魔剣戦士イクス   作:クレナイハルハ

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宿と仕事とクラスメイトと

 

大空優助side

 

 

目が覚めると、目の前には知らない木造の天井が広がっていた

 

そっか、そう言えば転生したんだっけ

 

そう思いながら体を起こし、枕元においてあったイクスブレスを左腕に当てる

 

するとイクスブレスから腕を覆うリングの部分が現れてブレスレットになる

 

左腕に付いたブレスレットを中に掲げ、自信の腕に付いたイクスブレスを眺める

 

よし、今日は頑張らないとな

 

そう思いながら荷物を纏めて部屋を出て、そのまま宿屋を出る

 

宿屋には昨日見た獣人はあまり見かけなかったから、少し楽し残念だと感じた

 

それにしても、今日も賑やかだな

 

まだ朝の時間帯なのに、この街には沢山の人が行き来して

 

沢山の人が元気に商売をしている

 

そんな沢山人をみながら、昨日レイトさんと確認した場所まで向かっていた

 

道は頑張って覚えたから、道は間違えてない……はず

 

少し不安になりつつ、どうにか目的地へとつくことが出来た

 

街の冒険者ギルドの少し近くにある二階建ての建物

 

『カフェ・シティアーナ』

 

外見は少しレトロな感じで、日の光が入る明るいカフェだ

 

店の扉をノックすると直ぐに誰かがパタパタと誰かが扉へと走ってくる音がして扉が開いた

 

すると、よく町の喫茶店とかである入店の時になる鈴の音色が聞こえ現れたのは赤髪で優しそうな二十代位の女の人だった

 

「すいません、まだお店はやってなくて」

 

「い、いえ!お客さんじゃないんです!あの、これ!」

 

そう言ってカフェのアルバイトと書かれた依頼書を見せる

 

「あ、なるほど。冒険者の方ですか、なら中に」

 

中に通され、お互いに向き合う形で椅子に座る

 

「えっと、大空優助と言います。17歳で冒険者になったばかりですけどアルバイト、よろしくお願いします!」

 

そう言って頭を下げ、机にガンッ!とおでこをぶつけてしまった

 

「いっ!?」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫です」

 

そう言いながら少しだけおでこを少し押さえる

 

「なら良いですけど。私はこの店の店主のセスイ、セスイ・クリセクトですよ。」

 

そう言って笑いながら微笑む姿はまるで姉のように見えた

 

子供とかにお姉さんって良く言われそう

 

「セスイさん、ですね。アルバイトなんですけどこのアルバイトって何日間ですか?」

 

「一応、七日間を考えてますが……何が不都合がありましたか?」

 

七日、だとしたらお給料を貰えるのも7日後に成るのかな

 

だとしたら7日間は厳しいかな、お金はもう無いし、それにレイトさんに頼るのも申し訳ない

 

異世界、結構厳しいなぁ

 

よし、恥ずかしいし情けないけどお給料を先取り出来ないか相談してみよう

 

「その、実は僕……遠いところから来てお金も住むところも無くて。情けないと思うんですけど報酬のお金を先に頂けないかなって」

 

「そうだったんですか……なら!」

 

そう言ってパンと手を合わせて僕の方を見るセスイさん

 

「良ければ、住み込みで働きませんか?依頼を終えてからも内で働いてくれるなら、一部屋余ってるのでそれをお貸ししますよ?」

 

「え!良いんですか!?助かります……でも、僕男ですし色々とダメなんじゃ……」

 

「あらあらウフフ!私に手を出すつもりであるのかしら?」

 

「そ、そんな事は無いですよ!?」

 

「あら、私には魅力が無いの?」

 

そう言ってシュンと悲しそうな顔をするセスイさん

 

「い、いや!?そんな事は無いですよ!髪も綺麗ですし、優しいですし!」

 

「ウフフ、ありがとう。それじゃあ早速ユースケさんのお部屋に案内しないとね」

 

「は、はい!」

 

少し遊ばれた気がするよ………

 

でも、住み込みとはいえ仕事と宿を手に入れられた

 

セスイさんには足を向けて寝られないな

 

そう思いながらセスイさんに付いて歩いていくと店の奥には、家と思われる部分に付いた

 

「店の奥は私の生活しているスペースなの、貴方の部屋は」

 

そう言ってセスイさんが部屋の奥にある部屋を開けて中に入るのに続いて中に入る

 

そこは窓が付いていて椅子と机がある部屋だった

 

「この部屋を使って。ベットは無いけど、毛布の予備があったからとりあえず今日はそれを使って。後で必要な物を買いに行きましょう」

 

「え、そこまでしていただかなくても……」

 

「駄目よ。もうあなたは店の店員なんだから、しっかりと働いて貰うためにはしっかりとした環境が必要でしょ?」

 

そう言って微笑むセスイさん

 

「本当に、ありがとうございます!」

 

そう言って頭を下げる

 

「ウフフ、どういたしまして!」

 

こうして、僕はセスイさんの『カフェ・シティアーナ』と言うカフェで住み込みで働くことになった

 

どうにか異世界で生活していくことが出来そうで良かった

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆

 

 

 

 

 

 

 

セスイさんの所で働き、七日間が過ぎた

 

カフェでのアルバイトは頼まれたメニューを素早くメモしたりテーブル席への案内をしたり

 

注文された食べ物や飲み物を運んだりと、前世のアルバイトとかと余り変わらない物だった

 

カフェ・シティアーナは結構人気でお昼になると沢山の人が冒険者の人がご飯を食べに来たり、午後だと奥様方がお茶を飲みに来たり

 

結構忙しかったけど、楽しかった

 

セスイさんは朝と昼と夜のご飯を賄いとして出してくれる

 

この世界ではパンが主食のようで、米派の僕としては少しお米が食べたいと思ってしまう今日この頃

 

冒険者ギルドへの報告も終わり僕はセスイさんと共に買い出しに来ていた

 

七日間のアルバイトのお給料として5万エスを頂いたので、そのお金で家具を購入しようと思ったんだけど

 

セスイさんが『そのお金は自分の好きな物を買うのに使いなさい。ベッド代は私が出して上げるから』とそう言ってくれ、ありがたいことに5万エスは僕の好きなことに使えることになってしまった

 

前世とこの世界のお金の違いはこの世界だとお札が無くて硬貨だけで物の売買をしていることだろうか

 

とりあえずセスイさんがベットを家に運んで貰う為の道案内をするために職人さんと帰っていった

 

とりあえず色々な屋台を見て歩く

 

家具のベットらもう大丈夫だとして、服は今来ているやつ以外に接客用の服しか無いから何着か買っておいた方が良いかな?

 

他にもいつまでも賄いに頼っていたら駄目だし、ある程度は貯金してお金を貯めようかな

 

そんな事を考えながら歩いているといつの間にか少し薄暗い感じの通りを歩いていた

 

「あれ!?ここ何処!?」

 

思わず、辺りを見回して目に入ったのは檻に入れられ首に首輪をした人たちだった

 

もしかしてセスイさんの言ってた奴隷売場に来ちゃった!?

 

この世界だと、よく異世界で聞く奴隷制度があるようで、お金を借りて払えなかったり、罪を犯した人が奴隷になるらしい

 

奴隷は所によっては自分の売値分の働きをすれば自由になる契約をするところもあるらしい

 

でも、売場に出される奴隷はあくまでも生きることが出来ているだけで薄汚れている服を着ていることも当たり前

 

正直、三食の食事を出されているかも怪しいところだ

 

正直、この町の人々は優しい人が多い

 

だからこそ、アニメとかでよくある奴隷の虐待を見ることはなかった

 

でも、ここではない何処かで虐待を受けている

 

そう思うとなにも出来ない自分が酷く無力に感じた

 

そんな事を考えながら、どうにかこの場所から抜け出そうと道を歩いていると

 

「どうですかお兄さん、安くしときますよ?」

 

そう言って両手を揉むようにしながら三十代位の男性が店から出て呼び止めてきた

 

「す、すいません!僕はお金が余り無いので」

 

奴隷がいくらぐらいするのか分からないが、そんな事にお金を使ったらセスイさんに怒られる

 

ただでさえ住み込みで働いている立場なのに

 

そう言ってそのままどうにか帰ろうとしたその時だった

 

「にゃぁぁぁあー!?も、もしかしてお、()()()()ッー!?」

 

「え?」

 

檻の方から猫のような叫び声が聞こえ、檻の方を見ると猫耳と尻尾が生えていて白髪で少し痩せこけた幼い感じの子が僕の方を指差していた

 

え?大空くん?今、彼女はそう言ったのか?

 

僕の事をしる人はこの世界にはいないはず、それにこっちでは珍しい大空と言う名字

 

「うるさいぞ、そこの奴隷!」

 

「ねぇ!私を買って!お願いだから!!」

 

そう言って檻の間から顔を出して必死に頼み込む獣人、確かにこの世界だと亜人族っていうんだっけ?

 

亜人族の子が話しかけてくる

 

「な、なんで僕の名前……それに君は?」

 

そう言うと亜人族の子がよくぞ聞いてくれましたと言った風に一度檻から離れると両手を猫の手にして猫のようなポーズを取る

 

「ご主人のみんなこんにゃんにゃー!バーチャルライバーの猫又 白奈(ねこまた しろな)だよー!!」

 

「……………え」

 

なんか、良く前世の動画サイトとか人気だったVT○berのようなセリフが飛び出てきた

 

「………………」

 

思わずポカンとしてしまうと、その白奈と名乗った女の子は段々と真っ白な顔を赤く染めていく

 

「うぅ、な、なんか言ってよ!?」

 

「え、いやその……ごめん、君って誰?」

 

「私だよ!って言っても体も性格も変わったから分からないか、小野寺 奈那(おのでら なな)だよ、クラスメイトの!!」

 

そう言われ頭に浮かぶのはクラスで凄く大人しいメガネを掛けた内気な女の子。

 

「え、えぇ!?あの小野寺さん!?なんで小野寺さんがここに!?」

 

「思い出してくれた?説明したいけど、取り敢えず大空くん、私を買ってよ!お願い!役に立つから!!」

 

「な、なんで僕に……あんまり僕ら話したことも無いのに」

 

「他の誰かの奴隷になるよりは知り合いに引き取って貰った方が良いの!だからお願い、私を買って!!」

 

そ、そんな事を言われても僕の手持ちは少ない

 

セスイさんの話だと奴隷ってかなりするって聞いてるし

 

「あの、この子っていくらなんですか?」

 

いくら元々はクラスメイトとは言え人をお金で買うのに少しだけ抵抗を感じた

 

「すいませんお客様。えっとこの子ですと、4万2000エスとなりますが」

 

4万2000エス、ギリギリ買える

 

ふと小野寺さんを見る

 

まるでデパートで迷子になった子供が親を見つけた時のような表情の小野寺さんに、断るのは凄く罪悪感を感じる

 

幸いに今僕の手持ちだと彼女を購入できる

 

なにより、イクスに憧れた僕が助けを求めてきた女の子一人救えないのは駄目だと

 

そう感じた僕は、決意した

 

「か、買います」

 

「そうですか!ならどうぞ店内へ」

 

お店の人に言われ、中に通されるとテーブルを挟むように設置されあソファのある部屋に通された

 

「ささ、お座りください。只今お茶をご用意します」

 

そう言われるがままソファに座ると、三十代位の男性の店員さんが向かい側に座る

 

すると部屋にメイド服を来た女の人がトレーに乗っているソーサーに乗ったお茶の入ったカップを二つテーブルに置くと頭を下げて部屋を出ていった

 

「名乗り遅れましたが私は奴隷商人のジョズと申します。それでは、お客様。まずお客様は奴隷を購入なされたことは?」

 

「な、無いです」

 

「それでは、幾つか主従契約について説明させて頂きます」

 

「はい」

 

「まず、お客様。奴隷には『自信の値打ち分働いたら奴隷から解放することが出来る』と言う契約を施します。首輪に主従を繋ぐ契約魔法を施すのですが、主からこの場合はお客様の合意で解放する事も出来ます。ですが、それには1万エス程頂きます」

 

ま、魔法か

 

まさか異世界で自分から使う魔法が奴隷契約だなんて思わなかったなぁ

 

取り敢えずここを出たら小野寺さんと相談しよう

 

奴隷なんて早く抜け出したいはずだ

 

小野寺さんも余り中が良くない僕とずっと一緒は嫌だろうし

 

「また、奴隷は人ではなく所有物となります。そして奴隷への命令を必ず実行させる解約も施されております、自信の命に関わる命令でさえも。さて、こちらの奴隷契約書にお名前を記入して頂きます」

 

「はい」

 

奴隷契約書と羽ペンを受け取り、契約書の方を確認すると、先ほど説明された

 

値打ち分働いたら奴隷から解放する事が出来る

 

上記出はない場合の奴隷からの解放は1万エス払う必要がある

 

奴隷は主人の命令に逆らえない

 

主従契約の魔法を施す事が書かれ、西後の欄には名前を書くところがあった

 

上には先ほど小野寺さんの名乗った名前が『シロナ・ネコマタ』と異世界風にサインされてある

 

筆ペンは使ったことがあるけど、羽ペンって始めてだな

 

そう思いながら羽ペンで名前の欄にサインをする

 

「はい、これで契約の準備が整いました。次に奴隷との主従契約に映ります。少々お待ちを」

 

そう言ってジョズさんが出ていき部屋に残された僕は取り敢えず出されたお茶を飲むことにした

 

カップに注がれた紅茶は正直いうと美味しいか不味いかは分からないけど

 

取り敢えず一口でも飲んでおいた方が良いだろう

 

飲んでみると、普通の紅茶の味がした

 

家って言うと変だけど、セスイさんの入れたお茶の方が美味しい気がする

 

そんな事を考えながらカップをソーサーに戻す

 

「お待たせしました、お客様」

 

そう言ってジョズさんは首輪をしてシンプルな白いワンピースを来た小野寺さんを連れて来た

 

「これより、主従契約の魔法を施しますのでお客様。こちらへ」

 

ジョズさんの言うとおりに小野寺さんと向かい合うように立つ

 

「シロナ・ネコマタの首輪に触れ、お客様の名前を唱えて頂ければ契約完了となります」

 

「わ、分かりました」

 

片膝を付いて小野寺さんの首もとに付けられた首輪に触れる

 

「名前ですよね?ユースケ・オオゾラ」

 

そう唱えると、首輪が薄く発行し小さな魔方陣のような物が浮かび上がると直ぐに戻った

 

「これにて奴隷契約、購入は終了となります。それではお客様、4万2000エスの方を」

 

「は、はい。どうぞ」

 

そう言ってジョズさんに4万2000エスを払う

 

「ありがとうございました、奴隷購入の際は是々非々うちへ」

 

そう言って見送られ、店の外に小野寺さんと出る

 

「はぁ、助かったにゃんよ大空くん」

 

そう言って身長的に上目ずかい笑う小野寺さんを見ると、お金を一気に使ってしまったことはどうでもよくなる

 

小野寺さんを笑顔に出来てよかった

 

「う、うん。でも、この後はどうするの?奴隷解放は少なくとも来月のお給料まで待って貰わないと」

 

「え?別に冒険者として稼ぐにゃよ、こう見えて私強いからね!」

 

「そ、そうなんだ」

 

そう言いながら軽くナイフを振るうような動きをする小野寺さん

 

「最低限、ナイフと靴さえあれば簡単な依頼こなして稼げるし」

 

「そ、そっか。それじゃあ、はい」

 

「ん?」

 

そう言いながら歩きだそうとして、ふと小野寺さんが裸足である事に気付いた

 

考えて見れば、さっき見た奴隷の人たちも服しか着てなかったな

 

そう思いながら、しゃがんで小野寺さんに背中を向ける

 

「えっと、にゃに?」

 

「いや、おんぶだけど………裸足だと歩くとき痛いと思って」

 

「そう?ならありがたく」

 

そう言いながら背中に乗ってに手を回して貰い落ちないようにして立ち上がる

 

職業体験で保育所に言った時の事を思い出すな、小さい子達がおんぶやだっこをせがんできて大変だったんだよなぁ

 

そう思いながら、恐らくはこの道の出口と思われる方へと歩きだす

 

「ハッ!?言っとくけど、いくら奴隷になったからって貴方のヒロインにはならないからにゃ!!」

 

「えっと…………小野寺さん、僕たちただのクラスメイトだよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆

 

 

 

 

 

 

奴隷売場を抜け出した僕は、カフェ『シティアーナ』に帰ってきていた

 

そんな僕を迎えたのは、凄い笑顔を浮かべたセスイさんだった

 

そして店の中で床に正座させられています

 

セスイの後ろには小野寺さんが気まずそうにカフェの椅子に座っている

 

「ユースケくん、確かに私は好きなものを買ってきなさいとは言ったわ。」

 

「は、はい……」

 

「だからと言って………だからと言って奴隷を買ってくるとかなに考えてるの!?しかもこんな小さい女の子を!?」

 

「ほ、本当にごめんなさい!!」

 

そう言って怒る普段の穏やかさでは考えられないほどの表情を浮かべたセスイさんに僕は必死に頭を下げたのだった

 

「私、これでも13にゃんですけど………」

 

 

 

 







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