「ハァ…」
俺はため息を吐く。
目の前に座す単眼のサクナ。彼女に勝利するビジョンが一切見えない。
とりあえず回復しようと、セイジャの秘薬を二つほど使用する。
MPは564から451と減り、HPは987から3976へ、疲労は78から28へと回復した。
彼女は、こんなことを目の前でしているにも拘らず、襲ってくる気配はない。
俺が弱いからだろうか?
いや、襲えば彼女に多少なりとも傷は与えられるはずなので、俺のことを弱いと判断することは無いか。
俺は自分への疑問を自己完結させる。
「とりあえず戦うか?」
俺は戦いの中で打開策を考えればいいかと思い、そんな事を言って、単眼のサクナへと歩き出す。
現状、打開策は無い。彼女に勝てそうにはないが、それは感覚だ。自分自身で確かめないと分からないだろう?
ある程度近づくと、俺は短剣を構えた。
数秒、無言が続く。
俺は地面を思い切り蹴り、サクナへと駆けだす。
途端、サクナは杖を召喚し、迫る俺へと振りかぶる。
玉座に座るサクナは自分の間合いに入ると、俺に向けて杖を振った。
それを視認し、短剣で受けてみる。すると、
バゴンッ、と重い音が鳴った。その華奢な身体からは想像ができない、重く強い一撃だった。
俺はその一撃に耐えることはできないと思い、すぐさま離脱する。
HPは――2ほど減っている。
特に気にするほどでもない。
俺はもう一度突っ込む。
今度は攻撃を回避して自分の間合いまで接近するために。
スキルを使用し、接近すると、サクナは立ち上がる。
サクナは攻撃するが、俺はその攻撃を回避し、自分の間合いまで接近すると、斬りつけてみる。
俺はサクナの腕ごと斬ったつもりが、少し深い切り傷が付いただけだった。
すぐさまそこを離れようとするが――
「カハッ…!」
サクナに腹を突かれ、勢いよく飛んでいき、背中で着地する。
「ガハッ…、ゴホッ、ゴホッ……」
内臓は…損傷してないか。骨も折れていない。
HPもあまり減っていない。
手加減をされたのか?
…それは少しムカつくな。
俺は長剣を取り出す。
突然、サクナから枷が外れたかのように、玉座が壊れた。
それと同時に、俺へと向かってくる。
速い!?
サクナは俺とは比べ物にならない速度で、俺に近づき、最初の攻撃の何倍もの速度で攻撃をする。
その攻撃は俺がギリギリ視認できるほどの速さだ。
攻撃を長剣で受けるが、そのまま吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「――――――――ッ!」
長剣は言うまでもなく、バラバラに瓦解し、サクナの攻撃を受けた方の腕は、剣を挟んで受けたにもかかわらず、これまで味わったことのない激痛が走り、悶絶した。
受けた腕は、折れていなくともひびは確実に入っているだろう。
俺は激痛に耐えながら、短剣を構える。
サクナを見れば、余裕そうな表情で、歩いて近づいてくる。
「ッハァ、ハァ……フゥ…」
息を整えると、サクナに向かっていく。
この強者に勝利するつもりで。
俺は戦う。
相手の隙を狙い、確実にダメージを与えていく。
こちらも何度もダメージを与えられる。
しかし、俺はダメージを受ければ受けるほど、
体は軽く。
攻撃は重く、強く。
感覚は鋭く。
頭は冴えていく。
恐らく起死回生のおかげだろう。
ただ、そんなことはどうでもよかった。
こいつに勝利できるのなら。
俺のHPが10%以下になる頃、サクナの攻撃がほとんど当たらなくなっており、俺から一方的にダメージを与えていた。
そのまま、ダメージを与え続けていく。
「さっさとくたばれぇッ!!」
俺は短剣を薙いだ。
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お知らせ
単眼のサクナを討伐しました
レベルがアップしました
レベルがアップしました
[アイテム:サクナの眼]
入手難易度:A
種類:秘薬
サクナの眼球です。サクナを討伐すれば稀に手に入ります。眼球を喰らう事で、サクナの持つ魔力を手に入れられますが、代わりに一つのスキルの能力を低下させます。このアイテムが持つデメリットを無効化することはできません。
―効果「サクナの残滓」:MP最大値上昇
―副作用「呪物」:ランダムで一つのスキルを弱体化
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「ハァハァハァハァハァ…キッッツ……レベル1で来るダンジョンにしては、強すぎ…」
俺はサクナの眼の説明を読むと、何時食べても同じだろうと思い、口の中へ放り込んだ。
味としては無味で強烈な臭いだった。
食べたことにより、MPはかなり上昇したが、代わりに起死回生の能力が下がった。まあ、もし下がるなら起死回生だと思ってはいたが、まさか本当に下がるとは。
目の前にウィンドウが出現した。
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お知らせ
ボスを討伐したのでダンジョン内が元に戻ります
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すると、ダンジョンがただの路地裏へと戻っていく。
空を見れば、日は完全に落ちていた。
俺は疲労感が半端ないが、ダッシュで病院へと戻った。
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ステータス
名前:国玉夜 レベル:32
職業:無し 疲労度:86
称号:武器の使用者
写し鏡
神使虐殺者
装備:無し
HP:605
MP:397
―――
筋力:95 体力:62
俊敏:78 知能:64
感覚:44
―――
分配可能ポイント:15
―――
スキル
パッシブ
持久力
起死回生
アクティブ
俊足
隠者
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「失礼しまーす」
そう言って、デイリークエスト中に病室に入ってきたのはナースの方。しかし、俺は水篠さんのようなカッコいい容姿ではないため、
「あ、筋トレ中ですか。すいません」
と、淡白に言われる。
俺はすぐに患者衣に着替えた。
「あ、そういえば、これどうぞ」
俺はそう言われ、番号を渡される。
「えーっと?」
「ああ、それは私の電話番号です。退院後、何かあればそちらに連絡してください」
「分かりました」
俺は退院し、家に帰った。
今回、かなり短いですが、許してくれませんか?