ラクーンシティ 高速道路高架上空 9月29日 午前11時30時頃。
ドォォン!!!
大型トラックの爆発炎上で天高く上がる爆炎に驚いたDUWは危うく飲みかけのチャイの入った感温マグカップを落としかける。
「うぉー!びっくりしたぁ!何アレ―?」
人目がないこともあってか突然のことにお嬢様設定を忘れて地の口調が出る。小窓から眼下を覗き込むとトラックの爆炎から姿を現したスーパータイラントがとめるたちとの最後の死闘を開始していた。
「全裸でこっちに向かってくるぅー?!変態じゃん!」
B.O.Wの最高傑作を全裸の変態扱いしたとめるはフレームがたがたのライフルからサブマシンガンに切り替えホローポイント弾のフルオートをお見舞いする。
バラララララー!
「ウソぉ!全部弾かれてるー!」
ソフトターゲット相手には覿面の威力を発揮する貫通に適さない全身の皮膚が硬質化したタイラントにはまったくの無力。
おぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!
体重が増加したにも関わらず変異した肉体は俊敏さを一切損なってはいない。重厚な足取りから一転天高く飛び上がり十メートル以上離れたとめるを押しつぶしにかかる。
「ふぇぇぇぇー?!な、なにあのジャンプ力?!」
どごぉ!
コンクリートが破砕し飛び散った破片を浴びギリギリで回避してタイラントの死角に潜り込み至近距離でグレネード弾を放つ。
ボン!ボボン!ボンボンッ!
死角から叩き込まれたグレネード弾に超人的な反応速度で長大な爪の生えた両腕でガードする。
「嘘!弾かれ……ぐぅおえぇぇぇっ!!」
変異前よりも1.5倍に伸びた腕による神速の裏拳を回避しきれず数メートル吹き飛ばされて赤いクラシックカーのボンネットにめり込んで一瞬意識が飛ぶ。
「とめるちゃーん!」
なまほしちゃんが投げた閃光手榴弾が炸裂。五感も強化されたことがあだとなって閃光手榴弾で大きく怯んだ隙にクッコロがとめるを回収してタイラントから距離を取る。
「とめるちゃん!大丈夫ですか?!」
「いてて……なまほしちゃん……ありがとう……あちゃー!サブマシンガンもおしゃかかぁー」
タイラントの爪の一撃を銃身でガードしたため銃身がくの字に曲がり一目で使用不可能と分る。おまけにアンダーバレルのグレネードも破損している。
「ここにきてナイフ縛りってきついわー……あれ?ヘリコプター?」
苦肉の策でカランビットナイフを構えたとめるがふと空を見上げると高架上空を大型ヘリコプターが旋回を始めていた。
「可愛い妹たちぃー!ごきげんよー!わたくしが助けにきましたわー!」
高笑いと共にDWUは大型ヘリコプターの後部ハッチから華麗に舞い降りる。虎の子のロケットランチャーを抱えて縦ロール
に仕込んだロケットブースターに点火。優雅に空を舞い窮地の妹たちの目の前に救世主として降臨する―はずだった。
ボゥ!ボボボボボボボッッッ!!!
ブースターがガタガタと震えながら煙を吐き急激に出力を落としていく。
「えーちょっと!なんでこのタイミングで壊れるのぉー!」
早くも飛行のコントロールを失いDWUは高架に”墜落”する。
「あぁー!もうっ!やっぱり旧セバスが調整したのなんてあてになんなーい!」
大慌ててブースターを分離してせめて鮮やかに着地という思惑とは裏腹にトラックの荷台に受け身もも取れずに仰向けに落下する。
「ぐげっ!」
ドンドン!と縦ロールブースターが上空で爆発四散した音でカエルのように伸びていたDWUは縦ロールを失いショートカットとなった頭を抱えて起き上がる。
「あれっ!ロケランは?!」
抱えていたはずのロケットランチャーが見当たらない。泡を食ったDWUが周囲を見渡そうとするとタイラントが咆哮がDWUの耳朶を打つ。
おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!
派手に墜落したDWUを新たな敵と認識したタイラントはDWUに猛進する。
「ぎゃー!なんであたしっていっつもこうなのー!」
一直進に突進してくるスーパータイラントにじたばたと七転八倒してトラックの荷台から無様に転げ落ちるDWUの元にクッコロが駆ける。
「お姉ちゃーん!アングラディウスをちょうだーい!」
「えぇっ!ア、アングラディウス?!と、とりゃー!」
DWUが腰に佩いていた愛剣"深剣アングラディウス"をクッコロへ思いっきり投擲。車の屋根を踏み台に
してジャンプしたクッコロが両刃剣を見事キャッチ。スーパータイラントの背後から不意をうって斬
りかかる。
「……相変わらずだねDちゃん」
深層姉妹とスーパータイラントの死闘を高架上の鉄橋の上から見下ろす水色のお下げ髪の小柄な少女。年齢に
そぐわない豊かな胸元に手を伸ばして止める。
「まだぼくの出番じゃない……あくまでも部外者だからタイミングを見計らって……」
to be continued―