エースコンバット7 FLIGHT REZON   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 まさかの作成期間1週間を切ってしまいました。
 どうしたんだ俺……自分が少し怖いです。

 そういえばエースコンバット8のサイトでエイブリルの話が出ましたね。まさかお父さんが死んだの5の環太平洋戦争じゃなくて4の大陸戦争だったという。なんてことだぁ!!
 と思ったのですが、私が持ってるACES at WAR A HISTORY 2019という本のエイブリルのページには環太平洋戦争と書いてるんですよね。

 ということで、本作でのエイブリルパパの戦死は予定通り環太平洋戦争で進めようと思います。


STAGE61【Fisherman(鯨釣り)

 

「みんなに適応されるはずのルールが、適応されない者がいる……」

 

 イレギュラー、シンギュラリティ。様々な呼び名はあれど。それは一人で盤上をひっくり返し、不可能を可能にしてしまう存在。

 

 例えるならチェスの駒をチェスの動きに縛られず、しかも回数制限無しに敵の駒を破壊するようなもの。

 常識やルールが適用されない。ある者からは英雄。ある者からは化け物、怪物と呼ばれる者。

 

「英雄とは、もっとも敵を殺した者。それが美化、賛美されたものだ。戦争が終わってしまえば 『英雄』は危険な存在だ。だから殺害する、短絡的だけど効果的」

 

 世界の上層部は第2第3の国境なき世界誕生を恐れている。

 だがそれは身から出た錆のパターンが多い。

 

 兵士を数ではなく、国家の要として扱えば良いのに。人はそんな当たり前のことが出来ないでいる。

 

 オーシアの、その極一部の勢力はトリガーを恐れた。

 忌むべきベルカ出身、忌むべきフリューゲル家の遺児がオーシアで幅を利かせることが我慢ならない。

 そして自身のアキレス腱、ハーリング元大統領の謀殺が暴かれることへの忌避感。

 そんな自己保身な理由で英雄が謀殺など。それは正しく国家の恥だ。

 

 そしてエルジアは英雄マティアス・トーレスを恐れた。

 彼の危険性を知っているからこそ、ギリギリまでアリコーンという手札を切れずに居た。

 そして見誤った。彼とその部下たちが持つ深淵を……

 

「アレックス、問題だ。マティアス・トーレス艦長を止められる可能性は?」

「艦長と3本線、どちらを特異点(シンギュラリティ)とするかによる」

「2人ともだ。特異点(シンギュラリティ)が2つある空間では何が起こる?」

「いまのリソースでは計算に約7ヶ月」

「遠く離れた彼らに賭けるしかないか」

 

 まもなく作戦が開始される。

 味気ない海域で、アリコーンという大物を釣り上げる作戦が。

 

「デイビッド、逃げるべき」

 

 まもなくオーレッドに核が撃ち込まれる。

 それを知らずに終戦記念日に集まる100万人の市民たち……

 

「いや、この場所でやるべきことがある」

 

 彼らには彼らの戦いがあるように。デイビッドにもデイビッドの戦いがある。

 

「行くぞ、アレックス」

「ウィルコ」

「ハハ、君も彼らに染まってきたな」

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

 夕焼けが眩しい。

 空を翼に乗せたF-22Aを筆頭に戦闘機10機、哨戒機4機、迎撃艦隊4隻がオレンジ色に染まった海を進む。

 

「さあて、宝探しだトリガー」

「ワクワクしてきたぜ……」

「おいふざけてんじゃねぇ!」

「カッカするなフーシェン。俺たちがしくじれば何が起こるか、それはちゃんと分かってる」

「けどな。オーレッドはトリガーの」

「ありがとうフーシェン、俺は大丈夫だよ」

 

 アンソニーは俺に託してくれた。

 だからこそ、絶対に死なせてなるものか。

 

「こちら哨戒機スペクター1。我々がソノブイ・バリアーを展開する! 被害は覚悟している、だからこんなに哨戒機がいるんだ。計算では、1機でも残れば敵潜の位置を解析できる!」

「そういう計算は好きじゃねえ。お前もそうだろトリガー!」

「あたしもだ。ほかのやつらもだ!」

「そういうことだスペクター。1機でも充分なら4機いれば更に成功率が上がる。ストライダー、サイクロプス、サラマンダー。哨戒機の護衛を厳とせよ! あんなイカレ野郎にくれてやる命は一つたりともないと教えてやれ!!」

「「「ウィルコ!」」」

 

 来るなら来やがれ。

 どうせ俺たちが釣り上げるまで黙ってる訳がないだろ、艦長様よ。

 

「やはり来たぞ! 複数の敵機を探知! これはアリコーンの艦載機だ!」 

「トリガー、お前が先頭だ! 哨戒機を守れ! 全機トリガーに続け!」

「ストライダー1から各機、手はず通り全機散開! ストライダー2は俺の直掩に付け!」

「ウィルコ」

「了解した」

「了解!」

「ラジャー」

「了解した」

 

 スロットルオン。F-22AとF-15 S/MTDが共に加速。

 前方、ラファールM3機! 

 

「喰い敗れカウント!」

「おーらい! 一番槍は貰った!」

 

 カウント、HVAA発射。高速弾がラファールの腹で爆発! よろめいたところをこっちのミサイルでトドメ! すれ違う残り2機を追うためにハイGターン! 

 

「あのカラーリング。間違いなくアリコーンのラファールだな」

「やつら事前に発艦していたのか!」

「デイビッド、問題だ。アリコーンに乗っている艦載機の数は?」

「機種によりますが、20機から30機! でも未確認情報です、もっと多いかも! 3本線がいるなら1桁まで減らせるでしょう!」

「いや、もっと減らせる!」

「トリガーがいるからかはともかく、そういう計算は嫌いじゃねえ」

「あとで答え合わせをしよう」

 

 ああ、先ずは3機減らしてやる! 

 

「3本線は殺しを楽しむぞ! そのスキをつけ!」

「いけ! 倒錯者から翼を奪え!」

「なんだ!?」

「こいつらまたオープンで!」

 

 どんだけ自己顕示欲が高いんだこいつら。

 

 ていうか誰が殺しを楽しむ倒錯者だって!? 

 ならお望み通りぶち殺してやるよ! 

 

「我々の信念が3本線に負けるはずがない!」

「我らの願いをその身に受けろ!」

「熱に浮かされたような声しやがる!」

「海底に2年ニートして宗教国家にでもなったんだろ! 黙らせろ!」

 

 カウントが左の奴を、俺は右のラファールを追う。

 くそっ、俺が乗ってたラファールなみにチューンナップされてるな。だが追えないレベルじゃねえ! こっちにはエイブリルとおやっさんのベストマッチが揃ってんだ! 

 

「3本線の悪魔め! 艦長の理想をお前に邪魔されてたまるか!」

「お題目ばかり並べて飛ぶのは楽しいか?」

「なんだと!?」

 

 そっちが喋りてえなら答えてやるよ。

 おら、嬉しいか? 

 

「良い歳しておもちゃ手に入れてはしゃいでんだろ。所詮その程度だ、トップがガキなら下も同様だなぁ!」

「貴様! 艦長を愚弄するかぁ!!」

 

 腕は良いな。だが感情に引っ張られすぎだ。

 俺しか見てないとは視野が狭い。

 

「FOX2」

「なに!?」

 

 近くを通っていたイェーガーのミサイルが命中。

 予想外からの一撃にラファールの動きが乱れた。

 

「先に水底で待ってろ。直ぐに愛しの艦長様も送ってやる」

「悪魔めえっ!!」

 

 機銃掃射。黒赤のラファールはバラバラの破片となって海に振り注いだ。

 オープンチャンネルOFF。狂信者は扱いやすくていけねえや。

 

「ありがとうイェーガー。良い位置だった」

「こちらストライダー2、敵機撃墜!」

『撃墜された航空機の残骸が多数着水!』

『死体の雨……いやデブリの雨が止んだら伝えろ』

『UAV、まもなく交戦距離』

「ソノブイ投下率20%」

「焦れったいな。この下にアリコーンが居るってのによ」

「哨戒機とロングレンジ部隊が見つけ出す。報告を待つんだ」

 

 まだほんの序の口だ。長い戦いになりそうだ。

 そら来たぞ! 

 

「新たに無人機を探知! 迎撃するんだ!」

「やっぱり隠れてやがったか!」

「母艦は水中だ。無人機も有人機も使い捨てるつもりか!?」

「上等だ! カウント、右翼やれ! 俺は左翼だ!」

「オーライ!」

「全機、武装を惜しむなよ! どうせアリコーンに対空装備は使えねえからな!」

 

 UAVは8機! それぞれ2機ずつ行ったか。

 行き先は真っ直ぐ哨戒機、おりこうなAIだ。そこを突く。

 軸合わせて背後、ここはミサイルじゃなくて機銃で! 

 

「ストライダー1! UAV撃墜!」

「機銃に対する反応は鈍いか。基本骨子は今までのUAVと同じだ! 半端な角度だと超反応で躱される! きっちり背後からミサイルをぶち込め!」

「対UAVのスペシャリストからの助言か。ありがたい!」

「やるぞサラマンダー隊! ロングレンジ部隊だけがオーシア空軍ではないことを、敵さんに思い知らせてやれ!」

「ウィルコ!」

「ソノブイ投下率45%! 我々も責務を果たすぞ!」

 

 士気も充分。ソノブイも半分まで来た。

 この調子ならなんとか守りきれそうだが……

 

「話せますか!?」

「どうした!?」

「2つのデモ隊が衝突しています! 人が逃げてく! プラカードが揺れてます! 空を飛んでる垂れ幕まである! アドドローンだ!」

「オーレッドにいるのかよ!?」

「ここに住んでますから! それに終末誘導の謎が解けてない!」

「なんで逃げてねえんだって意味だ」

「あなたたちだって逃げてない!」

「ハハッ、言うじゃねえか」

 

 通信越しに喧騒が聞こえてくる。

 おいおい安楽椅子探偵がそんな騒がしいとこ行くのか。しかも核の爆心地地点に! 

 アンソニーといいデイビッドといい黒人系眼鏡オーシア男子は恐れを知らなすぎる!! 

 

「逃げない…………そうか逃げない、あのドローンは逃げない!」

「どういうことだ!」

「また連絡します! アレックス! 調べてほしいことがある!」

「……切れたぞ」

「言いたいことだけ言ってったな」

「きっと吉報が来る。俺たちのホームズを信じよう。UAVにトドメを刺すぞ!」

 

 3番機周辺のUAVを排除し4番機の排除に周る。

 UAVがミサイルを撃つ、護衛機の間を抜けようとするがサラマンダーの一人がフレアで気を逸らしてくれた。

 

『艦長、バッフルチェックは?』

『追手は来ない、来るとしたら空からだ』

『やつら海の広さを実感してることでしょう。こちらの位置の同定は難しいはず』

『フッ。来るなら来い、3本線……』

 

 軸線合わせ、UAVを機銃でなぞって爆散! 

 更に背後を見せたもう1機もミサイルで撃墜! 

 

「ハハ! 敵機の撃墜を視認!」

「言っただろうが! 3本線がいりゃなんとかなる!」

「UAVの排除を確認。敵の第一陣の無力化成功したぞ」

「トリガー、ほかの機もよくやってるが。やはりお前に頼るしかない、頼むぞ!」

「了解。カウント、足の速い俺らは遊撃隊だ。気張れよ!」

「まったく、楽に仕事してえもんだぜ」

 

 ああ。あと1小隊は欲しいところだが、贅沢は言えないな。

 さっきはUAV8機。これでギリ対応出来るものだが……

 

「ソノブイ投下率、70%」

「あと少しだ!」

「各機警戒! レーダーに新たな敵機を確認した! UAV10機、ラファールMが4機だ!」

「わんさか来たなあ!」

「奴ら死ぬ気で向かってくるぞ!」

「弱気になるなれ」

「何のための護衛機だ盾になって守るんだよ!!」

 

 奴ら均等にバラけて向かってきやがる。

 哨戒機はソノブイを規定ポイントに落とさないと行けないから激しく動くことは出来ない。

 

「あの艦長、やっぱり何か企んでやがった!」

「くそっ! 航空優勢を取れないで飛べる空じゃないぞ!」

「近寄らせるか! FOX3!」

 

 こっちのF-15Cが4AAMで奴らを散らすが命中したのは僅か2機。

 こいつはガチでキツい! これだから護衛ってやつは! 

 

「敵機ミサイル発射!」

「スペクターが攻撃を受けてる! 守るぞ!」

「くそっ! もうちょっと待ってろ!」

「ストライダー1! エンチャンター4の護衛に向かう! イェーガー! サラマンダー3! こっちは頼むぞ!」

「了解した! FOX3!」

「ウィルコ! なんとか持たせて見せる!」

 

 あっちには敵機が多めに配分されてる! 2機だけじゃ守りきれねえ! 

 

「うあっ! 戦術士官、1名死亡!」

「スペクターに攻撃が!」

「クソっ! これ以上は!」

 

 哨戒機にミサイル命中! 致命傷ではないが犠牲者が! 

 迫るミサイルを強引にフレアで逸らし、ラファールのどてっ腹に機銃を撃ち込んで追い返す! 

 UAVが3、ラファールが1か! 

 

「すまねえトリガー! 守りきれなかった!」

「謝罪はあとだ! 絶対に落とさせるな!」

「FOX3! FOX2! よしキルしたぞ!」

 

 F/A-18FのQAAMとミサイルがラファールにトドメを刺した! ナイスナイス! 

 

「機体損傷! 敵機はまだ絡んでくる!」

「スペクターの被害が増えてきている!」

「幽霊を守れ!」

「ソノブイ投下率85%! 大丈夫だ! たとえ落ちたとしても、計算通りならアリコーンを発見できる!」

「その計算ってのやめねえか! くそっ!!」

 

 単なる強がりなのか理性的なのか知らないが自分の命ぐらい勘定に入れてほしいもんだな! 

 オラ落ちろ三角コーンが!! 

 

「エンチャンター4周辺の敵機全滅!」

「助かった! 感謝するぞ3本線!」

「トリガー、ありがとう」

「まだ終わってないぞスカルド。エンチャンター4を頼む! イェーガー、そっちはどうだ!」

「UAVは撃墜! あとはラファールだけだ!」

「了解! カウントの方に行く!」

 

 スロットルMAX! 空域の端から端をガッツリ爆走。

 今回は速度にチューンしたから馬力は出るが、数秒十数秒がもどかしい! 

 

「待たせたカウント! いま支援に入る!」

「今度ばかりは助かるぜ小隊長!」

 

 あのカウントが憎まれ口に叩けないぐらい状況は逼迫している。

 フーシェンやランツァも頑張ってる。そのおかげでまだ哨戒機は落とされていない。

 だが綱渡りだ。更に一手を突き刺されば均衡が崩れる! 

 

「新たな敵機が出現! UAVが8機! エンチャンター4の目の前だ!」

「マジかよっ!」

「この数は!」

「ストライダー3、援護にまわる!」

 

 噂をすればだこんちくしょう! 

 駄目だ、4機で守りきれる物量じゃない! 

 くっそ俺のミスだ! アリコーンの奴ら、俺が離れた隙を狙ったとでも言うのか!? 

 即時ハイGターンで端から端に蜻蛉返り。駄目だ間に合わねえ!! 

 

「注意、方位180より敵機接近、数は4!」

「まだ来るのか! でもこの方角は、アリコーンからじゃない? 何が来やがった!」

「識別完了、これは……Su-30M2が4機!」

「Su-30だって!?」

 

 Su-30、まさかオレンジクソ野郎が来やがったのか!? 

 エルジアの奴ら、オーレッドさえ滅べばあとは何とかなるとでも言うのかよ!! 

 ……いや待てよ。

 

「ロングキャスター、Su-30M2って言ったか!? Su-30SM、ミスターXは!」

「M2仕様が4機、SM仕様は確認出来ない……なんだ? Su-30がUAVを撃墜!」

「なんだって!?」

「味方なのか?」

 

 一体何がどうなってんだ……

 ミスターXの手下がこっちを助けたとでも? 

 

「こちら、エルジア空軍所属第68実験飛行隊ソル、編隊長のヴィトだ。これより、オーシア軍のアリコーン破壊作戦に参加する」

 

 若い男の声、俺より少し年上か同じぐらいか。

 

「こちらはオーシア空軍AWACSロングキャスターだ。エルジアからの援軍だと? こちらにそんな通達は来ていない」

「エルジアのお上は肝っ玉が小さくてな。俺たちが間に合わなかった場合はそのまま蜻蛉返りしろって命令だった」

「そのくせ不参加だと世論からの反発が怖いって言うんで俺たちが来たという訳さ」

「いまエルジア上層部がそっちの軍上層部に通達を送っている筈だ」

「信用できるのかよ」

「いや、彼らの言うことは正しいようだ。たったいま作戦の追加情報が届いた。内容は彼らとの共同戦線を取れとのことだ。各機、ソル隊の臨時IFFデータを送信する」

 

 HUDの表示が変わり、Su-30M2の4機が味方機を示す青マーカーに変わった。

 思いもよらない援軍だが、奴の部下なだけあって腕は良いようだ。現に彼らは援軍のUAV相手に充分やり合っている。

 実験飛行隊といったか。UAVの大本を育ててる部隊だとしたら、対UAV戦闘もお手の物なのだろう。

 

「こちらストライダー1。この部隊を預かる小隊長だ。何故ミスターX、Su-30SMの奴がいない」

「そういうあんたは3本線だな? 随分若い声だ。翼端の色も変わってるな。空色とはまた味な色じゃないか」

「おためごかしはいい。答えろ」

「キングは諸事情で来れない。それに此処は彼が飛ぶような場所ではない」

「飽くまでドッグファイトが好みだってのか? 人を弄ぶ飛び方してる癖に戦場を選り好みとは大した贅沢者だな。部下に王様なんて呼ばせてる時点でたかがしれてる。それともTACネームなのか?」

「なんだと!? お前口の聞き方が!」

「やめろロアルド。キングは俺たちが勝手に呼んでるだけだ。あとTACネームでもない」

 

 クソ真面目に訂正したヴィトという青年。

 聞いてる限りでは真面目な男のようにも見えるが、静かな怒気が感じ取れる。

 部下からは慕われてるんだな、あのオレンジ野郎。

 

「一つ聞く、お前たちは何故此処に来た」

「祖国を守る為だ。オーレッドの次に狙うのがエルジア諸国だという可能性がある以上、我々が住む場所に落ちないとは限らない。だからこそ志願した。我々エルジアが生み出した不義を放っておく訳にもいかないからな」

「それに、もし額面通りオーレッドが焼かれれば非難されるのはエルジアだ。艦長が離反して勝手に核を撃ち込みました、なんて誰も信じるわけないだろう?」

 

 彼らの言うことは的を得ている。

 作戦に参加するという理由としては筋が通っている。

 

「……俺はそっちのリーダーが嫌いだ。人を追い込み続け、恐怖のどん底に突き落とす飛び方が嫌いだ。俺は奴をファイターパイロットの恥さらしとすら思っている」

「………」

「だがどんな理由であろうと、貴君らは援軍として来てくれた。信じていいんだな?」

「我らが祖国、シラージとボスルージの名において誓おう。必ずアリコーンを撃沈させると」

 

 嘘には聞こえない。

 真摯な言葉だ、だが相手は敵国。かつてお互いに命のやり取りをした仲だ。だからこそ。

 

「FOX2」

 

 ミサイル発射。放たれたミサイルはSu-30M2の間を通り、UAVを木っ端微塵にした。

 

「なら俺も今だけは私情を捨てる。ソル隊、貴君らの助力に感謝する。先ほどの誓いは空戦で確かめさせて取らうぞ」

「望むところだ。全機、我らの翼と意地を見せろ!」

「「「ウィルコ!」」」

 

 思わぬ援軍により勢いを増したソル隊を含めた4隊は哨戒機に指一本触れさせることなく敵機を撃滅していった。

 

 ミスターXには負けるが、やはりこいつらも腕がいい。うちと良い勝負だ。

 

「よし! ソノブイ投下完了! ソノブイバリアーが完成した! 全員生還出来るなんて、全く計算外だったよ! ありがとう!!」

「ヘヘッ! 計算を狂わしちまう奴が居るみたいでな!」

「俺だけの力じゃないさ。ソル隊、感謝する」

「認めたくないが。強いな、3本線のパイロットは」

「下手したら俺たち以上にUAVとの戦い方を熟知しているかもしれない。ミハイが一目置くパイロットなだけはあるか……」

 

 まさに紙一重だった。業腹だが、ソル隊が来てくれて本当に助かった。

 

「信号解析完了! アリコーンの航行可能範囲をデータリンクする!」

「了解! レーダーに探索範囲を表示した! その円の中にアリコーンがいる!」

 

 レーダー上に緑色の円。あそこが釣り場か! 

 

「MADを機動!」

 

 HUDの上側に一本線が出て来た。

 

「HUD上部にインジケーターの波形が出ているな?  探索範囲を飛びまわって、波形に変化が出る場所を探すんだ」

「こいつは本物の宝探しだぜ」

「トリガー以外は不測の事態に備えて空中警戒待機だ」

「了解した!」

「了解」

「MADは速度が速いと機能しない。時速800キロメートル以下で飛行してくれ。低高度であるほど捕捉効果が高い、出来るだけ高度を下げるんだ」

 

 円の中に侵入と同時に急減速、そして下降。

 みるみる低くなる速度計が800を切った瞬間ピッという音と共にインジケーターに波が出て来た。

 

「反応あり」

「よしトリガー、MADに反応が出た。HUDの波形にピークが出来たはずだ。旋回し、波形のピークがある方向に飛んでくれ」

「さっさと出てこいバケモノめ!」

「左側か。だが反応が小さい。少し移動する」

 

 加速、そして減速。

 円の端から中心に移動、先程より強い音と波が出て来た。

 

「トリガー、MADの反応が更に強くなっている。アリコーンは遠くない位置に居るぞ」

「このまま真っ直ぐだな」

 

 もう一度加速、減速。

 端から端に移動……強くなった! 感覚も短くなってる、ここが当たりか! 

 

「………」

「………」

 

 皆が息を潜める中、インジケーターの波形が更に短くなる。時速800キロギリギリを維持しつつ細かく操縦感を手繰り寄せる。

 

 ……………………ピーーー! 

 

「来た!!」

「磁気反応捕捉! いや! 反応消失! MADの信号に強いノイズが混入!」

「うわっ、くそっ!」

 

 奴ら糠喜びさせやがる! 

 反応がなくなった、MADが機能しない! 

 

「くそっ! MADまでお見通しだったってのか!」

「不測の事態ってやつか!」

「海面にノイズの発生源が見える人、います!? 恐らくブイのような物です!」

「窓がないからブイは見えないが、強力な電波発生源を探知した!」

「正解! それだ!!」

「ジャミング装置の位置を送る! 破壊しろ!」

 

 円範囲を中心にレッドターゲットが……うわ多いな! 10個以上はある! 

 

「トリガー! ジャミングブイをやるぞ!」

「こんなもので網を食い破れると思うなよ!」

「手間だが一つずつ破壊するんだ!」

 

 ブイ、見つけた! 小さいが狙えないもんじゃない。機銃掃射で破壊……うおっ、一瞬海が浮き上がったぞ!? 

 

「なんだ!? 水中でデケえ爆発が起こった!」

「爆発!? 哨戒機! 海中の様子は?」

「聴音不能! 爆発音の残響です!」

「ブイに爆弾仕込んでやがったのか!」

「アリコーンはノイズに紛れ、最大速力で逃げるつもりです!」

「敵潜水艦に逃げられる前に、ジャミングブイを破壊するんだ!」

「これだけ数が居るんだ、直ぐに終わらせる! ソル隊は下方面をやるぞ!」

「サラマンダーは右をやる!」

 

 各々バラバラに散開しブイを破壊していく。

 破壊するごとに爆発が起こり、海の音を掻き回す。

 

『両舷前進最大戦速!』

『アイサー!』

「こいつが最後だ……よし破壊!」

「最後のジャミングブイを破壊!」

「どうなった?」

「ソノブイからの通信を待て」

「くそったれ!」

 

 時間にして1分かかったかかかってないかだ。

 だがこの時間でアリコーンはどれだけ進んだのか。

 

 …………スペクターからの通信が来ない。

 無音の時間が10秒続く、だがそれは限りなく長い時間に感じた

 

「おい、大丈夫なのか!?」

「…………分析完了! データリンク!」

「あそこか!」

 

 緑の円が出現! マズい、もう端の方に居る! 

 

「位置が動いている! トリガー 探索エリアを送る! 逃がすな!」

「アリコーンは海溝の手前まで来てる! 時間がありません!」

「急げ!」

「大丈夫だ! トリガーはもう動いている!」

 

 今回は最初から真ん中だ。急減速、800キロまであと少し……

 

「新たなUAVを確認! アリコーンから射出された模様!」

「水中発射出来るのか!」

「1機でも良い! 堕とせばトリガーが楽になる!」

「ストライダー1の背後に立たせるな!」

 

 海面ギリギリを飛翔。800をキープしつつインジケーターを息を殺して見続ける……

 

「トリガー、残り時間が少ない。急げ!」

「心配すんな! トリガーが間に合わせる!」

「トリガーに援護されっぱなのにクソっ! ざまあねえ!」

「彼の後ろを守れ!」

 

 ふー……ふー……

 自分の息が荒くなるのを感じる。

 

「しかし見つかるのか」

「かなり難しいぜ……」

「やるしかねえ! FOX2!」

「シーモア! 1機そっちに行ったぞ!」

「スカルド! そっちの敵は頼む!」

 

 心臓の音が五月蝿い。周りの音が遠くに感じる。

 ここで逃がしてしまったらもう追えない。オーレッドが火に焼かれる。

 あのバルトライヒのようなクレーターが、オーレッドに刻み込まれる! 

 

 アンソニーが死んでしまう!! 

 

 っ! ロックオンアラート! 

 背後にUAVが、2機! 

 

「させるかよ!」

「墜ちろ!」

 

 UAVがミサイルを撃つ前に爆散。

 爆煙から飛び出たのはF-15 S/MTDと、真っ黒に塗装されたSu-30M2。

 

「こっち任せろトリガー! お前は宝探しを続けろ!」

「頼むぞ! 3本線のパイロット!」

「っ! ああ!!」

 

 大丈夫だ、絶対に見つける! 

 多くの人に託されたんだ、自分の責務を果たせ! 

 

「巨大な鉄の塊だ。必ず反応する、よく探せ!」

「あとは時間との戦いだ!」

「間に合わせるぞ!」

 

 もう少し、もう少し、もう少し、もう少し! 

 

 ………………ピーーー!! 

 

「ガッチャっ!!」

「よし釣り上げた! MADに反応あり!」

「いいぞ!」

「ストライダー1が潜水艦アリコーンを発見した!」

「イヤッホー!」

「よし!」

「飛び回ったかいがあったぜ!」

「まだ終わっちゃいねえ。トドメを頼むぞ」

「了解! 目標座標取得。垂直型アスロック、攻撃準備はじめ!」

 

 旗艦カナリー、グローブ、ロースター、シーガルの4隻がアタックポジションについた。

 

「VLA攻撃用意!」

「射線方向クリア 」

「用意よーし 」

「全弾発射しろ!  」

「撃て!  」

「ミサイルアウェイ!」

「対潜ミサイル全弾の発射を完了」

 

 一隻から一発ずつアスロックが発射された。

 アスロックは上空でパラシュート展開、そのまま自重の重さで海に落着した。

 

「攻撃効果を確認せよ!」

 

 沈黙……からの巨大な水柱が4回上がった。

 

 これで沈んでくれよ! 

 

「どうだ……?」

「………っ、出てくるぞ!」

「アリコーンの浮上を視認!」

 

 海から黒色の巨体が浮き上がる。

 凹凸のない黒い船体が鎌首を上げ、海を叩きつけて飛沫を上げるその姿はまるで鯨のようだった。

 

 海から飛び出した怪物が、主砲レールガン、VLS、機銃群を展開していった。

 

「浮上!? 撃沈じゃねえのか!?」

「味方艦を砲撃してる!」

「くそ! 討ち漏らしたってことか!」

「なんだと!?」

 

 アリコーンから放たれた電磁砲弾とミサイルが瞬くまに艦隊を飲み込んでいく。

 アスロックが外れたのか!? 

 

「違うぞカウント! 俺たちは敵を追い詰めている! その証拠に奴らは姿を現した!」

「………船体側面に破壊跡を確認! アスロックは当たってる!」

「浮上している今なら攻撃できる! 全機、トリガーに続け!」

「全機、オールウェポンズフリー! アリコーンを木っ端微塵にしてやれ!!」

「了解だ」

「ウィルコ!」

「ラジャー!」

「ウィルコ」

「ラジャー」

「「「「コピー!」」」」

 

 総勢14機の鉄の鳥が鉄の鯨に鉤爪を突き立てる。

 ここからが本番だ! 必ず仕留める! 

 

『全砲門、撃ちーかたー始め!!』

「勝負だ艦長様! 水底に沈みなぁ!!」

 





 どうも、北海道にもついに夏が来やがった!と思ったら次の日普通に夜寒い。作者のブレイブです。

 遂にDLCも大詰め!

 サプライズゲスト登場!ソル隊の皆様です。
 驚かれた読者も多いでしょう。ここでヴィト達なのかと!
 ファーバンティやシラージ城の前に彼らとトリガー達の絡みを作りたく、ぶちこんでやりました。
 これが後々どう響くのか。

 良ければコメント、高評価よろしくです!
 次回決戦!海のブルートゥ!お楽しみに!
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