ラクーンシティ ホテル・アップルイン 9月29日 午前六半時頃。
服の上からでも分かる盛り上がった筋肉。白濁した目。鋭利な指先。何より口から伸びる長い舌。内側から”変化”が始まった異様なゾンビをクッコロはとめるのサブマシンガンで迎え撃つ。
バララララー!
「えー!全然当たんないー!」
FPSガチ勢のとめると違い銃器の扱いはからっきしのクッコロは通常のゾンビ以上に不規則かつ俊敏な動きに翻弄され、無駄弾をばらまいてあっという間に弾ギレで追い詰められる。
ヒュン!
「うぉっ!」
クッコロに振り下ろされた爪に変貌を遂げつつある指先は空を切りホテルの壁に深々と爪痕を残す。泡をくってマガジンを取り落としてしまい咄嗟に銃身下のグレネードの引き金を引く。
ボウッ!
「熱っ!火の粉が……!」
余りに至近距離で放ったため火の粉がクッコロに燃え移る。火達磨になりながら迫るゾンビにクッコロはなまほしちゃんが護身用に拾っていた鉄パイプでフルスイングしてひるませる。
「セッちゃん!こっちです!」
使い慣れない武器では勝てる戦いも勝てない。ゾンビが倒れた隙にホテルの個室に逃げ込み態勢を立て直すことにした。
「あちちっ!はぁ、やっぱり銃は性に合わないよぉ」
甲冑のおかげで大事は避けられたもののクッコロは肩から二の腕にかけて負った火傷にグリーンハーブをスプレーにして吹き付ける。
「とめるちゃんみたいにFPSやってるだけでリアル銃器も使いこなせちゃう方がおかしいですから。気にしないでください」
なまほしちゃんは銃の扱いが不得手なクッコロのために拾った鉄パイプとコンクリート片を組み合わせて即席のハンマーを作成した。
「おっ!ハンマー!騎士といったらこれだよねー」
「あと、これも使ってみて下さい」
ライフルにサバイバルナイフを銃剣として取り付けたものをクッコロに手渡す。
「ふぇー。結構リーチあるね。これならあのゾンビもやっつけられそう」
クッコロが姿見を見ながら得意気に刺突の練習をしていると内カギを掛けたドアのノブがガチャガチャと回される。
「えっ!なになに?ゾンビぃ?」
「いえ、何か違います……!」
ゾンビのように闇雲にドアを叩いているわけではないノブを回して開かないのを焦れったく思っている。すなわちドアの構造を理解する”知性”がある。
「なに?ひょっとしてまたあのハゲ?!」
警戒心から生唾を飲みハンマーを構えるクッコロの目の前で三日月のような長大な鉤爪がドアを破砕。爬虫類と甲殻類、さらに人が入り混じったようなな深緑の怪物”ハンターβ”が現れる。
「な、何あいつ?ゾンビともハゲとも違う」
キシャァァァァッ!
甲虫のような構造の口から雄たけびを上げ、残忍そうな小さい双眸に無防備ななまほしちゃんを捉え、最初の獲物に定める。
「こらー!なまほしちゃんに手を出すなー!」
なまほしちゃんを背に庇い、クッコロは即席のハンマーを振りかぶりハンターβの右側頭部に叩き込む。
ぼがぁっ!
キシャァァァァァッ!!
醜悪な顔面を粉砕されたハンターγが雄たけびを上げて倒れる。間髪入れずに深緑の外皮の下のむき出しなった赤い肉腫に銃剣を深々と突きたてて引き金を引いた。
「とりゃっー!くらえー!!」
バスン!バスン!バスン!
至近距離からライフル弾を連射されてハンターβの頭蓋は無惨に砕け散った。
「やった!ワンkill!」
アップルインでの初金星にガッツボーズをとるクッコロの横でなまほしちゃんは深刻な顔。
「ゾンビみたいにそこら辺から湧いた感じじゃないです。誰かから狙われているような……」
なまほしちゃんの懸念通り監視カメラでクッコロとなまほしちゃんが個室から出てくる様子を防犯カメラで窺うニコライは二人の検討に拍手を送る。
「ほうほう。一体ではこんなものか。しかし、ハンターシリーズの恐ろしさは”群れ”での狩りにある」
戦闘データを録画しながら。ニコライはとめるのケツに注射をぶっさして浣腸液を注入されて悶絶する。
「むぐっ!んぐぅ~~!」
ぎゅるるぅぅぅっ!ごろごろごろっ!
「はははっ!さっそく効いてきたか。遠慮せずにバケツにひり出せ。それでお前はとりあえず用済みだ。こそこそやる必要もない」
(ふぇぇぇっっ!!!11歳に浣腸とかスカトロマニアのロリコン?!クッコロちゃん!なまほしちゃん!助けてぇ!)
目を盗んで脱出して二人を助ける!という決意は浣腸からの強制排便で折れかかる。ニコライが嗜虐的な笑みを浮かべつつも劣情は一切なくあくまで冷徹な意図で動いているのが底知れないのが不気味だ。
猛烈な便意に悲鳴を上げる涙目のとめるのピンク色の瞳にクッコロとなまほしちゃんが二体目のハンターγと交戦する姿が映った。
to be continued―