キンッ!
剣と剣がぶつかり合ったような音が鳴った。
さてと、どうすっかなぁ…
俺はドッペルゲンガーに斬りかかったが、ドッペルゲンガーの黒い剣により、受け止められた。
突然、黒い剣はドッペルゲンガーの手となり、受け止めていた俺の剣を摑んで、殴り掛かってくる。
ッッぶねぇ…
俺はドッペルゲンガーからの攻撃をすんでの所で避ける。
ドッペルゲンガーは俺の鉄剣を少しの間見つめると、興味を失ったのか、自分の近くに投げ捨てる。
黒い剣が手に変化したとき、剣をインベントリに収納しておけばよかったな。と今更後悔するが、気持ちを切り替える。
俺はインベントリを確認する。
ここで役に立つのは魔力のこもった長剣と――これだけか。……まあ、これならすぐに倒せるか?
俺はインベントリを閉じると、ドッペルゲンガーへと駆けていく。
ドッペルゲンガーは特に行動をせず、走る俺を見つめている。しかし、俺がかなり接近すると、防御態勢を取った。
別に、何処を狙ってもいいが、出来るだけダメージを与えたいので、防御の緩い腹を狙う。
俺は腹を殴る直前。ドッペルゲンガーが反応しても防御できない距離。その時、インベントリから瞬時にボールペンを取り出し、ナイフのように刺した。
『んあっ!?』
ドッペルゲンガーは驚いたような声を出した。
俺はすぐにインベントリから勢いよく魔力のこもった長剣を取り出し、そのままドッペルゲンガーへと斬撃を繰り出す。
しかし、ドッペルゲンガーは斬撃のせいで左手を失いつつも避ける。
現在の俺の筋力では、この魔力のこもった長剣を扱うどころか、持ち上げることさえできない。
俺は魔力のこもった長剣をインベントリへと収納すると、すぐに近くに落ちている俺の鉄剣を持つと、ドッペルゲンガーへと向かう。
ドッペルゲンガーは、青黒い血液のような物を垂らしつつも、その深々と刺さったボールペンを抜こうとしているが、そんな暇を与えずに、俺は剣撃を繰り出していく。
腹に怪我を負い、左手を失ったドッペルゲンガーは動きが鈍っているが、それでも少しは攻撃を防ぐ。ただ、防いだ数よりも攻撃された数が多いドッペルゲンガーはどんどんと死へと近づく。
その後、ザンッと、ドッペルゲンガーを両断できると、目の前にウィンドウが出現する。
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お知らせ
ドッペルゲンガーを討伐しました
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「――ッ、ハァ、ハァ、ハァ……」
戦闘中、あまり呼吸をしない。という癖は直さなければいけないな。
俺は俺の鉄剣と先が青黒くなったボールペンをインベントリに入れながらそんな事を思った。
「レベルアップはしない…か、もしかして、経験値がないのか?」
そう言うと、もう一つウィンドウが出現した。
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夢の回廊
目標
ドッペルゲンガー討伐 1/1
制限時間:4時間
残り:2時間 41分 26秒
夢の回廊をクリアしました。
夢の回廊から帰還します
よろしいですか?
はい いいえ
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一応、忘れ物が無いか確認してから、はいを選択し、帰還した。
帰還すると、外で夢の回廊へと行ったはずなのに、何故か俺は病室に居る。
時計を見れば、――夢の回廊が本当に60倍の速度で時間が過ぎているのなら―― 一分程しか過ぎていない。
ウィンドウが出現した。
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デイリークエスト―弱者を超えて強者を目指して
目標
―夢の回廊の攻略 1/1
クエストを完了しました。
次の報酬を受け取れます。
報酬.ランダム
報酬を受け取りますか?
はい いいえ
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報酬を受け取る際、いつもはいを選ぶのは面倒だな。
そう思いながらはいを選択する。
そして出てきたのは、青黒い鍵。
俺がすぐに詳細を見る。
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[アイテム:夢の古城の鍵]
入手難易度:B
種類:鍵
ダンジョン、夢の古城への鍵または招待状です。どこでも使用可能です。
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招待状、ねぇ…
どうやら世界は夢が好きで、俺のことは、水篠さんよりも厳しくしたいらしい。
まあ、今すぐ行くことは無い。行くとしても、ニ日後。水篠さんがダンジョンに潜るときだ。
水篠さんに合わせる必要なない。しかし、俺はできるだけ水篠さんの一歩前に入れるようにしたい。それに、ニ日後なのは、出来るだけステータスを高くしておきたいからだ。
ニ日後
夢の回廊。
そこで、国玉夜はドッペルゲンガーと戦っている。
キンッ、キンッ、と、何度も金属音が鳴った。
国玉夜は長剣、大剣、短剣、槍。状況に合わせて、様々な武器を使用し、戦闘していた。ただ、まだ使い慣れてないのか、少したどたどしい。
――スキル、俊足、隠者発動
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[アクティブ]
俊足
隠者
[スキル:俊足・隠者を使用します]
[移動速度が50%上昇、敵から視認される確率が50%低下します]
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突然、国玉夜が速くなり、ドッペルゲンガーから見えにくくなる。
しかし、ドッペルゲンガーは慌てない。国玉夜の攻撃を冷静に対処し、攻撃を食らいつつも、攻撃を食らわせる。
お互い、HPが30%以下になる。すると、国玉夜に変化があった。
国玉夜は、更に早くなり、攻撃の威力も上がる。
ドッペルゲンガーは国玉夜に追いつけなくなっていく。
攻撃は食らわせられず、攻撃は食らう。
ドッペルゲンガーはそのまま押し切られ、討伐された。
――
「……フゥ…、今回のドッペルゲンガーは、俺が全力で同等くらいか…」
それぐらいなら勝てた。ただ、こいつよりも強いモンスターが現れると、厳しいだろうな。
俺は武器を全てインベントリに入れると、帰還する。
現在の国玉夜のステータス。
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ステータス
名前:国玉夜 レベル:1
職業:無し 疲労度:56
称号:武器の使用者
写し鏡
装備:無し
HP:21
MP:1
―――
筋力:20 体力:10
俊敏:20 知能:10
感覚:10
―――
分配可能ポイント:0
―――
スキル
パッシブ
持久力
起死回生
アクティブ
俊足
隠者
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「すいません、今日少し外出してもいいですかね?少し、散歩したくなっちゃいまして」
「はい。かまいませんよ」
俺は病院の受付に外出の許可を取ると、病院から少し離れた所でインベントリから鍵を出す。
「ここら辺なら見つからないか」
俺はそう言って、鍵を使用する。
すると、人一人が入れそうな、小さなゲートが開く。
通常の物と同じ大きさのゲートじゃなくて良かった。と安心する俺は、開いたゲートへと入って行く。
ゲートに入り、まず初めに見えたのは、鉄格子だった。
「牢屋?」
藁で作られた寝床のみが設置され、目の前には鉄格子と開いた扉。
長い間使われてなかったのか、かなり古びている。
「そういえばゲートは…閉まってるか」
ゲートを見れば、瓦礫で塞がれたように閉まっている。
俺はとりあえず、牢屋を出て、辺りを見渡す。
しかし、辺りを見渡しても、牢屋があるだけで、特にこれといった物は無い。
俺はここで立ち止まっていても仕方ないと思い、この苔生した牢屋地帯を抜け出すために歩き出した