ラクーン市警(R.P.D) 庭園前 9月29日午後2時頃
防弾コートを含めれば優に300キロを超える圧倒的な巨体の落下に頑丈な石畳もひび割れて悲鳴を上げる。
「うわぁぁぁぁぁっ!なに?あいつなにっ!」
「ストーカーだよとめるちゃん!あいつにしつこく追いかけられてるの!」
「えっ!ストーカー!こわっ!やっつけないと」
異形の巨漢に慌てながらもタイラントがクッコロにアイアンクローをした際に手首に突き刺されたナイフを引き抜いている隙にグレネードランチャーに炸裂弾を装填。新たなターゲットに進撃を開始したタイラントに引き金を引く。
ボン!ボボボン!ボン!ボンッ!
銃身に45°の角度をつけて放なたれた炸裂弾の子弾が放物線を描きタイラントの屈強な胸板に殺到する。
「えっ!ガード?!」
タイラントは小山のような身体を低く屈め、腕をX字状に交差させて子弾を迎え撃つ。炸裂弾は5つに分かれているため個々の破壊力はさほどではなく防爆仕様のコートの前にほぼ威力を殺される。
「ゾンビとは全然違うっ!つよっ!これならどうよ!」
ゾンビやリッカーとは桁違いの耐久力に動く目を丸く口を四角にして驚愕。しかし、手は止めず火炎弾を装填。クッコロが警棒を投げつけて作ったタイラントの一瞬の隙を見逃さず火炎弾を命中させる。
ボウン!
粘性が高いナパームジェルはタイラントのコートにべっとりと絡みつき一千度近い高温の炎が発生する。ゾンビ相手には十分すぎる火力だが、やはりタイラントには致命打とはなりえず無慈悲な進撃を続ける。
「えぇぇ~~火炎弾も通じないっ!埒があかないよー」
「とめるちゃん!あいつを引き付けて!」
「クッコロちゃん!うん!わかった!」
バラララララー!
姉に一計ありととめるが頷くとサブマシンガンを小気味よく点射する。強靱な肉体を持つタイラントといえど急所である剥き出しの頭部は腕でガードせざる終えず、ほんの一瞬とはいえ視界が遮られる。
「ナイスだよ!とめるちゃん」
タイラントの進行速度を見極めた上で渾身の飛び後ろ廻し蹴りで街灯の根元をへし折り、タイラントの頭部に鉄槌として叩き込まれた。腕でガードしたことによって上半身が無防備になった隙をとめるは見逃さなかった。
「これでもくらえー!うんちぶりぶりー!」
とめるは虎の子のロケットランチャーを構えてると躊躇なく引き金を引いた。
バシュゥゥゥゥゥッ!!!
放たれたロケット弾はタイラントを轟音と共に爆炎に包み込み、ついにタイラントの膝を地面につかせることに成功する。
「よし!やったぁっ!ナイスゥ―!」
「とめるちゃんお見事!でも、喜んでる場合じゃないよ!なまほしちゃんを探さないと!」
「そうだそうだ!なまほしちゃんを探さないと」
ロケット弾を射出して単なる筒になったロケットランチャーを投棄して身軽になったとめるはクッコロとともに再び警察署の中に駆けこんでいく。掛け替えのない姉妹との再会を決意して―。
……
……
……
タイラントから逐一送られてくる視覚情報でとめるとクッコロの戦いぶりを鑑賞していた男は満足気な顔を浮かべて浅黒い肌のエスニック系のメイドの淹れた熱いベトナムコーヒーを一口すする。
「……あれが新しい深層姉妹の四女と五女か、予想以上だね」
黒い髪にベージュ色の肌、起伏の薄い目鼻立ちとごく一見ごくありふれたアジア人の男の瞳には底知れぬ狂気の光が宿っている。
「長女の底は知れ、二女も卒業。たが、下二人の妹のポテンシャルは未知数だ」
ロケットランチャーの直撃で耐久力の限界を迎えたタイラントのコートは拘束を解除して、タイラントは筋骨隆々の上半身を露わにする拘束具でもあるコートを失ったことでさらに筋肉が盛り上がり復活を告げるように空
高く咆哮を上げる。
「さて、お目当ての”モノ”を手に入れるまで、もうひと頑張りしてもらうか」
冷房の効きすぎた薄暗い部屋の中、男の酷薄さがにじみ出た薄い唇がいびつに歪んだ。
to be continued―