俺ガイル~別れ、そして出会い~君の一番星に【城廻めぐり編】 完   作:慢次郎

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第1章11話です。


第1章ー第11話ー乙女心とクッキー。

ーーー

 

結衣は、勇気を振り絞って言ってきた。

 

「あ、あのあの、あのね、クッキーを…」

 

言いかけて八幡の顔をちらっと見る。八幡もああそうかと思い、廊下へ向かう。

 

「比企谷君、空気が読めるのね」

 

「あのな、俺はこの空気が読めないほどバカじゃねぇよ。何か飲み物でも買ってくるわ」

 

「ごめんなさいね、私は【野菜生活100%いちごヨーグルトミックス】でいいわ」

 

「わかった」

 

八幡はそう言って廊下へ出る。廊下を歩きながら

 

「特別棟の1階には自動販売機はあったはず」

 

廊下を歩きながら何かを思い出していた。

 

「そう言えば、綾音のために病院の自販機に何回往復したかね…」

 

八幡が好きな飲み物、MAXコーヒー、だがもう飲んでいない。綾音が亡くなってから、一度も飲んでいない。いや飲んでいないのではない。飲めなくなったのだ。

 

MAXコーヒーは、八幡と綾音が共に好きだったのだ。

 

だが今の八幡は、飲めない。飲むと胸が苦しくなり、目から涙がこぼれてしまう。

 

だから、甘くないブラックコーヒーか、緑茶を飲んでいる。

 

1階の購買部の横にある自販機の前まで来た。この自販機には、おかしな紙カップに詰まった謎のジュースがある。

 

イチゴおでん

 

ヤシのみサイダー

 

学◯都◯の自販機のヤツかと、八幡はツッコミたくなる。

 

しばらく、自販機に売られている商品を品定めをしていると、突然視界が手の感触共に暗くなり

 

「だーれだ?」

 

「はぁ~、あのな綾香だろ?」

 

「正解、なんでわかったの?」

 

「この学校で俺に目隠ししてくる女子なんて、お前しかいないって」

 

八幡にそんなことをする女子なんか、総武高校内では、皆無だろう。何故綾香がこんな人気の無い特別棟にいるのか疑問であった。

 

「何で、こんな人気の無い特別棟に?」

 

「八幡お兄ちゃんの姿が見えたから、来ただけです。それに元気の無さそうに見えたから」

 

「まあ、俺に元気の無い事が分かる女はお前だけかも」

 

「……それは嬉しいですけど、それでも…」

 

「それでも、何だ?」

 

「八幡お兄ちゃん、大丈夫?まだお姉ちゃんの事を?」

 

「まあな。綾音の事をどうしても思い出してしまう…。好きだったMAXコーヒーも飲めない…」

 

「MAXコーヒー、お姉ちゃんも好きだったな…。八幡お兄ちゃんとの思い出の味って言ってましたし」

 

「そうか、アハハ、アイツらしいな。思い出の味か……」

 

「八幡お兄ちゃん、私がその悲しみを埋めてあげるよ」

 

「馬鹿!そんな生意気言うヤツに育てたつもりはないぞ」

 

「私は…!」

 

八幡は、自販機に500円を入れて、野菜生活、カフェオレを購入し、自分の分のお茶、そして、綾香の分のカフェオレを購入して、渡す。

 

「ほらっ、綾香の好きなカフェオレだ」

 

「あ、ありがとう、八幡お兄ちゃん!って緑茶はお兄ちゃんの分で後の2本、野菜生活とカフェオレって誰の?」

 

「1つは、部活の部員に分、後は依頼者の分だな」

 

「女?」

 

「す、鋭いな。まあ、そうだな」

 

「危険……」

 

「はぁ?危険?馬鹿、そんなことはない。アイツらは、俺の事を嫌っているからな」

 

「じぃ~」

 

八幡は、綾香のそれを見ると、綾音に似ている。やはり姉妹だと思った。ジト目をする反応とか似ているなと。すると綾香を探している人物が現れる。

 

「雪柳さん、こんなとこにいた!」

 

「ごめんなさい、ちょっと喉が渇いて」

 

「そうだったんだ。あ、比企谷君じゃないの。雪柳さんと話したんだ」

 

八幡と綾香に話しかけたのは、吹寄だった。

 

「まあな」

 

「2人ってどんな関係?」

 

「こいび…!」

 

綾香が何を言わんとしてたから、口を塞いで

 

「ただの幼なじみだよ」

 

「ふーん~」

 

「疑われてる?」

 

「別に?」

 

「はちまんおにいちゃん、手をどけて!」

 

「すまん」

 

八幡は綾香の口から手を放す。一方、吹寄は綾香を水泳部に勧誘しているらしい。ただ綾香は、1年生の中で人気があるようで、どの部活も狙ってるらしい。

 

それと、1年生の間では、綾香は男女共に人気がある。だからこその競争なんだろう。

 

「それではいきましょう、雪柳さん」

 

「じゃあ、また後でね、八幡お兄ちゃん!」

 

そう言うと吹寄と綾香は、特別棟から出ていった。

 

「綾香のヤツ、昔は地味目だったけど、1年のアイドル的存在か…」

 

八幡は、立派に育ったと感心しつつ、1年のアイドル的存在には、不安感もある。つまりは、変な男がつかないか不安でもあるが、綾香自身は八幡にしか興味がないからどうなることか。

 

「さてと、俺も戻るとするか」

 

八幡は、奉仕部のある教室へ戻る。

 

 

奉仕部の扉を開けると、雪乃が

 

「遅い、寄り道谷君は、どこを寄り道してたのかしら?」

 

雪乃はそう言って野菜生活をひったくって、ストローを刺すと飲み始める。八幡は貶す事はできても、礼の1つも言えないのかと思った。

 

残った飲み物でカフェオレと緑茶で、カフェオレが誰のものなのか、結衣は気づいて

 

「はい」

 

結衣はそう言ってポシェットみたいな小銭入れから100円玉を取り出す。

 

「別に入らない。俺の奢りだ」

 

八幡は、結衣の100円玉を受け取らず、カフェオレを両手に乗せる。

 

「あ、ありがとう」

 

結衣は小さな声でお礼を言って、嬉しそうにカフェオレを両手で持ってはにかんでいた。

 

八幡は本題に入るために雪乃に話しかける。

 

「ところで、雪ノ下、話は終わったのか?」

 

「ええ、貴方がいないおかけで、スムーズに話が進んだわ。ありがとう」

 

「それは良かったな。で、何をするんだ?」

 

「家庭科室へ行くわ」

 

「あ、そう家庭科室にね」

 

「もちろん、比企谷君も来るのよ」

 

「家庭科室?」

 

八幡は、本日2回目の家庭科室に行かされることに。

 

本日は家庭科室の確率が高いのか。

 

何故だろう?

 

ただ誰も答えてくれるわけはない。

 

八幡は、家庭科室で何をするのか聞いてみる。

 

「家庭科室で何をするんだ?調理実習でもやるのか?」

 

「調理実習じゃないわ。クッキーを焼くのよ」

 

「クッキーか…。まあ妥当かな」

 

「由比ヶ浜さんは、手作りクッキーを食べてほしい人がいるのそうよ。でも、自信がないから手伝って欲しい、というのが彼女のお願いよ」

 

「なるほどな」

 

「う……、そ、それはその……、あんまり知られたくないし、こういうことしての知られたら多分馬鹿にされるし、こういうマジっぽい雰囲気、友達とは合わない、から」

 

由比ヶ浜は、視線を泳がしながら答えた。ふっ、と小さくため息をついてしまった。

 

八幡は、結衣がどこの男子にクッキーをプレゼントしたい。だが内輪の連中には知られたくはない。

 

「つまり、お前は、その相手の為にクッキーを作りたいんだな?」

 

「うん」

 

「まあ、男子ってもんは女子から貰うものは、嬉しいものさ」

 

「本当に?」

 

「ああ…」

 

結衣は、パッと笑顔になった。

 

「俺達は、由比ヶ浜を手伝うって形でいいんだよな?」

 

「ええ、そうよ。私達はあくまでも手助けをするだけだから」

 

「ああ」

 

八幡、雪乃、結衣の3人はクッキーを作るため家庭科室へ向かった。




今回はクッキー作りですね。

綾香は、1年生の中でいろはと二大美少女と格付けていきますね。

参考までに、to be continue後の世界は何が良いですか?

  • 1ーありふれた職業で世界最強。
  • 2ー魔法科高校の劣等生(優等生も含む)

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