いんでぃぺんでんと幻想郷   作:まやしま

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「…うーん、晴れてるのに風が強いから肌寒いわね。
何だか、阿求ちゃんが来てほしいっていうから、
人間の里まで来たんだけど…面倒くさいわねぇ」

「よぉ、霊夢じゃないか」

「魔理沙、今日は何をしてるの?」

「香霖の所で鍋料理を作るんだ。今日は寒いからな、
今から美宵ちゃんのお店に行って
食材を貰おうとしていたところだ」

「あら、そう」

「霊夢は何をしてるんだ?」

「阿求ちゃんに呼ばれたのよ。何だか知らないけど」

「ふーん、変な事が起きてないといいな」

「そうね、じゃあ行ってくるから。またね」

「おう、またな。霊夢」



巻ノ1

                ----幻想郷創設趣意書----

 真面目ナル農民ノ労働及妖怪ノ生命ヲ最高度ニ発展セシムベキ自由闊達ニシテ愉快ナル理想郷ノ創設。

 

 

 

 

「ちょっと雨強くなってきたな。田んぼが心配だ」

初老の男はずぶ濡れになりながら水田へ向かう。

 

―――明治10年。平和に暮らしていた村で突然奇妙な出来事が起こった。

 

 畑に向かう道の途中で夥しい数の妖怪が跋扈していたのである。

 妖怪たちは男に向かって一言告げると消え去った。何が起きたんだ…?

 村に住んでいる人達は誰も信じなかった。

 

 多分畑仕事で疲れてるから幻でも見たんだ。今日はもう帰って寝ろ。

 ゆっくり休んでもお天道様はバチなんて与えねぇ。

 

 確かにそうだ。

 …何も間違っていなかった。

 胸に違和感が残るまま。

 

 妖怪は宣言した。

 

 

 

             ―――今日からこの村は私たちの物だ―――

 

 

 

 

 

 

 

               ----いんでぃぺんでんと幻想郷----

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、人間たちは外に集まって何かの集会をしていた。

 

 おじいさんが今朝からいないのだという。

どこに行ったんだか。ボケてどっかに散歩しに行ったんじゃないか?

 一緒に暮らしてきたおばあさんは物凄く不安になっている。「確かに外に歩く事はあったんだけど、まだボケてなかったはずだよ…」

 

「連れて来る!」大声を出したおじいさんの息子は

村の男を連れて探し回った。

 

 

 この村は、中心部に大きく囲う様に柵があり、出入りは1か所。常に誰かしらの門番がいるようにルールを作っている。ここまで大事になるのであれば、門から出ているだろう。

 しかし、夜に門番をしていた者は自分がいる間は誰も出入りをしていなかったという。その前に夕方に門番をしていた者も同じことを話した。

 そうなると、まだ村にいるだろうか。村の中を必死に探した。

 

 

「じいさーん!どこだー!?」……。

 

 しかし、夜になってもおじいさんは見つからなかった。捜索は一時打ち切られた。

 

「こりゃまずいな」みんながそう慌てふためく。

でもどうしようもない。明日からまた探すべ。そうして一日は終わった。

 

 

 次の日、今度はおじいさんと暮らしていたおばあさんがいなくなっていた。

どういうことだ? 朝早くから探しに行ったのか?

大変な事になってきたな。今からみんなで探さないと。

 

村中で捜索が始まった。おじいさんもおばあさんもいなくなった。

村のある男は言った。

 

「あっちの坂を上った所にある神社の巫女さんに聞いてみるか」

一縷の望みを掛け、捜索班は神社へと向かった。

 

 

「おーい、巫女さんいるか?」奥から女性が歩いてくる。

 

「何か私に用ですか?」 

 

「村のじいさんとばあさんがいなくなったんだ、何か知らないか?」

「いえ、わかりません"」

「そしたら神様は知ってるか聞いてくれないか?」

「かしこまりました。皆さんはここで待っていてください。」 巫女は奥の間へ行った。

 

 

――――

 

 

半刻ほど経った後、巫女さんはげっそりした顔をして戻ってきた。

「おい大丈夫か?何かあったのか?」

「はい…。皆さん、落ち着いて聞いてください。」

 

「―――村の人間は巫女を含め近い内に全員死ぬだろう。侵略者によって女子供関係なく殺される。そして私もそう長くは持たない。」

 

「なんだって…嘘だろ…」ざわざわ…

「静かにしなさい!」 「!。…」

「…一旦落ち着きましょう。このお告げには続きがあります。これを行う事で回避できる可能性があるそうです。」

「なんだってんだ?」

 

「"皆で立ち向かえ。やがて、ある少女が全てを救うだろう" そう神様は仰りました。この意味は私もわかりません。」

 

 

大規模な集会が始まった。「殺されるなんて信じられん!」「神様がいなくなる?何が起きてんだ!?」

「でも、じいさんばあさんがいなくなった事と関係あるかもしれない…。」「下手したら明日も誰かいなくなるぞ!」

「いやいや、これはボケた年寄りがどっかに行って、それを探しに行った年寄りがいなくなっただけだ!問題ねぇ。巫女さんの言葉も嘘にちげぇねえ」

「でも…もし子供がいなくなったらどうする?」「…」

 

「よし!夜中に起きる人ど朝起きる人ば分けよう!そうすればいなくなるなんて事はねぇ!」

「そうだな!そしたら、今から男どもの半分は朝まで起きて見張ってるぞ!」

 

 その日、外は朝まで火が灯っていた。変な影も見えなかった。

よし、今日は誰も家から出てないな!

 みんなは確信していた。これはたまたま続いて起きたことだと。

しかし…

 

 

「うちの娘がいねぇ!!!どごに行ったんだ!!!」

ある家から叫び声と共に朝まで警備していた男衆に娘の母親と思われる女性が駆けつけてきた。

 

「寝る時は一緒だったのに…私が起きたら布団からいなくなってたんだ!!………ぅぅ………」

「落ちつけ!まず座って水飲んでから話してくれ…」

 

 

「…すまないね。うちの娘は誰に対しても正直で、誰かが困ってると助けてくれるんだ…。優しい子なんだあの子は…。

私に気づかれない様にじいさんとばあさんを探しに行ったんかな…ぅぅ…ぅ…」

「大変だったな…。俺が見つけてやるからよ、家で待ってろ。」

「…ありがとうな」

 

「そういえば、あの娘はなんて名前だっけか?」

 

 

「―――靈夢っていうんだ。どうにか探してもらえないか?」

「わかった」

 

 

 

 靈夢も結局、見つかることはなかった。

皆が絶望していた。今度は自分が攫われるのではないかと。

 

 今日も集会が行われた。今日は朝まで村の人全員が朝まで起きようという事になった。

反対する者は誰もおらず、村の真ん中に全員が集まっていた。

 

 満月の月明かりで地平線まで見渡せるぐらいに明るい。その時に起こった。

 

『うわぁ!』

いつぞや見た妖怪たちが姿を現したのだ。

皆がひっくり返り、男衆は前に出た。「お前たちは誰だ!!」

 

"あら、忘れちゃった?前も会ったと思うけど"

「あの時いたのはお前か!村の者をどこにやった!?」

"教えてあげるわよ。ただし、条件があるわ。"

「なんだ、その条件ってのは!?」

 

"私がこの村の支配者になる。今からあなた達は全てを受け入れて私の言いなりになるのよ"

「言いなりなんてふざけんな!支配者なんていらねぇ!」

"ふーん。なら、もう1人いや2人…果ては全員がいなくなってもいいのかしら"

「そ、それは…」

 

"今すぐに選びなさい。この村ごと消滅するか、生きるために代償を手に入れるか"

「……………………わかった。今からお前がこの村の支配者だ。だが約束してくれ。今いなくなってる人も含めて殺すことはないと……」

"約束するわ。朝になれば全員が村に戻っているでしょう。では、また逢う日まで。…そうそう、名前を言うのを忘れていたわ。

 

 

私の名前は紫(ゆかり)。八雲紫よ、それじゃあね。"

 

 

………。

 

 

「俺達はどうなるんだ…」「そんなの俺もわからん…」

「"全てを受け入れて"って…あんな事が起きたら受け入れるしかないだろ…!」

 

村の人間は命が戻ってくる喜びとこれからの村の事を考えて、疲れ切っている様子だった。

 

次第に明るくなり…、

 

 

朝。

 

 

「母ちゃん!!」「靈夢!!良かった…生きててくれてよかった…」

「じいさんばあさん!心配したんだぞ!」「そうだったんか」「ごめんねぇ」

 

良かったよかった。

どうにか事態は収束したようだ。表面上は。

 

 

               これから起こる悲劇も知るわけもなく。




始めまして。まやしまと申します。
初めて東方の小説を書かせて頂きました。
作品テーマは、"解放"です。旧作の世界観で作成しています。
作品は大方完成しており、週1の頻度で投稿出来ればと思っております。
長編になるので予めご了承ください。
何卒宜しくお願い致します。

読んで頂きありがとうございます。
次週も投稿しますので宜しくお願い致します。

※この作品は時代背景を考慮して作成しております。
その為、現代では倫理的に不適切な発言が作品内で書かれる可能性がありますが、筆者にはそのような思想はない事をご理解した上で読んで頂けると幸いです。
東方創想話にも作品が掲載されておりますが、この作品は最初に東方創想話に投稿した上で、ハーメルンに投稿させて頂いております。ご了承お願い致します。
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