侵入! なお敵編隊に3本線を目撃したものがいる! F-15 S/MTDは確認しているが、3本線のエンブレムはF-22Aに付いてると報告が上がっている。情報は以上! 港を守れず申し訳ない!』

『了解、後は任せろ! アスク隊、エギル隊、交戦を許可! フロッティ隊が稼いだ時間を無駄にするな!』

『ウィルコ! 先ずは迷子のF-15Cからだ!』

「やべえやべえやべえ! なんかこいつら手練れだぞ!」

 

 いやほんとにヤバいぞ! Su-37が8機だからな! 

 この間の黄色野郎の生き残りいないかもしかして! 

 

「うおーー! インシー渓谷の時に比べたらこんなもん!!」

「そうだランツァ! 気合入れろ!」

「ヨシヨシ! ストライダー1エンゲージ!!」

 

 ロックオンしてないけどミサイル発射! 

 勿論当たるはずもないが注意は引いた! 

 

「オラオラぁ! 3本線のラプターがお通りだぁ! こっち見やがれぇ!!」

『F-22A! フロッティ隊が言ってた3本線ってのはこいつか!』

 

 Su-37の編隊に真っ向から突っ込む。同時に周りを見渡し、サーペントの青い迷彩がないことを確認。

 モノクロの斑迷彩。エルジアの標準色に翼端が緑、そして白のペイントが4機ずつ! 

 

「こいつら。ネームドじゃないかもしれんが翼端に色がついてる! エース部隊かもしれない、注意しろ!」

「他の航空戦力が来ないうちに始末してやる!」

 

 こいつら、規則正しいな。フォーメーションというものを取り入れている。

 色を見るに4機構成2小隊と言ったところか。

 

「ピクニックどころか。マラソンだったぜこいつは!」

「さっきはハイキングって言ってなかったか?」

「歩くのがハイキングの目的。食べるのがピクニックの目的だ」

「どっちが好きかは言わなくても分かるぜ」

「今回は軽食を口に出来てるかロングキャスター」

「ああ、前よりはな。だがまだ二口しか食えていない」

 

 そりゃ大変だ。さっさとこいつら落として食わせてやらねえと! 

 

『3本線を落とせ! こいつが中核だ!』

「トリガー! やっぱりお前が狙われてるぜ。F-22AはMTDより目立つらしい」

「そらそうだ。全機、分かってるな。いつも通りで頼むぜ!」

「了解!」

「そら行くぞぉ!!」

 

 更にギアを上げる。敵中央から掻き乱しに掻き乱す。ステルス機能、おまけでやればめっけもんだな! 

 

「FOX2! FOX2!」

『くっ! 当ててくるか!』

『エギル1チェックシックス!』

「頂くぜ!」

「堕ちろ!」

 

 Su-37、1機撃墜。パラシュートが開き、敵編隊の一部はぶつからないように高度を上げる。

 その隙を狙う! 

 

『エギル1がやられた! 2、指揮を引き継げ!』

『了解! アスク2! 後ろに3本線!』

『やらせるか!』

「コブラ! だが見えてるよぉ!」

 

 敵のエアブレーキが開くのに合わせてこっちもコブラ。背後のポジションを維持して機銃掃射。敵エンジンをズタズタにする。

 

『なんだ今の! アスク2のコブラに合わせたのか!?』

『いや。奴め、コブラ機動する前にコブラしてたぞ。とんでもない見切りだ、とても偶然とは思えん』

『くそっ、取り巻きもやるか!』

「掻き乱すぞフーシェン! FOX3!」

「ああ! FOX3!」

 

 ランツァとフーシェンの4AAMがSu-37の編隊に介入。死にかけの1機を撃墜し、何機か命中する。

 その隙を俺とカウントが広げ。広がった隙をランツァとフーシェンが更に突き刺していく。

 

『あっという間に4機やられたぞ!』

『くっ! せめて1機だけでも落とすぞ! 俺が3本線を引きつける!』

『無茶だアスク1!』

『無茶でもやるんだ! 後続もまもなく来る! 頼むぞエギル2!』

『…ウィルコ! エギル4、アスク3、エレメントを組むぞ!』

『『ウィルコ!』』

 

 ん? 敵の動きが変わったか。

 白と緑が3機編隊を組んで。白い奴が1機こっちに来るか! 

 

『3本線! お前の相手は私だ!』

「向かってくるか。ストライダー隊、そっちは任せる! 俺はこいつをやる!」

「了解だ」

 

 背後に敵機。撒いてみるが、結構動ける奴だな。隊長機か? 

 サーペントの黄色付き程ではないが、サーペントの部下よりは動けるな。仲間の半分やられてこれほど動けるなら大したものだ。

 

(くぅ、なんて機動だ。Gに相当耐性があるのだろう。攻撃ポイントを取れないどころか、気を抜けば直ぐに後ろを取られてしまう。これが3本線)

 

 苦し紛れに放ったミサイルも躱される。

 アスク1は圧倒的な実力差に気圧されながらも必死に喰らいかんと操縦桿を手繰り寄せていた。

 手汗握る攻防戦。糸はとっくに張り詰められている。そしてそれは容易く切られることとなる。

 

『エギル2ロスト!』

『アスク3、イジェクト!』

『なに!? っ、しまった!』

 

 気がそれた瞬間に旋回していた方向とは逆にハイGターン。

 直ぐにSu-37の背後を取った。

 

『やらせるか3本線!』

 

 敵もハイGターンで回避を試みる。

 だが俺に注意を向け続けていたのだろう。目の前に迫るF-15Cに気づけずにいた。

 

「食らえ!」

『くそぉ! だがまだ』

「トドメだ」

 

 前方からのフーシェンの攻撃を掠めるSu-37。なんとか持ち直そうとしたところに俺のミサイルがぶち上がった。

 

『くそっ、フロッティが手も足も出ない訳だな』

 

 Su-37のパイロットがベイルアウト。

 残り1機の方もベイルアウトしたみたいだ。

 

「Su-37を全機撃墜。よくやった」

「ああー、生きた心地しなかったぜ」

「奴ら練度が高かった。つきまとわれたら厄介だったぜ」

「大半はベイルアウトしたからな。パイロットの大原則をしっかりこなしてる」

 

 8人中5人ぐらいは開いていただろうか。

 さっきのMIG-31Bの部隊といい、優秀なパイロットはまだまだ残ってるみたいだな。

 

「そいやタッカーさんよ。さっき俺がやったのはなんて奴だったんだ」

「アロンソ・タルラゴ艦長だ。彼が死んだことで イージス艦タラッサの脅威も減る」

「タラッサってさっきカウントが沈めた奴か?」

「彼は優秀な教導官でもあった。ファーバンティに合流されていたら士気に影響していたことだろう。よくやってくれた」

 

 海の強者がヘリで爆死か。

 報われないねぇ。

 

「ストライダー隊、南東より敵艦船が接近中! イージス艦メティス、戦艦デュスノミアを含む大艦隊だ!」

「デュスノミアって次代の無敵艦隊って噂される奴じゃねえか」

「無傷の艦隊と戦うのか!? いまから!」

「やるしかねえ! もうすぐ本命の航空戦力も来るはずだ。合流されたらやべぇ」

「その通りだな。これより艦体を叩く! その後に全機補給に戻りアンカーヘッドにトドメを刺すぞ!」

「「ウィルコ!」」

 

 敵地上戦力は更地にしたが、まだアンカーヘッドは息をしている。

 完膚なきまでに叩きのめして、ファーバンティへの先駆けをさせてもらう! 

 

 

 

 





 どうも皆様。どうしてもSPミッション2は3話で終わらせたかった男。ブレイブです。
 いつもより6千文字オーバーです。だってアンカーヘッド台詞多いんだもの!加えてフロッティとSu-37をガッツリやっちゃいましたし。それでも3話構成したかったんだ。

 原作よりクレメンスの描写が増えたよ、やったね!
 まあ心労描写ですが。もう少しクレメンスのクズいというか小物描写増やしたいなぁ、なーんて。

 次回はデュスノミア艦体、そしてミミック再戦です。お楽しみに!
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