ラクーン市警(R.P.D) 前庭園 9月29日午前2時午後
ゲームで武器が手に入らず弾だけひたすら溜まっていくのは悲しい。やっと見つけた新武器で溜まりに溜まった弾をやっと使えるのはたっぷり寝かせた自家製のワインの栓を抜く感覚にも似ている。
「ふっふーん!装着完了~~!」
アサルトライフルのスコープに続き手に入れたミニグレネードランチャー。ちょっとしたカスタマイズでサブマシンガンの銃身下に装着することができた。
「これで溜め込んだグレネード弾が使えるよー。ゾンビ相手に実験実験♪」
軍隊とは異なり警察における戦闘の旨は対象を”制圧”することにある。ゴム弾やガス弾の類ならまだしも火炎弾や硫酸弾、炸裂弾という殺傷力の高い弾頭が署内にはなぜだかゴロゴロと転がっていた。
「よーし!試射開始ぃー!」
火炎弾を屋内で使用するほどとめるは無謀ではない。バリケードを乗り越えて侵入してきたゾンビたちから姉を守るという大義名分を引っ提げて炸裂弾をランチャーに装填する。
ボスン!
炸裂弾は特殊仕様で発射後に5つの子弾に拡散する性質で攻撃範囲が広く至近距離では絶大なダメージを与えられる。
ボン!ボボボン!ボン!
5つの子弾は数匹のゾンビの群れの先頭の2匹に命中。上半身に3発くらった最初のゾンビは胸から上を消し飛ばされて崩れ落ち、もう2発のうち1発は外れ、最後の1発が2匹目の右足を吹き飛ばして地面を這いずってとめるの細い足にうめき声を上げながら手を伸ばす。
「うぉぉ~~!こっちも試射だぁ!」
バララララッ!
ホローポイント弾の連射が一点に集中して這いずりゾンビの頭部を粉砕する銃身下のランチャーで重量が増したことで発射ブレが小さくなり集弾性が増している。思わぬ副産物に止めるの顔がほころぶ。
「よーし!次はこっち!」
火炎弾を装填しながら誘導したゾンビを3匹を十分引き付けてから火炎弾を放つ。
ボウン!
着弾と同時に暗闇に慣れた目を貫く眩い爆炎が生じて瞬く間にゾンビに燃え移り腐りかけた肉体を浄化する。
「うぁぁぁぁぁっ!燃えながら追いかけてくるよー!!」
ヒューマントーチと化したゾンビはしばらくの間とめるを追いかけるとどっと崩れ落ちて火葬されるがままになる。しかし、完全に焼却できたのは直撃した1匹だけで残りの2匹は延焼によるダメージは与えられても
歩行自体には問題なくとめるへの捕食行動を続行する。
「ごめんごめんっ!熱かったよね。今、消化したげるー!」
炎を身に纏って迫るゾンビに泡を食ったとめるは火達磨にしたお詫びに硫酸弾をお見舞いする。
バッシャーン!
明らかに40mmの弾頭にはとても封入できそうもない量の硫酸がぶちまけられ、鼻をつく異臭とブスブスと音を立てながら白煙を上げたゾンビがグズグズに溶けていく。
「と、溶けてる……エ、エッチだ……♥」
高温で炭化してもろくなった手足が木の枝のように折れ崩れて倒れていく。重火器による物理的破壊では味わえない人体の儚さの美にとめるの下腹部の奥がきゅんと疼く。
「おぉぉー!すっげー!これがグレネードランチャーの威力!いえー!」
無邪気にはしゃぎながら炸裂弾は拡散するから角度を調整して放物線を描く様に射出するか、もしくは至近距離で使用して殺傷力を稼ぐのもありだ。硫酸弾と火炎弾の効果範囲や特殊な性質をどう活かすか?ゲーマーの性で新武器でどんな敵が出ても対処できるように脳内シュミレーションを繰り広げる。
「さて、そろそろなまほしちゃんたちを探しに……おわぁぁぁっ!」
ガチャーン!
ラクーン警察署の2階から盛大に窓ガラスをぶち割って人が飛び降りてきた。ゾンビか?と身構えて試射を終えたばかりのグレネードランチャーを向ける。
「えっ!とめるちゃん?」
サブマシンガンの銃星の先には豊満な肢体の女騎士―クッコロ・セツの姿。多少の血痕や泥がついているものの元気そうな姿にほっと胸を撫でおろす。
「クッコロちゃん?!よかった無事だったー」
「とめるちゃん!ごめん!今は喜んでる暇ないのー!」
「え!どういう……」
二人の感動の再会に水を差すようにコートの巨漢がガラスをぶち割り二階から降り立った。
to be continued―