いんでぃぺんでんと幻想郷   作:まやしま

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いつもありがとうございます。まやしまです。

たくさんの方に読んで頂き幸いです。
全15話で完結させる予定ですので、
気長によろしくお願いいたします。

今回も何卒宜しくお願い致します。


巻ノ11

靈夢は落ち着かない。

 

 

「喋る亀なんて…この世にいたんだ…

神社って、そういうのを扱ってるところなの…?」

 

「違うわよ!この亀は昔から神社の池におわす"玄"様よ。喋った事なんて一度もないわ」

巫女も落ち着いていない。

 

「落ち着きなされ、巫女様、靈夢様」

『落ち着けますか!』

 

「やれやれ」

二人が興奮しながらも言葉数が少なくなるまで

少し時間を置いてから話を始めた。

「では、よろしいですかな」

 

「申し遅れました、私の名前は"玄"と申します。

私は、この博麗神社が創設され、初代巫女様が任に就きましてから現在まで神社の池から見守っていただけの

ただの亀でございます。

 

この名も、初代巫女様が名付けたものでございます。

こうやって、意図を伝える事が出来るようになったのは巫女様の力に違いありません。先ほど、何かなされましたかな?」

 

段々冷静さを取り戻してきた巫女は、やっと亀に対して丁寧に対応する。

「…えぇ。私は靈夢というこの娘に力を与え、次代の巫女としての権限を与えようとしていたところでございます」

「ええ、存じ上げております。しかし、靈夢様には巫女様のちからが与えられなかった…。

そして、私が巫女様に対して意思疎通出来る手段を手に入れた。

ここから導かれる私の勘は、現在靈夢様には巫女様の力が与えられていないようです。

そして、私に力が与えられた」

 

「勘も受け継がれているのね」

「靈夢様の仰るとおりかもしれません」

 

巫女は結末が分かったかのように質問する。

「という事は、継承は既に終わってしまった…という事でしょうか?」

 

「左様。私が博麗の力を継承したことになります」

 

結末は分かっていても焦ってしまう。

「それでは、あの妖怪を倒すことは叶いません!あの妖怪を倒すには靈夢へ正式に博麗の力を

継承する必要があるのです。玄様、私はもう一度儀式を行わさせて頂きます」

 

「落ち着いてください。巫女様が次代の巫女に力を与える事が出来るのは、一度きりでございます」

 

焦る巫女の代わりに靈夢が訊く。

「そうしたら、あの妖怪はもう倒すことは出来ないの?」

 

「いえ、そうではありません。一度きりというのは何事もなく博麗の力が継承されるという条件に置いてのみ、です」

玄は遠い目で口を開ける。

 

「そう。もう一度力を与える事は可能ですが…、命の保証はできません」

「そんな…!」

言葉には悲しみしか含まれていなかった。

 

(靈夢は悲しい表情をしている。先程の儀式で継承できなかった事に対して自責を感じているのだろう)

巫女は靈夢の方を抑えて優しく語りかける。

「靈夢、気にする必要はありません。貴方が悪いわけではないのです」

「…でも…」

うなだれる。

 

玄も靈夢をなだめる。

「そうです。落ち着いて考える事が大事ですぞ」

「そう言われても…どうすれば」

 

 

「難しい話ではございません。私が力を授けた以上、私が戦えば良いのです」

『え?』

 

唐突な提案に二人の喉から変な音の声が出た。

 

 

「//…理屈としてはそうだけど、貴方には何が出来るの?」

「少なくとも分かっている事は私が空を飛べる事でございます」

 

「空を飛べる…あの妖怪も空を飛んでいる。…なら、戦える!」

思考の迷路から抜け出した様に顔が晴れる。

 

「待って靈夢、そんな簡単な話じゃない。飛ぶだけでは妖怪に絶対に勝てないわ。

勝つには相手に決定的な攻撃を加える必要がある。そんな武器を探さなければいけない」

「確かに、そうよね…」

(言う通りだ。あんな化け物、強い攻撃を与えなきゃ…)

再び思考の迷路に迷い始めた。額を手で抑えながら動けない。

 

そんな靈夢を迷路から引きずり出す様に玄は話す。

 

「そこで提案があるのです。…もしよろしければ、靈夢様のお祓い棒を渡して頂けますでしょうか?」

「?、ええ、いいわよ」

「ありがとうございます。私の目の前に置いてくだされ」

 

本殿の床に置いてあったお祓い棒を拾って、玄の目の前の床に奥。

玄がゆっくり小さな手を伸ばしてお祓い棒を触ると…

 

 

 

             視界が光に包まれた。

 

 

 

『!?』

「さぁ…どうか…」

 

 

 

………

 

 

 

―――光が消えた。

 

「…やっと光が消えたようですね」

『さっきの光は何(なの)?』

靈夢と巫女は玄に訊く。

 

「実のところ私にも存じ上げません。

これは私の経験と勘によるものですが、歴代の巫女は博麗の力を受け継ぐと、

お祓い棒の霊力が著しく上昇します。

そこで、私がお祓い棒に触ることで霊力が上昇しないかと考えたのですが、

恐らく正解かもしれません」

 

『正解?』

二人は更に分からない顔になる。

 

「お祓い棒に力が加わったという事です。仮に妖怪を倒すことが出来る力であるなら、

私に触れた道具は全て妖怪に対抗できる手段となります」

 

靈夢には気になる点がある。

「でも、亀さんはお祓い棒を持つことが出来るの?持てないのなら、武器があってもしょうがなくない?」

「そのために、靈夢様のお力が必要なのです。あと、私の名前は玄でございます」

 

巫女は気になる。

「私は戦えないの?」

「言いづらいですが…左様でございます。

巫女様と比べる事は抵抗がありますが、靈夢様には内にとても大きな力を秘めています。そう感じるのです。

これも私の勘なのですが、靈夢様なら私の霊力による武器を持ち続けても霊力が亡くならないだろうと、

そう思います」

 

靈夢は難しい言葉ばかりで疲れたからか、

イライラし始めた。

 

 

「ああ、もう面倒ね!要するに亀さんが物に触れば武器になるんでしょ?んで、私がその武器持って戦うと。

なら、じゃんじゃん作りましょ!」

 

 

「体力が続く程度にお願い致します…」

 

靈夢と巫女は様々な道具を玄に持たせ、力を加えさせようとした。

しかし、ほとんどの道具は光る事が無かった。

 

唯一…

「これだけね」

 

 

「お札と陰陽玉…。このお札で遠距離攻撃出来るわね。陰陽玉…は、いいかそのままで」

物足りない。

 

靈夢はお札をポケットに入れ、陰陽玉を叩く。早速リストラ。

メノウで出来た大きな玉は硬いし重いしで持てたものではなかった。

 

玄は深々と頭を下げる。

「お役に立てず、申し訳ございません」

「何を仰るのです。この能力は玄様しか使えないのだから誇るべきです」

 

巫女に追随する。

「そうよ、妖怪を倒すには貴方が必要よ」

「勿体なきお言葉、恐悦至極でございます」

 

ふと、靈夢は顎に指を抑え、考えている様な表情をしながら玄を見る。

「固いわね、もっと友達と話す感じで喋ったらどう?」

「はあ…。いえ、まだ慣れていないものですから」

少し考える。

 

…。

 

ひらめいたのか、頷く仕草をした。

 

「なら、私が友達のように話せばいいのね!じゃあよろしく!玄爺」

「玄爺…」

 

困惑している。意思疎通が出来るようになったばかりの生き物なんて

上手く会話できるはずがないだろう…。

 

(でも、やっと名前を呼んでくださった。

次代の巫女は凄い方です。玄爺と呼ばれるのは初めてでございます)

 

 

"ふぅん。まさか対妖怪の武器を作ってしまうなんてね。亀に力が与えられるのだもん、気付けなかったわ"

 

『!?』

 

「靈夢様、巫女様、お気を付けください!」

玄は二人を守るように前に出る。

 

"ちょうど寝起きだから眠いんだけどぉ。パトロールを日課にしてて良かったわ。靈夢…ねぇ、へぇ…"

 

「な、何よ」

"何でもないわよ。でも、貴方に力が与えられなくて良かったわ。私の体が呼んでいる。貴方は危ない存在って"

(危ない存在…)

 

巫女に言われた言葉と重なる。

 

[貴方じゃないとダメ]

私は何か特別な存在?巫女様はおだてて仰ったわけではない…?

 

靈夢が考え込むと、それを見透かすかの様に紫が話す。

"まあ、このままなら誰にもやられる事もないし、ゆっくりしちゃおっかなぁ"

 

 

         ―――私のおうち、人間園でも見ながら―――

 

『…』

靈夢、巫女、玄の三人は戦慄した。

 

「な、何よそれ…」

恐る恐る靈夢は尋ねる。

 

"文字通りの意味よ。貴方も覗いてみる?"

 

紫は楕円をなぞる様に手を動かすと、なぞった跡に合わせて黒い空間を発生させた。

 

"面白いわよ。もうちょっと大きくしたほうが見えるかしら?"

すると、黒い空間を大きくさせる。

その空間の中は外の様に明るい。

 

「…なんか、見たことある風景…」

靈夢の緊張は頂点に達した。

 

その風景の中に黒い服を来た子どもの姿が見えてくる…

「!!………ぇ…!?」

 

靈夢は声を失う。

それもおかしくはない。

 

 

魔梨沙達がある家の庭にいる様子が映っていたのだった。

靈夢は思い出していた。

 

 

      ―――ここって、私が小さいときに連れて行かれた場所―――

 

 

「!。おい、靈夢!そこにいるのか!?」

魔梨沙が靈夢に気付いた。お互いの姿は見えるらしい。

 

「魔梨沙!何があったの!?」

「私も聞きたいよ!家の中で皆が一斉に眠くなって、

気が付いたらこんなところにいたんだよ!」

 

「靈夢!大丈夫かい!?」

「お母さん!!」

大切な人がそこにいた。

 

魔梨沙から見ると空にいる靈夢に大声で現状を伝えようとする。

 

「怖い…」

霖之助は知らない場所で周りをキョロキョロしながら体を狭めている。

 

「私だけなら良いんだけど…この子たちがいるってなると…」

靈夢の母はあまり怖がっていないようだ。むしろ、二人の心配をしている。

 

 

三人は閉じ込められていた。

 

 

「紫!あんた一体何をしたの!?」

 

緊張と仲間が危険な目にあっている不安。

紫に怒りをぶつけるしかない。

 

"何をした、って、この通りじゃない。私の家に遊びに来てもらっただけよ。私も寂しいのよ、家族三人だけだから"

 

「靈夢!こんな奴の話なんて気にするな!私達はなんとかする!」

「でも…」

「こっちの事は任せろ!お前にしかできない事があるだろ!」

大声で叫ぶ魔梨沙に対して靈夢は一度深呼吸する。

息を吐き切り、口を開ける。

 

「…分かったわ」

 

不安ながらも魔梨沙を信じる。

 

"あの子達は優しいのね。涙が出ちゃうわ"

目に手を添えている紫を靈夢は睨めつける。

「嘘ばっかり。下手な芝居はやめてくれない?」

 

すぐに目から手を離す。

"なら、そろそろお芝居もやめようかしら"

 

すると、周囲に強い波動が流れた。靈夢は何とか踏ん張って立っていた。

 

「!?。くっ!」

 

「靈夢様!早く!」

玄は甲羅に乗ることを急かす。

 

「分かったわ!」

靈夢は玄のいる場所まで走り、うつ伏せの形で甲羅へしがみつく。

 

「いきましょう!!」

 

 

―――――――――

 

 

「さて、ここからどうする?」

 

魔梨沙、霖之助、靈夢の母は紫の家と呼ばれる建物に軟禁されていた。

 

「出口を探さなきゃいけないけど、何のヒントもないね。まず家の中をひたすら物色してみようか」

「こーりんとは思えない発言だな…。てか、さっきまで怖がってたのは何だったんだ…」

眉間にシワを寄せて呼吸が少し浅い。

 

「僕はこういう気味悪い所が嫌いなんだ」

霖之助はまだ少しキョロキョロしている。

 

「話を戻すけど、この家を物色するしか脱出する方法は見つからないと思うよ」

そう提案する。

 

「そうだな。物色するか」

 

「魔梨沙ちゃん、私に出来る事はあるかい?」

靈夢の母は申し訳無さそうに二人に訊く。

 

「靈夢の母さんは、食材があったらごはんを作ってほしい。皆お腹減っているだろうし」

「そうですね。僕からもお願いします、お母さん」

 

「よし!じゃあ、腕を振るってくるよ!」

顔に笑顔が戻る。魔梨沙と霖之助もつられて笑顔になる。

 

「ちょっと、霖之助君。お母さんじゃなくて"靈夢の"お母さんだから、そこはよろしくね」

「は、はい…」

霖之助の笑顔は口角が上がって引きつっている。

 

靈夢の母は台所へ向かった。

 

「よし、こーりん、行こうぜ」

「あ、あぁ…そうだね」

「気にするなって、親なんてあんなもんさ」

「…そうかもね」

 

二人も家の中を歩き始めた。

 

2人は家の中をひたすら駆け巡って、脱出のヒントになるものを探す。

しかし、中々見つからなかった。

 

「こーりん?なんかいいの見つかったか?」

別の部屋にいる二人はお互いに向けて声を張る。

「こっちにはないよ!魔梨沙は?」

「こちらもさっぱりさ」

「よし、じゃあ、別の部屋を―――」

 

 

「キャアアア!!」

 

 

『!?』

台所から靈夢の母の叫び声が聞こえる。

 

「どうした!?」

「今行きます!」

二人は台所へ急ぐ。

 

「お母さん!大丈夫で―――」

 

「動くな」

『!』

 

台所に向かった二人の前に狐の尻尾と耳を持った獣が立ちはだかっていた。

獣といっても、二足で直立し、人間の言葉を話せるようだ。

 

「私は紫様の手下である藍と申す。お前たちの仲間を捕まえた。返してほしくばお前たちが持っているあらゆる道具をその場に置け」

「くっ…」

《新しい妖怪!?聞いてないそんなの!!》

二人は新しい敵に困惑を隠せなかった。

 

「魔梨沙ちゃん、霖之助君!あたしの事はいいから!!早く逃げな!!」

靈夢の母が縄で縛られている。

 

「だめだ!貴方を置いて逃げる事なんて出来ない!」

「くそっ。ここまで全て練られてたっていうのかよ!!

このままじゃ私は何も出来ずに…妖怪にやられて…村も救えなくて…くそぉ…っ…」

 

魔梨沙は膝を床に付け、頭を垂れている。

すると、霖之助は魔梨沙の前に立った。

 

「僕は逃げないよ」

 

「こーりん!」

「あの御仁を殺したいなら僕を先に殺せ。僕はそんなにやわじゃない」

霖之助は藍を睨みつける。

 

「ほう、面白い。ならお前が今から人質だ。お前を殺してからあの女を殺すとするか。お前、こっちだ」

藍は霖之助の腕を力付くで引っ張り、逃げられないように押さえつける。

 

「くっ!」

「こーりん!」

 

「約束だ、こいつは自由にしてやろう。だが、すぐに死ぬことになるがな!」

 

靈夢の母に縛られていた縄は緩まり、自由になる。

しかし、逃げるどころか藍に近付く。

「霖之助君!」

 

「!?。母さん!近づいちゃだめだ!」

「替わりな!霖之助君がすることじゃないよ!」

 

「お前の代わりにこの男が人質になったんだ。感謝したらどうだ」

「感謝はしてるさ!でもね、そんなの子どものする事じゃないんだよ!」

感情が昂ぶって涙を流している。

 

「大丈夫だよ。心配しないで」

「霖之助君…。そうかい、信じるよ」

靈夢の母は藍から距離を取る。

 

すると、霖之助は魔梨沙に目線を向けた。

 

「魔梨沙、僕は君を信じている!八卦炉の本当の力を出せる者であることを!」

「…こーりん?何を言ってるんだ?本当の力?」

唐突に告げられた言葉に魔梨沙はわけも分からずにいる。

 

「そうだ!八卦炉の本当の力は人一人退ける程度の力じゃない!化け物なんて粉々さ!」

初めて聞いた話に魔梨沙はすぐに応答する。

「それはどうやるんだ!?」

 

「信じればいいんだ!魔梨沙、自分を信じろ!そうすれば必ず八卦炉が答えてくれる!」

「人間が戯言ばかり…早めに殺すべきか…」

藍は霖之助を訝しむ。

 

(自分を信じるなんて、そんなの…)

認めるのが怖い。魔梨沙は自分の事をよく知らないのだ。

本を呼んできただけの自分を認めてもいいのか…。

 

「君は本を沢山読んだだけの子じゃない!誰に対しても平等に優しく接する。

君の良い所の一つだ。僕はそう思っている!」

 

「…」

 

「僕は僕自信を信じている。そして、僕自身と同じくらい君を信じている!だから、僕を信じてくれ!

それが出来るなら自分自身を信じることが出来るはずだ!」

「こーりん…」

 

(そうだ、少なくともこーりんは私を信じていてくれている。そして私の事を知っている…。

そんなこーりんを助けたい、大切な友達を!)

 

「そうか…そういう事か。ありがとう、こーりん!私はこーりんも私自身も信じる!

まだやれる!皆を救うんだ。皆を!!」

 

(そうだ、魔梨沙。その意気だ!)

 

ズゥゥン!!

 

(!?。力が!)

ポケットの中に入っている八卦炉が振動している。今にも暴れたそうに。

魔梨沙はポケットから八卦炉を取り出す。

「八卦炉が光っている。これが本当の力…」

 

「貴様、まだ武器を持っていたか!ならお望み通りこの男から殺すとしようか!」

「くっ!……」

藍は霖之助に手を上げる。

 

「させないぜ!喰らえ!」

 

仲間との信頼により生まれる魔法―――

 

 

 

          ―――「マスタースパーク!!」―――

 

 

 

台所に極太の光線が出現した。八卦炉から出現した光の行き先は化け物狐の顔面。

 

「!?。がぁあああ!!!」

 

藍の顔面に直接当たる。顔面は焼け爛れていた。

「お、お前ら…くそぉ…」

 

藍は倒れた。

 

「や、やった…」

霖之助の体は震えている。

 

「わ、私…妖怪を、…殺してしまったのか?」

魔梨沙の体も震えている。

 

狐の妖怪は動かない。

 

「そのおかげで僕と靈夢のお母さんが助かったんだ。君には感謝しかない。ありがとう」

「…」

「私もよ、ありがとう魔梨沙ちゃん」

 

「………どういたしまして」

(私の方こそ感謝してるよ。二人とも)

 

帽子で赤い顔を隠す。魔梨沙は恥ずかしくて感謝の気持ちが伝えられない。

 

「そうだ!魔梨沙ちゃん、良い事思いついた!」

「何だ?靈夢の母ちゃん」

話題を変えようと質問を当てる。

 

「さっきのもう一回撃てる?あそこの隙間みたいなところに撃っちゃいましょ!家に戻れるかもしれないわ」

「あー、それやってなかったな。一度やってみるか。これってもう一回撃てるのか?」

「撃てるさ、だがそれにはこのアイテムが必要さ」

霖之助は魔梨沙に小さな金属を持たせる。

 

「…何だこれ?」

「これを一つ使うことで一回はあの技を使うことが出来るだろう。話は後でする」

「そうかい。私はこーりんを信じているからありがたく使わせて貰うよ」

小さな金属をなくさないようにポケットに閉まった。

 

「僕も靈夢のお母さんと考えに賛成だ。あの隙間の様な空間にさっきの光線をぶつければ物事が上手く行く気がする。

靈夢のお母さんも靈夢と同じくらい勘が鋭いんだ。確実に上手く行くはずさ。魔梨沙、もう一回いけるかい?」

「まあいけるが…」

「霖之助君?感が鋭いってどういう事かな?」

「ひっ…褒め言葉ですよ…」

 

 

魔梨沙はポケットから金属を取り出し、八卦炉の中に充填してると…

 

 

             

 

           ―――「待て!」―――

 

 

『!?』

「また妖怪か!?」

 

「お前らが藍様を傷つけた奴らか!?絶対に許さない!覚悟しろ!」

 

尻尾が2本生えているこれまた二足歩行の妖怪が現れた。耳も生えており、

姿形は猫にそっくりだ。

 

 

「私は藍様の式神、橙だ!これでも喰らえ!」

 

 

橙の体格は小さい。

それ故に、速さを活かして魔梨沙の周りに影分身を作った。どれが本物だか判別が付かない。

 

「くそっ…動きが速い。このままじゃ…!」

「これでおしまいだ!」

 

分身全体で一気に押しかかる。

 

「うわぁっ!!」

魔梨沙は死を覚悟した。

 

しかし、

 

―――キィン!!

 

『!?』

突如、金属音が重なり合った。

 

「大丈夫か!魔梨沙」

「こーりん!?」

「僕が時間を稼ぐ!早くあの技を!」

「あ、ああ!」

 

「藍様を傷付ける奴は絶対に許さないいいい!」

 

橙は霖之助に向かって総出で攻撃している。

橙の動きを見切った霖之助は魔梨沙をかばっていた。新しい武器である剣と共に。

 

「新しい武器も調子良さそうだな!」

「そうさ!魔力を込める時間がなかったから、ただの鉄だが!」

 

橙の爪と剣による金属音が響く。

「邪魔だぁどけえええぇ!!!」

 

魔梨沙は安堵と同時に八卦炉で照準を定める。

目的地は、あの"スキマ"。

上手くいく、そう自分を信じている。

 

「やるぜ!」

魔梨沙の手の中にある八卦炉は光った。

 

「喰らえ!マスタースパーク!」

 

光線は狙った方向へ直線に進んでいった。

光は、人間に軌道なんて見えないが、

人間に見える程度に遅い分、光は非常に強い。

しかし遅いとは言え、並みの人間では避けられない程度の速度で軌道を描いた。

 

伸身の光線は線形となり、"スキマ"に到達。

 

「くらえぇええぇぇえ!!」

 

 

パリィン!!

 

 

ガラスが割れたような音と共に、スキマを通じて世界に新しい光が現出した。

 

「やっぱり正しかった…!」

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

「何!!?」

 

紫の近くのスキマが光り、光線が飛び出した。

予想外の現象に紫は驚きを隠せない。

「人間園が…」

 

 

靈夢は微笑む。

 

長いじゃない、魔梨沙。待ってたわよ―――




読んで頂きありがとうございます。まやしまです。
今回は少し長めでしたが、気に入って頂けると幸いです。

私も亀さんに乗って空を飛んでみたいです。
飛行機に迷惑がかからない様に低空を飛んだほうがいいのでしょうか。

それでは、次回も宜しくお願い致します。

※この作品は時代背景を考慮して作成しております。
その為、現代では倫理的に不適切な発言が作品内で書かれる可能性がありますが、筆者にはそのような思想はない事をご理解した上で読んで頂けると幸いです。
東方創想話にも作品が掲載されておりますが、この作品は最初に東方創想話に投稿した上で、ハーメルンに投稿させて頂いております。ご了承お願い致します。
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