とめハザ   作:はらだいこ

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ハンターβとの連戦です。なまほしちゃんは病弱で身体能力が低い設定なのでどう活躍させるか考えるのが一番楽しいです。


第十四話 女騎士とスタンロッドとグレネードランチャー

ラクーンシティ ホテル・アップルイン 9月29日 午前七時頃。

 

空は嫌味のような快晴で眩い朝日が窓から差し込む。。爽やかな一日の始まりとはいかない。悪夢はまだ終

わらない。

 

「ていやっ!」

 

完璧なフォームから繰り出されたクッコロの銃剣の刺突を後ろに飛んで避けたハンターβにライフルの引き金を引く。

 

バスッ!バスッ!バスッ!

 

一発目は身体を沈めて、二発目は滑る様に右横に逸れて、三発目は滑る様に前に動いて弾丸を紙一重で躱してクッコロの懐に入り込んでくる。

 

「ウソ!早っ!この距離で避けるなんてマ〇リックス?!」

 

クッコロに肉薄したハンターβは異常発達した左腕を振り下ろし、クッコロは銃身で受け止め力比べとなる。

 

「ぐぅぅっ!おりゃー!!」

 

全身を堅牢な甲殻で覆われたハンターγの勇逸無防備な腹部に渾身の前蹴りを叩き込んで怯ませ、即座にハンマーに持ち替えて顔面に叩き込む。

 

ボガァ!

 

「ちっ!浅い……!」

 

きしゃぁっっ!!!きしゃっ!きしゃぁぁぁぁっ!

 

クリーンヒットとはならず顔面は半壊程度のダメージ。半ば露わになった赤黒い肉腫を恥じ入る様に右手で覆い咆哮を上げる。

 

「えっ!?な、何っ!」

 

今までの咆哮とは違う。まるで動物が仲間を呼ぶ時の鳴き声のような規則性を感じとったクッコロは戦慄する。

 

きしゃぁぁぁぁっ!

 

廊下の曲がり角の向こうから異質な足音と仲間の危機に怒る雄たけびがクッコロの鼓膜を震わせる。

 

「ウソ!もう一匹」

 

加勢に来た一体はクッコロの一撃で負傷した個体と即座に合流してハンター(狩人)の本懐を見せつける。

 

「うわっ!早っ!目で追えないっ!」

 

交互に入れ替わる様な変則的な動きでクッコロを翻弄する。攻撃後の隙が多いハンマーや銃剣は出る幕がない。

 

「うわぁっ!来ないで―!」

 

ハンマーの柄を短く持って接近戦に対処するも、遠心力を稼げない状態では致命打は与えられない。防戦一方のクッコロにハンターβの爪が迫る。

 

バキャッ!

 

「ハ、ハンマーが……!」

 

鉄パイプの先に括り付けたコンクリート塊をハンターの爪の一撃が破壊した。もともと急ごしらえの武器なのでむしろここまでよく持った方である。

 

「セッちゃん!伏せて下さい!」

「なまほしちゃん!」

 

戦闘では足手まといになるためハンターβとの戦闘が終わるまで廊下の角で隠れていたなまほしちゃんは床に体育座りになって構えたサブマシンガンをフルオートで放つ。

 

バララララララ―ッ!!!

 

座ったことでかなり反動は抑えられているが集弾率は最悪で照準はでたらめ。しかし、それが逆にハンターに弾道の予測を許さずハンターβの牽制として有効になる。

 

きしゃぁぁぁぁぁっ!!!

 

「なまほしちゃん!ありがとう!」

「お互い様です!えいっ!」

 

バシュゥゥッ!

 

硫酸弾が先頭のハンターβに直撃。クッコロのハンマーとなまほしちゃんの乱射をモロに食らって砕かれて剥き出しになった肉腫に強酸が浸透して絶命する。

 

「セッちゃん!今の内です!」

「う、うん!」

 

同胞の死にわずかなりとも動揺を抱いたもう一体のハンターの隙を見逃さず下の階に退避する。

 

「くそー!あのトカゲやろー!」

 

適当な個室に逃げ込んだクッコロはハンターβとの連戦で負った傷にグリーンハーブのスプレーを吹き掛け、力及ばずおめおめと引き下がった事に歯ぎしりをする。

 

「ハンマーじゃ隙が大きすぎますね」

 

鉄パイプにコンクリート同様に拾ったバッテリーを括りつけ即席のスタンロッドを作成する。

 

「さすほしちゃん!うぉ!バチッってする。これならあのトカゲもイチコロだねぇ」

「あと、これも使って下さい」

 

なまほしからの二つ目のプレゼント。サブマシンガンの銃身下から取り外したグレネードランチャーを手渡す。

 

「あの弾丸も見切る俊敏な動きではいっそ接近戦に持ち込んだ方がいいと思います」

「ありがとう!なまほしちゃん!」

 

右手にスタンロッド、左手にグレネードランチャーの新装備に手応えを感じて得意気な笑みを浮かべる。

 

「なまほしちゃんも援護射撃します!」

 

細腕をプルプルさせながらコッキングして薬室に弾を送り込んで二ヤリ。

 

「なまほしちゃん、頼もしー!ありがとう!」

 

新装備で気分一新のなまほしちゃんとクッコロ・セツだが、一方のとめるは我慢の限界を迎え一週間分の宿便を解放していた。

 

「あっ……!も、もうダメェェェェェェッッ!!」

 

ぶりぶりぶりー!!!

 

浣腸液の噴射の後、間をおいて野太い一本グソが放り出される。宿便だけあってどす黒く粘りつくような臭気を放っている。

 

「やっと根を上げたか……手間取らせやがって」

 

むりりりっ!!びゅりゅりゅりゅっ!

 

一本グソがとぐろをまくと次は兎のような泥団子上の便がぷりぷりと排泄される。

 

「くっ……戦地では肥溜めに身を隠したこともあるが、ここまで臭くはなかった」

 

歴戦の兵であるニコライも思わず鼻をつまみ、忌々し気に顔を顰める。呆れ顔で懐から取り出した容器の蓋についた綿棒をバケツから溢れるほどの糞便の山に突きさす。

 

「よし……これで”T腸菌”を入手したな」

「T……腸菌?」

 

腸を空にして放心状態のとめるを見てニコライは不敵に微笑む。

 

「くく、おまえは知らなくていいことだ。今は滅多にない稼ぎ時だ。拾える儲けの種は全部拾う」

 

頭の中でそろばんをはじくととめるの糞の山の悪臭も気にならなくなる。目を離していたモニターを覗き込むと酷薄な笑みが広がる。

 

「おぉ!これは面白い!ショーの第二幕だ」

 

ホテルのエントランスは今やコロッセオ。残りのハンターβ4体が群れをなし二階からおろした梯子から闘技場に降り立つ。

 

なまほしちゃんは手すりを銃架代わりにして頭上からクッコロをサポートするつもりだ。

 

(ふん!そうやってクッコロちゃんとなまほしちゃんに見とれててよ。その隙にとめるは……)

 

防犯カメラを操作してベストショットを収めようと夢中のニコライの警戒の合間を縫って足の拘束バンドの切除に取り掛かる。袖に仕込んであった糸ノコが役に立った。

 

(あとはフェラチオザウルスを上手く使えれば……)

 

相棒のぬいぐるみが脱出のカギ。チャンスは一瞬。一縷の望みにとめるは賭けた。

 

to be continued―

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