ライダー転生掲示板・闇鍋系   作:貴司崎

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【緊急】スーパーヒーロー戦記特異点事件報告スレ【緊急】その七

 ……ある男の話をしよう。

 

『それじゃあ君にはFGO世界に転生して貰うから。特典は【召喚ガチャ運】で良いかな? 君生前は爆死ばっかりしてたからサービスだよ。じゃいってらー』

『え? ちょ、待っ……』

 

 ……その男はとある神の気まぐれで前世でハマっていた『あるソシャゲ』の世界に、所謂良くある『47人目のマスター』として転生させられたのだ。

 

『よろしくお願いします、⬛︎⬛︎先輩』

『一緒に頑張ろうね! ⬛︎⬛︎君!』

 

 ……最初は余りに死亡フラグしか無い世界に転生させられて絶望していた男だったが、根は善人で責任感があった事と絶望的な状況でも尚諦めない“彼女達”の姿を見て奮起し、47人目のマスターとして出来る限りの事をしようと行動していったのだ。

 

『サーヴァント⬛️⬛️⬛️⬛️、契約に従い参上しました。よろしくお願いしますねマスター』

 

 幸い彼が神に与えられた特典である【召喚ガチャ運】は、その名の通りサーヴァントの召喚時に幸運を上げるモノだったので相性の良いサーヴァントを引き当てる事が出来た。

 また、彼自身も転生者にありがちな『世界を創作物として見る』様な事も無く、“彼女達”を自分と同じ1つの命だと見て共に過ごし戦って来たので十分な信頼関係を築く事が出来ていた。

 

『いよいよ最後の決戦だね、⬛︎⬛︎……』

『ああそうだな、⬛️⬛️……』

『はい、行きましょう先輩、それに⬛︎⬛︎さん』

『必ず勝ちましょう、マスター!』

 

 そうして彼等は多くの特異点で色々な経験をし、様々な出会いと別れを経験して、その上で試練を乗り越えてようやく終局の特異点へと辿り着いたのだった。

 予め言っておくが、ここまでの旅路で彼にも“彼女達”にも何一つ落ち度は無かった。勿論彼等と共に戦っていたスタッフなども誰かが致命的なミスをしたとかは無く、むしろ何か失敗があっても全員で協力してそれを乗り越えて来たのだ。

 ……少なくとも一緒に戦って来た英霊達の殆どが彼等の旅路を見て『十分に良くやった』『否定される様な事は無い』と言える程度に、彼等は可能な限りの努力と頑張りで人理修復を進めていったのだ。

 

『………………どうして』

 

 ……結論から言おう、彼等は敗北した。一緒に戦った英霊達も、共に過ごしたスタッフ達も、そして戦友である“彼女達”もすべからく死に絶えた。彼自身は半死半生でどうにか生き残ったが施設・人員を破壊し尽くされ、どう考えても逆転の可能性はゼロとしか言えない状況だった。

 ……改めて言うが、彼にも“彼女達”にも一切の落ち度は無かった。ただ全身全霊を尽くして挑んで、その上で敵がそれを上回ったと言う()()である。

 

『………………ああ……()()()()()()()……』

 

 或いは、彼に何らかの致命的な落ち度でもあれば自分を責めるだけで済んだのかもしれないが、少なくとも彼は“彼女達”との旅路が敗北の原因だとは思いたくは無く……その結果、彼は死の直前に『自分と言う転生者の存在が世界を歪めている』と思うようになってしまったのだ。

 これは彼の持つ『原作知識』が『原作なら上手くいったのに』と言う悪い方向に作用してしまった結果である……ちなみにこの人理修復は普通に失敗する世界線も複数ある程度には難易度の高い偉業だと言う事は付け加えておく。

 

『………………』

 

 最も、普通に考えれば『自身の存在そのものの否定』とて“彼女達”との旅路を否定するものでしか無いのだが、この時の彼は死に掛けだった事と何かに憎悪をぶつけなければどうしようもない精神状態であったのでそれに気付く事が出来ず……そして、事切れる前に“最悪の存在”に目を付けられてしまった。

 

『……ほう、ここにもまた愚かな転生神に踊らされた哀れな転生者が一人……と言っても死にかけだが。……ふむ、こやつの精神状態ならあのプランも実行に移せるかもしれんな。ついでにここに残っている聖杯もいただいて行くか』

『…………あ……』

『ああ安心するがいい……その憎しみを存分にぶつけられる場所を用意してやるでな』

 

 死に掛けた彼を救った……否、()()()()()()()()存在を固定して死ぬ事を出来なくしたのは『反転生連合』の首魁にして、最悪最凶の転生者と言われた【キュウセイシュ】その人だったのだ。

 ……その後は『カルデア』率いる転生者同盟へのジョーカーとして使う為に『神の力』を適合させる為に様々な改造と精神調整を施されたのだが、最終的には上手く機能出来ず現状では適合させる事が出来ない事が分かった。

 

『ふむ、このままではさっぱりだな。やはり『神の力』を使って転生者を抹消するのは難しい……と言うか、転生者が使う時点で矛盾してるだろ』

『そこは『スーパーヒーロー戦記』をなぞる事で対応出来るんじゃないか? 改造した聖杯式ガイアメモリを使ってさ。……めっちゃ手間は掛かるけど』

『それが問題なんじゃよ。もう『カルデア』との決戦が近いから準備をしている余裕が無い。……勿体ないがこやつはお蔵入りじゃな。一応自動で作業は進められる様にしておくが、間に合わんじゃろうなぁ……』

 

 だが、結局は彼は『神の力』への適合が想定された数値に届かず、更に『カルデア』率いる転生者同盟勢力との決戦が迫っていた事もあって封印処置を施されながら自動作業モードに切り替えた秘匿施設に放置され、反転生連合が決戦に敗北した事もあって忘れ去られていたのだが……。

 

【……自動改造作業終了から一定時間経過。作業更新の指示なし。……組織が壊滅したと判断して被験体を自動解放します】

『……う……あ…………ここは……』

 

 転生者同士の最大の“決戦”が終わってからしばらくした後、反転生連合が壊滅した時に備えての自動作業機構、並びに【反転生】の概念植え付け終了個体の解放機構によって彼は秘匿施設から解放されたのだった。

 

『……ああそうだ。……全ての転生者を滅ぼして世界を正しくしなければいけないのだったな』

 

 そうして解放された彼──とあるカルデアのマスターだったモノである『アスモデウス』は、植えつけられた【反転生】の意思に沿って二つのガイアメモリ型聖杯を使い亜種特異点【虚構英雄戯曲 スーパーヒーロー戦記】を作り上げて、全ての転生者を滅ぼす為の暗躍を始めたのだった。

 ……最早、嘗ての仲間である“彼女達”の事すらまともに思い出せない様な残骸と成り果てた彼には、他に何も出来る事が無かったのだから……。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

824:管理人@逢魔時王

 今までは向こうが全力で隠蔽に尽くしていたから少し後手に回ったが

 ここまで大きく動けばその狙いも予想出来る

 まず、特異点と掲示板などの外部の繋がりを切ったのは『聖杯』によるものだ

 

825:アルティメットクロスの宇宙海賊

 聖杯ってあの聖杯か? 願望器の

 それで掲示板の繋がりを断ち切れるのか? 

 

826:管理人@赤赤

 普通の聖杯では難しいだろうが、おそらく対転生者に特化させたモノなのだろう

 加えて現在特異点からは件の“御大”のそれと同質の『神の力』に近いエネルギーが確認された

 

827:管理人@逢魔時王

 おそらくスーパーヒーロー戦記をなぞったのも聖杯で擬似的な神の力を使う為の準備

 ……いや、この特異点自体が黒幕が神の力を得る為の儀式場だったのだろう

 

828:管理人@赤赤

 転生者特効という方向性を与えられた神の力では我々管理者でも早々手出しは出来ない

 神の力ってのは言語化は難しいが、所謂上位次元からの干渉だから

 

829:他作品世界を巡る怪盗

 じゃあ特異点内の彼等には対抗する手段はないのか……それはちょっとまずいんじゃ

 

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 彼女の名前は一柳(ひとつやなぎ)梨璃(りり)、嘗て自分を救ってくれた“百合ヶ丘のリリィ”に憧れて、自らも百合ヶ丘女学院に入学するべく受験勉強に励んでいたごく普通の中学三年生の少女……何故か久しぶりに帰ってきた兄とその友人を迎えていたら、いきなり見渡す限りの砂漠地帯へと飛ばされてしまい、そこで兄を含む戦士達と彼女も知るヒュージとは別の『怪人』達との戦いに巻き込まれてしまったのだ。

 ……まあ、彼女自身もリリィ(戦う者)を目指しており、昔故郷がヒュージに襲われた際も恐怖ではなく助けてくれたリリィへの憧れからガーデンを目指すぐらいには図太い神経をしていた事もあってパニックなどになる事は無く、なるべく邪魔にならない様にしながら兄達の戦いを少しワクワクしながら見守るぐらいに余裕はあったのだが……。

 

「……え? ……お兄ちゃん、みんな……一体どこに……」

 

 そんな梨璃でもこれまで共にいた兄を含む精強な戦士達が()()()()()()()()()()()()()()と言う状況に遭遇してしまえば、流石に何をしていいのか分からず狼狽える事しか出来なかった。

 

「ん? 何故消えていない……いや、お前は転生者では無いのか? まったく何故非転生者がこの特異点に……」

「何かミスでもあったのでしょうか?」

「見たところ戦う事は出来ない様ですし……どうしますか?」

「ッ⁉︎」

 

 それを見たアスモデウスと側に控える戦隊メギドとライダーワルドに注意を向けられた事で、彼女は思わず身を竦ませながらどうしてこんな状況になったのかを思い返していた……あれは名状し難い城らしきナニカの中に入った後、いつのまにかこの採掘場の様な場所に飛ばされた時の事だった。

 

『……お前達の転生って醜くないか?』

『『『『『アスモデウス発見! 死ねェェェェェェッ!!!』』』』』

『えええええぇぇぇぇぇぇっ⁉︎』

 

 その崖の上に唐突に現れて訳の分からない台詞を言う黒い怪人──アスモデウスに対し、彼女と一緒にいた兄を含む戦士達(今まで一緒にいなかった者も含めて)は、まるで事前に示し合わせていたかの様にアスモデウスに対して一斉に必殺技を叩き込んだのだ。

 ……いきなりな彼等の行動に思わず驚きの声を上げる彼女だったが、そんな攻撃の後にも一切気を緩めていない彼等に釣られて文字通り消し飛んだ崖の上を見て絶句した。

 

『……ふん、問答無用で攻撃とはな。しかし妥当な手段ではある』

『チッ、あれだけの攻撃を食らって無傷とか……!』

『やはりこれは『神の力』……上位次元からの因果律操作だね。既に使える様になってたか』

 

 そこにはあれだけの攻撃を受けても()()()()()アスモデウスが、平然とした様子で宙に浮いてこちらを睥睨していたのだ……それを見ても戦士達は尚も怯まずに再度攻撃を仕掛けようと構えるが、それよりもアスモデウスが行動する方が早かった。

 

『まあ私も用済みのお前達と会話をする気は無いしな。既に説明回は終えている以上、わざわざ黒幕の目的語りなぞする意味もない……さっさと消えろ、世界の癌共よ』

『なっ! これは……⁉︎』

『身体が……⁉︎』

『やはりこれは対転生者用の……!』

 

 そんな“梨璃にとっては意味のわからない事”を言いながら徐にアスモデウスが指を鳴らした途端、戦士達の身体が光の粒子となって次々と消えていったのだ。

 

『梨璃!』

『お兄ちゃん⁉︎』

 

 彼女は咄嗟に兄へと手を伸ばしカリバーも妹の手を掴もうとしたが、その手は触れ合う事は無く彼を含む戦士達は跡形もなく消え去ってしまったのだ……そこまで思い返した所で梨璃は目の前にアスモデウスが迫って来ている事に気が付いた。

 

「まさか転生者以外の者が巻き込まれているとはな。お兄ちゃんと言っていたしどいつかの家族か? ……仕方ない、元の世界に送り返すか」

「え?」

「別に驚く事は無かろう、俺が消滅させるのは世界の異物である転生者だけだからな。そうでない者をどうこうするつもりは無い」

 

 先程までの戦士達を前にした時の狂気を孕んだ様子から打って変わって、今のアスモデウスは一見ごく普通の口調で梨璃に話し掛けており、これなら話が通じるんじゃ無いか……そう一瞬思った梨璃だったが……。

 

「これで君も()()()()()()()()()()()()()()()()が居ない正しい世界で生きる事が出来るぞ」

「…………は?」

「ああ、アレらは君には事情を話していなかったのか。……奴らは前世の記憶(原作知識)を持った転生者と言う“バケモノ”共だ。中途半端に世界の理を知った様な気になる所為で存在するだけで世界を正しい道から外してしまう。……だからそんな連中は世界の為にも一人残さず消さなければならないんだ。当然俺もその一人である以上は全て消した後に自分も消えるが、君は兄の形をした“バケモノ”の事など忘れて元の世界で正しい歴史を歩めばいい」

「……っ!」

 

 続けられた“余りにも異常で意味のわからない”言葉を前にして、梨璃が抱いたその思いは瞬く間に霧散した……この『アスモデウス』は彼女に気を使った訳では無く、最早転生者への狂気以外の感情がまともに存在しないだけだったのだ。

 ……そんな狂気しか無いアスモデウスを前にして梨璃は……。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

830:他作品世界を巡る破壊者

 転生者を拒絶する神の力相手だと俺が転生者である限りは破壊者の力でも分が悪い

 ……が、管理人ともあろう者が何の対策もない訳では無いんだろう? 

 

831:管理人@赤赤

 >>830

 勿論、神の力って言っても所詮は擬似的なもの

 加えて黒幕も転生者である以上は本来の神の力は使えないだろうしね

 

832:管理人@逢魔時王

 そもそもこの次元の者だと素面では使えないとも言えるだろうが……

 とにかく、今までは特異点が不安定過ぎたから他世界へ影響を及ぼすから手出しは出来なかったが

 逆にここまで特異点の在り方が安定すればその心配も無い故にこちらも全力で動く事が出来る

 

833:管理人@赤赤

 この対転生者の擬似神の力だって管理人クラスが複数で挑めば突破出来ない訳では無いレベルだし

 そもそも対転生者に特化させ過ぎたせいでそれ以外には無力だからやり様は幾らでもある

 

834:管理人@逢魔時王

 唯一の懸念は中の転生者達の事であるが

 私の触覚には“転生者由来でないライドウォッチ”を持たせておいたから

 上手く使えばどうにかなるだろう

 

835:アルティメットクロスの宇宙海賊

 管理人もいきなりやる気になったな

 

836:ゲーミングウォズ

 >>835

 我が魔王はこれまで特異点が齎す他世界への悪影響を無効化する為に動き続けていたからね

 それより我が魔王、仰せの通りに雑談掲示板にも声を掛けておきました

 

837:管理人@逢魔時王

 よくやったウォズ……後は特異点の状況次第だな

 何かきっかけでもあればすぐに介入が出来るんだが

 

838:他作品世界を巡る破壊者

 何も無かったら力技による攻略になるのか? 

 

839:管理人@赤赤

 そうなるだろうが、それだと周りへの被害がデカくなるからな

 とにかく、今は特異点の中にいる“ヒーロー達”を信じて待ちながら準備を進めよう

 

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……勝手な事を言わないで!!!」

「?」

 

 そう言いながら、少しの怒りと確かな決意を込めて梨璃は伸ばされた手を弾いて向き直り、それを見たアスモデウスは何故その様な目を向けるのかが理解出来ないとでも言うように足を止めた。

 ……正直言って梨璃には現状やアスモデウスが何を言っているのかも半分も理解出来ていなかったが、それでも目の前で()()()()()()()()に好き勝手言う相手に対してこれだけはどうしても言いたかったのだ。

 

「確かにお兄ちゃんはなんかいきなり家族に黙って変なトレーニングやり出して血反吐吐いたりするし、私に対して都合が悪くなったら“とりあえずラムネを奢っておけばいいかな”とか思ってる節があるし、受験勉強中に『百合ヶ丘入学とか無理じゃね?』とか『せめて滑り止めぐらいは受けろ、学力的に』とか辛辣な事を言うけど!」

「お、おう……」

「いや、一番最後は心配してるだけじゃ……」

「それでも! 受験勉強用の資料を持ってきてくれたり、色々とガーデンやリリィの話を聞かせてくれたり、何より今日も甲州撤退戦の時も本当に危なくなったら助けに来てくれるお兄ちゃんなの! ……だから、()()()()()()()()()それ以上隼人お兄ちゃんを侮辱しないで!!!」

「ッ⁉︎ …………!!!」

 

 その発言に対し何かを言い返そうとしたアスモデウスだったが結局何も言えず、逆に梨璃の決意に気圧されて後ろに下がってしまった……或いは僅かに残った人間としての残滓が、かつての“彼女達”のそれを彷彿とさせる梨璃の表情を直視出来なかったのかもしれない。

 ……そして、“ヒーロー”とはそんな諦めず前を向く者にこそ力を貸すモノであり、それ故に先程ジオウから預かっていた一つのライドウォッチが梨璃の覚悟に答えるかの様に光輝きながら、独りでに懐から飛び出して起動した! 

 

セイバー!!!

 

 そして、自動で押された『ライドオンスターター』によって鳴り響いた【炎の剣士】を示す音声に答える様に、転生者達は消えた事で辺りに散らばっていた三つの聖晶石がその周りに集って虹色の輝きを放ちながら高速で回転し始めたのだ。

 

「え? えぇ⁉︎」

「馬鹿な⁉︎ ()()()()()()()()()だと!? この特異点は転生者に由来するモノは入り込めない筈……⁉︎」

 

 余りにも見覚えがあり過ぎるその光景を見て有り得ないと叫ぶアスモデウスだったが、まずセイバーライドウォッチはこの状況を予見した管理人が持ち込んでいた転生者由来でないライドウォッチであり、更に聖晶石その物は特異点の可能性が結晶化したモノなので転生者は関係無く、そもそも聖杯戦争の理論に基づいて特異点の聖杯所有者に対抗できるサーヴァントが召喚されるのは普通の事だ。

 ……そうして虹の光の中から現れたのは梨璃よりも少し背が高い“少女”の姿をしたサーヴァントであり、顔は光に遮られて梨璃からは見えなかったが着ている服は彼女が憧れた『百合ヶ丘女学院』の制服であり、その側には一本のCHARMが地面に突き立っていた。

 

「百合ヶ丘の制服? いったい誰……?」

「……大丈夫、梨璃も隼人も私が助けるから」

 

 その光景に戸惑う梨璃を背にした“彼女”は、それだけ言うと腰に巻かれた『聖剣ソードライバー』に入れられた()()()()()()()()()()()()()を勢いよく引き抜いた! 

 

聖刃抜刀!!!

「変身!」

 

 そうして“彼女”が【刃王剣十聖刃(クロスセイバー)】を抜刀するとその身体は煌めく星々を思われる輝きに包まれた……それと同時にその背後に巨大な『ブレイブドラゴンワンダーライドブック』のアバターが現れながら開かれ、更に“彼女”の周りを10本の聖剣が円を描く様に舞い踊る。

 

刃王剣クロスセイバー! 創世の十字!

煌めく星達の奇跡と共にー!

気高き力よ、勇気の炎!

 

 ……それはとある世界の未来において『火炎剣烈火』に選ばれた一人の少女が、様々な星々(人々)との出会いと結んだ絆の果てに至った銀河の剣士。

 

クロスセイバー! クロスセイバー! 

クロスセーイーバーッ!!!

 

 その名は【仮面ライダークロスセイバー】──ここより未来に生きた一人の人間(リリィ)が、その人生と言う名の軌跡の中で掴んだ生命(イノチ)の答えである。

 

交わる10本の剣!

「梨璃と隼人達の事を否定なんてさせないよ……だって、二人がいたから“私”は今ここにいるんだから!!!」

 

 ……そうして“彼女”は後ろの梨璃を庇いつつ、地面に突き立っていた自身のCHARM──【グングニルSP.HY】を手に取り、右手の刃王剣十聖刃との二刀流となってアスモデウス達へと構えたのだった。




あとがき・各種設定解説

アスモデウス:かつてマスターだった“彼”の残骸
・特異点に転生者を集めた方法は特典【召喚ガチャ運】を聖杯の力で強化・改造して、仮面ライダー・スーパー戦隊系転生者のみを呼び寄せる仕様だった。
・ただ、自動で呼び寄せる仕様だったからそれ以外の人間が来ている事を知れなかったと言うガバが発生した模様。

【キュウセイシュ】:反転生連合の首魁
・スーパーサイヤ人やら邪神やら暗黒の巨人やら覇道神やらヤベー奴等が結構いた連合のリーダーだが、純粋な戦闘能力が彼等よりも優れていたと言う訳では無いらしい。
・それでもコイツがリーダーをやっていたのは連合の発起人である事と、所謂『世界で最も有名なお話』の主要キャラに転生した者であるが故の圧倒的なカリスマが有ったからだとか。

一柳梨璃:アサルトリリィの主人公(ヒーロー)
・尚、後述のクロスセイバーは彼女自身とセイバーライドウォッチを触媒に召喚されはしたが、所謂野良サーヴァントなので彼女がマスターになった訳では無い。

仮面ライダークロスセイバー:クラスはセイバー・真名は秘密
・所謂『未来鯖』であり梨璃と隼人が居た世界の未来に現れるらしいリリィにして炎と星の聖剣使い。
・中身は百合ヶ丘女学院に所属する高校三年生の少女であり学年の割には少し小柄で、クロスセイバーとしての外見もそれっぽく細身で女性らしい感じ(要するに女性スーツアクターさんが入ってるってイメージでok)
・時間軸に関係無く召喚されるサーヴァントの性質と用意された星5確定ガチャ触媒、そして何より自分の大切な人の窮地であるが故に参上した。


読了ありがとうございました。
きっとラスバレにも【グングニルSP.HY】は実装されるって信じてる! 書けば出るってみんな言ってたし!

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