ウマ娘 ワールドダービー 凱旋門レギュ『4:25:00』 ミホノブルボンチャート   作:ルルマンド

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※文中で撲殺と表記するべき箇所を撲札としています。これは物騒な単語(殺す)などを頃すと表現するbiimシステムに則ったものです。


オペレーション:私の夢

 早々にオリチャーを強いられるRTA、はーじまーるよー。

 前回は天文学的な確率で天才型の中の天才を見事引いたものの、先人たちと親によって構築された皇帝チャートが消し飛ばされたところまででしたね。この皇帝チャートは数多の走者の道を粉砕してきた最強ウマ娘、スカウト難易度が高い代わりにずば抜けた安定感と能力を持つ皇帝ことシンボリルドルフを使って確実に凱旋門を獲るという安定と攻めを両立できる王道のチャートでした。

 スカウトとサウジアラビアさえ超えられればあとは流れで勝てるくらいの安定感があっただけに残念ですが、失ったものを今更とやかく言ってもどうにもなりません。諦めて二の矢で勝負に出ます。

 

 とはいえ、愛嬌✕とスカウト下手の組み合わせは脅威的。スカウト難易度と性能をややマイルドにしたジェネリック皇帝ことトウカイテイオーどころか、能力に見合わない圧倒的なスカウトしやすさを誇るみんなのアイドルナイスネイチャすらスカウト成功率は40%を切ります。つまり無理ということです。

 

 あー、どこかに初期能力が高くてスカウト難易度が低い娘はいな――――いました。それがミホノブルボンです。

 彼女は作中最高の安定感を誇る戦法『逃げ』を得意とするウマ娘で、淡々と同じようなラップタイムを刻んでいく機械じみた逃げを繰り出してきます。

プレイヤーな視点で見ると爆発力のあるサイレンススズカの大逃げ、デバフを駆使するセイウンスカイの幻惑の逃げに比べてこれと言った爆発力を持たないので敵としてはさほど怖くない印象ですが、担当するぶんにはその爆発力のなさが逆に安定感につながります。

 

 爆発力が発揮されなかったとしても淡々と勝ってくれるわけですからね。逃げという安定感のある戦法もあり、なによりもガバが恐れられるRTAにとっては心強い味方になってくれます。

 そしてなによりも優れているのがスカウト難易度の低さ。スカウト時に提示する目標を『クラシック三冠』にすることで、ほぼ確実に来てくれます。ゲーム序盤のミホノブルボンは短距離・マイルが向いているという評価しかされていないので、CPUトレーナーたちが提示する目標は主に『二大マイル戦制覇』『最優秀短距離ウマ娘』を目標に据えがちです。

 

 と説明を終えたところでプレイヤーの成長方針をスキル重視に設定して12月の2週まで日程スキップ。オリチャーを発動し、初期アイテム欄が空だったので購買部でスカウト教本を購入。持ち物にセットします。

 

 どのレースを見ようか……という選択肢の中から4番レースを選択。ちなみに3番レースではみんな大好きライスシャワーが走っています。あとはモブ。

 ということでこのクソ寒い冬空の中、レース場にやってまいりました。ここでは今から入学前レースが行われます。ゲーム的に言うと、ここでスカウト対象とのつながりを作り、スカウトパートに移行するわけです。

 ミホノブルボンのスカウトチャンスは2回。この入学前レース後のスカウトと、3月2週の『オペレーション︰三冠の夢』イベントからはじまる一連のイベントを完走してのスカウト。前者は確率に勝つ必要がありますが、後者は確定。つまりここで失敗しても10数ターン無駄にすればリカバリできますが、正直10数ターン無駄にすることは避けたいです。

 

 とかなんとか言っている間に、レースがはじまりました。ミホノブルボンは圧倒的な瞬発力ですぐさま先頭に立ち、他9人のモブウマ娘を率いてコーナーを曲がってこちらに来ます。

 

「すごい瞬発力だ……」

 

「これは期待のスプリンターが現れたな!」

 

 短距離適正C、マイルBなんだよなぁ……CPUの見る目はガバガバ――――でもないんだなこれが。

 現状、ミホノブルボンの距離適正は短距離C、マイルB、中距離E、長距離Eです。スマホ版では短距離C、マイルB、中距離A、長距離Bのまま登場しますが、このワールドダービーというゲームでは史実の『鍛えて距離の壁を克服した』という事実に基づき、なんと距離適性が低い状態で出てきます。つらい。

 スタミナをFにすれば中距離D、Eにすれば中距離Cの長距離D、Dにすれば――――というように練習することで中距離A、長距離Bまでは簡単に上がっていくわけですが、現状のミホノブルボンは生粋のスプリンター。ベテラントレーナーさんたちの見る目は、この時点ではガバガバではないわけです。

 

 さて、レースはなにごともなくミホノブルボンが大差で勝利を収めました。これは運とか実力とは関係なく、スカウト対象が勝つようになっています(ナイスネイチャとハルウララは除く)。

 スキップ不可の観戦モードが終わったので操作開始。モブトレーナーたちに十重二十重に囲まれているミホノブルボンに近寄る前に、現在のスカウト状況をチェック。

 

 現在のスカウト競争の首位は中距離GⅠを制覇した実績を持つベテラントレーナー。目標はスプリンターズSと高松宮制覇。アプリでミホノブルボンを育てたことがある兄貴にはピンとくるかもしれませんが、彼がアプリ世界線における元マスターです。

 これからは完璧に想像でしかありませんが、アプリでは中・長距離バとしてスカウトされることはないだろうと判断した結果、自分の夢を表に出すことなくバリバリの短距離路線で育てようとしているこのベテラントレーナーを選び、自主練習で研鑽を積んだ末に中・長距離路線に変更することを認めさせようとしたのかもしれません。

 

 ということで、初コンタクト。本RTA最大の難所、シンボリルドルフにとってのサウジアラビア、スカウトのお時間です。

まず声を掛ける前に視線カーソルをミホノブルボンの耳に移動。ぺたりと畳まれた状態から『会話のヒント』を得ます。

 

 【ミホノブルボンはあまり楽しくなさそうだ】

 【なにか、嫌なことでもあったのだろうか……】

 【『会話のヒント:不機嫌?』を取得した!】

 

 そこで思考が止まるからお前は愛嬌✕なんだよ(憤怒)。まあ、『会話のヒント:不機嫌?』を得ましたし、ここで怒っていてもしょうがないので続いてベテラントレーナーの方に目をやります。

 

 【実に熱心に口説いている。さすがはベテランというべきか、勧誘の仕方も手慣れているようだ】

 

 これ、実はいいイベントです。目当ての『会話のヒント』こそ得られないものの、確率でスカウト上手が手に入るので。

 ですが案の定手に入らなかったので、ここで先程購入した『スカウト教本』を使用。トレーニング機材どうしようとか、特能本どうしようとか、プレゼントでの好感度↑チャートが既に破壊されつつあるとか、そういうことを抜きにして買っておいてよかったーって思うわけ。

 

 【スカウト教本を開いた。勧誘するには、そのウマ娘の夢の事前調査が必要らしい】

 【『会話のヒント:君の夢』を取得した!】

 【スカウト教本は破れて読めなくなってしまった……】

 

 必要らしい、で終わっていたら画面の中に入ってこのトレーナーを撲札していたかもしれませんが、それは杞憂に終わりました。では、スカウトフェーズへいざ鎌倉!

 

 ミホノブルボォン!

 

「はい、トレーナーさん」

 

 マスターと呼ばれないのは相当新鮮だというどうでもいい感想は置いておいて、まず選ぶのは『会話のヒント』によって鍵の開けられた選択肢。君の夢は?と問いを投げることで、ミホノブルボンが求めるものを自ら提示させます。

 

「私の夢……」

 

 【パチリと、星空のような青い瞳が瞬いた。表情が乏しくてよくわからないが、少し驚いているようだ……】

 

 ポエマーだな、ほも(カッコカリ)くん。そして相変わらず感情の機微に疎い。

 

「なぜ、そう訊かれるのですか?」

 

 これには『会話のヒント:不機嫌?』を使用。使用しなくても普通ならうまいこと言って聞き出してくれますし、使用する時間とエフェクトを考えるとここはRTA的には使うべきでない場面なのですが、ほもくんの対人能力を信じきれないので使って安定を取ります。

 

 【スカウトされているのに、気分が乗っていないように見えた】

 

「……」

 

 沈黙。早く喋ってくれよなー、頼むよーという本音は表に出さず、会話コマンドを一切使わず見つめ合って数秒待つ。視界を広げるように首を左右にゆっくりと振り、やっと画面が動いた。おそいとおもった(人間のクズ)。

 

「私の夢は、クラシック三冠です」

 

 【『会話のヒント:私の夢』を取得した!】

 

 はい。メッセージウィンドウに無事『会話のヒント』を取得したと出ました。この先選択肢を間違えなければ、この時点でほぼスカウト確定です。

 同じ問いを投げても時折、ミホノブルボンは夢を口に出すのを憚ることがあるらしいです。口にするにはあまりにも能力が足りていないと判断したからだとかなんとか。その場合ここのスカウトは失敗。3月2週の『オペレーション︰三冠の夢』イベントからはじまる一連のイベントに希望を託すことになります。

 

 まわりのモブトレーナーがムチャダブルボンだのなんだのガヤガヤ言っている間に、ここでスカウトを開始。夢を否定されたミホノブルボンの耳がぺたんとなっているこの瞬間に、すかさずモーションをかけていきます。

初期契約期間は3年固定、目標はクラシック三冠。このゲームの仕様的に、一度スカウトをかけるとルート変更は許されません。成功することを祈りましょう。

 

 

 お前も三冠バにならないか?(AKZ)

 

 メッセージウィンドウが表示され切るが早いか、ミホノブルボンのぺたんとしょぼくれていた耳がピンと立ちました。

 

 お……?

 

「質問があります。貴方の言う三冠とは中距離・長距離のレース。皐月賞・日本ダービー・菊花賞で間違いありませんか?」

 

 そうだよ(便乗)。

 

「私の母は短距離・マイルを主戦場としたウマ娘であったと、お父さんから聴いています。従って私もそうであるだろうと言われていましたし、現状はそうです」

 

 あ、釣れた(確信)。釣れました、これ。

 あとは丸ボタン連打でメッセージウィンドウを飛ばしつつ、周りの雑音を無視して【スタミナは努力で補える】を選択します。

 一応解説しておくと、距離の壁を超えられると思うか、スタミナの限界を超えられると思うか、という問いです。それに対して【努力で補える】と返したわけですね。

 

「これからどうぞよろしくお願いします。おと……マスター」

 

 スパルタの風を感じる答えに満足したのか、少し微笑んだミホノブルボンのスカウトに成功したところで、今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました。




123G兄貴、Hey,sorry兄貴、感想・評価ありがとナス!

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