かふると「君」の1ページ   作:龍崎悠司

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檸檬かふるは活動終了してしまいましたが、この小説は続きます。


昼・屋上

 

 

 屋上。

 

 そこは学生の誰もが憧れるスポットだ。

 食事場所、遊び場にサボり場。果ては告白の呼び出し場所。

 もちろん、落下の危険性があるから入れないことも多い。

 だが、うちの学校では入れることになっている。

 とはいえ危険がないようにかなり目の細かい網で囲われているし、開放されてるのは昼休みの間だけだ。

 本来ならごった返すほどの人気が出そうなスポットだが、現在は誰もいない。

 今日は雲一つない快晴。

 屋上なので遮るものは何もない。

 つまり、暑いのだ。

 昼休み中そこにいたら日射病と熱中症を併発するのではないか、というレベルだ。

 そんな所で呑気に過ごそうなんて馬鹿だってやろうとしない。

 そう、どんな馬鹿だって……

 

 

 ────

 

 

 少し重い扉を開けて屋上への入り口を開く。

 ドアノブが既に熱い。

 正直言ってこの時点で屋上で過ごす選択肢を消したい。

 何故あの申し出を受けてしまったんだ俺〜。

 

 …………

 

 遡ること数時間前。

 休み時間に後ろから声が掛かった。

 

「ねーねー」

「なんだ?」

 

 相手は当然檸檬かふる(小悪魔女)だ。

 しかもこの顔、何か企んでるのが丸分かり。

 ……警戒しとこう。

 

「今日屋上でお昼食べない?」

「はぁ?」

 

 割と本当に何言ってるか分からなかった。

 一度、窓の外を見る。

 照りつける太陽が元気にニコニコしてやがる。

 雲は見る限り一つもなく、青一色。

 はっきり言って、この中でずっと外にいたら間違いなくぶっ倒れる。

 100人中100人がそう言うだろうこれ以上ない夏の快晴。

 

「……何だって?」

「今日屋上でお昼食べない?」

 

 言いやがった。

 一言一句全く同じに言いやがった。

 

「……正気か?」

「ふっふっふ〜、秘策があるんだよ〜」

「…………」

 

 こいつがこういう顔の時、嫌な予感しかしない。

 が、屋上を独り占め出来るかもしれんと考えれば、悪くない。

 

「へーへー、分かった分かった。ただ、熱中症の危険があるって思ったら中に引っ込むからな」

「うん! やったー! じゃあ後でね?」

「おぅ」

 

 という流れがあり、昼休みに屋上に行くことが決定した。

 

 …………

 

 そして現在。

 未だにドアを開けた先に進んでいない。

 何か歪んで見えるんだが、蜃気楼か? 

 屋上手前の踊り場で既に教室の何倍暑かったか。

 そこからさらに、もわっとした熱気が頬を撫でるのだから躊躇う気持ちも分かって欲しい。

 やはり嫌な予感は正しかった……

 今からでもやっぱ止めた方がいいかな? 

 

「おーい、何してんだよー? 暑いんだから早くしてよねー」

「いや、正気に戻るべきだな、って思ってた」

「どういう意味!?」

 

 文句を言うかふるだけど、俺的には至って大真面目なツッコミだ。

 

「いや、そうは言うけどよ……」

「何さ?」

「ほら、これ」

 

 身体を避けてドアの先を見せてやる。

 そこには変わらずの直射日光の灼熱地獄(おくじょう)の景色。

 

「う……」

(あ、少し怯んだ)

「でもでも! 今回の秘策なら!」

「所で、その秘策って何?」

「じゃじゃ〜ん! これ!」

 

 よくぞ聞いてくれました、とドヤ顔で見せてきたのは……

 

「ブルーシート?」

「そう! これならどんなに屋上の床が熱くなっても大丈夫でしょ? あとこれ!」

「…………」

「ふふ〜ん、僕を天才だって褒めても良いよ!」

 

 とりあえず、無言でそのデコにチョップを入れる。

 

「ふぎゃ!? 何するのさ!」

「ドあほ、諦めてもっと涼しい所で飯食うぞ。このままじゃ熱中症になっちまう」

「わー! はーなーせー!」

 

 強制的に危なくない様に屋上から去る。

 かふるがわーきゃー言ってるが、流石にあのまま屋上には出れん。

 だって……

 

「そんな小さい折り畳み傘でカバーしきれる訳ないだろうが!」

「良い案だと思ったのに〜!!」

 

 そんなこんなで、結局混み合った食堂で飯を食うことになったとさ。

 ……パラソルとか用意してたんじゃなかったんかい。

 

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