どうやら俺は異端者のようです   作:クラプス

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第十話

「国玉さ~ん!こっちです!」

 

水篠さんが俺を呼ぶ声が聞こえた。その方向を見れば、二人の男女が立っている。

 

「お!あれが弟のハンター友達かな?」

 

「まあ、うん」

 

俺はなんだか少しむずがゆくなった。

姉はかなりおしゃれして来ており、美人…というより、美少女の方が近い気がするが、美人のため、とても目立つ。俺は姉にカッコいいからこれ着てみて!と無理矢理着させられた服だ。

 

 

 

「やあ、初めまして。私は国玉夜もとい弟の姉、国玉青空っていいます!よろしくね!」

 

「はい、初めまして。俺は水篠旬といいます。国玉さんにはいつもお世話になっています」

 

「あ、えっと、初めまして。水篠葵です」

 

水篠さんに続いて、水篠さんの妹さんが挨拶をするが、少したどたどしい。

 

すると、姉が俺と水篠さんを交互に凝視し始める。

 

「…うん!やっぱり弟の方がかっこいいね!」

 

「……は?なんで?」

 

「ん?顔だよ?」

 

「いや、そういう事を聞いてるんじゃない。というか、脈絡が無さすぎる。何で急に比べ始めたの?」

 

「葵ちゃん、お話しよ~」

 

「えっ?」

 

「聞けよ…!」

 

俺は着いたばかりなのに自由奔放すぎる姉に振りまわされる。20年ほど姉と一緒にいて、俺はまだ姉を理解できていなかった。そもそも、俺の方がかっこいいというのはありえない。

 

「水篠さん、すいません……」

 

「ハハ…、大変そうですね…国玉さん」

 

「まあ、はい。俺が弟のはずなのに、おっきい子供をお世話してる気分になりますよ」

 

目の前で楽しそうに、水篠さんの妹さんと喋る姉を見ながら、そう話す。

 

突然、姉が振り返った。

 

「ねえねえ、弟。ややこしいから、水篠さん呼びじゃなくて、下の名前で呼んでくれないかな?ついでに、旬くんも弟を国玉じゃなくて、夜と呼べ!」

 

……何故、水篠さんに対しては命令口調なのだろうか…?

 

「ハリーアップ!」

 

「……旬…さん」

 

「えっと、夜……さん」

 

「よろしい!」

 

俺達はこれまでお互いの苗字で呼んできたのに、急に名前で呼ぶことになって、ちょっと気恥ずかしい。…水篠さんには本当に申し訳ない…。

 

 

 

 

俺達四人が席に着くと、ウェイトレスがメニュー表を持ってくる。

 

「メニューはこちらになっております。コースをご希望の場合、こちらのコースがおすすめとなっております」

 

全員がそのおすすめのコースを選び、その後は特に何事もなく進んだ。

 

そして、改めて思ったのは、やはり姉は喋らなければ、美人だという事。というか、喋るなと言いたい。姉は料理を食べるその姿さえ、華があるのだから。

 

ただ、ワインを飲んでしまった結果、華が無くなったが。

 

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました」

 

「いえいえ、お礼をしただけですので」

 

俺達は食べ終わり、レストランの外へ出た。

 

俺が旬さんへお礼をしていると、

 

「えーい!」

 

「キャッ…」

 

酔った姉さんが、旬さんの妹さんを俺の方へと突き飛ばす。

 

「っと、大丈夫?」

 

「は、はぃ……」

 

俺は嫌わているのだろうか?話しかけると、すぐに下を向いてしまった。

 

「ごめん、すぐ離れるね。……ちょっと、姉さん!」

 

俺はすぐに旬さんの妹さんから離れると、何故かニヤニヤとしている姉さんに話しかける。

 

「ん~?どした、弟よ~」

 

「いや、さっき、旬さんの妹さんを突き飛ばしただろ」

 

「旬さんの妹さんて、名前覚えてないの!?」

 

姉さんがわざとらしく驚く。

 

「いや、そういうわけじゃない。名前は憶えてる。って、そうじゃなくて、危ないだろ」

 

「でも、弟が受け止めてたから、危なくなかったじゃん」

 

「いや、俺が受け止めてなかったらどうするんだよ」

 

「それは無いね!だって弟だもん!」

 

「何だよその自信は……。ともかく、危ないから、ああいう事はするな」

 

「りょうかーい」

 

姉さんが軽い返事をし、家へと帰っていく。

 

「すいません。それでは」

 

俺は軽く会釈をすると、姉を追いかけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そういえば、ドッペルゲンガーって二体いるのか?」

 

プレイヤーになって約一ヶ月後、または、ディナーの日から約二十日。デイリークエスト中にそんな事を言った。

 

一体のドッペルゲンガーを倒し終わった後に思ったのだ。

 

デイリークエストを二倍こなすと、シークレットクエストになる。しかし、俺が試したのは、強者を超えるために のみ。ならば、弱者を超えて強者を目指して だとどうなるのだろうかと。

 

 

俺はとりあえず、探しに行く。

 

 

暫く探すが、一向に見つかる気配がない。

 

まあ、ただの思い付きなので、別に居ても居なくてもどちらでもいいのだが。

 

俺はウィンドウを開き、はいを押して帰還しようとすると、黒い影がこちらへ向かっているのが見えた。しかし、俺の手はもう、はいを押してしまっており、黒い影が俺に攻撃す前に、家へと戻る。

 

「は?ちょ、待って…、居たじゃん…。もう少し探していれば……」

 

少し悔しいが、これは明日にしよう。

 

俺は報酬を受け取る。

 

すると、電話が鳴った。表示されているものを見れば、協会からの連絡だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緊急招集を受け、その集合場所に近づくと、話す二人が見える。

 

恰好からして、一人は旬さんだ。もう一人は腕を失っているので、馬渕さんか……

 

俺はその二人が見える後方で歩き、集合場所へと着く。

 

 

「君は…国玉くん…か?」

 

俺に気付いた馬渕さんに声を掛けられる。

 

「ああ、はい。そうですよ。馬渕さんもお元気そうで何よりです」

 

「いやはや、二人がこんなにも変わるとは……」

 

二人…というのは、俺と水篠さんか。

 

「そういえば、腕はどうしたんだ?」

 

「俺にもわかりませんが、気づいたら治ってまして」

 

「そうか。水篠くんにも言ったんだが、回復して本当によかったよ。君たちは私と違って先が長いからな」

 

そう言って、馬渕さんが笑う。

 

他のメンバーは、あの二重ダンジョンの時のメンバーだ。

 

他のメンバーがこちらを向くが、俺は会釈をするだけで、特に会話をしない。

 

旬さんと観月さんが話し始める。

 

「いや~、熱いね~」

 

離す二人を茶化す声が聞こえた。

 

ワンボックスカーから降りてきたその声の主は、オレンジの囚人服を着て、手錠をかけている。

 

三人の囚人が降りてくると、協会の男が静かにしろと注意をした。

 

馬渕さんはあの囚人らはどういう事かと、俺、馬渕さん、旬さんの三人を手続きすると駆け寄ってきた協会の女性に聞く。

 

話を聞くと、どうやらこの区域のハンター数が減ったので、俺達と一緒にレイドに参加する代役服役者らしい。

 

彼らは滅刑目的で代役服役をしているので、危険行為をしないはずだし、B級の監視課の道門も参加するので安心してほしいとのこと。

 

旬さんが、不安と言って、観月さんに参加を見送るのを進めるが、旬さんが自分は参加する。と言うと、観月さんも参加すると言う。

 

 

俺達は、かなり不安なメンバーで、ゲートへと向かった。

 

 




この作品では数ヶ月を一ヶ月ほどにしておきます
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