いんでぃぺんでんと幻想郷   作:まやしま

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いつもありがとうございます。まやしまです。

今回も何卒宜しくお願い致します。


巻ノ9

               いんでぃぺんでんと、始まる。

 

 

「…さて、ここからどうする?あの妖怪の事だから俺たちの挙動なんて全て把握しているだろう」

「そうだな、武器なんて作ってたらすぐに殺されるだろうな」

 

「情報収集とか、かな」

「何の情報を収集するんだ?」

「…妖怪の情報…?」

 

「妖怪の情報……!そうか!それだよ霖之助君!」

「?」

 

 

 

「村の近くにある神社へ行ってみよう。巫女さんなら何かわかるかもしれない」

 

 

 

「そういえばいつからか行ってなかったわね。あの宗教に汚染されていないといいけど」

 

「じゃあ、行く人を決めよう。全員で行くのは危険だ」

「そうね。なら、こうしましょう」

 

靈夢は提案する。

「神社に行くのは、私とお父さん、の二人。この家に残るのはお母さんと霖之助君、魔梨沙の三人でどうかしら」

 

「それじゃあ、少ないんじゃないかい?」

「むしろこっちの方がいいだろ。子供を何人も連れていけねぇ」

「そうかい…まぁ、子供の一人や二人見るくらい変わらないさ」

 

「それがいいかもな。私は八卦炉を持ってるし、靈夢はお父さんがいるから大丈夫だろ」

 

「僕もそれでいいと思う。今新しい武器を作ってるんだ。あと、この家も詳しく調べて見たいし」

「お、新しい武器か。八卦炉より強いの期待してるぜ」

「よし!決まりね」

 

早速神社へ行く準備を行う。

「それじゃあ、ご飯作ってるから。気を付けて帰ってきてね」

「行ってきます、お母さん」

 

「気を付けろよ。何かあったらすぐ戻ってこい」

「こっちは僕たちでなんとかするよ」

「ありがとう、魔梨沙、霖之助君」

 

 

 

二人は歩き始めた。平和に向けて。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「靈夢大丈夫か?疲れたら休むぞ」

「平気よ、まだ休憩しなくても大丈夫」

 

 

山の麓にある家から神社に向かう途中、村が見えてくる。

村を越えてまっすぐ進むと次第に坂道になり、階段が見える。そこを登れば神社だ。

 

 

「真っ直ぐ行った方が近いけど、村の出入り口にぶつかるから迂回するか?」

「そうね、人目は避けた方がいいかも。門番もいるし」

 

村の出入り口は一か所のみ。であれば、迂回して外を周って行けば確実に神社にたどり着けるはず。

 

「この村って結構大きいのね」

「山の麓に住んでいた人もこの中にいるからな。村人全員が食べていける田んぼが入ってるんだからでかいだろう」

「っ、臭うわね…」

「好かねぇな、この臭い」

 

村を外から周っている。隙間から村の様子が見える。

「…」

「…変に見る必要はないんだぞ」

「いや、見ないといけない。これからこの村を救うんだから、見なきゃいけない」

 

村の中は血の色に染まり、死臭が漂っていた。死体は土壇場に留まらなかった。

驚いたことに村人は死体を気にしないで生活しているようだった。

枯れている植物も散見された。もしかして、家族全員が恐らく…

 

「これだと、霧雨商会もただじゃ済まないでしょうね…商売なんて出来たもんじゃないわ」

「いや、潰れる事はないだろう。商会を支配する人間が変わるだけで財団としての機能は失われていないはずだ」

「…そうだとするなら、こんなに村が寂れるのは何故?」

 

「支配者が変わったからこそと言えるかもな。むしろ、あの宗教の中だけでビジネスが出来ている。

食べ物を作る人も、店を切り盛りする人も、全員信者だ。そいつらに投資して、金を回すっていうのは、今までと変わらないはずだ。

寂れているように見えるのは、信者ではない人間が見当たらないからだろう」

「…」

 

「靈夢、現実を見るってのは凄い事なんだ。

そこらの人間は、人生の苦しみから逃げようとして、都合のいい言葉に誘われ、空想の中に生きる。

だが、お前は現実を見ている。

 

 

俺が保証する。お前はどんな事があっても幸せに生きていける」

 

 

やがて、村を一周しかける所まで来た。神社へ向かう道はもうすぐ。

 

「良し、このままこの道を進んでいけば…」

 

 

 

      ―――貴方は先程村から出た方ではございませんか。精が出ますね―――

 

 

 

『!!』

(村一周した意味が無くなっちまった…

ここで神社に行くって言ったら何をされるかわからん…)

(お父さん!どうする!?)

(俺に任せろ。汚名返上だ)

 

「神社の近くの田んぼまで…。大変ご苦労様でございます。

あそこは紫様の教えに逆らう逆賊の住処ですからね」

「左様でございまして…」

 

「あれ、そういえばこちらの方は畑しかなかったのですね。すみません、あまり門から動かないものですから。

では、こちらには何を…?」

 

「商会の上の者から畑も調査してくれと言われましてね。被害が田んぼだけでしたが、

畑でも起きたら大変な事になります」

 

 

「そうですか、分かりました。ではお気を付…」

 

 

 

―――「失礼します。私は霧雨商会の者ですが、靈夢様のご家族でしょうか?」

 

 

 

《…嫌な予感がする》

 

 

「弊商会代表のご息女である霧雨魔梨沙様が現在行方不明になっております。

 

 

以前、森近霖之助という少年と靈夢という少女が常に行動をしていた事、

そして、その二人と少女の両親も同時にいなくなっている事から、何か関係があるのではないかと考えております。

 

貴方がたを悪く扱うつもりは毛頭ございません。是非、霧雨商会に出頭頂けないでしょうか」

 

 

『…』

「なぜ黙るのです?」

 

 

(まずいな…これは付いて行ったら出られないお決まりだ…)

 

(靈夢。すぐに神社の方へ走ってくれ。後で追う)

(!?…だめよお父さん!危険すぎるわ!)

(良いから行け!!)

 

(…!!)

 

 

 

砂をいっきに掻き揚げて少女は走り出した。

 

「おい!!何故逃げる!!」

「捕まえるぞ!」

門番と商会員が走り出した。

 

「おい、追わせるわけがないだろ?お前らの相手は俺だ」

 

「邪魔をするなら容赦しないぞ…」

「それは、俺の言葉だ。若造」

「ぐぁああ!!」

 

靈夢の父が繰り出す拳が2人を圧倒する。

しかし…

 

「紫様の教えに反する人か?懲らしめてやらないとなぁ…」

「!?」

 

騒ぎを聞きつけたのか、村の人間が駆けつけてきた。

 

「そうだ!あいつは紫様の教えに従わず邪教を崇拝する悪魔である!パージせよ!」

「おぅ!行こうぜ!!」

 

(くそっ!これは逃げるしかない!

しかし…、…そうか!!)

 

「こっちだ、信者ども!」

「追え!!」

 

(神社と逆の方へ逃げれば、靈夢の方へ向かうやつは…」

 

 

 

   ―――よぅし、村の人間が追いかけている間に私達であの少女を追いかけるぞ―――

 

 

 

「!?…ま、待て…」

「おいおい、どこ見てるんだよ。お前の相手は俺たちだぜ」

 

「待っ…、がっ!…」

 

脳天を鍬で貫かれた。なだれ込まれ、切り刻まれた。

血が畑の土を潤す。

 

「おら!さっさと死んじまえ!」

 

「く、くそ…、力が…。もう…だめだ…」

 

 

「…靈夢、お前は…幸せに…生きてくれ…」

 

 

『…やったか!?』

 

 

 

「…」

 

 

 

「やった!!これで、紫様に逆らう者をこの世界から一人消すことができた!」

「万歳!紫様万歳!!」

「空飛ぶマジカル紫教は永遠だ!!」

 

「何だよ、そんな一人いなくなるなんて普通の事じゃないか。大袈裟だ」

「それじゃ、村に戻って乾杯だな!」

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

「…はぁ、はぁ。まだなの?」

 

靈夢は焦っていた。いつ見えるか分からない神社、いつ来るか分からない村の人間と、帰ってこない父を。

 

「戻ろうかな…いや、だめ」

「まず、神社に行くことだけを考えよう、私」

 

やがて、石造りの階段が見えてきた。

 

「ここだ!早く…――――」

 

 

 

 

「見つけたぞ!捕まえろ!!」

 

 

 

 

「えっ!?」

早く、早く、行か…ないと…まさか…お父さん…

 

「お父さん…ぅぅ…」

目も体も汗で濡れていた。

それでも、駆け上がらなければ。

 

「あ…と半分…!」

あと半分登り切れば神社に着く。それまでは走らないと…!

 

「もうすぐ―――

 

 

 

「きゃっ!」

 

 

 

「よぉし!捕まえたぞ!」

 

 

 

 

体を拘束された女の子の姿が無残に映っていた。

 

「安心しな。ご息女様の事を教えてくれたら俺たちでしっかり教育するからな!

紫様の教えをじっくり叩き込まねぇとな!」

 

「あ…あと、もうちょっと、だったのに…」

 

涙が溢れてしまう…。

「お父さん…お母さん…霖之助…魔梨沙…ごめ―――」

 

 

「頭を下げて!!」

 

え―――?

 

「はぁっ!!!」

 

「きゃっ!」

 

 

鳥居の方から声が聞こえたと思ったら目の前が光った。

眩しくて目が明けられなかった。

 

体が軽い…?

 

後ろを振り向くと…

 

「ひぃっ!!」

 

首から上部が消えて、体のみが立っている有機物。パタン。パタン。

 

「な、な…にが、起き、て…るの…ぁ…ぅ…」

「落ち着きなさい!!深呼吸をして、すぅーはぁーー」

 

「…すぅーはぁーー」

『すぅーはぁーー』

 

 

………………

 

 

「落ち着いた?」

「…」

 

「無理もないわ。階段は登れる?ほら、手を握って」

「…あ、ありがとう」

「どういたしまして」

 

「…ぐすっ…うぅ…ひぐっ…」

 

 

靈夢は鳥居をくぐった。




読んで頂きありがとうございます。まやしまです。
ついに靈夢が神社に着きました。

自分は短距離より長距離タイプです。
実際長距離の方が通学・通勤の時、
結構役に立ったりするんですよね。
電車使わないで移動できればお金もかからないですし。
体力はあって損することはないのかななんて思ったりしてます。

それでは、次回も宜しくお願い致します。

※この作品は時代背景を考慮して作成しております。
その為、現代では倫理的に不適切な発言が作品内で書かれる可能性がありますが、筆者にはそのような思想はない事をご理解した上で読んで頂けると幸いです。
東方創想話にも作品が掲載されておりますが、この作品は最初に東方創想話に投稿した上で、ハーメルンに投稿させて頂いております。ご了承お願い致します。
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