チート×チート×チート 作:スライム
朝の光がカーテン越しに差してくる。
いや、既に朝と言うには遅いかもしれない。
ルイーク・シャンテはぼんやりと起き上がり、パンっと手を叩いた。
黄金の円環がルイークを囲む。
「夢、ではなさそうだな」
アイテムボックスからは、大鎌と拾った色とりどりの石。
魔石とかいうやつである。
風呂に入り、朝食を食べ、身支度を整えて学校に行く途中、書店に寄って辞典を買う。
大学のトイレで、そっと円環を出してアイテムボックスに投入。
解析が完了すると、本は消えてなくなり、円環を出している間だけルイークの知識が増えた。怖い。
しかも、円環由来の知識は、上限がありそうだ。知識の消去もできる。外付けのメモリーカードみたいである。怖い。
色とりどりの石の成分は、大学の装置に掛けた所、成分不明。100%不明。
魔女と名乗る怪しい男は言っていた。
僕は宇宙航行技術を大躍進させる運命を持つらしい。
そしてこうも言っていた。使命を放り投げさせて、ゲーム廃人にさせたら自分の勝ち。
でも、ゲームクリアしたら人類に新たなる可能性をプレゼントというのも、おそらく本当。
ならば、一番格好いいのは、宇宙航行技術を大躍進させつつゲームクリアすること。そして幼女を救うこと。
「僕は誰だ? ルイーク・シャンテだ!!」
そして、自身に活を入れて計画を建てる。
学友たちが、登校してくる。今日の授業は遅い時間にすることになっていたのだ。
「おい、見たか? ニュースを見たか、ルイーク! パーフェクトジーニアスとバーサク幼女、そして謎の三角帽子! 空中に映像を映し出すのは、もう何十年も前からアイデアとしてはあったが、実現してこなかった。現れたのはエイリアンか、神なのか。人間の新たな可能性とは。くぅ―! ここに来て、こんな不思議に出会えるなんてなあ!」
「興味ないね。僕はルイーク・シャンテだ」
「お前はそうだよな。さ―今日も研究研究!」
そして、僕達は研究に集中した。
早速帰って約束の時間にベルトをはめると、目の前に幼女がいた。
「じゃ、魔法の素を探そ」
「魔法の素?」
「私が食べた……貴方も食べた。飴やりんごのようなもの」
「なるほど」
「食べられるものも探す」
「それは大事だね」
そこに、ツノウサギが現れた。
石を投げようとする僕だが、必要なかった。
なぜなら、バーサク幼女が杖を振ると爆散したからだ。
「センスさえ磨けば、私は一番強い魔女になるって。がんばる」
「そ、そうか」
「お兄ちゃんは解析頑張ってね。私、いっぱい食べる」
「ああ。任せておけ」
バーサク幼女は本当に、本当に強かった。
多分、僕は解析係で、彼女は前衛なんだろう。勧められるだけはある。
だが、彼女はまだ幼い。色々心配である。
短い間で集中的に探索することにして、今日も一時間ほどで休むことにした。
といっても、帰ってからも僕は眠らない。
今日の発見をまとめて、僕の研究の方も進めなくてはいけない。
……魔女とは、一体何なのだろう。エイリアンか、はてさて。
僕が眠りについたのは、それからしばらくしてからだった。
「ようやく見つけた……! 魔法陣のお菓子とご本!」
僕は少しぼろぼろになって、幼女はぴょんぴょん飛んで、喜んだ。
ここにくるまで一週間たっていた。
紫に光る毒蝶々の対処が大変で……とにかく、これで仲間が増える。
カメラアイがシャットダウンしていき、映像が映る。
『いざいかん! 約束の地へ!! サイコロ振って下さい』
ぼとぼとおと。
お菓子とベルト、詠唱者の手引とイヤリングが落ちる。
『えっ パーフェクトジーニアス!?』
「君は選ばれた! さあ、詠唱者の実を食べて変身ベルトをしてほしい! 君が必要だ!」
「えらばれた!」
『え―――――――!?』
『なになに』
『なんだなんだ? え――――!?』
『GMすごっ』
『本物の魔法使いになるってこと?』
『マジモンのダンジョンだって』
GMと呼ばれたひょろりとした男は、涙した。
『ラテン語と魔法陣の基礎を学んだ甲斐があった……!』
何を言っているのかよくわからないが、努力家でなおかつそれを実らせる有能な人間が僕は好きだ。
「こいよ!」
「こいよー!」
バクバクっとお菓子を食べて、男は本をひっつかみ、ベルトをして、次の瞬間目の前に現れた。
復活するカメラアイ。
「我は誇りを持ってこう名乗ろう……オタク詠唱者、GM!」
こうして黒歴史は爆誕した。
一方その頃。
放映七話目(七晩目)にして、既に仕掛け人は飽きて素材採取に精を出していた。
頑張り続けないと、せっかくのチートも腐っちゃうよね。
パーフェクトジーニアスはこれからもパーフェクトジーニアスと呼ばれ続けたいのだ。
そして主人公、まさかのというかやっぱりの飽きた発言。この作品はどこへ向かうというのか。