※真面目に他者視点
ヴェステンフルス隊とソキウス隊(仮称)との交戦は、ヴェサリウスとガモフが先手を取った。
「弾幕を張れ! 相手もコーディネイターだ、簡単にはいかんぞ!」
アデスの指示が飛び、2隻とその周辺に展開したMS部隊は迫る敵へと火力を叩き込んでいく。
雨霰と降り注ぐ砲火をかいくぐりながら、ソキウスたちの隊長格、【フォー・ソキウス】は淡々と戦況を分析する。
「射撃の精度が高い、精鋭部隊だと判断する。現状散発的な攻撃では突破は難しい」
敵と自分たちの技量、武装と選択できる戦術。瞬時にそれを考慮して判断を下す。
「各機散開、応戦開始。戦力を分析する」
戦闘用に作られたソキウスシリーズ。感情を喪失してなお、その戦闘適性は並々ならぬ物がある。そのことが上層部の不安を煽り、破棄処分につながったのは皮肉な物であるが、当人たちは現状に対し一顧だにしない。ただ命じられたことを全力で行うだけだ。
激しく砲火が交わされる。それを背後にした降下船のブリッジでは、ハイネが船長に指示を出していた。
「このまま真っ直ぐ加速。ヴェサリウスとガモフが敵を押さえている間に距離を稼ぐんだ」
ヘッドレストを掴んでキャプテンシートにへばりつくような体勢で言うハイネの言葉に、船長は眉を寄せる。
「それだと突入の位置が変わります。下手をすれば目標に降下できない危険性が」
「ザフトに友好的な領域に降りられればいい。最低でもオーブの領域ならなんとかなる。船に傷の一つも入れられるような状況の方がよっぽど最悪さ」
あくまで降下を優先させるハイネ。ラクスが地上に降りようとするこの機を外せば
そんなハイネの直感など船長には分からない。だがハイネの気配にどこか気圧されて、頷きながら応える。
「了解しました。突入角を再計算させます。それでも予定より大幅にずれると思いますが。それと上面に多少の損傷があってもなんとかなります」
「無茶を言うが頼む」
半ば決死隊の心境で、彼らはなすべきをなさんとしていた。
しかしその進路の先、彼方の軌道上では――
「くそ、手練れか! 大尉たちは出せるな?」
「はい、いつでも」
「よし、MS部隊を出せ!」
護衛する艦が押されているとみたアークエンジェルの艦長は、MSにて応戦することを決める。
「待ってましたよ、っと。……ムウ・ラ・フラガ、303イージス出る!」
MA形態のイージスが矢のように射出され、それにストライクとダガー2機が続く。
「中尉、お前さんのストライクを頭に小隊を組め。俺は連中を引っかき回す。色気を出してスコアを稼ごうとするなよ。アークエンジェルがスイングバイの軌道に乗るまで保たせりゃいい」
「了解。大尉も無理をなさらずに」
「分かってるさ。こんなところで死ぬつもりはないからな!」
ストライクを駆る中尉に指示を出し、ムウはスロットルを開けた。
イージスのMA形態での速力は、かつての愛機メビウス・ゼロと同等以上だ。実のところ変形システムと機体構造に関しては、オーブから技術をパク……極秘に提供して貰っていた。それによって原作よりも若干性能が向上しているのだが、もちろんこの世界で気づいてる人間はいない。
ともかく、交戦している真っ只中にムウのイージスは突っ込んでいった。
「新手? 今更新型のMAか!?」
量産型のMAメビウスを蹂躙していた傭兵の一人が、接近するイージスを捉えた。
「速いが、それだけ……なにっ!?」
閃光が奔る。咄嗟の回避は僅かに間に合わず、傭兵のジンは左足を膝下から抉り取られた。
「ビーム兵器、だと!」
牽制射撃を行いながら交代するジン。戦場を縫うように駆けるイージスから、ムウの声が飛ぶ。
「メビウス隊、後退して艦の直衛に回れ! ここはエンデュミオンの鷹が引き受ける!」
いける、とムウは手応えを感じていた。シミュレーションやテスト駆動の時より機体のレスポンスがいい。整備班や技術陣が苦労してムウ用にセッティングを行った効果だろう。水を得た魚のごとく、とは言いすぎかも知れないが、手慣れた兵相手と十分に渡り合えるくらいの力はあるようだ。
と、イージスのセンサーに何かの反応があった。
「照準用のレーザー照射? どこから……まさか敵の援軍か!?」
一瞬だけの反応。交戦している相手ではないと感じ取ったムウは、照射が行われたらしい方向をカメラでズームする。
そこに写し出されたのは、砂粒のように見える小規模の艦隊であった。
予定通りラクスを乗せた降下船とアークエンジェルの大気圏突入が行われていれば、二つの船の軌道は交わることなく、互いの存在に気づくことすらなかったかも知れない。
しかし降下船は突入の位置を変えるために加速し、アークエンジェルはスイングバイのための軌道に乗ろうとしていた。
結果互いが予想しなかった形で邂逅する事となる。
「連合の新型艦だと!? 増援……にしてはおかしいな」
「ザフトの新手か!」
ハイネの反応とアークエンジェル艦長の反応は微妙に違った。要因は双方の位置関係にある。
ザフト降下船は、アークエンジェルから見て後方に位置していた。加速した降下船がアークエンジェルに追いついた形である。ハイネから見れば背面を見せた船が増援とは思えなかったし、アークエンジェルから見れば後ろを取られたとも思える状況だ。まあどちらも地球の自転に合わせてコースを取っており大気圏突入を引き延ばしていたのだから、理屈で言えばあり得ない話ではない。
そういったことを悠長に考える余裕はどちらにもなかった。
「交戦している……だがザフトの部隊じゃない。偶発的な戦闘か? くそ、どちらにしろこのままじゃこっちのコースとかち合う」
「向こうも交戦中だと!? ザフト同士でか!? 一体どうなっている!?」
ザフト側は襲ってくるのもジンなので、識別信号を出していない未確認機は全て、ザフトではないと判断できるが、アークエンジェルからすれば自分たち以外は全部ザフト系の艦とジンばかりだ。誰が敵なのか味方なのかさっぱり分からない。とりあえずは自分たちの方に襲いかかってくるのは敵だと断定できるが、後方に現れたのは何者なのか。そしてどうしてザフト同士(?)で交戦しているのか。判断に迷うのも仕方が無かった。
ザフト側――ハイネは敵味方で迷わなかった。敵側の船と交戦しているからといって、それが味方とは限らない。敵の敵は味方などと言うのんきな思考をハイネは持っていなかった。つまり敵対してくることを前提にしたのだ。
だからと言って状況は何も好転しないが。
(このまま加速を続けていれば正面の連中に追いついちまう。だが減速すれば後ろの送り狼の餌食だ。どうする?)
進むも戻るも難しい。ここに来てハイネは地球への降下を断念せざるを得なかった。
「キャプテン、降下は中止だ。この場を離脱する」
「それは理解できますが……加速して振り切るわけにもいきません。減速は論外。離脱のために進路を変更するには推進剤が心許ない。どうされるつもりで?」
船長の言葉に、ハイネは難しい顔で応える。
「……進路を変える手が一つある。それはな――」
ハイネの発案に、船長もまた難しい顔になった。
「無理か?」
「……いえ、確かに中々やれることではありませんが、言ってみればこの船もウェーブライダー。不可能ではないはずです。やってみましょう」
「そうか、頼む。上手くいったらクルー全員に一杯おごるよ」
「そいつはいい。上等な酒にしてくださいよ。さぞかし美味く呑めそうだ」
船長を含むクルーが不敵に笑みを浮かべた。そうこうしている間にも二つの戦場は徐々に近づきつつある。
「ちっ、刃物一本で、なんてでたらめっ!」
「よく反応する。連合に属するコーディネイターか」
ムウのイージスとスーのジンが斬り結んでいた。速度で上回るイージスが一撃離脱を仕掛け、ジンはそれをギリギリで回避し、すれ違いざまでカウンターを狙ってくる。ビームライフルの射撃を紙一重で回避してカウンターを狙うその技量にムウは舌を打ち、スーは正確無比かつ大胆な攻勢を見て、コーディネイターが相手だと誤認する。
戦いは互角。機体性能と武装でイージスに分があるが、それを互角にまで持っていく技量がスーにはあった。
「PS装甲のおかげで直撃喰らっても大したことは無いだろうが」
それでも油断できる相手じゃないとムウは判断する。下手をすれば装甲の隙間に切っ先を叩き込んで来かねない相手だ。攻撃を食らってやるわけには行かない。
「ったく、クルーゼ以外にも厄介なのがいるもんだ!」
自分と因縁のある仮面の男を思い返してムウは顔をしかめた。いい調子だと思っていたら何やら新手が現れて、おまけに手強いのが出てきた。なんともついていないというか、自分の人生こんなのばっかりだ。などと嘆いている余裕はない。
「強敵を引きつけていると思いたいところだがな」
そんな戦いの様子を、レオンズは見ている。
「手こずっているな。……引くか?」
戦況は五分に見える。経験は自分たちの方が積んでいる。しかし新型艦から出てきたMAとMSは高い性能を持ち、そして乗り手は結構やるようだ。特にスーと渡り合っているMAが目立っているが、背中に翼のようなオプションを背負った3機も、機体の性能に頼らず手堅い連携で対処していた。目標の新型艦に有効な攻撃を入れることができない。
その上で、新手の登場だ。どうやら
考えた末、レオンズは指示を出した。
「離脱コースを取る。連中の『上』をいって一当てを狙うぞ。上手くいっても行かなくてもそのままとんずらだ。MS部隊にはタイミングを見て撤退するように伝えろ」
衛星軌道を外れるコースを取り位置的にアークエンジェルの上方へと抜け出て、攻撃を仕掛けるという腹づもりであった。そう上手くいくものではないだろうが、当たれば儲けもの程度の事だ。一当て狙うのはついでで、離脱を優先する考えだ。
アークエンジェルの方はそれを読み取れない。目の前に迫る敵に対処しながら、近づく船を警戒しなければならなかった。
「攻撃を受けている側はザフトで間違いなさそうだが、仕掛けている方は所属不明か。こちらに仕掛けてきた連中と同一……でもなさそうだが」
「どこかの非合法部隊なのか、それともザフトの仲間割れなのかも分かりません。スイングバイには早すぎますが、強引に振り切りますか?」
まだ十分な加速度に乗っていないが、機関をフルスロットルで吹かせば十分に軌道を離脱できる。新型艦でそれをやるのはいささか不安だが、いずれは試さねばならないことだ。
「……よし、コントロールを操舵へ。ノイマン曹長、いけるな?」
「イエッサー! おまかせください!」
力強く応える操舵手のノイマン。操舵、出力制御など、アークエンジェルを機動させる全てが彼に一任される。その責任は重いが、彼はそれをやってのけるだけの技量があった。
「MS部隊に通達。当艦はこれより衛星軌道からの離脱を試みる。各機は現状を放棄し早急に帰還せよ」
「
艦長の指示をMS部隊に伝えるオペレーター。そこでさらに新たな動きが生じる。
「? 後方の降下船が高度を下げています。大気圏突入を強行するつもりでしょうか」
CICオペレーターの一人がそう報告した。何をするつもりなのか気になるところではあるのだが。
「放っておけ。こちらに対して何らかのアクションを起こさない限りは無視だ。誰が敵だか味方だか分からない状態で、余計なことに気取られている暇はない」
あとから現れた連中はこちらに絡んでこない限りは無視すると、艦長は言い放つ。何しろ自分たち以外全部同じMSを使っている。識別信号である程度区別はつくにしても、そもそもが全部味方じゃない。下手を打てばただ単に混乱が増すだけだと判断したのだ。
手を出してこないのであれば儲けもの。だがいつまで関わらずにおられるかは分からない。離脱を決めたのはそのような不安もあったからだった。
そしてハイネたちが乗る船が見せた動きとは。
「総員耐ショック! 少し荒っぽくなるぞ!」
船長が警告を飛ばす。高度を下げた船は、細かい振動を発するようになった。
大気圏上層部にて、大気の抵抗力を利用し軌道の変更を行う。ハイネが提案したのはそういう物であった。大気圏突入時にある程度機動できる形状の物、所謂ウェーブライダーの構造と機能を持つ船などにしか使えない手段だ。降下船のクルーもシミュレーションぐらいは経験があるだろうが、実際に行った事のある者はいないだろう。一か八か、と言うほどではないが、多少の危険と困難は伴う。
「10度もずれれば接触するコースからは外れる。引き上げのタイミングを誤るなよ」
「イエッサー!」
ご、と船がひときわ大きく揺れる。大気の密度が高くなる領域まで達したのだ。
降下船は軌道を変更すべく、船体をひねる。
何が悪かったのかと言えば、やはり間とか運とかそういうものだろう。
動きを見せた降下船。このままでは任務を果たすことは困難であると、フォーは判断する。
そして彼は新たな指示を出した。
「シックス、サーティーン、前に出る。ナインとトゥエルブ、
『了解』
指示を下し、自ら攻め入るフォー。それに2機のジンが続く。
「強行突破する気か、させん」
ガモフのMS部隊を率いる隊長が、突っ込んでくる3機に攻撃を集中させる。ハイネたちほどでは無いにしろ、彼らも相当の手練れだ。容易く突破させる物かと迎撃を始めた。
フォーたちはそれを回避――
「なにっ!?」
被弾も構わずただ真っ直ぐに突っ込んでくる敵。いや、コクピットや重要な部分は流石に避けているようだ。
だが何の真似だ。敵の目的はラクスの乗った船で間違いないだろう。だがこの布陣を相手に、強引に突破するのは悪手すぎる。仮に突破できたとしてもラクスが乗る船にダメージを与えられるかどうか。分の悪い賭けどころではない。
その目論見は、すぐに露見した。
「後ろ!?
ある程度距離を詰めたところで、フォーたち3機の影から飛び出す対艦装備の2機。前の3機に攻撃を集中させ、後ろの2機に防衛陣を抜けさせようとしたのだ。
事実ザフトの兵たちは、一瞬反応が遅れる。その隙を突いて、2機は最大加速。スラスターが焼き切れても構わないという勢いで防衛陣を抜け、対艦ミサイルを構えた。
「目標、ロック……」
それでも射程距離はぎりぎり。無理に加速しながらなので照準もブレる。そういった悪条件の中でもナインとトゥエルブは武器をロックオンさせ――
「やらせるか!」
引き金を引く瞬間に、護衛のジンから攻撃を受ける。彼らもヴェステンフルス隊に選抜された者たちだ。それくらいはやってのける技量はあった。
攻撃を受けた衝撃で、2機はあらぬ方向に飛んでいく。そして彼らが放ったミサイルも。 それと前後して。
「帰還命令か。だがそう簡単に返してくれるかね」
「帰投しろと。任務を放棄と言うことか」
斬り結んでいる真っ最中のムウとスーに下された指示。帰ってこいと言う指示はいい、だが目の前の敵はそう簡単に背中を向けて良い相手ではなかった。隙を突いて出し抜く必要がある。
共にこの場を脱することを考えながら、二人は同時に――
勝負に出た。
ダメージ覚悟で間合いを詰めるスー。腕の一本や二本はくれてやるつもりであった。対するムウはビームライフルを放たずに、
「可変型だと?」
がばりと四肢だった部分を展開させる砲撃形態。それに流石のスーも驚きの声を上げる。 間髪入れず放たれた対艦ビーム砲【スキュラ】。初見であるはずのそれを、スーは装甲を焦がしつつもかろうじて回避した。
「十分!」
大きく体勢を崩したジンの横をすり抜け離脱するイージス。
「不覚を取ったが、生きているだけで御の字か」
さして感情を揺るがすこともなく、スーのジンもまた離脱を始めた。
ところで、ムウがぶっ放したビームもあらぬ方向へ飛んでいった。虚を突くための物だったので、ろくすっぽ狙いも付けていなかったせいだが、それは予想外の結果を生んだ。
軌道を変えている真っ最中の降下船。偶然その船尾に命中したのだ。
「め、メインノズル2番と3番損傷! 推力が低下します!」
船体が揺るがされレッドアラートが響く。クルーは一瞬パニックに陥った。
「船体を引き上げることができません! 高度が落ちます!」
「推進剤の供給を切れ! やむを得ん、このまま降下を強行するぞ! よろしいですな隊長!」
「仕方が無い、やってくれ!」
こうして船長の判断で、なし崩し的に降下を始めるザフト船。危険ではあったが、軌道から上に上昇できない以上こうするしかなかった。
一方アークエンジェルの方も。
「……MS隊、帰還……っ! 敵艦からの砲撃! ですが射程外です!」
「あわよくばを狙ったというところだな。向こうも離脱する気か」
MS隊の収納とほぼ同時に放たれる、大幅に狙いがはずれた砲撃。こちらに襲撃をかけてきた艦から放たれた、あまりやる気の無いそれに対して、艦長は行きがけの駄賃程度の物だと判断する。
これで戦闘も終わりに近づいたか。クルーは内心で胸をなで下ろす。
その僅かな気の緩みが、
「っ! 高熱源反応! ミサイルで――」
予想外の方向から飛来したミサイルに、対処が遅れる。自動制御されてるバルカンファランクスが迎撃を行おうとするが、飛来した4発のうち3発までしか撃ち落とせなかった。
残り1発は近接雷管を作動させ、ブリッジ直近で炸裂する。
炸裂した弾頭は無数の散弾を吐き出し、それはブリッジに後方から襲いかかった。
激しい衝撃に揺さぶられ、側面や天井のモニターや機器が吹き飛び破片が飛び散る。
怒号や悲鳴が上がる中、咄嗟に己の腕で頭部をかばったナタルが呻くように言う。
「クラスタータイプの対艦ショックバスター弾だと!? 条約禁止兵器じゃないか!」
艦の『中身』にダメージを与えることを目的とした特殊弾頭。だがそれは非人道的だという理由で禁じられていたはずだ。しかもその兵器は
「ぐぅ……」
「艦長!? 副長も! メディックを!」
「……か、構うな。それより状況の把握と索敵を……」
思考が中断される。内部に飛び散った破片によって、艦長を含めた幾人かが負傷した。それによって指揮系統が一時的に低下する。
さらに運が悪いことは続く物で。
「め、メインエンジンの出力低下! ブリッジからのコントロールに支障が出た模様!」
ブリッジにコントロールを集中していたことが徒となり、艦の制御の一部が麻痺してしまったらしい。アークエンジェルは速度を落とし、地球の重力に捕まってしまう。
迷う余裕もない。最早本能でナタルは声を張り上げる。
「耐熱ジェルを展開! 地球に『落ちる』ぞ! 姿勢制御を!」
「やってます! ブリッジ周辺の隔壁を! 何とか地表に降ろして見せます!」
ブリッジでは艦長、副長に次ぐ階級はナタルであった。咄嗟の判断で指示を飛ばしたが、ノイマンはそれより先に行動に移していたようだ。あとで問題になるかも知れない越権の行動であったが、ここで死ぬよりマシである。ともかく今を乗り切らなければ話にならないと、ナタルもノイマンも必死であった。
こうして、アークエンジェルも致し方なく地球に降りることとなる。
無理を押してそれをやってのけた二つの船が、同じようにオーブの領海内に落ちたのは、運命の悪戯なのかも知れなかった。
※リョウガ視点
「なるほど、対艦ショックバスター弾。となればザフトの船を狙った連中の所属は、十中八九大西洋の方だな」
「横流しとも考えられますけれど?」
「誰かに冤罪押しつけようとすればその線もありだが……
落ちてきた双方から話を聞く間にも、情報は次々と入ってくる。アークエンジェルが落ちた理由も分かった。そりゃあんなもの至近弾に喰らえば相当なダメージも入るわ。
アメノミハシラからの情報によれば、救助したのは全く同じ顔のコーディネイター数人で、しかもマインドコントロールらしきものを施されているという。ソキウスなんだろうと原作知識から分かるが、現時点での俺の立場からすれば知るはずのない情報だ。そこいら辺りで口を滑らすつもりはない。
情報を持ってきたリシッツァは肩をすくめる。
「ご丁寧に彼らは必要最小限の情報しか与えられていないようですわ。誰によって育てられたのか、どこで戦闘訓練を受けたのか、全て知らされていない模様です」
「そこで尻尾を掴ませるほど間抜けじゃあるまい。状況証拠、しかも半分は勘だ。連合に物言えるほどじゃないな」
「アークエンジェルのクルー、艦長を筆頭とする幾人かはうっすらと疑っているようですわね」
「内輪もめの犠牲者みたいなもんだからな。ま、そこら辺は帰還してから好きにやってくれればいい」
一通り目を通した資料をしまい、俺は席を立つ。
「さて、いよいよ本命だ。鬼が出るか蛇が出るかってところだが」
「見た目美少女しか出てきませんわよ? 今のところただのお嬢様にしか見えないのですけれどねえ」
俺の態度に首を傾げるリシッツァ。鉄火場に関しては恐ろしく勘の働く女傑だが、何の害もないものに関してはごく普通だからな。現段階で俺が何で警戒しまくってるか分からないだろう。
何もなけりゃあそれに越したことはないんだが……大化けする可能性があるからなあ。下手すりゃ
そう、俺がこれから対話しようとしているのは、ある意味ラスボス。
ラクス・クラインだ。
WA2000がほすい。来年のボーナスで買ってしまいそうな自分がいる。
サバゲの沼にハマりつつある捻れ骨子ですとりあえず電動ガンは買う。
さ、だいぶ大幅に更新が遅れてしまいましたすんません。別にサバゲにハマったからではありません。信じれ。
それはともかくアークエンジェルとラクス様一行落っこちるの巻でした。本当はもう少し混乱するはずだったんですが、ものすごく長くなる上に読んでる方も混乱しそうだったので、大幅に削ってさっぱり風味に。その作業もあって大分遅れました。要修行ですね。
ともかく長く引っ張りましたが、次回いよいよラクス様とリョウガさんがご対面です。
果たしてどうなるのか。魔王が覚醒してしまうのか。乞うご期待?
……できれば今年中に更新したいなあ……(遠い目)