どうやら俺は異端者のようです   作:クラプス

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第十一話

紫髪の男性。協会の男。呼び方は何でもいいが、ゲートに入る前にその男が囚人たちの手錠を外し、俺、旬さん、馬渕さん、三人の方にやってくる。

 

「監視課の道門泰星と申します」

 

道門は俺達に誰が先頭に立つかを聞きに来たらしく、それに馬渕さんが立候補する。

 

「水篠くん、国玉くん。私がリーダーをしてもかまわないか?」

 

「はい、もちろんです…」

「かまいませんよ」

 

俺は馬渕さんがリーダーすることを了承し、真島さんは好きにしてくださいと言った。

 

 

 

 

 

ダンジョン内では、囚人たちが暴れていた。

 

襲ってくる魔物たちを、子どもが玩具で遊ぶかのように楽しんで殺している、いや、虐殺している。

 

魔物が馬渕さんを襲うが、馬渕さんは片手でも冷静に対処していく。

 

真島さんはその姿を見て、馬渕さんをまるでモンスターのようだと言っていた。

 

馬渕さんが魔法で魔物を殺しながら真島さんへと話しかけている。

 

真島さんの剣の構え方が気になったようだ。

 

 

俺と旬さんはと言うと、出来るだけ後ろの後方で、少しは成長しているように見せて戦う。

 

俺は、水篠さんたちの会話に入らないようにちょっと離れた所にいたが、馬渕さんに話しかけられる。

 

「国玉くんも強くなったな…剣の扱いも上手くなっている……」

 

「ありがとうございます。でも、剣では馬渕さんには負けますよ」

 

「ハハ、そうか。お世辞でも嬉しいよ」

 

俺はお世辞を言った覚えはない。俺の剣の技術は、馬渕さんに少し劣っており、剣術だけで馬渕さんと試合をすると、恐らく負ける。俺はその技術力を、他の技術と力でカバーしているだけだ。まあ、それは技術のみの話で、力では負けないが。

 

本来の俺の戦闘スタイルは、万能型。もとい、器用貧乏なスタイル。ボス戦でほとんど同じ武器を使用しているのは、何故か実力が上の奴しか出てこないので、武器を変更している暇がない。

 

 

しばらく進むと、分かれ道があった。

 

「難易度が思ったより低いんで三つに分かれて進みません?」

 

道門がそんな提案をした。リスクが増えるが早くクリアできるから。と付け足して。

 

馬渕さんは少し考えるが、その提案を了承した。

 

「馬渕さん。俺達は左側に行きましょう」

 

旬さんがそう言うと、旬さん、馬渕さん、観月さんが左側へ行ってしまった。

 

「ということは、残っているのは、真ん中だけですね。真島さん、行きましょうか」

 

「あ、ああ」

 

 

 

 

 

俺と真島さんたちはしばらく無言のまま、ゴブリンを倒して進んで行く。

 

 

突然、真島さんが足を止めて俺の方へと来る。

 

「どうかされました?」

 

「……国玉くん。許してくれるとは思っていない。ただ、謝罪がしたい。二重ダンジョンではすまなかった…。本当に、本当にすまなかった」

 

真島さんがそう言って、頭を深く下げていると、もう一人もこちらへ寄ってくる。

 

「二重ダンジョンでは、あんたらを捨てて逃げてしまって、本当にすまない…」

 

「お二人とも、顔を上げてください。俺は貴方たちの事を恨んでいません。なので、大丈夫です。それに、あの場では貴方たちの行動が最善だったと思いますよ?」

 

俺は笑顔で二人を許した。ついでに言えば、これは本心だ。あの場でこの二人が逃げたとしても、それが最善だったのか最悪だったのか分からない。ならば、漫画通りに逃げてもらうのが、あの場での最善だったのだ。

 

「許してくれて…ありがとう。……本当にありがとう」

 

「どういたしまして…と言ったほうがいいんですかね…?あ、そうだ。このダンジョンを出たらきちんと水篠さんにも謝罪をしておいてください。絶対というわけではありませんが、それが人間としての礼儀だと思いますので」

 

「ああ。分かっている。レイドが終わったら、絶対に水篠の兄ちゃんに頭を下げて謝罪する」

 

真島さんは心に決めたようにそう言うと、ダンジョンを進み始めた。真島さんの顔は少しすっきりしたような顔だった。

 

 

 

 

 

 

「ほかのチームはどこまで進んだだろうか?」

 

一人の男性ハンターが言った。

 

すると、目の前に胸糞悪い光景が目に入った。

 

囚人二人は惨殺されており、残りの一人は道門に片手で首を摑みあげられている。

 

「おっ?あんたらそこで何してんだ?」

 

道門が俺達に気付き、話しかけてくる。道門は、左と真ん中の通路が繋がっており、左側の通路がボスの部屋に続くことが分かって、おかげで迷わずに済んだ。と言うと、持ち上げていた囚人の頭を腰の短刀で斬り飛ばした。

 

「予定は少し狂ったが…」

 

道門はそう呟き、俺達へと向かってきた。

 

道門の持つ赤黒い液体が付着した短剣が煌く。

 

真島さんたちにとって、この状況は恐怖だろう。

 

道門はかなりの速さで、俺に近づき、攻撃をした。

 

暗殺系なのか、B級としてはかなり早い方だろう。

 

しかし…

 

「カハッ!」

 

俺の能力値よりも低いならその攻撃は当たることはない。

 

俺はすぐに道門を蹴り飛ばし、壁へと叩きつけた。かなり大きな音だったので、恐らく旬さんたちにも聞こえているだろうし、道門は殺気を飛ばしていたので旬さんは焦ってこちらに来るはず。

 

「おーい…道門?聞こえてるか?」

 

俺がそう言って、声を掛けるが、気絶したのか道門は反応を示さない。

 

俺はすぐにセイジャの秘薬を2個飲ませ、水の入ったペットボトルを取り出し、水をかける。

 

「国玉くん…?何をしているんだ?」

 

「えっとですね。とりあえず、回復させてます。このことは秘密にしといてください」

 

俺がそう言うと、真島さんは黙った。

 

突然、道門は俺から離れるように飛び退くと、息を荒げる。

 

「―――ッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」

 

道門はきちんと生きていたので、俺は一安心する。

 

俺達が入ってきた穴から、足音がした。

 

そして、道門がその足音の方へ向かった。恐らく、全速力で。

 

ちなみに、真島さんたちは俺が庇うようにいるため、攻撃されることは無い。

 

穴からは、旬さん、馬渕さん、観月さんの三人が出てきた。その瞬間、道門は、旬さんよりも先に、厄介になりそうな観月さんから殺そうとするが、すぐ近くにいた旬さんに止められる。道門はすぐに後ろへ退いた。

 

「なんだお前?」

 

「道門泰星は代役服役者もとい、囚人三人を惨殺後に俺たち三人を襲ってきた。ってところです」

 

「分かりました」

 

俺はとりあえず、旬さんに状況を説明した。俺が説明をしたことにより、恐らく道門には、俺と旬さんに繋がりがあることが分かったはずだ。これで、旬さんを狙ってくれればいいのだが……

 

「…バケモンばっかかよ…」

 

道門は俺達に呟くと、油断や傲慢を無くし、一気に殺意を膨らませる。

 

「このまま生き残っても、どうせ殺されるのなら、一人でも道連れにしてやる」

 

そう言って、腰から二本目の短剣を抜き、旬さんに攻撃を仕掛ける。

 

「水篠くん!」

 

馬渕さんが叫んだ。旬さんが成長はしたがまだ弱いと思っているらしいが、その心配は無用。旬さんはプレイヤーだから。

 

旬さんは道門からの攻撃を弾く。

 

「ハァ…元々、簡単な依頼だったはずなんだけどなッ!」

 

「そんなこと俺が知るかよッ!」

 

二人は喋る暇があるらしく、喋りながら戦闘をするが、その光景は一般人や、低級ハンターからすると、とても激しく、攻撃が見えない。

 

道門が短剣一本の旬さんに、短剣二本で連撃を浴びせる。

 

しかし、旬さんはその連撃を受け止めていくが、旬さんが少し劣勢だ。

 

ただ、

 

「水篠さん、頑張って!」

 

それを感じたのか、観月さんが旬さんを強化した。それにより、道門に微笑む勝利の女神は、笑みを無くす。

 

旬さんは、劣勢から少し、優勢へと変わっていく。

 

「フッ!」

 

「!!観月さん!」

 

劣勢と感じた道門は、観月さんへと短剣を投げる。

 

ただ、その短剣が届くことは無く、俺が弾く。が、旬さんは観月さんの方へと振り向いた結果、その一瞬で道門に連続で斬りつけられる。

 

「うぐっ…」

 

「フゥー……かなり効いたと思うんだけど?」

 

道門は連撃を浴びせてもなお、両足で立っている旬さんに少し驚く。

 

 

数秒無言が続く。

 

 

 

――二人が同時に動いた。

 

短剣同士が衝突する金属音が鳴り響く。

 

普通、目に見えることのない速度で、二人は攻撃を繰り返す。

 

旬さんがスキルを使用したのか速くなった。

 

旬さんに向かう道門はそれに気が付き、すぐに防御の体制を取るが、すぐに崩され、一撃貰う。

 

旬さんの持つ、カサカの毒牙。その効果は麻痺と出血。

 

その二つの効果が道門に発動すると、動きが止まり、吐血し目は充血した。しかし、抵抗力が高いのか、充血したままだが、すぐにその効果が消える。

 

次の瞬間、道門は周りに溶け込むように消えた。どうやらスキルを使用したらしい。

 

 

旬さんが見えない攻撃をブロックした。

 

空を斬る音がする。

 

旬さんはそれに気づくが、先程のようにブロックできず足と腹に一撃ずつ食らう。

 

「僕の攻撃を防いだのは偶々か?」

 

道門はしゃがみ込む旬さんに更に攻撃を仕掛ける。

 

斬撃、斬撃、斬撃。斬撃の連続。

 

「水篠さん!!」

「水篠くん!!」

 

馬渕さんと観月さんが叫ぶ。俺の後ろに居る二人は悔しそうにしている。

 

旬さんの身体はもうボロボロだ。辺りには血が飛び散っている。

 

俺は一応、助ける準備をしておく。水篠旬(主人公)だとしても、俺のせいで少し…どころじゃないか。かなりこの世界が狂っている。ついでに言えば、旬さんも人間だ。死ぬときには簡単に死ぬ。

 

ただ―――これは水篠旬(主人公)の物語だ。

 

「終わりだ!」

 

道門が旬さんの首を斬ろうとした。

 

しかし。

 

「状態の回復」

 

旬さんがそう呟くと、瞬時に回復し、道門の攻撃を弾いた。

 

道門は驚き、すぐにその場を離れる。

 

「これに頼りすぎるのもダメか…」

 

そう呟いている旬さんに道門は攻撃を仕掛けていく。

 

旬さんはその全てを弾く。

 

道門からの殺気で、道門の場所を把握しているのだろう。

 

突然、道門の動きが止まった。旬さんが殺気を使用したのか?

 

その瞬間、旬さんは道門の胸を突き刺した。

 

「なん…だと…!」

 

 

壁を支えにして、胸に短剣が刺さったまま座っている道門は、一般人とハンターの違いを話している。

 

「負けた僕が死ぬ。この法則は至極当然のことなのさ…。まあ、あんたに勝っていたとしても、僕が死ぬのは必然だろうけど」

 

旬さんがそう言った道門に俺はどこまで強くなれるか。と聞くと、闇の深さだけ強くなれると言い、事切れる。

 

馬渕さんや観月さんが、旬さんに感謝を伝えに行く。

 

それを見た俺は歩き出す。

 

「それでは、俺はダンジョンを終わらせてきますね」

 

俺がそう言うと、

 

「俺も行きます」

 

旬さんがそう言った。

 

馬渕さん、観月さん、真島さん、男性ハンターの四人は、外へ行き、報告をしに行くらしい。

 

「国玉さん、少し待っててください。一人始末しますので」

 

「了解」

 

俺は旬さんが死んだフリをしていた囚人をどこかへ引きずって連れて行く。

 

 

 

―――失敗だったか?

 

俺は思った。旬さんは恐らく、真島さんたちが死んでいないので、本来のストーリーの時よりも、精神があまり成長していないはず…真島さんたちは死んでたほうが良かったか?……いや、これも俺のせいか。

 

 

俺は旬さんが帰ってくると、すぐにボスのホブゴブリンを殺した。

 

 




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