ガンダムSEEDが始まらない。   作:捻れ骨子

48 / 60
 今回オリ設定キャラ魔改造が盛られてます。原作とは一切関係がございませんのでご注意を


40・やっぱり不穏な空気しかない

 

 と、いうわけで。

 俺は今、クーロンズロックへ出向いていた。

 

「ラクス嬢とアズラエル氏の会談で話題に上ったコーディネーター関連の話を調べていた最中、『彼ら』と出会ったのですよ」

 

 道すがら導師の話を聞いてみれば、彼の前に現れたのは予想通り【ジョージ・グレン友の会】。原作アストレイの話に出てきた、ジョージ・グレンを信奉する狂信者変な人たちの組織だ。

 その会長である【モンド】という人物は、仕事でプラントを訪れるロウたちに同行し、紆余曲折の末に命を落とす……はずだったのだが、プラントには向かわず導師の伝でオーブのコロニーに逗留しているらしい。

 どういうことかと聞いてみれば、そも現在ロウたちはプラントの首都であるアプリリウス市に立ち入ることができない状態であった。原因はプラントの防諜体制が強化されたためである。膠着状態が長く続き、ザフトのお偉いさんたちは搦め手――プラント内部に工作員を潜り込ませ、直接的な被害を与えられることを危惧し始めた。その対策として確実な手段は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 プラントの維持に多大な貢献をしているが、身元の不確かなジャンク屋などは真っ先に対象となった。もちろん必要な箇所には立ち入り可能だが、それ以外の移動は徹底的に禁じられたようだ。

 当てが外れたモンド氏であったが、それならばとロウたちは導師に連絡を取った。プラントでも信奉者の多い導師の助力があれば、モンド氏の目的である【エビデンス01の化石】を詣でる事も可能ではないかと思ったのだ。

 しかしながら、導師もプラントへの立ち入りを制限されている身であった。アプリリウス市はともかく、その中核でありエビデンス01の化石が展示してあるアプリリウス1には赴けない。そのことをモンド氏とその同胞たちに告げれば、彼らはがっかりと意気消沈してしまった。

 俺としては、こんな状況下でそこまでしてエビデンス01詣でがしたいかと思うが、何を大事にするかは人それぞれだ。人に迷惑をかけなければ……いやいやあの友の会、ジョージ・グレン以外のコーディーめっちゃ敵視してる危険思想の集団だったわ。よくプラントに潜り込もうと思えたなオイ。

 まあそれはそれとして、彼らの身柄を預かった導師だが、先も自身が語ったとおりコーディネーター関連の話を調べている最中であった。そこに訪れた『ジョージ・グレン友の会を名乗る連中』。あるいは何かの陰謀が働いたかと勘ぐるのも致し方あるまい。

 導師は疑念を持ちながらも、友の会の面子と交流を試みる。何らかの陰謀があれば周囲に反応があるはずだ。そうなれば派遣している『俺の配下』が感付くだろうという目論見があった。その結果分かったのは、友の会の連中は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということだった。

 流石に会長であるモンド氏は人並み以上の知識があったが、その他は技術的な知識もおぼつかない者たちがほとんど。ただジョージ・グレンを信奉する信者(思想が過激だが)に過ぎない。少々拍子抜けする導師だが、一つの質問が状況を変える。

 何らかの情報が得られれば儲けものだと考えた導師が問うたのは、『コーディネータが有する遺伝的な欠陥について』だ。もちろんそれが策謀の可能性であることは伏せて、だが。

 反応は覿面であった。やはり世にはびこるコーディネーターはまがい物であると憤る者、ジョージ・グレンを貶めるための陰謀だと主張する者、その他色々喧々囂々と騒ぎ出す迷惑な友の会。

 そんな中、モンド氏が吠えた。「こうなったらジョージ・グレン本人に問うしかあるまい!」と。そして勢いのまま導師に暴露したのだ。己が【GGユニット】――『ジョージ・グレンの脳を保管したユニット』を所有していることを。

 

「その話を聞いて、正直私は、その……引きました」

 

 たいがいのことには動じない導師をしてそう言わせる所業である。当然だ、普通に犯罪だわ。しかもかなりサイコパスな。

 まあともかく、彼の持つユニット、ジョージ・グレンの脳は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とのことだった。それを聞いた導師は、俺の協力を仰ごうとしたわけだ。

 ……丸投げしただけじゃないよね?

 

「私だけの手には余ると判断いたしましたので。それにこれは例の一件を探る一助となるかも知れません。……()()()()()()()()()()()()()()()()、ですが」

 

 そりゃ導師の視点から見れば眉唾物だわなあ。しかも普通にヤバげなこと言ってる人間の話だし。とはいえ俺も実は本当の話なんですよと言うわけにもいかない。この時点で俺が知っているはずはない話だからな。導師よりも訝しげな態度を装うしかなかった。

 

「確かに怪しいどころではない話ですが……その様子だと例の件、『結構手詰まり』なのでは?」

 

 俺の問いに導師は頷く。

 

「ええ。先ずは正攻法でと思い、ジョージ・グレン氏の経歴を洗い直してみたのですが……彼の出身である孤児院や関連施設は、()()()()()()()()()()()。そのあたりはそちらでも調べていると思いますが」

「はい。経歴において謎の多かった人物ですが、そのはずです。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のですから、経歴に欠ける部分が出るのも当然」

 

 俺と導師、それぞれ別口でジョージ・グレンの経歴を洗い直した結果がこれだ。幼少の彼に関わっていたはずの施設などはたいがい閉鎖されており、その関係者の多くは行方が知れない。所在が明らかなのはバイトや期間雇用などの極薄い関わりしか持たない人間ばかり。

 それが表沙汰になっていなかったのは、当時の人間たちがコーディネートという技術ばかりを注視し、それが生み出された経緯については全く関心を寄せなかった……『というふうに誘導された』と俺はみている。一族の歴代党首が隠してきた裏の事情。それと深く関わりがあると睨んでいるが、真相はまだ探り出せていない。

 導師の方も同じような物だったのだろう。彼はジャンク屋組合の伝で情報を収集していたようだが、俺以上の物はつかめていない。官民双方からの調査で尻尾がつかめないと言うことは、やはり相当の手練れが裏で糸を引いているか元々根が深いと言うことだ。そも最大の情報源であったはずのマティスもあの程度しか知識がない(一応裏は取った)のだから、ジョージ・グレンの経歴を追うだけでは大本まで手が届かないだろう。

 導師も時々危ない橋を渡ることがあるとは言え、あまり無法な真似もできない。調べるのには限界があった。それでもよく色々と調べ上げた物だと思うが。

 

「できれば【メンデル】の調査も行いたかったのですが……現状であの周辺に近づくことはできなさそうです」

「あのあたりは激戦区ですからね。現在は小康状態ですが、連合もザフトも目を光らせている。近づかないのは賢明でしょう」 

 

 コロニーメンデル。コーディネート技術の研究開発、そして『生産』を行っていた企業G.A.R.M.R&D(こいつらも雲隠れしてる)の拠点であった施設だ。過去の事故……あるいは故意に引き起こされた災害により破棄、放置されているが、原作より状況が変わったせいか、その周辺は戦域となっていた。まあ身を隠す場所には事欠かない宙域だ。連合ザフト共に相手を出し抜こうと隠密行動しようとした結果、鉢合わせたという所か。そこから戦術的に優位を取れる領域として取り合いになったようだ。

 そんな中で民間人やうちの者が調査に赴こうとすれば、どっちも飛んでくるに決まっている。俺としては調べてデータを根こそぎかっさらった上で処分しておきたいのは山々だが、火中の栗すぎだ。手を出すのはもっと状況が落ち着いてからになるだろう。

 ともかく導師の方はこれ以上調べられないか、時間がかかる物ばかりだった。行き詰まりを感じていても不思議ではない。

 しかし垂れ下がってきた蜘蛛の糸がアレだ。めっちゃ迷ったのは間違いない。そこで俺に投げようとするのは信頼してるからだと思いたいが。

 

「怪しいことこの上ないのは分かります。もし何か分かったら儲けものとでも思っておきましょう」

 

 実際はびっくり箱(パンドラボックス)だがな! と俺は心の中でやけくそな声を上げる。友の会の連中もアレでナニだが、ジョージ・グレン本人もザ・問題児だ。正直どんな展開になるか予想しづらい。

 だが知ったからには放置しておけない。ロウたちに任せるという手もあるが、原作通りでない以上、どんなバタフライエフェクトが起こるか分からん。まだ自分の手元にあった方がマシだろう。

 それもこれも、GGユニットがちゃんと『生きていれば』の話だ。起動したはいいが実はお亡くなりになっていましたなんてこともありうる。期待はしないでおこう。そう思いながら導師と言葉を交わしつつ、俺は眼鏡を押し上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやその、流石に私もドン引きなんだが!?」

 

 いつものテンションではなく、どことなく腰が引けた様子のヴァレリオ。

 う~ん、彼でもやっぱ引くかあ。そう考えるとロウって懐広いわ。……何も考えてないだけかも知れんけど。

 もうお分かりだと思うが、俺はGGユニットの起動をヴァレリオに任せることにした。人格的に問題はあるが、成功率を上げようと思ったら彼の手を借りるのが一番だ、と言う判断なのだが。

 

「大丈夫なのですかこんな人で。しかもコーディネーターではないですか」

 

 丁寧だがえらそうな態度で宣うのはモンド氏。GGユニットの起動をヴァレリオに任せるのは不服なようだが、半分くらいの人員がコーディネーターであるこの場所でいい度胸だなオイ。

 だから俺はロン・ヤアとしてこう語りかけた。

 

「ふむ、どうやらモンド氏は彼に任せることがお気に召さないようですね」

「当然です。適切な施設があれば自力でもできることを、なぜわざわざこんなところで」

 

 今にもGGユニット抱えて帰りかねない様子だ。導師とロウが勧めなきゃ、ここまで足を運ばなかったであろう。だがね。

 

「では()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ゑ”?」

 

 はっはっは、ただで返すと思っているのか。モンド氏はわりとどうでも良いが、最低でもGGユニットは置いていってもらおう。

 もっともモンド氏にゃあ()()()()()()()()()があるけどな。

 

「くっ……後ろ暗い企業だと聞いていたが、何という卑怯な手を」

「お褒めにあずかり恐悦至極……と、冗談はこれくらいにしておきましょう。先ほど貴方は『適切な施設があれば自力でもできる』、とおっしゃいましたね?」

「え? な、突然何を?」

 

 唐突な話題転換に狼狽えるモンド氏。俺は構わず畳みかける。

 

「それを行わなかった、いや『できなかった』のは、技術的金銭的な問題……だけではなく()()()()()()()()()からではないですか? だから胡散臭いと分かっていながらも導師の話に乗った。そう見ましたが」

 

 俺の言葉に、モンド氏は「うぐっ」と言葉に詰まった。図星だったようだが、大体そんなこったろうと思ったよ。GGユニット――『人の脳だけを生きたまま保管できる機材』なんて代物を作り維持できる。それだけで相当な技術力だ。使いようによっては金のなる木にもなるだろう。

 それをやっていないと言うことはやれない状況にある、ということだ。倫理観とか言う心理的な問題ではあるまい。言っちゃ何だが人の死体から脳だけ持ち去るような人間だ。倫理観に関しては欠片も信用してないぞ俺は。

 俺の視線に対して狼狽える様子のモンド氏だったが、ややあって、観念したかのように肩を落とした。

 

「……ええ全くその通り。あわよくば我が悲願を叶えられると。それが今まで叶えられなかったのは、()()()()()()()()()()

「妨害? ブルーコスモス系列でしょうか」

「いえ、彼らならば容赦なく我々の命を奪うことと、GGユニットの破壊を目論むでしょう。そのような手段ではなく、我々の周囲の人間関係、世間体、そういった方向からじわじわと追い立て、環境的にも経済的にも成り立たないようにしていく。そういった手管を用いる輩でした。おかげで我々は定住もままならず、なんとかGGユニットを維持していくだけで精一杯という有様でして」

 

 ……これ、一族関係じゃね? 俺はそう思ったが、まだ断言できる状況じゃない。素知らぬふりをして会話を続けてみる。

 

「ブルーコスモスではないと。……他に心当たりは?」

「やり口は()()()()()()()()()()()()と似ているのですが……どうにも違和感というか、手ぬるいというか、詰めが甘いというか」

 

 ん? 以前所属していたって……それにこの人が持ってる技術、まさか。

 

「……もしや貴方が所属していたという組織、()()()()()()()()()()()()()?」

「!? な、なぜそれを! いやそれ以前に一族のことをどこで知って!?」

 

 やっぱりかよ! オーバーテクノロジー持ってて当然だわ。そう言った方面から見てもモンド氏が一族関係者なら色々ととつじつまが合う。だがしかしなあ。

 

「こちらにも色々と事情がありましてね。一族のことは調べていたのですよ。……どうやら最近分裂したようですが」

「そ、そうだったのですか。……とはいえ我々も袂を分かって随分経ちます。彼らからは不必要だと判断されたのか、害されるようなことはなかった……と思っていたのですが。分裂していたとなると、残党のどれかにちょっかいをかけられているのかも知れませんね」

 

 う~ん、なんかこう、違和感があるというか。連中が分裂したのはつい最近だし、党首(マティス)の目が届いていないところで一族の者が手を出してたんじゃないかって気がせんでもないが。

 そのあたりも気になるけれど、もう一つ疑問がある。

 

「ひとまず誰があなたたちを追い込んだかは置いておくとして、組織と袂を分かったのであればそれなりの理由があるのでしょう。もし良ければそのあたりを話していただけませんか? 何らかの力になれるかも知れません」

 

 俺の問いに、しばし迷った様子を見せたモンド氏であったが、ややあって深々とため息を吐いた。

 

「ここまで来たら話しておくべきでしょうね。私と同志の一部は、一族に属していた頃ある研究を行っていました。GGユニットはその研究の副産物と言って良い」

 

 嫌な予感しかしないが。俺は恐る恐るを装って問うてみる。

 

「……もしかして、『完全義体』というものでしょうか?」

 

 脳だけを生かす技術。これはそれだけでは成り立たない。『脳を生かす目的』というものとセットだ。世の中には脳をCPUとして利用するなんてえげつない事をする話もあるが、モンド氏が本心からジョージ・グレンの復活を願っているのであればまずない。一族関係なら【カーボンヒューマン】というゾンビもどきの技術があるが、今の段階で俺が知っているはずはないものだ。だからわざと少し外れた予想を言ってみた。

 さすればモンド氏はかぶりを振ってみせる。

 

「いえ。それも手段の一つとして検討していましたが、最終的な目的はそれではありません」

「最終的な目的、とは?」

 

 モンド氏は自嘲的な笑みを浮かべ、こう言った。

 

()()()()ですよ」

 

 おいおい、不穏すぎるワード出てきたぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 仕事が忙しくなる季節がやって参りました。働きたくないでござる。マジで働きたくないでござる。でも働かないとお金が稼げないジレンマ。
 できれば遊んで暮らしたい捻れ骨子です。

 さ、筆者の魂の咆吼はおいといて更新です。キャプテンGGがまだ復活してませんが気にしてはいけません。下手をすると次回も復活してないかも知れません。期待していた方はすみませんが私は謝らない。
 ともかく前置き通り独自設定とモンド氏魔改造です。原作読み直してないんで口調すら怪しいぞ。この話の中ではこう言った背景とキャラで通しますのでよろしく。
 あとモンド氏べらべら暴露しまくってますが、多分追い込まれてヤケになってるんじゃないですかね(適当)。ご都合主義とも言いますが。
 実際やらかしたことは普通にどん引きなんですよねこの人。で、技術も技術だし元はマッドサイエンティストだったんじゃなかろうかと。そしてこんな技術生み出すんならやっぱ一族じゃないかと。もう一族が便利屋扱いされそうですが私は謝らないⅡ。
 話が進まないのに不穏な空気だけが蓄積されていきますが、どうしようこの先の展開(おいおい)。ノープラン着地地点行方不明のまま進むこの話の明日はどっちだ。ホントにどっちだ。

 そういったわけで放射性物質のような不穏を抱えたまま今回はこの辺で。
 いつかメルトダウンするかも知らんなあ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。