ガンダムSEEDが始まらない。   作:捻れ骨子

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なんかできました。



1・そもそも俺がいるはずない

 ある日、親父殿から呼び出しを受けた。

 この忙しいのに何用だと顔を出してみれば、待ち構えていたのは親父殿とその側近、そして――

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

「今日からこの子はお前の妹だ」

 

 威厳のある態度と声で宣う親父殿。それに対して俺は。

 自分から見て丁度いい位置に親父の股間があったので、アッパー気味に拳を叩き込んでやった。

 

「隠し子とはいい度胸だクソ親父グラァ! これか!? この股間にぶら下がってるブツがハッスルしたのか!? もぐか!?」

 

 ごっ! ごっ! ごっ! ごっ! (←なんかを打撃する音)

 

「おうふおうふおうふおうふあおぅ!」

「おやめください! おやめください! 若様! おやめください! あーっ! おやめください若様! あーっ! 若様! 若様! 若様やめ! あーっ若様! おやめくださいあーっ! やめーっ! 若様やめーっ! おやめください! おやめ様! あーっ! 若様! おやめください! おやめください! 若ください! あーっ!! 若様あ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 C.E.70年、遺伝子を調整された人類【コーディネーター】が住まうコロニー群【プラント】と、地球の主要国家が立ち上げた共同体【地球連合】の間に発生した戦争は、農業用プラント・ユニウスセブンに核ミサイルが撃ち込まれた事件、通称【血のバレンタイン】により激化。物量で勝る地球連合軍の勝利で終わると予想されていた戦争は、地球上に打ち込まれたニュートロンジャマーの効果と、投入された新兵器MSの戦果によって膠着状態に陥っていた。

 ……なんてSEEDを見ていた人ならよく分かる状況になって11か月。俺は自分の執務室で通信回線を開き、報告を受けていた。

 

「例の船と艦載機が完成したようだ。最終調整の後、連合に引き渡される手はずになっている」

 

 相手は長い黒髪の女性、【ロンド・ミナ・サハク】。我が国【オーブ連合首長国】が所有する宇宙ステーション、【アメノミハシラ】を任せている人物だ。

 

「いよいよか。【ザフト】の動きは?」

「様子を窺っているようではあるな。だが確証には至ってはいないのだろう。周辺宙域を哨戒しているだけで、具体的な行動は起こしていないようだ」

「情報をばらまいた甲斐があったか。だが連合が下手な動きをすれば察知される恐れもある。引き続き警戒してくれ」

「言われるまでもない。……だがよかったのか?【クーロンズロック】は貴様の手札だったろうに」

 

 ミナの問いに、俺は肩をすくめてみせる。

 

「構わんよ。いずれは切らなきゃならん札だ。それにヘリオポリスあたりの民間コロニー使って余計な火種作るよりはマシさ」

 

 そのためにわざわざ偽名使って商会立ち上げて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんてものを用意したんだ。使ってもらわにゃむしろ困る。

 これから先の展開を考えると、連合にもプラントにも付け入る隙を与えたくはない。そのために色々と準備はさせてもらった。細工は流々、あとは仕上げをご覧じろと言ったところだ。

 

「貴様がそれでいいというのなら、遠慮なく使わせてもらおう。……それと我々の『人形』も仕上がった。【ギナ】が早速受け取りに向かったぞ」

「アメノミハシラに搬入されるまで待てなかったのか。気持ちは分かるが」

 

 外見は格好を付けながらも内心ウッキウキでクーロンズロック――俺の商会が所有する技術開発衛星に向かったであろうミナの双子の弟、【ロンド・ギナ・サハク】の様子を想像して苦笑する。あいつ一見己の能力を過信してる俺様だが、その実態はさいきょーロボで俺TUEEEE!がしたいだけのアホの子好き者じゃないかと俺は疑いを持っている。ま、俺自身もそういう気があるから人のことは言えないが。

 俺の考えを読んだのか、画面向こうのミナは微妙に渋い顔だ。

 

「男というのはどいつもこいつも……まあいい。それで02と03のテストを任せる者だが、選別が終わった。今データを送る」

「……ほう」

 

 送られてきたデータファイルに目を通す。なるほど、これも『歴史の修正力』と言うヤツか? そうなる可能性も考慮して人選には口添えしていたが、うまく出来すぎている感がある。

 

「ジャンク屋【ロウ・ギュール】に傭兵部隊【サーペントテール】の【叢雲 劾】か。……叢雲の方は聞いたことがある。凄腕らしいな。ジャンク屋の方は……【エリカ・シモンズ】辺りの推薦か?」

「ああ。ヤツの旧知がそのジャンク屋と連んでいるらしい。信用は出来ないが信頼は出来る、だそうだ」

「きちんと仕事を果たしてくれるなら文句は言わんよ。場合によっては多少の機密漏洩もやむを得まい。彼らに任せる方向で調整を頼む」

 

 我が国にとってもMSの開発は急務だ。原作同様に連合の要請を受け入れたのは、彼らの技術を盗用する必要性があると()()判断したからである。まあ中立がどうのこうのという問題があったために、()()()に開発拠点を用意させてもらったわけだが。

 ともかく裏で連合と手を結びMS開発をしているが、それだけでは足りない。MS戦闘のノウハウは全く0に近いのだ。できるだけ早急にデータを収集する必要があった。ゆえに戦闘経験の豊富な傭兵と、宇宙での活動の経験が豊富なジャンク屋にテストを受け持ってもらうことにした。彼らには報酬として機体をそのまま譲渡し、我が商会にてアフターケアを受け持つという条件で交渉させている。原作通りの乗り手に渡るのであれば上等。彼らが最初から協力的であるのならば、開発もはかどるはずだ。

 

「04と05は手はず通りに本国へ送る。調整はモルゲンレーテ本社に任せてよいのだな?」

「地上での運用ノウハウも必要だからな。量産機の生産体制が整うまでにOSも仕上げておきたい。それまで連合には頑張ってもらわにゃならん」

 

 悪いが連合、プラント共に勢力を削り合ってもらう必要がある。連合へのてこ入れはそのためだ。そして同時に原作みたくこっちに飛び火されるのを防がなければならない。加えて言えば()()()()()()()()()()()()を蓄えておかなければ。

 これはアニメでもゲームでもない。()()()()()()()()だ。ある程度原作の状況に沿わせてもらうが、そのままの運命に流されてたまるか。オーブの理念? 画に描いた餅を前によだれ垂らす趣味はない。

 

「本国の防衛設備も順調に整いつつある。アメノミハシラの方はどうだ?」

「貴様の注文した設備はすでにテスト段階にある。正直あのような物は私の趣味ではないのだがな」

「有効性は理解しているだろう? 核兵器よりはクリーンで、しかもシンプルかつ低コストときている。備えておいて損はないさ。……正直俺は本国よりも、アメノミハシラを含む宇宙施設の方が重要だと考えている。だからお前たちに任せたんだ」

「ふん、寝首をかかれても知らんぞ?」

「そんときは俺に見る目がなかったってことさ、()()()()()()()殿()。首は狙ってくれてもいいが、期待した分はやってくれよ?」

「精々貴様の期待以上の成果を出してやるさ()()()()()殿()。……報告は以上だ。次は連合へ譲渡がすんだ辺りで連絡する」

「ああ、ご苦労だった」

 

 通信を終え、俺は一息吐く。やっと原作前夜と言うところまで来た。ここまでも結構綱渡りだったが、ここから先の道も険しい。一歩間違えれば原作通りの展開か、ややもすればもっと悪い方向に転がる可能性もある。

 だがやらなければこの国は焦土と化す。愛国心というわけではないが、そういうのは御免被る。使える手段は出し惜しみなく……。

 などと考えていたら、突然部屋のドアがどばたーんと開かれた。

 そこからすごい勢いで飛び込んできて、俺の机をどがんと叩くのは。

 

「兄様! 連合のMS開発に手を貸しているというのは本当か!?」

 

 柳眉を逆立てた金髪の少女。俺の義妹、【カガリ・ユラ・アスハ】だった。

 ……色々と教育したはずなんだがなあ、なんで原作通りの性格に育ってんの。これも歴史の修正力かあ? などと考えながら俺は応えてやる。

 

「どこで聞きつけた話だそれは。そういう要請があったのは確かだが、()()()()()受領していない。自国のMSは開発しているがね」

 

 嘘は言っていない。連合のMSとそれを運用する艦の開発を受け持っているのは多国籍企業である俺の商会だ。例えその開発部門が()()()我が国の国営企業(モルゲンレーテ)()()()であったとしてもだ。

 俺の言葉に、カガリは疑いの眼差しを向ける。

 

「MSの開発!? そんなものがなぜ必要なんだ!」

「いるに決まっているだろう。ニュートロンジャマーの環境下で、MSは有用な兵器だ。現状で我が国が持つ戦力では、それに対抗するのは難しい」

「そんな! 中立国であるオーブが下手に軍備を拡大すれば!」

「中立国だから銃口を向けられない、とでも? 無差別にニュートロンジャマーをばらまいたザフトも、躍起になって戦線を拡大し続けている連合も、信用などならん」

 

 実際原作では双方から踏みにじられたからな。こいつは俺の本音だ。

 

「もちろん俺だってやりたくてやってるわけじゃない。双方に停戦し交渉するよう働きかけてもいる。だがどちらも聞く耳持たずで、最近はこちらを邪魔に思っている様子もある。最悪の事態を避けるためにも、準備はしておかねばならんのだ」

 

 口だけじゃなく、実際双方の穏健派に使者を送り交渉はしている。だが芳しくないのが現状だ。我が国オーブを眠れる獅子と評する者もあるが、実情は精々動物園のライオンだろう。その言葉は中々聞き入れられるものではなかった。

 

「それは、そうなのかも知れないが……」

 

 カガリの勢いが萎える。後先考えない直情派だが、全くの馬鹿ではないから理解はしているのだろう。納得は出来ていないようだが。

 

「オーブの理念。他国を侵略せず、また侵略を許さない。崇高なものだが、それを他の国が聞いてくれるかどうかは別問題だ。圧倒的な暴力に理念だけで太刀打ちはできん。不本意であっても力を備えなければ、言葉すら通じないんだよ」

 

 別に崇高とか思っちゃいないが、うちの一部はそのお題目を念仏のように唱え、()()している節がある。親父とか。建前でその理念を持ち出して説得しなきゃならないのが面倒なところだ。まだ野心を持つギナやミナの方が話が通じる。

 ふむ……時系列的にも、そろそろ()()()か? 俺はかねてから考えていたことを口にした。

 

「とはいえ、お前には口で言っても納得できるものではないだろう。だから()()()()()()()。我が国のPKO活動、それに参加しろ。一兵卒としてな」

「はあ!?」

 

 血のバレンタインからこっち、俺は我が国の軍を連合、プラントの勢力を問わず平和維持活動のため派遣するよう動いていた。当然打算ありまくりの行動だ。各所に貸しを作るという思惑もあるが、我が国の軍人に現状を見せつける必要があると考えてのことだ。何しろうちの軍部、親父のシンパ――()()()()()()()()()()()()()()が多い。それを改めさせるには今世界がどうなっているのかを目の当たりにさせるのが一番手っ取り早い。そういうことだ。

 もちろん()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ギナやミナ、【ユウナ】にもやってもらったことだ。そして()()()()な。戦場の空気を味わうことは、これから先の為になる。そこから世界を見てみろ」

 

 我が儘を押し通して戦争の間近に赴いたかいはあったと思う。それを氏族の後継者たちにも押しつけたが俺は謝らない。実際奴らも何かしら影響は受けたようだ。良い方か悪い方かまだ判別はつかんがね。

 俺の言葉にカガリは戸惑った様子だ。

 

「兄様が時々姿を消すのはそういうわけだったのか……。だがサハクの姉弟はともかく、ユウナもなのか? 確かに最近ではあちこち飛び回って忙しそうだが」

「最初はめちゃくちゃ嫌がっていたがな。ああ見えて一皮むけているぞ? 『婚約者』にだけいい顔をさせておくのも面白くはなかろう」

「む、確かにそうかも」

 

 俺が姿を消すのは商会関係のこととかあるからなんだけどね。とまあそれはさておき、PKOにぶち込んだおかげか、カガリの婚約者であるユウナ――【ユウナ・ロマ・セイラン】もなかなかに『使える』ようになった。ややもすれば原作のような無様を曝す羽目になるかもしれないから油断は出来ないが、俺や周囲が生きて目を光らせているうちは早々へまはすまい。……と思いたい。

 

「……分かった。兄様の言うとおり戦場に行ってみる。私に何が出来るか分からないけれど」

「それを見つけるのも経験のうちだ。何か一つでもお前の糧になれればと、願っているよ」

 

 いやホントにね。糧にしてねマジで。部屋を去るカガリを見送りながら、俺はそう願わずにはいられなかった。

 ともかくこれで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そもヘリオポリスでガンダム作ってないから介入しようもないのだが、念には念をだ。あいつも原作ではそれなりのキーマン。下手をすればどのような影響を与えてくるか分かったものではない。だからある程度()()()()()()()()()()()()()()()

 

「まったく、これではまるで()()()()だよ」

 

 自嘲するが今更だ。親父の股間を殴打している最中に()()()()()()()()から十うん年、最悪の状況を回避するために走り続けてきた。下手をすればザフトや【ブルーコスモス】の連中よりもあくどいことをやってきた自覚はある。

 だがそれでも、俺は俺なりにベストではないかも知れないがベターな結果を求めてきた。そしてそれはこれまでのところ大体上手くいっている。問題はここからだ。原作のままであれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。物語の中でならともかく、現実でそんなことになれば待つのは悲劇だと断言してもいい。

 それよりも何よりも、俺自身が平穏な生活を送るためにこの世界の不安要素は叩き潰しておく必要がある。あるいは取り込んでしまうか。ともかく何もしないまま原作展開で翻弄されてたまるものか。世界平和のために鬼畜外道にでも何でもなってやろうではないかこんちくしょう!

 ……などと改めて決意する俺の名は【リョウガ・クラ・アスハ】。オーブ首長代表【ウズミ・ナラ・アスハ】の実子という、『存在しないはずの人間』として生まれた、転生者だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャラ紹介

 

 

 リョウガ・クラ・アスハ

 

 

【挿絵表示】

 

 (阿井 上夫様からいただいたイラストです)

 

 SEEDの世界でウズミの実子という、あり得ない存在に転生した男。SEED原作時では26歳。

 突然赤ん坊のカガリを連れてきて妹だと宣ったウズミに対し、カチキレて股間を殴打している最中に前世を思い出した。前世ではオタでブラック企業のリーマン。結構有能だったがクソみたいな社長とクソみたいな上司にパワハラを受け続けほとんど家にも帰れない寝てないの状況の中、ついにぶちキレ二人を原形留めないまでにボコり、その最中あまりの環境の悪さに加え興奮しすぎたせいで脳の血管が切れ、そのままご臨終していつの間にか転生してた。

 転生後は原作の展開を思い出し、このままでは俺の未来が大ピンチと奮起。財テクで資産を増やし身分を偽って己の手足となる組織を立ち上げ修正力など知るかとばかりに介入を続け現在に至る。原作でサハク家がやっていた後ろ暗いこととか、大概こいつの指示で路線変更されることとなった。

 やたらとご都合主義に見える成功振りだが、これは原作の知識があったのと、一度死んだせいかニュータイプじみた勘の良さが発露したため。前世で培った経験を元にした財政管理、経営ノウハウ、プレゼンテーションスキルなども相まって、天才的な経営者に見える。その才能を持ってウズミの補佐官に収まり、彼の立場を事実上乗っ取りつつある。

 ブラック感覚が中々抜けず、働きすぎだと周囲からは言われるが、本人いわく「5時間寝られるならブラックじゃない!」とのこと。また血管キレるぞ。

 ウズミとか氏族のおっさん連中は大概こいつに股間を強襲された経験があり、どことなく遠慮している節がある。睨まれると股間を押さえ腰が引けるところまでがデフォ。

 【オーブの龍】、【真の支配者】、【股間クラッシャー】などと称される、黒幕系オリキャラ主人公。ただし隙があったらMSに乗る気満々。

 

 

 




 ガンダムSEEDの新作、だと……?
 HG、でるよね?(ニチャァ) そこだけが重要捻れ骨子です。

 いや新作が出来るからって訳じゃありませんが、なんか思いついてしまったので書いてみました。冒頭から困りますお客様のコピペ改編とか何やってるんでしょうね自分。
 ともかくそれなりの立ち居位置から黒幕的に原作に介入していく系の主人公の話です。なにメインの主役機がストライクからアストレイになるだけさHAHAHAHA。それは冗談として初っぱなから原作主人公を関わらせないためだけに、開発拠点を用意するというお大尽アタックをぶちかましてきやがりました。戦争は数と金だよ兄貴。メインの敵はザフトじゃなく盟主王とかの辺りじゃないでしょうか。金のないヤツは敵にすらなりません。
 まあ思いつきですから続くかどうか分からない……うんなんか毎度のパターンだぞこれ。連載増やしてどうするんだ俺自重しろ。出来るんならこんなことにはなってないですが。

 ともかく続くかも知れませんし一発で終わるかも知れません。そこはまあ、未来の自分に期待してと言うことで。 
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