ウマ娘 ワールドダービー 凱旋門レギュ『4:25:00』 ミホノブルボンチャート   作:ルルマンド

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死ぬほど読みにくいルドルフ大好きおじさんの戯言はあとがきにまとめておくので安心してください(読者に優しい作者の鑑)
まあちゃんと読むと特典として、これからの作戦とかテイオーに足りないものとかなぜ負けたかとかちゃんとわかるようになってます。

あと我がトレセン学園にもνブルボンがロールアウトされました。
カプリコーン杯プラチナとったところであれですが、これからブルボンには新型機を使かわせていこうと思います。


アフターストーリー:暴走

 アオハル杯後。

 未デビューのウマ娘にしては見事な4着を確保したゴールドシップは、不自然に少しだけ人が疎らな観客席の柵に手をついて話していた。

 

「負けたみたいですね、ゴールドシップ」

 

「おう。やっぱあのコンビはつえーわ」

 

 負けた、と。

 ひとり敗北の味を噛み締めているゴールドシップの耳に、聞き覚えのある足音が鳴った。

 

 芝を踏みしめるその音に反応しようとした瞬間、今の今まで話していた相手がパソコンを手放して立ち上がりかける。

 

「まあ、仕方のないことですよ。これからぁぁぁあ!? うおおお、若い! 若い芦ッ!?」

 

 それまでの丁寧な口調はどこへやら。

 無言のゴルシパンチ(9000AP)を喰らった謎のウマ娘が客席に沈む中、ゴールドシップは彼女らしくなく若干頬を引きつらせながら、来訪者に応えた。

 

「ゴールドシップ」

 

「……あらー、なんですのぉ? トレーナーさん?」

 

 定まらないキャラ、というか口調。

 唯一定まっているのは、人工的な狂気を宿していること。

 

 そんなゴールドシップから繰り出された突然の、そして流暢なお嬢様口調を無視して、東条隼瀬は言葉を続けた。

 

「お前、俺たちの手の内を知っていたようだな」

 

 手の内を知ってるような、挙動。

 

 スタートを遅らせたことなのか。

 ロングスパートをいつもより早く仕掛けたことなのか。

 それとも、ロングスパートの加速がそれなりに達したところで観客席ギリギリの大外を攻めるつもりだったのがバレたのか?

 

 あるいは、この全てか。

 会話に違和感が起こらないほどの微弱な沈黙の後に、米食いたそうに目を細めながらゴールドシップは本来の口調に戻して答えた。

 

「…………まーな。ゴルシちゃんレーダーは、警戒すべき相手を間違えねーのさ」

 

 ゴールドシップの所属チームは、スピカ。

 スピカのトレーナーは、沖野T。

 

 確かに彼は目下対参謀11連敗中――――シービーの宝塚、ジャパンカップ、有馬記念、天皇賞春で4回、テイオーのジャパンカップ、有馬記念で2回、マックイーンの天皇賞春とURAファイナルズ決勝で2回、そして今回のアオハル杯で3回――――である。

 故に沖野Tが警戒するのもまた仕方のないことであるが、そんなことは東条隼瀬の気にするところではない。

 

 彼は自分がどうたら、というより自分のウマ娘が勝った、と思っている。だから、そういう連勝とか連敗とかを認識していなかったのである。

 

 そして沖野Tとしても、そう思う質だった。

 だからこそ、彼は負けた理由を自分と東条隼瀬との差に求めていたのである。

 

 そんな中で珍しく若干警戒心を露わにするゴールドシップから少し目を逸らしたあと改めて視線を戻し直し、東条隼瀬はこれまた珍しく対抗心を燃やしながら言った。

 

「次は情報戦でも勝つ」

 

「あ?」

 

 あ、怪我したかもしんねぇ。

 そう感じた時のような素っ頓狂な声を、ゴールドシップは出した。まあその時は筋肉痛だったわけだが。

 

(ああそういや、こういうガキっぽい負けず嫌いさ、あったわ)

 

 しかしその素っ頓狂さを、そんな納得が打ち消す。

 冷静な顔と行動の中身が結構負けず嫌いだったり感情的だったりするのを、ゴールドシップは知っていた。

 

 そんなふうに一方的に宣言して去っていく芦毛のトレーナーの背に、ゴールドシップは声をかけた。

 

「おいおいおいおいおいおいおい。ゴルシちゃんの時間をとっ捕まえて奪っておいて、それでサヨナラじゃあるめぇな?」

 

「なんだ。訊きたいことがあるのか」

 

「うおっ変わらねぇ……愛嬌を母ちゃんの腹の中に置いてきたのかな?」

 

 唐突に江戸っ子と化したゴールドシップを見事にスルーして振り向いた男の氷のような反応に対して反射で煽りコメントを打ち込みながら、黄金の不沈艦は更に続けた。

 

「アンタ、どこでわかった?」

 

「さあな。ただ、最悪を予想しただけだ」

 

 あの場合の最悪とは、シンボリルドルフの支配領域から脱されることである。

 それはつまり、この黄金船が抜錨した後に無意味に大外に出てから強襲してくること。

 

 流石に一旦大外に急進してそこから斜めに突っ込まれては、ルドルフの支配も及ばない。意味不明すぎて。

 だから、東条隼瀬はルドルフを輔弼すべく動いたのだ。

 

「手の内が読まれてるなら、それはそれとして行動を限定することができるってやつか。手持ちの能力を向上させて最悪の手を限定させ、予め対処法をいくつか立案しておく……」

 

「お前、頭いいな。やはりスタート時はわざとか」

 

 一見本気でスタートが苦手だと思われたからこそ、東条隼瀬は確信を持てないでいた。

 

 出遅れたから、開き直ったのか。

 開き直って、出遅れたのか。

 

 前者であれば主導権はゴールドシップにはなく、後者であればある。

 

「ンンンン! ゴルシちゃんなんのことかわかんなーい! あはん!」

 

「まあわからないなら結構」

 

 頭がいいことを自覚していない、切れ者。

 つまり精神的に頭がいいのではなく、肉体的な頭がいい。

 

 そういうことかとプロファイリングした男をしれーっと見て、ゴールドシップはツッコんだ。

 

「ツッコミ待ちだよ。あたりめぇだろ」

 

「あ、そ。で、訊きたいことはこれで終わりか?」

 

 ならインタビューの準備も終わりそうだし、帰るが。

 そう言いつつ、本当に帰りそうな男に向けて。ゴールドシップは真面目な顔をして問うた。

 

「……どうすれば1番、勝ち目があったと思う?」

 

「それを敵に訊くのか」

 

「アンタ、他人に教えるの好きだろ? 需要を満たしてやってるのよ、ゴルシちゃんは」

 

 確かに、東条隼瀬からすれば教え導くのは嫌いではない。

 それが向いているか、そしてちゃんとできているかは別として。

 

「……そうだな。見たところお前は、ただの未デビューウマ娘ではない。だが、それを感じさせすぎた。故に俺も早期に抑えに行ったし、全力を向けた。だから……俺に無理なく情報を与えればよかった。互いにある程度知っているが故に、何も知らない。そういう関係であれば、お前の存在は伏兵になり得たはずだ」

 

 未知に過ぎた。

 そういうことだ、と説明する男の話に頷いて、納得する。

 

「なるほど。あんがとな」

 

「一つ余分に答えてやったから、一つ。こちらも問おう」

 

「あによ」

 

 頭の後ろに両手を回す謎のポーズで左右に揺れている不沈艦に向けて、東条隼瀬はなんとなく問うた。

 

「お前、どこかで会ったか?」

 

「……んにゃ、会ったことはねぇよ。会う予定はあったかもしれないけどな」

 

「そうか。いや、そうだろうな。変なことを訊いた」

 

 中々に、強烈な人格をしている。一度見れば、忘れないはずである。

 そんな納得のいく、しかしどこか釈然としない感覚。

 

 そんな思いを胸に、東条隼瀬はインタビューに応じた。

 

「復活アオハル杯初戦長距離部門。そして、第一回アオハル杯初戦の勝利、おめでとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

「レースだけを見れば当代の三冠ウマ娘、ナリタブライアンの見事な差し切り勝ちに終わりました。しかし東条トレーナーが見る、今回の勝因は何でしょうか?」

 

 そしてこの瞬間、『参謀』だとか『クソゲー王』だとか『鬼畜』だとか『皇帝の杖』だとか、そしてあるいは一部では『解説員』と言われていたこの男のあだ名がほぼ一本化されるインタビューが敢行されることが確定した。

 

「いやぁ、まずルドルフですね。三冠ウマ娘だと言うのに、チーム勝利を優先して潰れ役を担ってくれた。トウカイテイオーというウマ娘が私にとって脅威だったからこそ、そして対処しきれないからこそ頼んだ苦渋の決断だったわけですが、彼女はその意図を察してくれました。ウマ娘の本能である『勝ちたい』という気持ち。それを傑出した頭脳と理性で制御する。これだけでもすごいはずなのに、勝機を見ても焦らずにこちらの作戦に沿ったレース展開にしてくれました。過信してもいい実力がありながらも自分の力を過信せずに、徹頭徹尾勝ちにこだわる。最終的に勝つことを目的に進める。栄光と実力を兼ね備えるウマ娘でありながら、今年一年走っていたブライアンの負荷も考慮して敵の戦力を漸減することに注力してくれる。これは誰にもできることではありませんよね。もちろん一人の競技者として素晴らしいのは間違いありませんが、何よりも素晴らしいのは隣に立つことを許したトレーナーを立て、そしてレースを支配し仲間を慮る指揮官としての、上に立つ者としての適性ですよ。旗艦が自ら敵戦艦を撃沈しにいく必要はない。大将が自ら敵将を討ちにいく必要はない。これこそまさに将の将たる器ですよね。レースの途中で視野が狭まりトレーナーの指示に気づけないウマ娘も多い中、ルドルフはちゃんと瞬時にそれに気づく。その上でより完成度の高い対案を示し、実行してくる。これはもはや皇帝としか言いようがありませんよね。レースには絶対はありませんが、シンボリルドルフには絶対があるんですよ。トウカイテイオーという比類ない爆発力を秘めた相手を不発弾に終わらせつつ、ブライアンにも本気を出すことを強いることなく無理なく、楽に勝つ。やはり皇帝ですよね。ルドルフはすごい。陳腐な言葉ですが、天才ですよ。安定感のあるウマ娘は自分のルーティンを遵守してこその強さ、というのがあります。ブルボンであればラップ走法、スペシャルウィークであれば4角からの仕掛け。ですけど、ルドルフは状況に応じて対応を変えながら安定感を維持できるんですね。これは彼女が本質的には爆発力を秘めながらもその爆発力に頼ることなく安定して勝てるように修練した結果なので後天的なものなのですが、それにしても見事です。序盤の展開から既に主導権を握る。自分に意識を集める。そのことによって不利になると知りながら、逆用する。これ、前提条件からして誰にでもできるかといえば、そうではないですよね。時速70キロを超えて走り酸欠になりつつ、その現状を維持して、高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処する。口で言うほど簡単では有りませんし、自分の能力を信じつつ現実を見ていなければできない。この両立はトレーナーの中でもできる人は少ないでしょうし、私にはできていません。やっぱり最強なんですよ、ルドルフが。まあ今年凱旋門賞に挑戦して勝つのでわかると思いますけど、やっぱりルドルフ。やっぱりルドルフですよ。今回にしたって追込んできたゴールドシップを封殺してくれました。こちらの指示は簡潔なものしか送れなかったのに、完璧に意図を察して動いてくれる。やはり頭がいい。ずば抜けている。冠絶している。いや、私などが褒めるということすら不敬かもしれませんが、これはもう褒めるしかありませんよ。やはり頼りになるというか。宝塚記念から1年半、トレーナーのようなものとして彼女と共に駆けてきました。そこからいくらか間が空いて今再び組んだわけですが、まさに皇帝万歳(ジーク・カイザー)としか言えませんね。レースそのものを管制下におくそのスタイルは彼女独自のもので、他にはありません。これは本人の資質にもよりますが、3000メートル級の長々距離レースを制すと視野が広まり、展開予測能力や展開誘導能力が身につくといいますしそれは事実ですが、ルドルフは別格です。それに――――」

 

 処理しきれないほどの情報を叩きつけられ、いつまでたっても情報が完結しないという地獄に叩き込まれた哀れなインタビュアーくんの悲哀は置いておくとして。

 

 このインタビューの罪深いところは、ほとんどが惚気みたいなルドルフ大好きおじさん成分で構成されながら、ちゃんとレースの解説もしているしその解説が割とためになるものであったことであろう。

 

 このインタビュー中ちゃんとその話を聴いていたナリタブライアンは、傍らのケロッとした顔をしている皇帝の方に顔を向けた。

 

「……相変わらずだな、あいつ。アンタのことになると口数が多くなる。にしてもよくあそこまで褒められるものだ」

 

「そうかな。私も彼をあれくらい褒められるし、普通じゃないか?」

 

 尻尾ブンブン、耳ピコピコ。理性という箍から外れた尻尾と耳の反乱軍と一緒になって焚き火を囲んでコサックダンスを踊ってそうな皇帝を見て、ナリタブライアンは思った。

 

 こいつら似た者同士だ、と。

 

「君は口下手だからな。しかし、口数が多ければいいというものでも、ないさ」

 

「サラッと心を読むな」




ルドルフ大好きおじさんの戯言要約
・ルドルフすごい
・今回のレースのMVPはルドルフ
・戦力の漸減を買って出てくれた
・レース支配してた
・追込封殺してた
・指示ちゃんと聞いてくれた
・ルドルフ最強
・今年凱旋門勝ちます
・3000↑の長距離レースを制すと展開を予測したり支配したりする力がつくよ


85人の兄貴たち、感想ありがとナス!

ひまな人兄貴、ロクナシ兄貴、Collret兄貴、diarize兄貴、大和丸兄貴、\コメット/兄貴、評価ありがとナス!

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